南房総・東京湾に延びる「あの桟橋」を訪ねる

NHK「ドキュメント72時間」という番組があります。特定の店や観光地などに72時間カメラを置いて定点観測するというドキュメント番組です。わたしはこの番組が大好きで放送は欠かさず見ています。

「南房総 静かな桟橋で」 - ドキュメント72時間
千葉・南房総の砂浜にちょっと変わった桟橋がある。東京湾にまっすぐ160m突き出ていて周囲には何もない。もともと大正時代に魚の水揚げ用として作られたが、50年ほど前に漁港が移転し、役目を終えた。それが今、隠れた人気スポットに。犬の散歩で毎日来る地元の人、職場を離れる同僚と送別旅行で訪れた3人組。ここが気に入り、越してきた...

昨年1月に紹介されたのが南房総市富浦地区の桟橋。この景色をテレビを見ていってみたい!と一目ぼれしたのですがなかなか機会に恵まれず、今回ようやく訪ねることができました。

JR内房線の富浦駅で下車。目的の桟橋は駅から9分ほどのところにあり駅からのアクセスがいいのがうれしいです。ちなみにわたし、南房総市は生まれて初めての訪問です。

岡本桟橋。これが正式名称ですが、原岡という場所にあるので原岡桟橋とも呼ばれています。東京湾の東岸、内房から湾に向かってまっすぐに伸びて行きます。「富士見の丘」という愛称がつけられているとおり、天気がよくて空気が澄んでいる日には桟橋の向こうに富士山が見えますが、この日は温かく向こうがかすんでいて見ることはできませんでした。

夏は原岡海水浴場として賑わう砂浜も今はひっそり。でも桟橋は多くの人で賑わっています。

なだらかな砂浜の中、湾に向かって伸びる細い桟橋。大正時代に造られ、当時はここで魚の水揚げが行われていたそうです。今はほかに港ができたためその役割を終えたのですが、壊されず今日まで残されています。その景色が人の心を揺さぶるのか口コミで情報が広がり、人が集まるちょっとした観光地になっています。

それでは桟橋の向こうまで歩いていきましょう。手前は簀子のような木造。

途中からコンクリート造に変わります。桟橋の南側には簡易の電柱と電線が備え付けられており、夜は桟橋を照らします。桟橋を渡る人のためというより、ここを渡る船に対して注意を促すためにあるのでしょう。

木造の電柱に錆びた笠に電球。
どれも昭和の香りがします。

桟橋の先端までやってきました。ここは東京湾。船の数も多く大小さまざまな船が湾の中に入っていくのを見ることができます。

東京湾を航る船を眺めます。
向こうに幽かに対岸、三浦半島を望むことができました。

空には羽田に向かう飛行機の姿も。

桟橋先端到達の記念写真。

実は、岡本桟橋が人を惹きつけるもう一つの魅力が夕日。ここから望む東京湾に沈む夕日が絶景なのだそうですが、私がここを訪ねたのはAM9:00。夕日にはまだ時間があるためこの日は断念します。次にまたここを訪ねる理由ができたということでよしとしましょう。

桟橋のほかに何かあるというわけではありません。でも地元の方だけではなく、なんでもない風景を楽しみにひとが集まります。なにもないけど懐かしさがある。そんな風景です。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2024年10月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。