オープンレター総まとめ:Yes, Their Brains are OPENed

足かけ3年に及ぶ「オープンレター秘録」の連載が完結し、ぶじ書籍化も決まったわけだが、関心を持つ方が今後参照しやすいように、全論考を1か所にまとめたページを設けておく。

2021年に発生したオープンレター問題が「そもそもなにか」は、noteを始める前のアゴラでの連載の次の回が、いちばん簡潔にまとまっている。22年秋のこの記事の末尾に、当時執筆したすべての論説へのリンクもある。

まとめと論点整理:呉座勇一氏の日文研「解職」訴訟から考える⑫
11月3日に始まった本連載も、12回を数えるに至った。内3回分は嶋理人氏による中傷、同じく3回分は北村紗衣氏の批判に応えるために執筆したもので、私自身が好んで延ばしたわけではないが、新たな読者に「全体を通読してほしい」とはお願いしにくい分量...

以下、24年以降にnoteで書いた記事を、テーマ別に並べる。最後まで読んでくれた人には、口直しの「おまけ」も用意するので、目次からのショートカットでもいいから、楽しんでほしい。

連載「オープンレター秘録」

オープンレター前史: それは「鍵をかけた」ことで始まった|與那覇潤の論説Bistro
昨日の記事に対しては、おそらく見えないところで(いや、公然とかな?)揶揄する人が出てくると思うので、あらかじめ釘を刺しておく。 2021年の3月に、鍵をかけたアカウント(フォロワーは4000人前後で、9万3000人の東野篤子氏よりだいぶ少な...
オープンレター秘録① それはトランスジェンダー戦争の序曲だった|與那覇潤の論説Bistro
日本文藝家協会に入っているのだが、会報(文藝家協会ニュース)の10月号に、小説家の笙野頼子さんがコラムを寄せていた。タイトルは「続・女性文学は発禁文学なのか?」。 「続」とあるのは、2021年の11月にも、笙野氏は同じテーマで寄稿しているか...
オープンレター秘録② 「コロナの副作用」が日本のトランス問題を生んだ|與那覇潤の論説Bistro
連載の1回目で、私はかつて一世を風靡し、いまや「バカな学者」の代名詞となっているオープンレター(2021年4月)が、事実上はTRAの別動隊であることを、初期から把握していたと述べた。 TRA(Trans Rights Activists)と...
オープンレター秘録③ 一覧・史料批判のできない歴史学者たち|與那覇潤の論説Bistro
学問的な歴史に興味を持ったことがあれば、「史料批判」という用語を一度は耳にしているだろう。しかしその意味を正しく知っている人は、実は(日本の)歴史学者も含めてほとんどいない。 史料批判とは、ざっくり言えば「書かれた文言を正確に把握する一方で...
オープンレター秘録④ 古谷経衡氏と「署名偽造」の真実|與那覇潤の論説Bistro
このnoteをお読みくださる方には自明と思うが、私ほど「党派性」から遠い人間はいない。たとえばオープンレターについても、その「悪い点」を個別に批判してきたのであって、署名した人がなにをやっても「敵だから叩く」といったことはしなかったし、これ...
オープンレター秘録⑤ 日本のトランスジェンダリズムはこうして崩壊した|與那覇潤の論説Bistro
2020年代の日本でTRA(Trans Rights Activists)、すなわち「トランスジェンダー女性は100%の女性であり、女性スペースの利用や女子スポーツへの参加は当然で、違和を唱える行為は差別だ」とする主張が猛威を振るったことは...
オープンレター秘録⑥ 橋迫瑞穂氏にみる「切られた署名者」の末路|與那覇潤の論説Bistro
橋迫瑞穂氏をご記憶だろうか。博士号を持つ社会学者で、2021年にはオープンレターに署名し、Twitterアカウントでの発信にも熱心な人物だ。 このnoteを書いている25年4月の時点では、彼女の名前をGoogleで検索すると、トップは本人の...
オープンレター秘録⑦ 史実は「歴史修正主義」では隠せない(完)|與那覇潤の論説Bistro
2026年の4月4日は、かの有名なオープンレターの生誕5周年にあたる。そして、このレターは轟々たる非難の中で1年後にネットから削除されたので、同じ日が没後4周年の命日でもある。 オリンピックだって「ひとつ前の大会」について聞かれたら、混乱す...

