アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。
政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!
政治・経済・社会保障
自民党は参院選大敗を受けて両院議員懇談会を開催し、当初2時間の予定が4時間半に及びました。石破茂首相は、日米関税交渉などを理由に政治空白を避けるとして続投方針を明言。一方、多数の党員や地方県連から退陣を求める署名提出の動きも出ており、党内の混乱が深まっています。
石破首相、退陣要求相次ぐ中で続投表明:自民党・両院議員懇談会が終了(アゴラ編集部)
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野党の主張により、ガソリン税の暫定税率廃止が現実味を帯びてきました。揮発油税と地方揮発油税を含めると現在1 Lあたり53.8円の税負担で、廃止されると年間約1.5兆円の減収になります。地方では道路補修費や地方交付税が圧迫され、補修の遅延や陥没の増加などインフラ面への悪影響が懸念されています。
ガソリン税の暫定税率廃止が現実味:地方の道路は穴だらけになったりしないの?(吉澤 大)
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今週の動画です。2025年参院選の結果と、今の日本社会が抱える深刻な課題について、イギリス在住のめいろまさん(谷本真由美さん)にお話をうかがいました!
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米国は「国家非常事態」を宣言できるIEEPAに基づき、大統領令だけで関税措置を行えるため、正式な合意文書を交わすと法的根拠が揺らぎ不都合になります。そのため日本側との関税協議では、あえて「法的拘束力のない政治的合意」にとどめる手法が採られています。制度の巧妙な制約構造が明らかです。
日米関税交渉「合意文書」が出せない真相解明:なぜ書面合意がタブーなのか(浅川 芳裕)
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公明党は創価学会の高齢化だけでなく、選挙でのネット戦略不足も影響して得票が減少しました。特に、石破茂首相との親和性が強まる中で、公明党が石破氏が応援に入ると保守層票が参政党に流れ、自らの支持を取りこぼしています。安倍政権期に機能した「自民+中道ブレーキ」構図が崩れ、票離れが進んでいると論じられています。
安倍政権で堅調だった公明党が石破政権で低迷する理由(八幡 和郎)
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政府と日本銀行が共同で掲げる「消費者物価前年比上昇率2%」というアコード(政策協定)は、現在の物価上昇実績(中央値2.8%)や理論的根拠の不透明さから見直しが求められます。筆者は、数値目標ではなく「中立金利」に基づく柔軟かつ透明な政策運営への転換が望ましいと主張しています。
政府と日銀は「インフレ目標2%」のアコードを変更すべきだ(池田 信夫)
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杉尾秀哉議員は「資格確認書」に関する非効率性を批判しましたが、所属する立憲民主党はこれまでマイナ保険証の導入に反対し、制度移行を妨げてきました。その結果、制度の複雑化と現場負担が拡大した責任があるとして、自己矛盾の批判を受けています。
立民・杉尾議員『資格確認書』批判のマッチポンプ:マイナ保険証停滞の一因は誰か(アゴラ編集部)
国際・エネルギー
イギリス政府は「実質的措置」がなされない限り、条件付きでパレスチナを国家承認する方針を示しました。一方フランスも今秋の国連総会で正式承認の意向を示しており、欧州の動きが和平交渉停滞への圧力となる可能性があります。
英国、「条件付きで」パレスチナを国家承認へ:イスラエルへの圧力となるか?(アゴラ編集部)
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マクロン仏大統領が9月にパレスチナ国家を承認すると表明しましたが、ハマスの支配と自治政府の統治能力不足、人道危機の停滞下では「実現可能な体制」とは言えず、「時期尚早」との批判が出ています。主要国が慎重姿勢を維持している中、外交的影響も複雑化しています。
マクロン大統領の宣言の「パレスチナ国家承認」は時期尚早だ(長谷川 良)
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イスラエルとの戦闘により、ガザ地区では住民が食糧や住居の確保すら困難となり、秩序が崩壊。食糧争奪や伝染病リスクも高まっています。難民退避の手段も限定的で、米国は食料支援センターを設置する方針ですが根本的な解決には至っていません。欧州各国はパレスチナ国家承認を条件付きで示唆し、外交的圧力の可能性も論じられています。今後の再建には国際協力と制度再構築が不可欠です。
