ポール・マッカートニー来日で考えた「着座ロック」のススメ

東京ドームでポール・マッカートニーの来日公演を見た。彼の来日公演に行くのはこれで4回目。2013年、2015年、2017年に見ている。ポールに限らず、外タレの大御所の来日公演は「集金ツアー」「これで最後かも詐欺」などと揶揄されるが、観たいのだからしょうがない。

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当日券も出ていたし、2015年のように見切れ席の販売などはなかったものの、超満員と言ってよい入りだろう。高齢者多めだなと感じたものの、老若男女が集まっており。

いつもは30分くらい押して始まるのだが、この日は15分押しですんだ。早めにきていてよかった。

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昨年同様、THE BEATLESの”A Hard days night”から始まったライブは、新譜からのナンバーも盛り込みつつ、グレイテスト・ヒッツ的な内容。新曲が効果的に取り入れられており、ライブもメリハリがある感じ。WINGSのナンバーももちろん炸裂。ウクレレアレンジの「Something」のあと、「Ob-La-Di, Ob-La-Da」「Band on the Run」「Back in the U.S.S.R.」「Let It Be」「Live and Let Die」「Hey Jude」と畳み掛けて本編終了。「Live and Let Die」の火薬は、過去最高だったのではないだろうか。大炎上という感じだった。

アンコールではハロウィンのコスプレかつ国旗を持ってポールたちは再登場。この茶目っ気がかわいらしい。「Yesterday」「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)「Helter Skelter」と惜しげもなくTHE BEATLESの代表曲であり、ポールのライブでよく紹介される曲が炸裂。最後は「Golden Slumbers」「Carry That Weight」「The End」のメドレー。

36曲、2時間半というライブだったのだが、これまで観た中で、もっともあっという間に感じた。それだけ内容が濃かったのだろう。

写真は「Hey Jude」に合わせて、携帯のライトを揺らすの図。今回も一体感があった。

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ブルゾンにデニムのポールは、正直、昨年より歳をとったと感じたのだが。あと何回観られるのだろうか。

それはそうと、別な意味で感心したのが、観客の作法だ。2階席(実質3階席)の2列目で観たのだが、みんな座っていた。これぞ高齢者が増える社会でのライブのあり方ではないだろうか。最近はメタルのライブでも、ライブハウスに席が置かれ、ボーカルが「辛かったら座ってください」「立っているの辛いですよね」と気を遣う場面もみられた。これぞ成熟化社会のロックではないか。

座って誰もが楽しめるポール・マッカートニー。彼は稀代のメロディーメーカーであり、エンターテイナーだ。

いまだに前の方でモッシュ、ダイブなどするライブにも行くのだが、このような着座ロックが広がってこそ、ロックは高齢社会の文化として存続するのではないか。「着座ロック」を広げよう。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。