皇室典範の改正についての政府案が出ていて、おおむね妥当だと思うが、悠仁さま以降の継承に必要以上に踏み込むことは、国民世論のみならず、皇族の皆さんをはじめとする関係者にとっても、将来を束縛しすぎるものであり、慎重な扱いが必要ではないかと危惧する。

愛子内親王と悠仁親王 宮内庁HPより
本人に継承権を認めないことの不安定さ
皇族男子は普通は皇位継承権があるのだが、今回は例外的に本人に皇位継承権はないということにした。ハプニングがない限りは妥当なのだが、悠仁さまおよび養子に新たな男子が誕生する前に、皇族男子が災害、戦争、テロ、疫病など何らかの理由で誰もおられなくなったらどうするのか。
そもそも現行法でも、その場合は、天皇不在になるのであらゆる法律などへの親署もできなくなるし、摂政を置くこともできず、超法規状態になる。皇室典範を改正したり、憲法に緊急条項を設けたりするなら手当てすべき問題だし、そのときに、養子となった皇族の継承権を否定するべきかも課題だ。
悠仁さままたは養子に新たな男子が生まれたら、継承候補者となるのだが、それまでは悠仁さま以外に若い継承者がいない不安定な状況なのだから、手当ての必要があるのではないか。
養子の序列を実方で決めることの問題
次に、養子の子孫の間における継承順位に踏み込みすぎて、円滑に養子縁組を進めていく上で支障になるだろう。
「養子となつた者については、これを実方の系統による嫡男系嫡出の者として第6条の規定を適用する」とあって、たとえば、養親の地位でなく実親の地位で皇位継承順位などを決めることが示唆されている。
これは、たとえば、序列最上位の常陸宮殿下の養子か、最下位の高円宮承子女王の養子かという、養親の序列は関係なく、複数の養子の子や孫のうち、男系男子の系図でいちばん皇室に近い者が優先するということになる。
となると、たとえば、養子候補といわれる11人のうち、(A)賀陽長男、(B)賀陽次男、(C)久邇、(D)東久邇長男系甲、(E)同乙、(F)東久邇次男系甲、(G)同乙、(H)東久邇三男系甲、(I)同乙、(J)竹田系甲、(K)同乙という序列がつく。
ただし、さしあたっては、15歳以上である必要があるので、該当者は(A)(B)(D)(F)(G)(I)の6人だが、年齢が15歳に達したらほかの5人も候補になるし、当然、これから生まれる子も養子になる権利があって、継承順位は常に動く。
現皇室との血縁的距離をどう考えるか
そしてここで問題になるのが、本人の資質とか、スキャンダルのなさ、そして何よりも現皇室との血縁的距離や信頼関係は関係ないのかということである。
こうした要素は養子にするかどうかの判断材料にはすべてなるが、養子にしてしまったら、序列は決まってしまうので一切関係ないことになる。
そうなると、仮にさしあたっての有資格者である6人をすべて養子にしたとすると、賀陽長男の(A)の子孫が悠仁さまに男子がいなかった場合の最上位になるわけだが、(A)と(B)は北朝天皇の崇光天皇よりあとの天皇の血を女系でもおそらく引いていない。
それに対して東久邇系の(D)(F)(G)(I)は昭和天皇の玄孫であるから、より皇位継承者としてふさわしそうにみえる。
そうすると、たとえば、(A)(B)は養子にせず、東久邇系だけ養子にしたら昭和天皇の血筋が維持できることになるが、せっかくの候補者をさらに少なくするのも忍びない。
さらに、愛子さまや佳子さまがこれらの誰かと結婚したらどうなるかという問題もある。しばしば、愛子さまの結婚相手として語られてきたのは(B)であり、(I)も週刊誌報道で名が出ている。仮に6人が全部養子になって、愛子さまが(B)と結婚されて男子ができたら皇位継承者として期待が出るだろうが、(B)の兄である(A)も養子になって一般女性と男子をなしたら、愛子さまの子よりもそちらが優先になる。
継承順位の細部は将来の議論に委ねるべき
私は、男系男子を維持する前提だが、11宮家から迎える養子の子孫に皇位が移る場合は、やはり、養子の子孫間で現皇室(上皇陛下・天皇陛下・皇嗣殿下)の女系子孫が最優先(悠仁さまに女子がいたら、その子孫が最優先)、それがダメなら昭和天皇の子孫、それもダメなら大正天皇、次いで明治天皇の子孫を優先させるのが、国民感情からも現皇室の皆さんの気持ちとしても自然だし、歴史的にも男系男子は必要条件だが、具体的な人選にあたっては女系での近さも重視されてきたのだから、その伝統を反映すべきだと思う。
さらに、本人の資質、年齢、子どもがいるかなども無視するべきではないと私は思う。まして、女性天皇や女系天皇も将来の問題として未来永劫ありえないことなど今回、決めたはずもない。そのことも考えたら、養子の子孫に皇位継承権があるであろうことは理にかなっているものの、今、制度の細部や継承順位を決めるべきではなかろう。
それは、悠仁さま、愛子さま、佳子さま、さらには養子の子が出そろった時点での議論に委ねるべきではないのか。
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