不法滞在を許容してはいけない本当の理由を日本人は何も知らない

谷本 真由美

私の最新書籍である「世界のニュースを日本人は何も知らない4 – 前代未聞の事態に揺らぐ価値観」でも指摘しましたが、日本では最近入国管理法が改定されたこともあり、外国人が日本に住むことに対して興味を持っておられる方が大勢います。

その中には不法滞在者への対応も含まれています。

やさしい猫 NHK HPより

最近日本ではNHKが放送するテレビドラマ「やさしい猫」といった作品で、不法滞在になってしまった外国人に対して、本人の責任ではなく外部要因的なことが重なって、不法滞在になってしまう人もいるのだから、寛容な見方をするべきだという視点を提供するものもあります。

日本に滞在している外国人の大半は合法に入国許可を取得した人々です。合法に滞在することが当たり前なんですよね。

在留外国人数は300万人ですが不法滞在の人は7万人。だいたい2%程度で、98%の外国人は合法な資格を持って日本に滞在しています。

以下は法務省の発表データです。

令和4年末の在留外国人数は307万5,213人(前年末比31万4,578人、11.4%増加)で、過去最高を更新。初めて300万人を超える。

令和4年末現在における在留外国人数について 出入国在留管理庁

令和5年1月1日現在の本邦における不法残留者数は、7万491人
令和4年1月1日現在に比べ、3,732人(5.6%)増加

本邦における不法残留者数について(令和5年1月1日現在) 出入国在留管理庁

上位10か国・地域について、令和4年1月1日現在と比べ、ベトナムが韓国に代わって第1位に、スリランカがマレーシアに代わって第8位に、カンボジアがインドに代わって第10位になりました。

また、令和4年1月1日現在と比べ、上位10か国・地域のうち、ベトナム、タイ、スリランカ及びカンボジアで増加しました。

(1) ベトナム 13,708人 (+6,560人)
(2) 韓国 10,508人 (-1,123人)
(3) タイ 9,549人 (+1,766人)
(4) 中国 6,782人 (-934人)
(5) フィリピン 4,662人 (-486人)
(6) インドネシア 3,185人 (-265人)
(7) 台湾 2,873人 (-446人)
(8) スリランカ 1,595人 (+279人)
(9) マレーシア 1,474人 (-219人)
(10) カンボジア 1,185人 (+694人)

本邦における不法残留者数について(令和5年1月1日現在) 出入国在留管理庁

私のように海外生活が長く、海外でかなり複雑かつ費用が大変高い滞在許可を取得しているような日本人だけではなく、日本に住んで合法な資格を持って滞在している外国人の方も不法滞在に関しては実は大変厳しい意見を持っています。

その理由は個人的な状況云々よりも、不法滞在だと様々な保証がない、保険が使えないという点です。

例えば、その最も代表的なものの一つが自動車の運転に関することです。

不法滞在の外国人が車を運転して事故を起こした場合、どうなるかご存知ない方が多いのではないでしょうか?

そもそも不法滞在ということは、市役所で住民登録ができません。住民票がないわけです。不法滞在者は政府から合法な滞在許可をもらっていないので、日本には「いないこと」になっています。

住民登録がありませんから当然運転免許証の取得や更新もできないわけです。そうなると無免許で自動車を運転してしまう人がいるということです。

さらに自賠責保険も任意保険にも入ってない。というか入れません。公式な登録住所も、合法な滞在を証明する身分証明もないからです。つまり無保険で自動車を運転してしまうことがあるわけです。

特に任意保険なしで運転で事故を起こした場合、被害者は相手が日本人でさえも泣き寝入りだらけです!

自分が車やバイクで自分の保険の特約で救済される場合はありますが、歩いていたり自転車だったり、自分の保険に特約がないなら、死んだり障害の場合、保証なしです。

これは私の身内の事故で体験しています。

さらに交通事故の賠償、相手が保険なしの場合で金も仕事もないと、本当に何も取れません。相手がお金も不動産もないからです。

つまりこれが滞在許可すらない不法滞在の外国人の場合、想像するまでもないでしょう。

その上、日本とは引き渡し条約(犯罪を行った外国人の罪を裁くために引き渡しを要求できるという国同士の決まり)がない国もかなりありますので、悪質な交通事故を起こした外国人が逃げてしまい、追いかけることができないこともあります。

だから、不法滞在や滞在許可の期限が切れてもそのまま日本に滞在してしまうオーバーステイは許されてはならないのです。

住民登録も保険もない人が運転してしまう。これは本当に人命を危険に晒します。

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