雨の日に傘を差し出してくれた人も、傘を取り上げた人も絶対忘れない

内藤 忍

14年前に勤めていた会社を辞めて資産デザイン研究所を設立した時、たくさんの経営者の諸先輩に話を聞きに行きました。それまではずっと会社員生活を続けていたので、会社を立ち上げてどのように仕事をすれば良いかのヒントを何とか得ようと必死だったのです。

10人近くの方にコンタクトして会いに行って対面で話を聞きました。ご自身の経営体験を時間をかけて丁寧に教えてくれた方がたくさんいてとても有り難かったのですが、中にはあまり気乗りしないのか塩対応の人もいました。

私が以前大手企業に勤務していた時とは明らかに対応が変わるわかりやすい人もいたりしました。相手の立場によって当たり前のように態度を変える人がいるのに驚いたものです。

あるいは数年前に投資商品に関するトラブルに巻き込まれたことがありました。弁護士などによる事実関係の調査もしてもらい私には非が無いことは証明されたのですが、ちょっとした騒ぎになりました。

言われなき風評被害に対応するためにどうしたら良いか多くの知人・友人に相談して様々なアドバイスをもらい少しずつ対応していきました。

そんな中、有難いことに相談先を紹介してくれたり同じような体験が会った際の対応を教えてくれるような、いつもと変わらない対応をしてくれた方がほとんどでした。その一方であえて名前は書きませんが手のひらを返すように音信不通になってしまった知人や取引先もありました。

本当の人間関係やその人の情け深さがわかるのは間違いなく雨が降っている時です。そんな究極のタイミングで見せる素顔こそが、その人の本質を物語っているのだと強く感じます。

自分が悩んでいる時やどん底にいるときに、手を差し伸べてくれた人の恩義は、一生かけても返しきれないほどありがたいものだと忘れることはありません。雨の中で途方に暮れていたとき傘を差し出してくれた有り難さを忘れないのと同じです。

逆に、自分が苦境に陥っているタイミングで塩対応の人や冷酷に縁を切ったりした人も一生忘れることはありません。これもまた雨が降っているのに傘を奪い去られ放り出されたときのショックや絶望感を忘れないのと同じことです。

私自身、誰に対しても雨の日に傘を差し出せるほどの器の大きさを常に持ち続ける自信はありませんが、少なくとも雨の中で傘を取り上げて一生恨まれるような人にはならないようにしたい。自分の経験したことを思い出しながらいつも自分を戒めています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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