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米労働統計局の7月雇用統計では非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回り、さらに5月・6月分も下方修正されました。これを受け、ドル売り・円買いが加速し株価は急落。トランプ前大統領は「統計操作」として統計局長を解任し、市場混乱が広がっています。
米雇用統計のとんでもなく大幅な下方修正で市場激震:トランプ大統領は統計局長を解任(アゴラ編集部)
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7月24日に小池百合子都知事が、国連の機能の一部を東京に移す提案を行いましたが、専門家からは実現可能性が極めて低いとの評価が出ています。国連財政の構造的危機、日米関係・日本のGDPや財政状況の見直しが必要であり、目的不明かつ財政負担のみ増すリスクの高い計画とされています。
小池都知事の唐突な国連東京誘致の提案:日本と国連の関係を考え直す時期(篠田 英朗)
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経済産業省が次世代型地熱発電の導入による経済波及効果を最大46兆円と試算しましたが、既存技術の高コスト・不確実性や腐食対策などの課題が40年以上解決されておらず、過去に実用化に失敗した多数の方式と同様に繰り返されている「夢物語」にすぎないと批判しています。
次世代地熱発電が「夢のまま」で終わるこれだけの理由(尾瀬原 清冽)
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風力や太陽光発電は天候依存で不安定であり、石炭・天然ガス・原子力といった化石燃料やバックアップ電源なしには社会インフラを支えられないと指摘しています。交通・医療・通信などが継続的電力に依存している点を踏まえ、脱炭素一辺倒ではなく現実的なエネルギー政策の必要性を訴えています。
化石燃料は、風力・太陽光では置き換えられない!(室中 善博)
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米国エネルギー長官が委託した気候変動作業部会が、2025年7月23日に「温室効果ガス排出が米国気候に与える影響に関する批判的レビュー」を公表しました。報告書は温暖化や極端気象へのCO₂の影響を過大評価と位置づけ、危機説に反論しています。また、CO₂が農業や緑化に好影響を与える可能性も指摘しています。今後改訂の公開プロセスが予定されています。
米国政府が気候危機説を科学的に否定する報告書を発表(杉山 大志)
ビジネス・IT・メディア
韓国料理店など高価格・高品質の提供が少ない中、自然に客が集まる店は「価値ある体験」を提供していると著者は述べています。旅先のLCCサービスやフードコートの繁盛店など、価格ではなく顧客が主体的に価値を創造できる場に消費が集まると論じられています。スモールビジネスでは独自性と顧客密着が原点となると提示されています。
価値あるものへの消費:なぜ看板のない店に人が集まるのか?(岡本 裕明)
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沖縄で7月25日に開業したテーマパーク「ジャングリア沖縄」は、SNSやメディア関係者の来訪で注目されていますが、待ち時間の長さ、アクセスの不便さ、告知映像とのギャップとの指摘もあります。開業直後の厳しい評価よりも、期待と実態の間のズレが混乱を招いていると論じられています。
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東京の外資系ホテルでは2024年の訪日客増加を受け、日本語ではなく英語や中国語が主流となっています。外国人スタッフがフロント対応する例も増え、日本人宿泊客には「居心地の低下」を招く可能性があります。人手不足やインバウンド優先の戦略で正当化される一方、バランスを考慮したサービス設計が課題となっています。
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資格取得を目指して努力しても、「スキル資格」を他のキャリアと融合できず、かえって収入が落ちる人がいます。特定の資格に縛られて元の経験を消す「専業理想主義」や、目的を忘れてしまうことが原因とされます。資格は活用すべきものであり、依存しない姿勢が大切です。
なぜ?難関資格を取ったのに収入が落ちる人のあるある失敗パターン(横須賀 輝尚)
