黒坂岳央です。
「恋愛強者」という言葉がある。
異性からモテる人は、恋愛経験が豊富で、魅力的な相手と交際できる。その延長線上で「その気になればいつでも結婚できる」と本人も周囲も考えがちだ。
だが直感に反して学生時代や若い頃、「この人はあっという間に結婚するだろうな」と思うような、恋人が絶えない魅力的なクラスメイトが意外とずっと独身だったりする。
筆者は「恋愛強者ほど結婚しづらい」と思っている。恋愛と結婚は似ているようで、実際にはまったく別のゲームだ。
恋愛で評価される能力と、結婚で評価される能力は違う。そのため、恋愛市場で勝ち続けた人ほど、結婚では苦戦するケースがある。あくまで男性におけるケースで持論を述べたい。

恋愛強者とは何者か?
まず定義を明確にしたい。ここでいう恋愛強者とは、高収入や高学歴といった条件面で有利な人ではない。
若い頃から異性との出会いが多く、積極的にアプローチでき、交際相手を途切れさせないタイプを指す。恋愛では、瞬間的な魅力やコミュニケーション能力、外向性が大きな武器になる。
一方、結婚で求められるものは少し違う。結婚相手として評価されるのは、誠実さ、安定性、穏やかな性格、責任感、生活を共にできる能力である。つまり、恋愛市場で強い人が、そのまま結婚市場でも強いとは限らない。評価されるポイントが違うからだ。
恋愛は「選ぶゲーム」結婚は「決めるゲーム」
この違いを理解するには、恋愛と結婚の目的の違いを見る必要がある。
恋愛市場では、魅力的な相手を見つけるために多くの選択肢を持つことが有利になる。複数の相手と出会い、自分に合う人を探す能力が求められる。
しかし結婚では逆になる。必要なのは、最終的に一人を選び、その相手と長期的な関係を築く能力だ。恋愛で成功する人ほど、「もっと良い相手がいるかもしれない」という比較を続けやすい。人気がある人ほど選択肢が多く、そうした環境ほど決断は難しくなる。
これは恋愛に限らず、人間心理として知られている。選択肢が増えすぎると、人は満足度の高い決断をしにくくなる。特に恋愛強者の場合、「代わりはいくらでもいる」という感覚を持ちやすい。
その結果、本来なら十分魅力的な相手との関係を深める前に、次の可能性を探し続けてしまう。だが恋愛市場では強みだった能力が、結婚では弱点になることがあるのだ。なぜなら年を取るほど確実にマーケットニーズは縮小するからだ。
恋愛経験の多さが逆評価される瞬間
筆者は30代以降、婚活をしている知人を数多く見てきた。そこで感じたのは、若い頃の恋愛経験と結婚のしやすさには、必ずしも相関関係がないということだ。
学生時代にあまり目立たず、恋愛経験も少なかった人が早く結婚する一方で、恋人が途切れなかった人が結婚相手を見つけられず苦労するケースも珍しくない。若い頃、恋愛相談を受ける側だった人が独身のままで、相談していた側が先に家庭を持つという逆転もある。
理由は単純だ。恋愛経験の多さは、恋愛市場では「魅力の証明」になる。しかし結婚市場では、「なぜ今まで誰とも結婚しなかったのか」という別の見方をされる場合がある。同じ実績でも、市場が変われば評価は変わる。
結婚したいなら「狭く、早く」
では、結婚を望む人はどうすればいいのか。筆者は「狭く、早く」が合理的だと考える。
もちろん、これは「焦って相手を決めろ」という意味ではない。自分が求める条件を明確にし、必要以上に比較を続けないという意味だ。若い頃に恋愛で成功した人ほど、「自分ならいつでも相手を見つけられる」という感覚を持ちやすい。
だが、年齢とともに自分自身の市場価値も変化する。過去の成功体験が、現在の環境への適応を遅らせることがある。筆者自身、妻とは20代で出会い、31歳で結婚した。もし出会いのタイミングが10年遅れていたら、同じ結果になっていなかった。
世の中には「男性はお金さえあれば何歳でも結婚できる」という意見もある。しかし現実の統計データはそう言っていない。35歳を超えると高収入の男性であっても結婚は非常に難しくなる。
恋愛の成功と結婚の成功は別物
恋愛で重要なのは、相手を惹きつける能力だ。結婚で重要なのは、相手と人生を作る能力でこの二つは似ているようで違う。
恋愛市場で勝った人ほど、その成功体験によって結婚市場でも勝てると思い込んでしまうことがある。しかし、恋愛の武器がそのまま結婚の武器になるとは限らない。
結婚したいなら、必要なのは「多くの選択肢を持つ能力」ではなく、「一人を選び続ける能力」なのだ。
若い頃、恋愛で有利になった人ほど、「自分が本気を出せばすぐ結婚できる」と思ってしまうのではないかと思う。だが、現実には恋愛と結婚は違う。恋愛市場の武器を婚活に持ち込むべきではないだろう。
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