連載に前後していくつか係争もあったが、すべて当方の反論により解決済みである。あくまで歴史上の資料に供する目的で、リンクを残すが、当事者間で決着した問題を無責任に外野からあげつらう事態は、厳に慎まれたい。

橋迫瑞穂氏(社会学者)

橋迫瑞穂氏が行う「虚言の流布と名誉毀損」に抗議する|與那覇潤の論説Bistro
4月17日に「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決が出た際、便乗して私を中傷する学者が出現したので、22日に前回の記事を書いた。文中にも記したとおり、うち1名は度重なる差別発言を繰り返している嶋理人(日本史学・熊本学園大学講師)である。 もう...
橋迫瑞穂氏に「学問の本義を説いて其有終の美を済すの途を論ず」|與那覇潤の論説Bistro
4月24日の正午過ぎに行った前回の投稿に対し、記事の中で謝罪を求めた橋迫瑞穂氏から、同日夕刻に以下のような回答があった。 同記事で紹介した橋迫氏のツイートによれば、彼女は「去年からツイッターほどほどしか見てないんだ!おかげで食欲もまして肌も...
橋迫瑞穂氏による障害者差別について、所属機関に告発します|與那覇潤の論説Bistro
4月24日、および25日と連続して、私に対する差別発言を謝罪するよう求めてきた橋迫瑞穂氏から、27日の朝にTwitter上で回答があった。 上記2つのリンク先を読んでいただければ明らかだが、私は当初から連休が明ける5月7日まで待つと明言して...

古谷経衡氏(文筆家)

批判に脅迫で応じた「リベラル論客」・古谷経衡氏に告ぐ|與那覇潤の論説Bistro
3月24日の以下の記事に対して、31日に古谷経衡氏がXで応答してきた。しかし私が指摘した内容には一切答えることなく、「刑法231条侮辱罪」で訴える、来週月曜には「代理人弁護士」に投げる、といった脅しを繰り返すばかりだ。いわゆるスラップ訴訟に...

なぜ発生から5年も経ってなお、オープンレターに対する正確な情報の整理と、批判が欠かせないのか。それはネットを越えてリアルな社会にまで、与えた負のインパクトが甚大だからだ。

日本社会への影響

オープンレターは甦える: 予言されていたフジテレビ・キャンセル|與那覇潤の論説Bistro
中居正広氏のスキャンダルに端を発するキャンセルが、止まらない。 率直に「なんで?」と感じた人が多いと思うが、笑福亭鶴瓶氏が、スシローのCMとNHK(BS)の放送をキャンセルされた。想像される理由は事件の前に、疑惑のフジテレビ・プロデューサー...
オープンレターは永遠に: こうして彼らは立憲民主党を滅ぼした。|與那覇潤の論説Bistro
高市自民党が単独で衆院の3分の2を掌握し、参院で否決されても「自民党だけで再可決」して法律にできる状況が生まれた。あくまでも理論上の話だが、歴史から比喩を出すと、これは党が国家を所有したのと同じである。 『ソ連=党が所有した国家 1917ー...

こうまでややこしい事態になったことには、他の西側諸国(特に米英)にも混乱と分断をもたらしたイデオロギーの「直輸入」が背景にある。それを周知するのもまた、連載の眼目だった。

トランスジェンダー問題

資料室: 日本文藝家協会でのトランスジェンダー論争|與那覇潤の論説Bistro
昨年11月に連載「オープンレター秘録」を始める際、枕として日本文藝家協会の会報『文藝家協会ニュース』に触れた。笙野頼子氏の寄稿を発端にして、2021年以来、同誌上でトランスジェンダリズムの当否をめぐる議論が続いていたからだ。 同会報の202...
トランスジェンダー女性は、もう「無敵」でなくなったのか|與那覇潤の論説Bistro
まだアメリカが民主党のバイデン政権だった1年前に、こんな記事を書いた。安易に「意識の高さ」を誇ろうとする演出があだになって、アカデミー賞授賞式が炎上した不祥事を扱う内容である。 ご存じのとおり、いま共和党のトランプ政権は、むしろそうした「ダ...
トランスジェンダー "ブーム" の終焉: 「言い逃げ学者」の責任を問う|與那覇潤の論説Bistro
昨年の米大統領選でトランプに敗れた、カマラ・ハリスが回顧録を刊行して話題だ。もっとも大手のメディアでは、「バイデンを老害としてdisった」みたいなゴシップばかりが採り上げられる。 ハリス前副大統領、新著で「身内」酷評 米民主党に困惑広がる ...

