裁判所判断めぐり斎藤元彦知事「おねだり」「パワハラ」有無が再び論争

兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる告発文書問題で、「おねだり」疑惑やパワーハラスメントをめぐる情報の真偽が、再びSNS上で議論になっている。裁判所の判断を根拠に「一部には事実と異なる情報があった」とする指摘が出る一方、パワハラなどは実際に認定されており、「疑惑がすべて虚偽だった」とする見方にも反論が出ている。

「おねだり」と「持ち帰り」をどう区別するか

斎藤知事をめぐっては、県内の事業者などからワインやカニ、農産物などを受け取ったことが問題視されてきた。斎藤知事本人も一部の贈答品を持ち帰ったことを認めている。

一方、県の第三者調査委員会は、贈答品について贈収賄に当たる事実は認められず、多くは社会儀礼の範囲を明らかに超えるものとはいえないとの判断を示している。

このためSNSでは、「品物を受け取ったこと」と「知事側から要求した、いわゆる『おねだり』」は区別すべきだとの指摘が相次いでいる。

村上ゆか氏は、神戸新聞のファクトチェックについて、「持ち帰ったことをもっておねだりの事実があったわけではない」と批判。受領した事実だけを根拠に「おねだり疑惑」を補強することには慎重であるべきだとの考えを示した。

スキーウェア疑惑では裁判所判断が注目

特に議論になっているのが、丸尾牧兵庫県議が発信したスキーウェアをめぐる疑惑だ。

丸尾氏は過去に、斎藤知事がスキーウェアを「おねだり」したとの趣旨の情報を発信していた。これに対し、関係する観光協会側は、知事本人から要求を受けた事実や、「たかり」「おねだり」と受け止めるような圧力はなかったと説明している。

この問題をめぐる裁判では、丸尾氏について「斎藤知事がスキーウェアをおねだりしたという事実に反する煽動的な宣伝又は根拠のない噂話を拡散した」とする趣旨の事実摘示について、その重要部分の真実性が認められたとされる。

弁護士の福永活也氏はこの判断を取り上げ、「丸尾県議が斎藤知事に関してデマを拡散したことは司法判断で認められている」と投稿し、丸尾氏の発信を批判した。

これに対し丸尾氏側は、「革ジャン、高級旅館、カニ、パワハラはすべて嘘だった」などとするSNS上の投稿には事実と異なる内容が含まれていると反論。裁判所が斎藤知事をめぐる一連の疑惑をすべて「虚偽」と認定したわけではないと主張している。

パワハラは第三者委が10類型を認定

一方、パワハラ問題については第三者調査委員会が、調査対象となった16類型のうち10類型についてパワハラに当たると認定している。

斎藤知事も第三者委の報告を受け、職員に対して謝罪した。

ただ、この認定についても異論がある。

門隆志兵庫県議は、企業などで一般的に用いられるパワハラ認定には一定の要件があるとして、第三者委が「独自の基準」を用いたと批判。「気に入らないからと独自のルールで制裁を加える社会は怖すぎる。こういう時こそ法の下の平等を徹底すべきだ」と主張している。

第三者委の判断をどこまで一般的な法的な「パワハラ認定」と同一視できるかも、論点の一つとなっている。

神戸新聞のファクトチェックにも批判

神戸新聞は、SNS上で「革ジャン、高級旅館、カニ、パワハラはすべて嘘だった」といった情報が拡散しているとして、これを検証する記事や投稿を発信している。

同紙は、第三者委がパワハラを認定していることや、斎藤知事が贈答品を持ち帰った事実などを挙げ、「すべて虚偽」とする主張は事実に反すると指摘した。

一方で、「持ち帰ったこと」と「おねだりしたこと」を同一視しているように見えるとして、神戸新聞側の検証手法にも批判が出ている。

斎藤知事をめぐる一連の問題では、パワハラとして認定された事実、贈答品を受け取った事実、知事側から要求したかどうかが確認されていない事例、事実と異なる情報が拡散したケースが混在している。

SNSでは双方の立場から断定的な情報が広がっており、裁判資料や第三者委報告書など一次資料に基づいて個別の事実を検証する必要性が改めて指摘されている。

斎藤知事 同知事SNSより

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