私はビジネスを営むとともに会社や個人として投資も行っています。なぜ、私は今のビジネスを選んだのか、あるいはなぜこの銘柄に投資をしたのか、普段あまり振り返らないテーマですが、案外、すべての人に関係する内容かもしれませんので取り上げてみたいと思います。

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就職先を選ぶ際、硬派な私は将来を考え、建設業を選んだのは事実です。日本の建設需要は無くなることがない、これが最後に私の背中を押した理由です。なぜなら、建てても建てても古い建物は時間軸と共にどんどん古くなるので一種の永久運動だと考えたのです。私が幼少の頃に教えられたのは「衣食住は無くならない」。そのカテゴリーからすれば建設業はピッタリくるわけです。
同じ「衣食住」でも、飲食業で起業する方が多いのは知っています。入りやすさがあると思います。ですが、胃袋は増えないし、胃袋が大きくもならないのです。とすれば参入障壁の低さに対して需要限界との闘いで、儲かるかどうかは、バズるかどうか、それにかかるわけです。しかもバズったところですぐにまねされるし、客は他の面白いところを常に探しているのでずっとバズり続けるのは難しいのです。
成功の方程式は狭い店で常に予約客で一杯にすればお会計の時、「次回の予約をしていきましょう」という病院と同じような仕組みで回すことは可能です。ただし、規模の経済は出来ないのです。
経済の成長において私の考える3要素です。人口、欲望の成長力、新技術や新サービス。極論すればこれしか成長のエレメントはないと断言してもよいと思います。
人口はご存じの通り、減れば総需要が減るうえに労働力も減りますのでGDPが伸びません。そうなれば内需ではやりくりできないので企業は海外に進出し、国内は労働力不足を補うため海外からの労働力を投入するのはごく普通の成り行きといえます。
一方、社会的に海外労働者の流入に抵抗感が増えているので制限を加えれば、機械化、ロボット化、自動化を推し進めざるを得なくなります。しかし、それは労働力分配をいびつにするため、労働のミスマッチが起こりやすい問題が生じます。強い社会問題を生むと言えるでしょう。
次に「欲望の成長力」です。私が勝手に命名しているのですが、要は国家の経済は一定水準までは高いペースで成長しやすいということです。ところが一定レベルに達するとそこから先は越えにくい壁にぶつかります。これが「中所得国の罠」と称されるものです。
何故か、といえば経済水準が一定まで上がるとマズローの5段階でいうと3段目の社会的欲求から4段目の承認欲求あたりまで達するとそこから先は極めて強い忍耐力や精神力を要するため、広く一般に強い欲望が生まれず、経済成長の壁になると考えています。たとえばワークライフバランスが流行り出す時点で成長は既にないとも言えます。
3つ目の新技術や新サービスは言葉の通りです。これもバルミューダの数万円のトースターの話をしているのではなく、国民の大多数がその技術やサービスの恩恵に浸るような話です。近年ではスマホぐらいしかないと思います。今やスマホなしに生活ができなくなりましたが、最近では一部の人はAI抜きで仕事ができないという人も出てきているかもしれません。
中国では国主導でEV化を推し進めたのでそれが一定の経済成長を生んだことは事実です。日本では批判的な意見が多いと思いますが、中国EVは戦国時代を経て現在に至る過程で相当の強者しか市場に残っておらず、製品レベルとしては世界でリードできるわけで経済の成長の賜物と言ってよいでしょう。
ではお前のビジネスはどうなの、と言われるとこれが恥ずかしいほど保守的なわけです。なぜなら不動産という箱ビジネスですから箱が一杯になればそれ以上の売り上げ=成長はないわけです。新しい箱を作ればいいわけですが、それがどれだけ収益につながるかはタイミングというものがあるのです。私が書籍ビジネスに手を出したのは日本人が読まなくても海外で需要を生む方法があるはずだと信じて試行錯誤しているのです。
もう一つ、介護ビジネスは10年以上、裏方でやっていますが、このビジネスに出会ったとき、これほど成長性のある業種はないと確信し、強く推し進めた結果、10年で10倍ぐらいの規模になりまだ伸び続けているのです。
最後の投資先の話です。カナダの場合に限れば、投資先は3通りあります。1つ目はパイプラインなどインフラ関連企業のように必ず儲かり、安定的に高配当をくれる企業、2つ目が成長を求めて努力する一般企業、そして3つ目が資源と食糧関係です。食糧自給率が200%のカナダはいかに外国に売るかが決め手であり成長余力があります。一方、カナダのワインは極めて品質が良いのですが、州と州でまたがって販売できず、ワイナリーの生産キャパが小さいので成長余力が全くないのです。
アメリカに比べて派手さはないけれど底堅さがある、これがカナダの投資の基本ですが、資源関連のようなばくち銘柄が非常に多いのも世界有数の特徴とも言えるでしょう。日本にはパイプラインはないけれど鉄道会社が似ているかもしれません。株価は跳ねないけれど配当は安定的に4-5%頂けるわけです。カナダの定期預金はほぼ2%ぐらいしかないわけですからそれらインフラ関連への投資に資金が向かってもおかしくないわけです。
私も昔は投機をしました。ですが、だんだん減ってきて今ではめったにしなくなったのはリスク見合いのリターンが悪いことに気が付いたからです。資金を入れるなら意味あるところに投下する、意味あるところとは自分の中でナラティブを作り、そのストーリーを信じるしかないのだと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月2日の記事より転載させていただきました。






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