2025年12月9日発売の私の最新書籍である世界のニュースを日本人は何も知らない7』でも海外でのコンテンツの話を取り上げていますが、コンテンツの話は日本人が知らない海外での日本人気を知るうえで非常に重要です。

日本の方たちがあまり知らないこととして、日本の特撮が海外に輸出されてきたことで及ぼした影響と言うものがあります。
実は日本の特撮作品はかなり前から海外に輸出されており、アメリカを中心に大きな人気作品になっています。
その中でも重要なのがスーパー戦隊シリーズです。テレビ朝日系列の作品で、これは海外でも放映されていると言うことをご存知の方も多いと思いますが、海外では「パワーレンジャー」として知られています。
今の40代後半以下は「パワーレンジャー」を当たり前のものとして知っていて、子供時代に必ず体験するようなコンテンツです。おもちゃ屋さんでも「パワーレンジャー」のおもちゃは人気があるものの1つです。

Power Rangers 公式サイトより
放送が始まったのは1993年で最初はアメリカで放送されていたのですが、徐々に他の国でも放送されるようになっています。
制作の関係で人間が登場する俳優の部分はアメリカやニュージーランドなどの俳優に置き換え、戦闘シーンなどは日本のものをそのまま使うので、日本の作品だと知らない人の方が多いのです。
それまで海外の子供向けの作品には実写版の作品というのがほとんどなく、特にスーパーヒーローが登場するものはなかったので大人気になりました。一部の保護者やPTAは暴力的すぎると言うことで問題視していたこともあったのですが、子供は面白いものが好きなのでそのまま放送されてきました。
驚くべきことに日本と同じように海外の子供たちは、日本で制作されたモンスターの造形にも大喜びでした。人気が爆発した1990年代には大量のおもちゃが販売され、ハロウィンではパワーレンジャーのコスチュームが当たり前になり、映画版も作成されます。
今でもパワーレンジャーのコスチュームはもはや子供が好む仮装の1つで、当時の作品を見て育った人たちが親になっているので、子供たちにパワーレンジャーのコスチュームを買い与えます。
はっきり言って日本よりも海外の方がこの戦隊モノに対する熱量は高く、いまだに人気があると言うことがいえます。これはイギリスでも同じです。
戦隊シリーズが海外の文化に及ぼした影響と言うのは実は予想以上に大きいのです。
まず悪の組織と戦う人が1人ではなくグループであると言うことです。これは個人主義の他の先進国ではあまりないことでした。集団になって協力して戦うわけです。
他のスーパーヒーローだと従来はヒーロー1人が戦うと言うスタイルが当たり前でした。みんなで一緒になって仕事をすると言う非常に日本的な価値観が存在しているわけですが、それが他の国にも広がったのです。
子供時代に触れるコンテンツと言うのは馬鹿にできません。子供の潜在意識にそれが当たり前として染み込みますから、グループワークをみんなでやったほうがいいと言う感覚になるのです。
その次に日本の人が意外と知らないのが、戦隊モノシリーズでは歌舞伎の名乗りのシーンを取り入れていますが、あれは海外には存在しないものでした。
しかし所有をはっきりして名前を名乗ると言うのは騎士道に通じるところがあり、海外のコンテンツにも時折登場するようになっています。決めのポーズを取るところも意外と影響を及ぼしています。さらに特撮作品に登場する女性選手も他の国の人たちからすると驚くべきことだったのです。
なぜなら女性が戦士として怪獣や悪の者たちとじゃんじゃん戦っていたからです。しかもその戦闘スタイルは中国の武術とも全く違います。
西洋的な行動様式にファッションを身に付けた女性メンバーがガンガン戦うと言うのは非常に衝撃的なことだったのです。今ではスーパー戦隊シリーズがアメリカを中心に輸出されたことにより、ヒーロー物における女性戦士のスタイルと言うのはもはや当たり前のものになっています。
日本の特撮作品が大量に流されるまでは、他の国では戦う女性キャラが存在はしたものの、スーパーガールやワンダーウーマンのようにあくまでちょっと亜流なものと言う扱いだったのです。
女性キャラと言うのはスパイダーマンに登場するMJのようにあくまで無力な近所の女の子という感じでした。
そして近代RPGの元になった「ロード・オブ・ザリング」には女性キャラはほとんど登場しません。あれは完全に男だけの世界です。
そういう中で日本の戦隊モノを目にした子供たちは非常に驚いたわけです。自分たちが育った世界とは全く違う世界観があり、女性でも現役の精子としてガンガン戦ってしまうと言う驚き。しかもそれがかっこいいのです。
しかも悪の組織にも女性幹部がいたりする。これも他の国のコンテンツだとあまりないことでした。
戦隊物があるだけ大ヒットして今では子供向けコンテンツの定番となっていることは世界に日本的な価値観を広めたと言う点で非常に重要なことなのです。
そして2026年もなんと戦隊モノは大人気で、アメリカではDisney+でパワーレンジャーの新作が制作されます。子供向け番組がテレビから消えまくり、戦隊モノもかつてよりすっかり縮小してしまった日本ですが、海外では日本の文化が生き残り、「形式」として脈々と伝承されているのです。
【参照リンク】Disney+のパワーレンジャーがフランチャイズを復活させる レンジャーが戻ってくるのは、完全なリセットのためだ SCREEN RANT
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世界のニュースを日本人は何も知らない7 フェイクだらけの時代に揺らぐ常識









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