ドバイがイランからの攻撃を受けていることが衝撃をもって迎えられていますが、イギリス人を含む国際的なインフルエンサーはドバイを「地球上で最も安全な場所」だと発信してきました。

2025年12月9日発売の私の最新書籍である『世界のニュースを日本人は何も知らない7』でもシリーズで日本と海外の人々の特定地域に対する認識の違いを取り上げていますが、ドバイに関する感覚がまさにその典型例です。

イギリス人を含む国際的なインフルエンサーもドバイを「地球上で最も安全な場所」だと発信してきました。
ドバイを中心としてアブダビやバーレーンなども含んだ中東湾岸地域のおしゃれで豊かな生活を動画やSNSで発信して大人気だったのです。
ここ10年ぐらいは中東湾岸地域に引っ越してラグジュアリーな生活を発信するのが最新トレンドでした。特に女性のインフルエンサーに大人気で、インスタには大量の動画や写真が上がっています。
そして特にUAEはこれまで国家ブランド強化のためインフルエンサーの移住を歓迎してきました。
例えばドバイには「ゴールデンビザ」というクリエイターやインフルエンサーが利用できる長期滞在ビザがあります。
これは投資家や起業家、クリエイティブ系、専門職の人、優秀な学生、人道支援などに携わる外国人に対して出る5年または10年のビザで、UAEで生活・就労・学習が可能です。
家族を扶養する能力があり、投資額や実績が証明できればビザのスポンサーが必要ありません。クリエイターやインフルエンサー、メディア関係者が滞在しやすい仕組みになっていました。
UAE首脳もコンテンツ産業を国家戦略の一部として重要な戦略として力を入れてきました。
2025年には「10億フォロワーズ・サミット(1 Billion Followers Summit)」を開催。Snapchat、X、YouTube、TikTok、LinkedIn、そしてMeta(Facebook、Instagram、WhatsAppを含む)など主要プラットフォームが一堂に会したイベントであり、なんと15,000人以上のコンテンツクリエイターと420人以上のスピーカーが参加しています。
このサミットではコンテンツの審査も行われましたが、ビジネスマッチングの機能もあり、コンテンツクリエイターを支援するために、総額5,000万AED(約21億円)、10以上の投資ファンドが集まりました。さらに、サミットでは世界40か国にわたる500社以上のスタートアップから支援要請を集めました。
さらにこのサミットではコンテンツの大会も実施され、賞金総額が100万ドル(約1億5千万円)と巨額です。
またUAEはコンテンツクリエイターを支援するため、年間を通じて支援を提供するインフルエンサー本部を設置するため、1億5,000万AED(約65億円)の基金を提供し、コンテンツクリエイター育成のために「Social Media Professional」も実施されています。
このイベントでは副大統領であり首相、ドバイ首長のシェイク・モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム閣下が、UAEはこの分野の「ハブであり、目的地であり続ける」と述べており、政府レベルでインフルエンサーを重要視してきたのです。
【参照リンク】モハメッド・ビン・ラシード・ドバイ首長:コンテンツ制作は意識向上、文化、人間開発の鍵となる Emirates News

さらに2025年には、ドバイでCreators HQが立ち上げられました。UAE国営通信WAMによれば、この拠点は世界のクリエイターと業界関係者を集め、UAEをデジタルメディアの主要拠点にすることが目的です。公式発表では今後1万人のインフルエンサー誘致を目指すと明言されていました。この制度ではゴールデンビザ申請支援、移住支援、会社設立支援まで提供するとされています。
2025年8月時点でCreators HQは147か国から2,415人の会員を集め、78社がUAEへ移転しています。
一方で、UAEのインフルエンサーは自由に発信できるわけでもありません。そこは国家戦略なのである程度の制限があります。UAE Media Councilによれば、SNSで広告・宣伝活動を行う個人には「広告許可(Advertiser Permit)」が必要で、報酬の有無にかかわらず対象になります。

許可の申請者は、適切な行為を有し、有罪判決を受けていないことが求められます。さらに、掲載する広告コンテンツは、メディアコンテンツ基準に準拠しなければなりません。またUAEのメディア評議会が主催する、関連法令・規則・決定および適用される条件・管理に関する認識と遵守のための研修プログラムの修了が必須条件です。
【参照リンク】個人がソーシャルメディアおよびその他のデジタルプラットフォーム上で広告またはメディアコンテンツを提供するための許可 アラブ首長国連邦
つまりUAEは、インフルエンサーを呼び込む一方で、その活動を明確に許認可の下に置いています。2026年からはこの規制運用がさらに強まっています。
日本も有事のリスクが高まり経済を活性化しなければなりませんが、UAEのこのようなコンテンツ戦略、インフルエンサー誘致からは多くに学ぶところがあるでしょう。
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