24日に行われたトランプ大統領の一般教書演説(State of the Union)は、約1時間48分と歴代最長となったが、その内容は国内政策と中間選挙に向けた政治メッセージが中心であり、中国に対する言及がほとんど見られなかったという特徴がある。

演説するトランプ大統領 同大統領インスタグラムより
外交・安全保障への言及は限定的
トランプ氏は演説の中で、国内の経済「黄金時代」や移民政策、エネルギー政策を前面に押し出した一方で、外交・安全保障に関する言及は限定的であった。例えば、イランの核開発やミサイル能力は批判し軍事的警告も織り交ぜたものの、その具体的な戦略や国際秩序へのアプローチについて詳述する場面は少なかった。
また、ロシア・ウクライナ戦争や中東和平の進展について断片的な成果を語ったものの、中国に関する直接的な批判や戦略的視点はほぼ含まれていない。これは従来の米中対立を前面に出す米政権の外交発信とは異なる構図と言える。
米国内では演説全体が中間選挙対策や国内向け宣伝に重心が置かれたとの批判もあり、外交・安全保障の主要テーマが十分に語られなかったという評価が出ている。
中国への言及がない背景:配慮か戦略か
中国への言及がほとんど見られなかった理由について、日本の分析では、米中関係の微妙なバランスへの配慮や、重要な外交議題をあえて演説で取り上げなかった可能性が指摘されている。特に中米間には、経済関係や安全保障上の緊張が依然として存在するものの、国内政治の優先順位が強く反映される一般教書演説という場では、中国問題を直接的に扱うリスクを避けたとも考えられる。
ただしこのような配慮は、長期的な戦略や政策方針の欠如を意味するわけではなく、選挙年における政治的なメッセージ戦略として国内課題を優先した可能性が高い。
トランプ演説とバイデン演説の比較
一方で、ジョー・バイデン大統領の2024年一般教書演説では、外交問題が比較的高い位置に置かれた点が特徴的だった。バイデン氏はロシア・ウクライナ戦争や米国の国際的な立場について語り、民主主義と独裁主義の対立という大枠で外交課題を提示した。
バイデン演説では、国際同盟やG7・NATOとの連携、そして人権や自由に基づく外交価値観が比較的明確な位置付けで示されたのに対し、トランプ演説ではそれらがほとんど触れられず、国内政治の文脈に置き換えられていた。
この違いは、演説が置かれた政治的タイミングと政策優先順位の差を反映している。バイデン政権時の一般教書演説は、外交戦略の説明と世界情勢との関わりを強調する傾向が見られた一方で、トランプ政権の2026年演説は中間選挙への対応や国内的メッセージに重きを置いたため、中国や欧州との大国間競争のテーマが薄くなったと評価される。
外交・安全保障問題の扱い方
トランプ氏の演説では、イランの核・ミサイル開発への警戒や中東での軍事行動、ベネズエラ指導者の排除など安全保障関連の成果が強調された。これらは米国の軍事的プレゼンスと対応能力を示すものとして位置付けられているが、全体として体系的な外交戦略や国際秩序への関与についての議論は薄かった。
これは、中国を含むグローバル戦略についての説明責任や議会・国民への説明の機会が、他の演説形式や政策発表に依存している可能性も示唆している。一般教書演説は伝統的に国内政策を強調する役割もあるため、外交課題全体を網羅すること自体が困難であるという制約も反映されている。

演説するトランプ大統領 同大統領インスタグラムより







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