日本中が熱狂したMLB開幕シリーズ第二戦(3月19日)での大谷翔平選手のホームランだが、米国では誤審だったという意見が多いようだ。

打球はファンが伸ばした手に当たってグラウンドに落ちたためビデオ判定となった NHKより
大谷選手の一打は高く舞い上がり、例によって大谷選手は「確信歩き」を始めた。ところがボールは失速し、フェンス際に落ちてきて、外野手は手を伸ばさなかったが、フェンスから複数のファンが手を伸ばして、それに当たってグラウンド内に落ちたように見えた。
失速したのは、どうやら天井をかすったためのようだ。こうした場合の扱いは、球場によって違って、たとえば、中日ドラゴンズの本拠地バンテリン・ドームでは二塁打だが、東京ドームではインプレイ。つまり、当たっていたとしてもプレーは中断せずに、落ちたところがどこかで決まるし、本塁打でないならランナーも進塁できるらしい。
天井に当たったことを心配することもあったが、これはセーフということだ。
しかし、問題は、観客が乗り出して、フェンスより下にまで手を伸ばしていたことだ。もし、フェンスに当たるのを邪魔したのなら、二塁打扱いということになるようだ。
カブス側の抗議でビデオ判定になったが、いつものMLBの試合でよりはずいぶんと早くホームランという判断がしめされた。どうも、米国での試合ほどのきちんとした態勢は取られていなかったのでないか。
そして、日本テレビのテレビ中継でも、少ししか再現せずに、判定の是非を解説者も議論せずに逃げてしまった。いつもなら。疑惑の判定をしつこく再現するはずだし、不心得なファンを非難するはずだ。
それを見ていて、米国人は納得するはずないと思っていたが、たいへんなブーイングだ。
それを報じているのは、ほとんど読売新聞・報知新聞と長年、敵対関係といえるほどのライバル中日スポーツだけで、次のような二つの記事を載せている。
「全米唯一の全国紙、大谷翔平の今季1号は「二塁打にすべきだった」と寄稿記事多くの米メディアで「議論呼ぶ」と見出し」
ファンの行為はつまみ出して出入り禁止にすべきものだし、テレビ中継でも繰り返し再現して、せめて、「これは微妙でカブスのファンは納得しないかもしれないですね」くらいは、いってほしい。
パリ五輪のときも日本に不利な判定にはほとんど断定的に誤審だといい、電子式で行われた組み合わせの抽選にまで細工したのでないかといわんばかりだったが、日本選手に有利な誤審もあったのに度が過ぎていた。
それに、大谷選手という人気者だからケチを付けてはいけないというのも嫌らしいところだ。日本では人気があると過度に遠慮してしまう。そして、ある日、突然、手のひら返しというのが日本社会の弱点だ。
同じことしても誰がやったかで基準が違う。これでは公正な社会は成立しないし、科学技術も含めて発展も阻害される。たとえばSTAP細胞の騒動でも、小保方さんへの好感度をどう感じるかだけで最初は過大評価し、あっという間にリンチになった。どちらも極端すぎた。
杉田水脈さんなんか他の人がやっても絶対にたいして叩かれないことまでメディア・リンチだけでなく、法務局から裁判所まで虐めに加わっている。
大谷選手が真のヒーローであることになんの異議もないが、アンタッチャブルにするのは本人のためにも社会のためにも国際親善のためにもよくない。
昨年の水原通訳事件でも、お金の出し入れを他人にまかせて何十億円も失うことは青少年にとって良い見本のはずがなかった。大谷選手が、自分の失敗をわかりやすく説明して、こどもたちに金融リテラシーの重要性や他人にすべてをまかす怖さを語ってくれたら、もっと尊敬するのにと思ったが、間違っているだろうか。