トランプ氏が選挙運動中に暗殺未遂にあうという大変な事件が起きましたが、この件ではアメリカと日本のマスコミや論壇、政治家のちがいが明らかです。
例えばアメリカの場合は、トランプ氏の暗殺未遂をジョークにしたり死を願うようなことを言ったりした人々は、たいへん大きな批判にさらされています。
これは有名人だけではなく、企業に勤務する一般の人や公務員でも同じです。例えばデラウェア郡の消防署所長の男性は「弾丸がもう少しずれてればよかった」とFacebookに投稿したあとに辞任しています。
参照:デラウェア郡消防署長、トランプ大統領暗殺未遂事件に関する物議を醸したフェイスブック投稿で辞任 6abc Action News
有名人もこの暗殺未遂に関しては犠牲者もいたことからお悔やみの言葉を出す人が多く、普段からトランプ氏に敵対していても死を願うようなことを言っていた人は批判されています。
例えば民主党の資金集めパーティーに登場し、トランプ元大統領を公の場で批判してきたコメディアンのジャック・ブラックは、自身のバンドであるTenacious Dのコンサートで、バンドメンバーが暗殺未遂をジョークにしたことは不適切だった、ヘイトスピーチだとして、ツアーをすべてキャンセルしています。
普段からトランプ元大統領と敵対的な人であっても倫理的に許されないような発言はするべきではないという線引きをしているのです。
参照:ジャック・ブラックのテネイシャス・Dがツアーをキャンセル バンドメイトがステージ上でトランプ暗殺未遂についてジョークを飛ばす Forbes
バイデン大統領も事件後の最初のインタビューで、暗殺未遂事件前に「トランプに命中(bullseye)させる時が来た!」と発言したのは大きな間違いだったと謝罪しているのです。また暗殺未遂事件直後にはトランプ元大統領に電話をして、ご本人とご家族の安全を祈っています。
参照:バイデン大統領、トランプ氏への「トランプに命中(bullseye)させる時が来た!」発言は間違いだったと認める BBC
私の新作書籍『世界のニュースを日本人は何も知らない5』でも解説していますが、北米や欧州と日本では、倫理的に許される・許されない発言の線引きがかなり違います。
日本では安倍晋三元首相が暗殺されてしまい、岸田文雄首相も暗殺未遂に遭いました。
しかし敵対勢力の人々やジャーナリストの中には不適切な発言を繰り返してへっちゃらな人も少なくありません。
日本のジャーナリストや漫画家活動家の中には公的な場で安倍さんの暗殺犯を褒め称えるような人までいたほどです。
しかしアメリカの場合は倫理的に許されないことや、人が実際に亡くなっていることに対して、そこまでひどい発言をする人はいません。これはアメリカだけではなくイギリスや欧州北部でも全く同じです。
また日本では安倍元首相の病気のことを揶揄する左翼系の政治家やジャーナリストが数多くいました。しかし他の先進国の水準では病気や事故、ご家族の問題や不幸を馬鹿にしたに叩くことというのは倫理的に許されないことでそこまでやる人はいません。
日本ではそういった狡猾かつ幼稚な発言をする大人たちが放置されていました。しかも彼らは社会経験のない学生や子供ではなく、テレビやメディアに頻繁に登場する有名人なのです。
日本のメディアや言動がいかにおかしいかということがよくおわかりになるのではないでしょうか。とくに日本では左翼系の言論人やジャーナリストなどが常識を逸脱した攻撃的な発言をすることが珍しくありません。それがいかに異常なことか、もっと意識する人が増えるべきです。
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