「他山の石」で済む問題ではなく、現に日本でもダミーサークルの創設や既存の学会への圧力など、「学問の自由」を脅かす事態が生じていることもまた、リアルタイムで発信してきた。

学会偽装/乗っ取り問題

旧統一教会化するオープンレターズ?:「現代フェミニズム研究会」を読み解く|與那覇潤の論説Bistro
5/10(土)に、専修大学で第1回の「現代フェミニズム研究会」が開催される。参加費や事前の申し込みは不要で、誰でも聞きに行けるそうだ。 第1回とあるとおり、立ち上がったばかりのサークルのようなもので、正式な学会等ではないから、ふつうの人は存...
ある "学会乗っ取り" の背景: トランスジェンダリズムは「戦前の右翼」である|與那覇潤の論説Bistro
今月の頭に、トランスジェンダリズムがダミーサークル化する動きについて報告した。「トランス女性は100%の女性なので、生物学的な性差を考慮せず、女性専用の施設を当然に利用できる」とする主張は、本場だった英米でも公的に否定されてメッキが剥げ、近...
御礼: みすず読書アンケートでの『江藤淳と加藤典洋』|與那覇潤の論説Bistro
旧知の青山直篤さんが、『みすず』の「読書アンケート2025」を送ってくれた。で、ぼくは初めて知ったのだが、毎年の同特集が名物だったこのPR誌は2023年8月で休刊になっていたらしい。 なんとも寂しい話だが、有料の年報のような形で、読書アンケ...

私にも想定外だったのは、2025年に問題の「本場」だったはずの米国で、誰が誰を「キャンセルするか」の向きが180度逆転する劇的な展開を見たことだ。日本のオープンレターズにとっては、まさに2度目の埋葬となった。

キャンセルカルチャーの反転

カウンター・オープンレターの時代へ: 米国 "極右暗殺" が問うもの|與那覇潤の論説Bistro
9/10にトランプ支持の活動家であるチャーリー・カーク氏が射殺されて以来、ネットで論争めいた口論がかまびすしい。ただ、あまりに粗雑な物言いばかり目立つので、情報を整理してみる。 まず、カーク氏は単なるネトウヨではない。設立したTurning...
あのオープンレターズは、いま。4年前に "キャンセル" を誇った学者たちの末路|與那覇潤の論説Bistro
6回分連載した「オープンレター秘録」を、あと1回で完結させたいのだが、時間がとれない。この春に戦後批評の正嫡を継いでしまい、歴史の他に批評の仕事もしなければならず、忙しいのだ。 そんな間に、キャンセルカルチャーの潮目じたいが大きく変わった。...

以下は、そんなオープンレターズのうち著名な何名かにつき、個別に言及した記事のリストだ。公平に言って、学問や出版で一定の実績のある方も多く、責任ある対応が望まれていると思う。

北村紗衣氏(武蔵大学教授)

「北村紗衣・山内雁琳」訴訟の地裁判決を正しく読む|與那覇潤の論説Bistro
4月17日に出た、北村紗衣氏が雁琳(山内雁琳)氏を訴えた民事訴訟の東京地裁判決が、ここ数日ネットを騒がせている。 元はよくある「ネットの書き込みによる名誉毀損」の争いだったものが、ここまで大きな反響を呼ぶ理由については、すでにまとめている方...
嘘でも他人を「ミソジニー」呼ばわりすることの意外な効用|與那覇潤の論説Bistro
はてなブックマーク(はてブ)というサービスをご存じだろうか。利用者はどこのサイトに載った記事でもクリップして、コメントをつけることができる。他のユーザーが同じ記事につけたコメントも、一覧形式で読める。 コメント欄のない(か、利用者が限られる...

隠岐さや香氏(東京大学教授)

なぜ日本の学者は「まちがえても撤回できない」のか|與那覇潤の論説Bistro
学者とは人柄を知らない時には、まったく素晴らしく偉い人に思われるのだが、近づけば近づくだけ嫌になるような人柄の人が多い。 学問が国民とまったく遊離しているという時の学者の典型は専門家である。 まったくの利己主義、独善主義、そして傲慢、しかも...

小林えみ氏(よはく舎)

やはり、令和人文主義の正体は "キャンセルカルチャー2.0" だった。|與那覇潤の論説Bistro
まるで80年前の日本のような焼け野原に終わった「令和人文主義」の炎上だったが、"戦争の反省" と同様、追及を中途半端にしてはならない。そこにはこの数年間の、人文学をダメにした潮流が詰まっているからだ。 第一にコロナ以降の混乱では、「人文学は...

玉田敦子氏(中部大学教授)

