「高市早苗さんは応援したいが、石破自民党だけは絶対に許せない」とか言って、高市さんの応援団だった人たちが、比例で自民党に入れずに日本保守党などに入れろとか、小選挙区でも総裁選で高市に入れなかった候補者には投票するなとかネットで暴れまくって自民党苦戦の原因になっている。
総選挙の結果が自民党に悪ければ40日抗争のようになり、高市総裁実現とか言っている人もいるが、40日抗争のあと原因をつくった福田赳夫を総理にと言う人はいなくなり、清和会は小泉政権誕生まで長い低迷期を迎えた。
まして、もし石破退陣ということになったら、次の総裁選挙は議員だけの投票で決まるから日本保守党と二股かけているような人たちは何の力にもならない。高市氏にチャンスがあるのは、総選挙の逆転勝利のために石破氏に手を差し伸べて自民党が勝つとか、石破氏が和解を拒否して責めを問われるケースだ。
この支持者たちの暴走にあわてた高市氏は、Xで「先月の自民党総裁選で私以外の候補者を応援しておられた自民党公認候補者に対して「投票しない」と仰る方が居られるという話が数件。今、私達が戦っている衆議院選挙は、政権選択選挙です。私も含めて自民党の候補者達は、自民党への様々なご批判も全員で受け止めながら、これからも日本国の舵取りをお任せいただけるよう、1人でも多くの当選を目指して頑張っている最中です。議席を減らして野党になってしまうと、私が訴えてきた政策を議員立法で実現する事も困難になります」と訴えるはめになった。
なかなかニュースも含めてネット情報をチェックする余裕も無いスケジュールで全国遊説を続けていますが、昨日、辛い話を聞きました。
先月の自民党総裁選で私以外の候補者を応援しておられた自民党公認候補者に対して「投票しない」と仰る方が居られるという話が数件。…
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) October 18, 2024
そこで、あらためて今回の状況を招いた責任は誰にあるのか考えみたい。
まず、自民党の支持者を増やすようになるはずが逆目になったのは、総裁選挙の制度が九人もの候補者が出ることを予定していなかったことだ。このために、9人のなかでもいちばん右寄りの高市氏と左寄りの石破氏という議員たちの支持がほとんどない2人の候補者だけが決選投票に残ってしまったことだ。
これではどちらが当選しても融和は難しい。また、必然的にどちらが勝ってももともとの極端な政策を支持している議員はごくわずかなのだから、「変節」せざるを得ない。
石破氏が変節したと批判されているが、もとの奇抜な政策などは最終投票で石破氏に投票した議員のごくわずかしか支持していなかったのだから、「変節」するのは不適切でもなんでもない。これは高市氏が当選していても同じことだ。
しかし、そんな難しい説明を国民は理解しないからおかしくなった。
次に、高市氏が敗戦を素直に受け入れ、総選挙を前に石破総裁を先頭に一緒に戦おうという姿勢でなかったのは間違っていた。今回の総裁選挙は正々堂々たるもので、結果に疑義を呈するような要素は何もなかった。まして、すぐに総選挙なのだから、党内野党の色を明確にするのは間違っている。
しかし、高市氏は幹事長以外は受けないとかいって総務会長の椅子を蹴った。だが、次点の候補者を幹事長にするなどという習慣などないのだから、これはおかしい。正しくは、総務会長を受ける代わりに公平で党内融和を実現する人事を条件にすべきだった。
そして、この総務会長を蹴ったことは、石破首相に人事について白紙委任状を渡すことになったのだが、石破氏はしめたとばかりに、清和会からの入閣ゼロとか、村上誠一郎総務相など、安倍体制での冷や飯組を集めて、また、能力的にも問題で、人気も出そうもないおんぼろ内閣にしてしまった。
高市氏も石破氏も人事に強い訳でないので、側近たちに押されてしまったというべきだ。
さらに、石破氏はいわゆる裏金議員を排除した。私は数人の非公認、10人ほどの重複名簿からの排除がほどよかったと思うが、あまりにも範囲が広かった。この結果、裏金議員排除で入る票よりも、自分が比例名簿にのっていないがゆえに背を向ける議員やその支持者が多くなった。
また、比例で自民に投票するのが嫌だったら、公明に流れるように細工すれば、与党としては痛くないし、小選挙区での公明の協力も得やすいのにそれもせず、日本保守党など野党に流れた。
今すべきは、石破・高市両氏が和解を演出し、一緒に自民党への投票を訴えることだ。どうせ、総選挙で3人ほどの閣僚が落選しそうだからポストもあく。そこに高市寄りの閣僚を入れるとか、村上誠一郎を更迭もできまいが、軽いポストに移動させるくらいすればいい。高市氏には、副総理を提案し職掌は希望にまかしてもいい。私は関西での体制強化のためにも万博担当はぜひして欲しい。
比例名簿に載せない措置は変えられないが、石破氏が積極的に応援に入ることを約束するくらいはできる。また、高市氏は公明党の応援にも入るべきだ。高市氏自身は連立相手の公明党に失礼な発言などしていないが、応援団にはひどい発言もあり、それを放置したのは失敗だった。
問題はこうした根回しを誰がするかだが、私は元総裁たちに加え、公明党の歴代党首などが主導権をとったらどうかと思っている。
それから、日本保守党は野党である。友好政党でも何でもない。保守党の近畿比例のトップの候補者は、立候補など最初から決まっていただろうが、高市氏支持の中心のひとりになり、高市氏を支持しない議員の落選運動までしていた。さらにいえば、総裁選以前から意見の合わない自民党議員の落選運動をしていた。
これは普通に考えればトロイの木馬というか、スパイチックな工作活動だ。
【衆院選関連記事】
- 玉木・国民民主党は連立入りでなく非自民首相をめざせ
- 民主党政権復活を警戒しない保守派の不思議
- 石破・高市が並んで自民への投票を呼びかけすべき
- 与党不振の戦犯は石破氏?高市氏?:選挙後の政局を占う
- 高市は夫を応援?足立康史は公明・国重にエール、松井一郎は萩生田を応援
- 賢い比例の投票先はこうして選べ:保守党と参政党は?
- 皇位継承:国民の分断を回避するために投票すべき党は?
- 世論調査は萩生田劣勢で緊迫:清和会幹部の当落
- 関西での公明・維新激突で勝っても維新に得はない
- 田中角栄以来の政治腐敗を引きずる新潟4区の大混乱は日本政治の縮図