前回の記事(「国政政党は文通費関連法改正への考え方を示すべき」)では、文通費の法改正に臨むスタンスについて確認するため、8つの国政政党にアンケートをとりました。
回答期限である2月28日までに、国民民主党と日本共産党からご回答をいただきました。
国会会期中、ご回答ありがとうございました。
文通費アンケート結果:国民民主党
文通費アンケート結果:日本共産党
その他の政党からはお返事をいただけませんでした。
無回答の政党名を、順不同でお知らせします。
自由民主党(無回答)
立憲民主党(無回答)
公明党(無回答)
日本維新の会(無回答)
れいわ新選組(無回答)
社会民主党(無回答)
今回のアンケートの狙いは、国政政治家の「用途を問わない非課税の個人収入」たる「月額100万円の文通費」について、特に以下の4点について党のスタンスを聞き、横串をさして政党別の考え方を比較する、というものでした。
① 使途の制限
② 使途の公開
③ 日割り支給
④ 未使用分の国庫返納
上記4点の中で、私がとりわけ重要だ、と思うのは「② 使途の公開」です。これは、絶対にやらなければならない。
私が政治家の「不透明な金の用途」に関する説明責任にこだわるか、というと、その点こそが「民主主義の根幹」だからです。
飛躍のように聞こえるかもしれませんが
- 国民に選ばれ国政を預かる政治家が
- 国民から「分配方法の決定権限」を預けられた税金を
- 説明をないがしろにし、自分たちが「好き勝手に使える」状態を温存しよう
とする振る舞いは
- 国民から「行使の権限」を預けられた武力=国軍を
- 説明をないがしろにし「好き勝手にウクライナに展開し」侵略戦争を開始した
プーチンのそれと、本質的には何ら変わらないからです。
民主主義の根幹は、国民への説明責任を果たし、国民の納得、共感という礎を築きながら政治を進めることです。その意味で、特に権力の源泉である「税金」の用途については、「公開」こそが第一歩、最優先事項です。そこをないがしろにする政党には、私たちは「投票しない」という絶対的な拒否権をもって選挙に臨むべきだと考えます。
逆説的に言えば、これまで私が展開してきた理屈は、間違っているかもしれません。つまり、この問題についてすら「絶対善」はない。
だからこそ、地方とはいえ民主主義政体の政治家である私が、「なぜ公開が重要なのか」を「説明」し、共感を得ようとしている。
この問題を、当初「日割り支給」という議論に閉じ込め、「使途公開」に関する議論を先送りしようとしていた自由民主党と公明党は、その意味で非常に「不可解な姿勢」に、私の目には映りました。
下段にあるとおり、自公を含む主要政党が、先月から2週間おきに「文通費の法改正に関する協議」を開始したようです。その会合に参加されている政党各位におかれましては、そこでの議論のプロセスを、「わかりやすく」、「丁寧に」公開していただきたいと強く思います。
党の公式サイトや報道で知る限りの現状
この「文通費」の法改正の経過について、党の公式サイトや報道から「だいたいこんな感じ」というところをまとめてみました。
2021年11月10日
日本維新の会の新人議員が、初登院の際、10月31日の1日分の文通費が「1ヶ月分の全額100万円」で支払われていることに違和感を覚え指摘。大きな問題となる。
2021年11月18日
自由民主党と立憲民主党が、「1日分の文通費が100万円」というような問題が発生しないよう、「文通費の日割り支給」の法改正を行うことで合意。
2021年11月25日
日本維新の会の代表が、12月召集の臨時国会で、文通費見直しに関し「先の4点」を盛り込んだ独自法案を衆院へ提出する方針を示す。
2021年12月3日
自由民主党、日本維新の会、立憲民主党の国対委員長会談にて、「文通費の日割り支給」を先行して法制化したい自由民主党と、「使途公開も併せて法制化すべき」とする日本維新の会、立憲民主党との間で折り合いがつかず、臨時国会での成立見送り。
2021年12月6日
日本維新の会と国民民主党は、「先の4点」を盛り込んだ法案を、衆議院に共同提出。
2021年12月7日
立憲民主党は、「先の4点」を盛り込んだ法案を、衆議院に単独提出。
2021年12月8日
日本維新の会と国民民主党は、立憲民主党の法案に賛同し、6日提出の共同法案を取り下げ、立憲民主党案に一本化。
日本維新の会は、文通費に係る収支報告書と領収書を、党のホームページで公開を開始。国民民主党は、独自ルールを作り翌年から公開を開始する準備をすすめる。他方、法案を提出した立憲民主党は「各党がバラバラのルールで公開しても比較できない」とし、非公開を続ける。
2022年1月6日
自由民主党と立憲民主党の両国会対策委員長が国会内で会談し、「文通費」について与野党で協議する会議体を設置することで合意。2週間ごとに開催。
当会議体の参加政党は、自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、日本共産党。
この、「2週間おきの会議体」の協議内容が、私には探しきれませんでした。この会議体での議論が、この法改正を実りあるものにできるかどうかの天王山です。
会議体での議論は重要ですが、国政政治家の皆さまにはぜひ「議論の経過を国民に説明する」ことにも取り組んで頂きたいと思います。