神奈川県の女子名門私立高校の栄枯盛衰

しばらく紹介してこなかったが、婦人公論の電子版と、それが転載されたYahoo!Newsで『日本の名門高校 – あの伝統校から注目の新勢力まで』(ワニブックス)の内容に少し手を入れて連載している。

ぜひフォローしてほしいが、本日はそのうち神奈川県の私立女子高校の二回分を短縮して紹介しておく。それぞれのリンクから、ほかの学校のところに跳んでいただけると思う。

日本における女子教育機関の草分け的存在のひとつが、フェリス女学院高校である。明治2年(1869)にアメリカ改革派教会が婦人伝道師メアリー・E・キダーを派遣し、翌年に横浜の居留地のヘボン施療所で女子教育を開始した。これが、のちのフェリス女学院高校である。校舎が落成したのは明治8年(1875)で、校名はアメリカ改革派教会外国伝道局総主事であったアイザック・フェリスに因む。

【関連リンク】「日本最古の近代的女子教育機関」と称する「フェリス女学院高校」は、欧米的で自立心旺盛な人材を育成。フェリス女学院大学へ推薦入学する者もいるが25年度入試では、東大に8名、京大6名の合格者を… 婦人公論.jp

これが最古の女子高校なのかは、制度と歴史についての解釈でさまざまな可能性があるが、そのひとつであることは確かだ。校舎は元町や中華街を見下ろす山手町の高台にある。JR根岸線の石川町駅から800メートルほどで、外国人墓地などにも近い。戦時中には校名を横浜山手女学院に変更したが、戦後にフェリス女学院中学校・高等学校となった。1学年4学級180名で、完全中高一貫制である。お嬢様学校的なイメージはあるが、むしろ欧米的な自立心旺盛な人材を育てているようだ。

フェリス女学院中学校・高等学校 Wikipediaより

卒業生には石倉洋子(経営学者、初代デジタル監)、荻野アンナ(作家)、中満泉(国際連合事務次長)、原由子(サザンオールスターズ)、藤村志保(女優)、安井かずみ(作詞家)、高瀬春奈(女優)、千野境子(産経新聞論説委員)、中島さち子(ジャズピアニスト、数学者)などがいる。

2025年度入試では、東京大学に8名、京都大学に6名の合格者を送り込んだほか、早稲田大学に59名、慶應義塾大学に36名が合格した。特別な受験体制はとっていないが、丁寧な教育がものをいっているという人もいる。

神奈川県では、このフェリス女学院高校と、横浜雙葉高校(横浜市中区)、横浜共立学園高校(同前)の3校をもって「横浜女子御三家」と呼ばれる。

朝ドラ『あさが来た』で創設の歴史が描かれたのが「日本女子大学附属高校」だ。神奈川県には慶應義塾大学以外にも東京の大学の附属高校がある。日本女子大学附属中学校・高等学校もその一つで、川崎市多摩区に附属中学校とともに併設されている。小田急線の読売ランド前駅から徒歩10分というアクセスである。

【関連リンク】朝ドラ『あさが来た』で創設の歴史が描かれた「日本女子大学附属高校」。三大綱領として、「信念徹底、自発創生、共同奉仕」を掲げ… 婦人公論.jp

日本女子大学の目白キャンパスには、大学の家政学部、文学部、理学部、附属豊明小学校・幼稚園などがある。

大学の創立は明治29年(1896)、成瀬仁蔵が『女子教育』を出版し、「日本女子大学校創設之趣旨」を発表したのがきっかけである。NHK連続テレビ小説『あさが来た』の主人公のモデルである広岡浅子の尽力により、三井家から女子大学敷地として、目白台にある5520坪の土地の寄付を受け、明治34年(1901)に創立された。それと同時に日本女子大学附属高等女学校も開校した。上記のドラマでは、日本女子大学の設立の経緯についても紹介された。

日本女子大学附属高校 Wikipediaより

昭和23年(1948)に、附属高等女学校を母体に、新制の日本女子大学附属中学校が目白台に、日本女子大学附属高校が西生田に開校された。昭和54年(1979)に附属中学校が西生田キャンパスに移転した。

毎年夏休み明けに、軽井沢セミナーという行事が行われる。大学所有の軽井沢にある三泉寮で、2泊3日で開かれる2年生最大のイベントだ。

日本女子大学への進学を希望する生徒は、原則として推薦される。2025年度の卒業生について見ると、卒業生のうち7〜8割が日本女子大学(内部推薦)に進学するが、北里大学と東京女子医科大学には2名ずつの指定校制度での進学がある。

このほかでは、東京大学にも1名が合格している。また、難関私大では、早稲田大学に3名、慶應義塾大学に2名、上智大学に14名が合格している。

卒業生には、田中眞紀子(元外相)、渡辺ミキ(ワタナベエンターテインメント社長)、平岩弓枝(作家)、大石静(脚本家)、君島十和子(元女優)、河内桃子(女優)、松本和子(化学者)、田口惠美子(アナウンサー)、木村盛世(医師)などがいる。

このほか、洗足学園中学高等学校は、川崎市高津区に所在し、中高一貫教育を提供する私立女子中学校・高等学校である。JR東日本南武線武蔵溝ノ口駅、東急田園都市線・東急大井町線溝の口駅から徒歩8分。

近年、厳しい受験指導が実って、桜蔭高校に次いで女子学院高校と東京大学合格者数で2位を争っている。2026年入試では26名。

【目次】
はじめに 伝統の名門校から躍進する注目校まで
第1章 東京・神奈川の名門高校
第2章 関西の名門高校
第3章 中部の名門高校
第4章 東日本の名門高校
第5章 西日本の名門高校

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