南十字星が見える沖ノ鳥島と排他的経済水域(EEZ)

拙著『誤解だらけの沖縄と領土問題(増補改訂版)』(清談社)では、沖縄、尖閣、竹島、北方領土だけでなく、「排他的経済水域(EEZ)」の島々なども取り上げている。この本では、日本の言い分だけでなく、外国政府の言い分もしっかり紹介する方針だが、沖ノ鳥島についても同様だ。正直なところ、世界の誰しもが認める「排他的経済水域(EEZ)」をなす島とはいえない。

南鳥島が支える日本の広大なEEZ

小笠原からさらに南の絶海の孤島、南鳥島は日本最東端である。高潮時でも水没しない完全な島なので、EEZとして問題はないと思う。

南鳥島 Wikipediaより

択捉島よりも東にある。最近、レアアースを周辺海域で採取できそうだと話題になっているが、気象も荒く、遠隔地で経済性の高い採掘を行うのは簡単ではない。長い目で開発を追求したいところだ。

日本最南端である沖ノ鳥島については、1994年に発効した国連海洋法条約で、沿岸から200海里の「排他的経済水域(EEZ)」が認められた。

国境離島の位置 東京都総務局HPより

これは、フランス、米国、オーストラリア、ロシア、英国、インドネシア、カナダに次ぐ8位で、ニュージーランドと中国までがベスト10に入る。

自由航行は認めなければならないが、経済的には領海に準じた扱いができる。これで、日本は国土面積の12倍ものEEZを獲得することになったが、小笠原諸島の貢献が大きかったことはいうまでもない。

沖ノ鳥島は「島」か「岩」か

そんな中、2004年に中国政府は、日本最南端の沖ノ鳥島は200海里のEEZが認められる「島」ではなく、12海里の効力しかない「岩」だと言い出した。今さらの主張だが、太平洋の覇権をめぐる日中米の厳しい戦いが、こんな形で表面化しているわけだ。もっとも、中国といえども日本の領土であることは否定していない。

沖ノ鳥島 Wikipediaより

沖ノ鳥島は日本最南端で、唯一の熱帯地方であり、地平線すれすれではあるが、南十字星も見ることができる。

日本は、1994年に発効した国連海洋法条約でいう、沿岸から200海里の「排他的経済水域(EEZ)」に当たるとしているが、2004年に中国政府が、200海里のEEZが認められる「島」ではなく、12海里の効力しかない「岩」だと言い出したことは第 章で紹介した。これが太平洋をめぐる覇権争いの中で注目されているので、補足しておく。

日本は、沖ノ鳥島が自然形成の陸地である「島」だとし、防護工事は既存の島を維持する措置で、EEZは約40万km²に及ぶとしている。また、観測施設や港湾的機能などを整備し、「経済生活の可能性」を補強している。

それに対して中国は、沖ノ鳥島は高潮時にほぼ水没する岩であり、人間の居住・経済活動は自然状態では不可能で、人工構造物で「島」にすることはできないとしている。

国際法上の類似例と仲裁判断

この解釈の違いについては、国連海洋法条約が詳細まで定めていないため、確定的な解釈はない。ただ、同じ太平洋にあるフランス領のクリッパートン島は沖ノ鳥島に似ており、島であるとするフランスの主張に異議は出ていないため、日本に有利な類似例だ。

それに対して、あまり似てはいないが、北大西洋のロッコール島(英国)は「岩」だと認識されている。

また、2016年にオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、南シナ海の南沙諸島に存在するリーフをめぐる中国の主張や活動について、フィリピンが行った15の申し立てに関して下した判断の中では、高潮時地物は、法的には排他的経済水域または大陸棚を発生させない「岩」であるとしている。中国はこの裁定を認めていないが、沖ノ鳥島に似た例といえるかどうかは微妙なところだ。

日本の管理実績と残された課題

いずれにせよ、国連海洋法条約が発効して以来、日本が管理しているので、有利な立場にある。また、中国には南沙諸島についての主張との整合性という弱みもあるが、安心はできない。


誤解だらけの沖縄と領土問題(増補改訂版)(清談社)

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