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中国の習近平国家主席が5月14~15日に北京で行われた米中首脳会談で、トランプ米大統領に対し、台湾問題は「米中関係における最も重要な核心的利益」であると強調し、対応を誤れば紛争に発展するなどと強く警告したことは記憶に新しい。

トランプ氏はこの警告を黙殺したようだが、会談後、武器売却について「台湾を率いる人物」と話をする意向を表明した。台湾の頼清徳総統は「台湾と米国の意思疎通のパイプはかねてからスムーズだ。機会があれば、私には台湾社会の心の声を説明する責任がある」と、これに応じる姿勢を示している。
関連して、今回の米中首脳会談の前後に、台湾で2つの極めて興味深い世論調査が行われた。1つは4月22~24日に『美麗島電子報』(別名:『風傳媒』)が、20歳以上を対象に行った電話調査(固定・携帯)だ。有効回答数は1074人だったが、実に直截的なその設問は以下である。
台湾が中華人民共和国の一つの省や特別行政区となり、中国と香港やマカオと同様の関係を結べば、両岸間で今後戦争が起きることはなくなるという理由で、中国政府の提案する「平和統一」を受け入れられるか。
果たして結果は、「非常に受け入れられる:5.2%」「まずまず受け入れられる:17.2%」で、合計22.4%が「受け入れられる」と回答した。「かなり多い」と筆者は感じる。国立政治大学が92年から毎年行っている「台湾人/中国人としてのアイデンティティ調査」の25年の結果を1月に見たからだ。
92年には「私は中国人」の25.5%に対し、「私は台湾人」は17.6%に過ぎなかった。が、88年の蒋経国死去に伴い、副総統から総統に昇任した本省人の李登輝が、96年に台湾初の総統選挙で再任-台湾民主化-された辺りから急増する。00年の民進党政権誕生で40%台に乗り、08年の国民党馬英九政権下ではむしろ増え、92年に46.4%だった「私は台湾人・中国人の両方」を完全に逆転してしまう。
日本統治の遥か前-17世紀頃-に福建省や広東省から台湾に移り住んで来た本省人は、終戦時点で約600万人(約1割は原住民)。他方、終戦以降に台湾接収や国共内戦の結果49年10月に成立した中華人民共和国から逃れて来た外省人は、50年初頃までに約150万人(20%)に達していた。が、戒厳令が87年に解除され、更に本省人総統誕生となれば、60%は頷ける数字である。
そして、香港から40-50万人(約7%)が脱出した国安法施行のお陰で、蔡英文再選の風が吹いた20年からは「私は台湾人」が60%台を維持、25年調査の「私は中国人」は僅か2.5%、「私は台湾人・中国人の両方」も30%台前半だ。が、これとて武力統一の脅威がなければ大幅に減ると思われた。つまり『風傳媒』調査の22.4%は多いのだ。
台湾大学の明居正名誉教授も筆者と同じ感想らしく、「彼らは本当に香港の現状を理解しているのだろうか」と疑問を呈し、一般市民は政治問題をよく理解しているとは言えず、世論調査の質問表現に誘導され易いと、この数字を評した。なお、「平和統一」の支持率は22年:28.4%⇒24年:24.8%⇒25年:22.4%と漸減した一方、「平和統一」に反対する者はその3倍以上に上る。

もう一つは行政院機関「大陸委員会」が市場調査会社「イプソス」に委託して、米中首脳会議後の5月22~23日と25日~26日に、台湾の20歳以上の市民を対象に電話で行われた調査だ。有効回答数1073件とあり、『風傳媒』と方法も回答数もよく似ている。報道にある質問項目は以下の2つである。
① 台湾が中国の「一国二制度」や「平和的統一」を受け入れて中国共産党に統治され、自由と民主主義を失っても構わない。
② 現在、台湾と中国共産党のどちらが台湾海峡の平和を破壊しているか。
結果は、①に対する回答では、「同意しない:87.1%」「同意する:5.9%」「意見なし:7%」となった。また②に対する回答では、「中国共産党が破壊している:47.4%」「台湾が破壊している:7.9%」「双方が破壊している:33.3%」となり、政治大学のアイデンティティ調査を似た傾向を示している。
台湾民主化30周年に当たるこの5月23日、総統府直属の国史館と李登輝基金会が開催したシンポジウムで講演した若林正丈早大名誉教授は、96年の台湾総統直接選挙は「新たな政治の舟」の出航を象徴する出来事であり、台湾の政治は以降「民主主義の定着」の段階に入ったと述べた。
頼総統の就任から5月20日で2年を迎えるが、民進党中央党部が18日に公表した世論調査に拠れば、頼政権の施政に対する満足度は56.4%、頼総統個人への信頼度も51.8%と過半数を超えた。
中国が「断固反対」を唱えるトランプ・頼会談だが、有言実行のトランプ氏のこと、米中会談後の高市総理への電話はそのことの相談だったのではなかろうか。







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