イラン攻撃は正義か、悪夢か?

私の希望的観測はいとも簡単に打ち砕かれました。アメリカはイスラエルと共にイラン攻撃を開始し、既にイラン最高指導者、ハメニイ師の死亡が確認されたと報じられています。イラン側も若干の反撃を行っていますが、強力なものではなく、今後、各方面の革命分子の指導者が殺害され、またイランの攻撃能力も落ちていることからいわゆるアメリカ、イスラエルによる第一弾の攻撃は早く収まるのではないかという気がしています。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

今回は25年6月のイラン攻めがピンポイントであったのに対して、より広範囲で行っているとされます。とは言いながらもハメニイ師をはじめ、原理主義や過激派の指導者たちが確実に殺害されていることからイスラエルのモサドが最大級の活躍をしているのはほぼ間違いないとみています。つまり、イラン内における反米反イスラエルの分子は確実に潰されると言えます。

今後の展開を予想するのは異様に難しいのですが、限られた情報と攻撃初期段階における不安定な情勢を踏まえながらも概括してみたいと思います。

① 戦争は続くか? 続かない。 イランも攻撃能力が落ちているうえに、最高指導者が死亡した以上、政権へのベクトルにばらつきができ、一体化できません。そもそもイラン側に戦争指導者がいるのか、ということになります。ペゼシュキアン大統領の指導力次第ですが、反米的な行動に出れば暗殺されるのは確実なので降伏の仕方の問題になる見ています。国民に蜂起せよ、とはならないとみています。

② テロは起きるか? 起きるかもしれない。今回の攻撃で国家としての攻撃能力は殲滅状態になったとしても宗教的原理主義に基づく怒りは収まらないでしょう。よって単発的なテロが起きる可能性はあるとみています。

③ ホルムズ海峡封鎖はあり得るか? あり得る。 現在、未確認ながらもホルムズ海峡が閉鎖されているとしています。同海峡で十分水深のある海路は幅が6キロ程度と狭く、またイラン側から近いため、同海峡のコントロールが効くとされています。その海峡がふさがれればオイルタンカーの通行ができなくなり、大混乱が起こります。海峡の閉鎖ではなく、封鎖をする方法はいくつかあるとされ、極端な話、船を沈めて物理的に通れなくするという手段もあります。過激派が破れかぶれの行動に出る可能性は当然あるとみてます。

④ 体制転換はあるか? 容易ではない。 イランは中国同様、反体制派を徹底的に弾圧し、潰してきました。つまり、いざ新らなる体制を作るにも旗振り役がいない状況です。また急激な情勢の変化に9000万人の民は大混乱の中、新たに確立された方針を持つ反米的ではない政権を樹立するのはたやすくないと思います。

⑤ 世界は今回の攻撃をどう見るか? 距離を置く、そして批判的になる。私は3度目の核開発会談で一定の進捗があり、双方が一旦持ち帰り1週間程度でその詰めを行うという結果が出た中で癇癪をおこしたトランプ氏が攻撃を指示したとみています。批判派は「もう少し待てば交渉による妥結が可能だったのでは?」という意見は「ればたら」として確実にでます。また欧州やアジアなどほとんどの国は静観しており、オフィシャルなコメントが出せないと思います。今回の攻撃への批判の声はむしろ世界の人々がどのような正義を示すか、それが伝播的に巻き起こればアメリカ、イスラエルへの批判は再度高まる可能性があります。

⑥ 金融市場はどうなるか? これからの24時間次第。週末の攻撃はある意味、金融市場への影響を配慮したものだと思います。よって今後24時間で起きる情勢次第だと思いますが、東京を含むアジア市場は風見鶏で市場そのものが受け身的でありますから多分ですが、混乱、ないしプログラムの自動売買がキックインするとみています。原油、資源、金は上でしょうが、為替はわからないと申し上げます。最大の問題は北米市場が開く40時間後で真の大混乱はその時に起こるかもしれません。アメリカ市場はそもそもの地合いが悪いのです。なのでそこに悪いニュースとなれば影響は出ます。ただ、今回の問題がイランの局地的な問題だけなら回復は早いのかもしれません。

⑦ トランプ氏は勝利宣言をするか? 自己満足的に行うでしょう。トランプ氏は就任前は「戦争がお嫌い」でした。なのになぜ、この1年でこれほどまでに変貌したのでしょうか?様々な角度からの分析が必要ですが、個人的には一つに氏の年齢がもたらした判断基準の変化があるとみています。決して健全な意味ではありません。かなりナローマインド的であり、人間指導者としての資質にかかわるとみています。しかし権力がやりたい放題にさせており、暴走機関車を容認した政権指導部と議会の責任は問われると思います。

私は今回の攻撃は残念な判断だと思っています。戦争が好きな人はそう多くはないのです。しかし、その人たちの声だけは大きいのです。一般社会では困惑が広がっていることでしょう。アメリカは今回のイラン攻め次第では弾薬、武器不足に陥ります。当然、ウクライナへの支援も十分にできないし、次の攻め口が当面できません。最大の懸案は、ないと信じますが、中国による台湾進攻でこれが起きた場合、アメリカはお手上げになる公算はあります。近代戦争は武器が高水準化しているためTHAADなどの「弾切れ」が起きやすく、弾がなければ軍部は「戦えない」と判断するだけです。これは日本にとって困る事態になるはずです。つまり今回のイラン戦争は真の意味でいらんことを行い、現状における日本の国家安全保障に心配ネタとなるといえましょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月1日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者様登録フォームより登録ください。

コメント