今回の菅首相による浜岡原発「停止要請」に対し中部電力はどう対応すべきか?
結論から言えば、うやむやにするのが一番良いと思う。原発の停止と言う事でインパクトはそれなりに大きかったが、一皮剥けば所詮いつもの菅首相の思い付きに過ぎず、議論するだけ時間の無駄と言うのが私の基本的な考えである。
昨日の東大、玉井克哉教授の呟きが笑える。
予想: 「保安院さんは、ついこないだ『適切な対策だ』と言っておられたではないか。文科省の地震予測は前々からあるわけで、それを根拠になぜ言うことが変わるのか。私どもは公共企業としてコンプライアンスに万全を期しており、ちょっと検討に時間がかかる。お待ちいただきたい」といって、数ヶ月。
尤も菅政権がこの先数ヶ月持つとは全く想像しないが。。。。
それでは何故菅首相はかかる命取りとなる妄言を吐くに至ったのかである。
飽く迄個人的な推測であるが、根底にあるのは、現政権のどうしようもない行き詰まりではないか。特例公債法の与野党間協議が暗礁に乗り上げ、予算は通したものの財源が確保出来ていない。これでは、予算は絵に描いた餅に過ぎない。今月、来月はやりくりが付くとしても7月以降は歳入欠陥が顕在化し現政権は間違いなく機能不全となる。
次に、今後現政権の欺瞞の中身が、今後白日の下に晒される事である。国会で集中砲火を浴び政権の炎上は確実である。
局面打開には支持率を上げるしか方策はない。市民運動家上がりの首相が飛びついたのは、先の統一地方選挙で効果抜群であった、脱原発であったと思う。
国民の間に漠然と蔓延する原発への不安を中途半端に解消して見せる事で、国民に対し政治主導、ひいては、菅首相のリーダーシップを印象付け、政権の延命を図ると言う恐ろしく単純で下品な筋書きである。
かかる発言を批判すべきが本来のマスコミの使命であるが、ネットの発達により、国民がクラスター化してしまい、何とかチャンスがあれば一時的にでもマスを作り商売に繋げたくてうずうずしている所にこの話である。渡りに船とマスコミが飛びつくのは当然であろう。ジャーナリズムの死を意識するのはこういう時である。
繰り返しになるが、中部電力は菅首相の浜岡原発「停止要請」の如き妄言を真面に検討する必要はなく、うやむやにするべきである。
中部電力がなすべき事は、地域に電力を安定供給し続け、製造業や住民に停電の心配をかけない事である。
今一つは、余剰電力を出来る限り東京電力に送電し東京電力を支援し続ける事である。
昨日の記事で説明した通り、原油価格の下落効果もあり、こういう地味な努力を続ければ日本経済は必ず回復する。
日本経済には年間12兆円程度の所得収支黒字がある。これは当然の事ながら震災の影響を受けない。
「3月貿易統計」で貿易収支は前年同期比で▲78.9%!という悲観ムード一色であったが、それでも1965億円の黒字である。
海外における日本製品への需要はなおも健在であり、国内のサプライチェーン問題さえ解決すれば、輸出は正常化し、貿易収支も元に戻る筈である。
これに加えて既に説明した、原油価格低下による効果が期待可能である。
東北大震災で経済破綻を覚悟したが、〆て見れば経常収支が対GDP比+4%と言うミラクルもあり得るのではないだろうか?そうなれば、世界は腰を抜かし驚く事であろう。
中部電力の経営陣にはこの際、自分達の今後の判断が結果日本経済の将来を決める事になると言う冷徹な事実を理解して欲しい。