コロナワクチン後遺症は今後も増加するか

mustafahacalaki/iStock

2025年4月5日に、幾つかの地方紙は、国の予防接種健康給救済制度によって認定された患者数が9,000件を超えたことを一斉に報道した。うち、死亡事例は998件である。さらに、4月9日に放送されクローズアップ現代でも、コロナワクチン接種後の健康被害が取りあげられた。認定された事例は、あくまでも、過去の症例である。今後、ワクチンを打たなければ、健康被害に遭うことはないのだろうか。

コロナワクチンを接種するとスパイク蛋白が産生され、それに対する抗体が感染予防効果を示すわけであるが、スパイク蛋白に、血管内皮細胞への傷害、血栓形成などの毒性があることが、明らかになった。加えて、コロナワクチンの接種後に発生すると考えられる中長期副反応(後遺症)を図1に示す。実際、自己免疫疾患※1)、感染症※2)、がん※3)の増加が観察されている。

※1)コロナワクチン後遺症:自己免疫疾患は増加したか?
※2)最近なぜ感染症の流行が続くのか?
※3)コロナワクチンの接種により、日本のがん死亡は増加したか?

図1 コロナワクチン接種による中長期副反応の可能性

厚労省のホームページには、ワクチンとして注射するmRNAは、数分から数日で分解されるので、その情報が長期に残ることはないと記載されている。

4月4日の衆議院財務金融委員会で、原口一博議員は「ワクチンの毒性はどれくらい続くのか」と質問したところ、産婦人科医でもある仁木博文厚労副大臣は、「中長期的な副反応やスパイク蛋白の毒性が持続するかについてのデータは持ち合わせていない」と答弁している。

ワクチンの接種が始まった2021年に、すでに、コロナワクチン接種後の血中スパイク蛋白の推移を検討した論文が発表されている。4人のうち3人は、1〜2週間後には接種前のレベルにまで低下したものの、1人は接種73日後も、低下がみられていない※4)(図2)。

※4)Monitoring Serum Spike Protein with Disposable Photonic Biosensors Following SARS-CoV-2 Vaccination

図2 コロナワクチン接種後の血中スパイク蛋白の推移
出典:Sensors 2021,21(17),5857

最近、イエール大学の研究チームが、ワクチン接種後慢性疾患患者において、スパイク蛋白を経時的に測定した結果を報告した※5)

※5)Immunological and Antigenic Signatures Associated with Chronic Illnesses after COVID-19 Vaccination

ワクチン接種後慢性疾患と名付けられているが、主な症状は倦怠感、ブレインフォグ、睡眠障害、筋肉痛などで、ワクチン後遺症と考えて差し支えない。ワクチン接種後慢性疾患患者は、健常人コントロールと比較して、統計学的に、優位に血中スパイク蛋白のレベルが高かった。ワクチンによって産生されたスパイク蛋白は、ワクチン接種後、最長709日後にも検出されている(図3)。

気になるのは、スパイクタンパクの血中レベルが、時間が経過しても低下していないことである。体内で、持続的に産生されなければ、このようなことはみられないであろう。

図3 ワクチン接種後慢性疾患患者における血中スパイク蛋白
Control-1:コロナ感染歴のない健常人、
Control+1:コロナ感染歴のある健常人
PVS-1:コロナ感染歴のないワクチン接種後慢性疾患患者
PVS+1:コロナ感染歴のあるワクチン接種後慢性疾患患者
出典:Immunological and Antigenic Signatures Associated with Chronic Illnesses after COVID-19 Vaccination

厚労省のホームページには、mRNAはDNAに組み込まれることはないと記載されているが、ワクチンにDNAが混入していたとしたら、混入DNAが組み込まれる可能性はないだろうか。筆者は、以前、コロナワクチンのDNA汚染について触れたことがある※6)

※6)コロナワクチンがヒトの遺伝子に組み込まれる可能性はあるか?

mRNAコロナワクチンの大量製造工程では、プラズミドが原料となる。最終工程でプラズミドを除去することが必要で、その混入は基準値以下でなければならない。

ところが、欧州医薬品庁(EMA)の基準値を数桁上回るプラズミドの混入が見られたことが、McKernan博士のグループから発表されている。この記事の中で、筆者は、「混入DNAは、ヒトゲノムに組み込まれる可能性があることから、この真偽を至急検討することが必要である。」という文章を加えた。

2年経った現在、mRNAワクチンのDNA混入問題に結論が出たのだろうか。その後、発表された8つの報告の全てが、McKernan博士の報告を確認し、遺伝子が組み込まれる可能性を懸念している(表1)。

表1 mRNAワクチンへのDNA混入を示す研究
藤川賢治氏の作成した表を改変

ワクチンを接種してから2年経っても、血中からスパイク蛋白が検出されたことから、DNA混入問題に取り組む研究者の懸念が現実のものであることが示された。ワクチン後遺症の病態解明さらに今後の発症予測には、自己抗体の測定、ウイルスの再活性化の検討に加え血中スパイク蛋白の定量が有用であろう。

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