なぜ令和の人文学者は、事実と "逆のこと" を平気で言うのか: 玉田敦子氏の場合|與那覇潤の論説Bistro
なんども書いてるように、忙しいからもう関わりたくないのだが、定期的にネットで問題を起こす人文学者の集団がいる。一般には「オープンレターズ」の名で知られるのがそれだ。 で、ぼくはもう学者やめてるので、本来ならスルーして小説でも読んでたいのだが...
自分の不祥事は "歴史否定主義" する歴史学者たち: 令和人文主義を添えて|與那覇潤の論説Bistro
1997年に「新しい歴史教科書をつくる会」が発足して以来、平成を通じて "歴史修正主義" といえば絶対悪の代名詞だった。とりわけ学者の世界がそうで、ほとんど "人種差別主義" と同じくらい、存在自体が許されないものという感じだった。 とはい...
"歴史否定主義者" 玉田敦子氏が行った「noteへの削除要請」について|與那覇潤の論説Bistro
当方の着信時刻で12/17の18:05に、「運営事務局(note)」名義のアドレスからメールが届いた。 前回も触れたとおり、中部大学で歴史学を講じる玉田敦子教授が、私の記事を削除するようnoteに要請してきたので、それを取り次ぐ形である。 ...
自分と "違う" 相手に届ける文章の書き方とは: 玉田敦子氏と「令和人文主義」に欠けているもの|與那覇潤の論説Bistro
自身が犯した「誹謗中傷」が克明に実証されている11/29の私の記事を、noteに削除を要請し抹消を目論んだ中部大学教授の玉田敦子氏だが、その事実を12/19に公表したら、なんと1日で「いいね」の数が元記事を上回った。 こうした形で "歴史否...

しかし、中には「SNSが本業なのか?」と、見まごう学者もいたりする。

さぁ、みなさんお待ちかね! 自ら用いた論敵への罵声も含めて、この問題で「だけ」一挙に知名度を上げた対戦チームのMVPは、アゴラのこの記事でも大活躍した次のヒトだろう。ちなみに、本人のお仕事はこちら

嶋理人、あるいは「豚の嘶き」

「歴史学者」からのストーキング被害について|與那覇潤の論説Bistro
何年かにわたり、オンライン・ストーカーのような「歴史学者」から誹謗中傷を受け続けており、困っている。 それは熊本学園大学の嶋理人氏という方で、私より年長なのだが本名での単著がなく、むしろTwitter(X)で用いる「墨東公安委員会」の筆名で...
Blueskyという「遠吠えメディア」: オープンレターズは ”嘶き” 続ける|與那覇潤の論説Bistro
「オープンレター秘録」はあと3回は続くのだが、新たな回を割くには矮小なネット中傷が行われたので、以下と同じく単発で手短かに。 BlueskyというSNSがある。イーロン・マスクが買収してXに変わって以来、「Twitterの居心地が悪い」と感...

前にも書いたが、大学を辞めて以来の長年の趣味に「やきとん屋めぐり」がある。まさにオープンレター事件と重なるコロナ禍の中で、そうした店の存続を守ることこそ、自分にできる貢献だと思ってやってきた。

リアルとネットの双方で、社会の(一時的な)多数派が勝手に不要と決めた相手を排斥するキャンセルカルチャーに、ずっと抵抗してきたわけだ。むろんそれこそが、ポストコロナのあるべき「リベラル」の姿に他ならない。

リベラルとはネオンサインのホルモン屋を守ることである|與那覇潤の論説Bistro
去年の忘年会で、はじめて池袋西口の「酒蔵 力」(さかぐら りき)に行った。力は1969年に浦和で創業して以来、埼玉を中心に展開している串焼きチェーンで、肉の卸問屋の直営。新鮮なホルモンが売りである。 酒蔵 力 池袋西口店 (池袋/居酒屋)★...

さて、やきとんの魅力のひとつに、本来「不要不急」な部位などないと教えてくれることがある。なので店に行けない日は、マイナーな部位を串打ちする動画を眺めて楽しんだりするのだが、いま、唐突にひとつ思い出した。

なぜ思い出したのかは、わからない。だが、せっかくだし同じ趣味の人が増えてくれると、リアルとネットの双方で安易に相手を「豚の嘶き」とか呼ばない、キャンセルに強い文化が育つと思うので、貼っておこう。

2021年以来のオープンレターズの惨めな壊滅と、責任感なき逃亡を通して、博士だ・学者だ・大学教授だといっても「なんだ。入っているのはこの程度の脳なのか」と知った人は多い。

その意味ではあのレターは、なによりも彼ら・彼女らの頭蓋骨をオープンして見せてくれたのかもしれない。その影響がいよいよ社会を本格的に動かすのは、26年2月の総選挙で決まった、新たなこの国の体制の下になる。

高市自民の圧勝を生んだ、リベラル派の "読むゾンビ麻薬" 汚染|與那覇潤の論説Bistro
衆院選での史上空前の圧勝に、いちばん驚いているのは解散した高市首相本人だろう。当初は維新と足して過半数という "底辺ギリギリ" の目標を掲げ、敗北の可能性まで言及したのに、ふたを開ければ自民だけで3分の2だ。 現実が予想を裏切ったとき、注意...

ようこそ! 空っぽとわかった知性が開頭され、串に刺して炙られ、もう誰も信じない世界へ!

(ヘッダーほかは、素敵な映画レシピサイトの「ハンニバル」の頁より)


編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2026年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。

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