京都の『インバウンド問題』は海外先進事例導入で解決

京都のインバウンド公害問題についてDIAMOND Onlineで論じた。タイトルは宿泊税だが、私はあまりにも国際観光都市を標榜するにしてはいじましい額で賛成できないが、ここで議論はあまりしていない。むしろ、諸外国でやっているあたりまえのことを地道にやっていないことを批判している。

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そもそも欧州などの観光地における一番の悩みは、住宅がホテルや別荘などに充てられて住宅難になっていることだが、京都は人口減に悩み、不動産需要も低迷して空き室も多い。せいぜい、住宅地などに民宿が進出し、近所で不安に思っている人もいるといった程度であり、困った状況にはない。売り地がずっと空き地になっていたりするから、外国人投資は歓迎したいくらいだ。

京都市の「1万円」宿泊税はとんだ見当違い!外国人客の「観光公害」防止へ今すぐやるべきシンプルすぎる対策とは?
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ビル・ゲイツも豪邸を買ったとか言うし、うちの近所にも中国人の立派な家が建って、不動産不況克服に貢献してくれている。日本人学生も減り気味だから、留学生が来てくれたら干天の慈雨である。

一方で、京都では特定の観光地が超混雑になったり、外国人観光客が大きなスーツケースを抱えて市バスに乗ってきたりするため、通勤や通学などに不便が生じているが、海外で導入されている様な対策を積極的に採用していけば、克服は容易にみえる。

たとえば、人気観光社寺をスマホを使っての完全予約制にしたらほとんどの問題は解決する。、

すでに世界の人気観光地は、厳格な事前予約制になっている。早い時期からそうだったのは、ミラノの『最後の晩餐』で、ミラノに行っても予約なしでは見学できないのが普通だった。スペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿の予約システムも厳密で、団体旅行の案内にも「訪問できないことがある」と明記されている。

中国では故宮(紫禁城)が安全上の観点もこみで予約制になったが、ついには、巨大な万里の長城すら1日6万五千人に制限している。

フランスでも、ルーブル美術館、エッフェル塔など予約優先だし、再建なったノートルダム大聖堂もこれまで無料だったが予約制で有料になった。米国の美術館などでも予約制が広がっている。

京都でもいちばん混雑しているのは清水寺周辺だ。参道である二年坂など将棋倒しが心配され危険そうだから、清水寺は絶対に厳密な予約制を敷いて、入場者を制限し時間も分散させるべきだ。金閣寺、龍安寺、銀閣寺、稲荷大社もそうだ。

それ以外のさまざまな提案を論じている。


地名と地形から謎解き紫式部と武将たちの「京都」(光文社知恵の森文庫)