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国税庁は令和7年9月より、これまで一部の法人に限定されていた「オンライン税務調査」を全法人と個人事業主まで対象に拡大します。Teamsなどによるリモート面談やオンラインストレージによる資料提出が中心化し、調査の迅速化や納税者の利便性向上が期待されます。一方、オンライン同意やデータ対応など納税者側の準備負担も課題です。
オンラインでの税務調査がすべての法人及び個人事業主にも拡大されることに(吉澤 大)
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玉川徹氏が「石破政権に反対ではなく、自民党に反対なのでは?」と発言したのに対し、著者はデータに基づき反論しています。実際には参政党や保守党に流れた票の大半が“アンチ石破”票であり、石破人気があってもそれが自民支持に直結するわけではないと指摘しています。また、自民党の票離れの主因が裏金問題の処分にあるとし、玉川氏の議論は問題をすり替えていると論じられています。
「石破にNOでなく自民にNO」:玉川徹氏の問題すり替え(八幡 和郎)
科学・文化・社会・一般
米光一成氏の新刊『人生が変わるゲームのつくりかた』を紹介し、自己啓発的ストーリーやハウツーに流されず、偶然性と構造理解を重視する姿勢が「騙されにくい大人」を育てると論じています。ボードゲームを通じた経験的学びの重要性も説かれています。
ボードゲームが、自己啓発に「騙されにくい」大人を作る(與那覇 潤)
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軽井沢「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」は、白桃の冷製スープや炭火焼き鰻、仔牛・仔羊のローストなど旬を活かした料理が魅力の名店です。森の空間とホスピタリティが一体となり、夏の豊かな味と静寂の中で心満たされるような時間を提供しています。
軽井沢の名店 エルミタージュ・ドゥ・タムラにて、夏の美味を味わう(出口 里佐)
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人類学のダンバー数に基づけば、親友と呼べるのは数人、顔を覚えているだけでも150人程度が限界です。普段接する“知り合い”よりも、信頼できる“親しい友”の質を大切にすべきだと論じています。SNSでの友達数やフォロワー数に振り回されず、真の関係構築には時間と意図的な努力が要ると訴えています。
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SNSでの発信力が評価される一方、歴史や政治学者が事実確認を怠り、不確かな議論を煽る現象を問題視しています。信頼できない言説を学術的に認めることが、学問全体の信用を損ね、「ぶざまな」学問に陥る危険性があると論じています。
国際政治学も「ぶざまな」学問になるのだろうか。(與那覇 潤)
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戦略研究界の大家とされるコリン・グレイ氏の著作『現代の戦略』を基に、戦略とは「政策的目的と軍事力をつなぐ懸け橋」であり、クラウゼヴィッツの思想が現在にも有効であると論じています。ただし、その理論には反証可能性が乏しく科学性に欠ける懸念も示され、戦略研究の今後の方向性について警鐘を鳴らしています。
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セーヌ川沿い、ブーローニュの森近くのペニッシュ(船上)レストラン「ラ・マリナ・レ・マクロー」は、開放的なデッキやプール、川を眺めながら楽しむ海鮮料理とカクテルが魅力です。特に海の幸をつまみに冷えた白ワインと過ごす水上ランチは格別で、夜にはDJイベントも開催され、ヴァカンス気分を満喫できるスポットです。
ラ・マリナ・レ・マクロで過ごす、パリの水上バカンス(加納 雪乃)
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大塚製薬が香川県や愛知県の小学校で行ったポカリスエットの無償配布が、熱中症対策として妥当かどうか批判を浴びています。糖分・塩分を必要以上に補給することで、ペットボトル症候群や小学高学年におけるむし歯リスクが懸念されており、医師・歯科医師からは教育現場での軽率な健康マーケティングとして苦言が出ています。
大塚製薬の小学生ポカリスウェット配布はハイリスクな健康マーケティング⁉︎(中田 智之)
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政治家だけでなく歴史学者自身も歴史のアナロジーを誤用しやすい現状を批判しています。たとえば「ミュンヘン会談=宥和政策の代名詞」として単純化された使われ方には、実際との乖離があると指摘されています。誤った史実の反復が議論を歪め、学問の信頼を損なうリスクにもなると論じられています。
「歴史を誤用」する歴史学者を信じるのはもうやめよう。(與那覇 潤)