情報商材屋にうってつけなClaude Code(前編)

情報商材は死んでいなかった。装いを変えて、帰ってきただけだ。

かつてSNSを席巻した「月収100万円の秘密」「たった3日で人生が変わる方法」。あの手の投稿を見かけなくなったと思っていたら、2026年のタイムラインには「Claude Codeで半日で補助金申請」「120秒でプレゼン完成」「制限が来なくなる裏技」が並んでいる。

フォントが変わっただけで、文法は同じだ。

この現象を観察してきた。結論を先に言う。Claude Codeは今、情報商材屋にとって最も都合のいい商材になっている。

Auuu/iStock

なぜClaude Codeが狙われるのか

情報商材が成立する条件は三つある。話題性があること、中身が検証しにくいこと、そして不安を煽れること。Claude Codeはこの三つを完璧に満たしている。

話題性は言うまでもない。Anthropic公式の投稿は数千万インプレッションを叩き出し、関連する投稿は日々拡散されている。「Claude Code」とタイトルに入れるだけで、SNSのアルゴリズムが味方をしてくれる時期だ。

中身が検証しにくいのも好都合だ。Claude Codeはターミナルで動くCLI型のツールで、非エンジニアには中で何が起きているかが見えない。黒い画面にコマンドが流れていく様子は、それだけで「高度なことが行われている」という印象を与える。実際にはclaude.aiのチャットで同じことができる場合でも、ターミナルを経由するだけで神秘性が増す。

そして不安。「AIに乗り遅れたら終わり」「このスキルがないと仕事を奪われる」。この恐怖は、かつての「英語ができないと出世できない」「プログラミングは必須教養」と同じ構造だ。不安の対象が変わっただけで、煽り方のテンプレートはそのまま使い回せる。

見覚えのあるフォーマット

タイムラインに流れてくるClaude Code関連の長文投稿を何十本も読んでいると、同じフォーマットで書かれていることに気づく。

冒頭で読者の不満に共感する。「制限でイラッとした経験ありますよね」「もうやめようかなって思ってた」。次に救済を提示する。「この方法を試したら、マジで変わりました」。手順を段階的に見せ、活用例で「自分にもできる」と思わせる。そして最後に「プレゼント」が現れる。テンプレート集、チェックリスト、限定資料。受け取るには連絡先の入力が必要だ。

読み切った読者は、最後の一歩を踏み出しやすい。ここまで時間を使ったのだから、テンプレートくらいもらっておこう。この心理効果を狙って、記事は長く書かれている。

このフォーマットに見覚えはないだろうか。「無料セミナー→個別相談→高額講座」。情報商材の王道導線そのものだ。「Claude Code」という包装紙で包み直しただけで、中身の構造は10年前と変わっていない。

なぜ人は「無料テンプレート」を受け取ってしまうのか

ここで立ち止まって考えてほしい。なぜ人はあの「プレゼント」に手を伸ばすのか。

答えは簡単だ。受け取る時点では、中身を知らないからだ。

「トークンを温存する指示文テンプレ全25選」。この文字列を見た瞬間、人は「25個もあるなら、きっと自分の知らない技が含まれているだろう」と期待する。丁寧な記事を書いた人が作ったのだから、テンプレートの品質も高いはずだと推測する。

だが実際に受け取ってみると何が入っているか。「出力は簡潔にしてください」「日本語で回答してください」「ステップバイステップで考えてください」。この手のプロンプト集を見たことがある人は多いだろう。claude.aiに「トークンを節約するプロンプトを25個考えて」と頼めば、10秒で同等のリストが返ってくる。

つまり、テンプレートの中身に25選分の価値はない。価値があるように見せる包装に価値があるだけだ。

しかし受け取った人間は、すでに連絡先を渡している。ここからが本番だ。メールが届き始める。「限定セミナーのご案内」「個別相談の枠が残りわずか」「今だけ特別価格」。記事で蓄積された信頼が、ここで換金される。

テンプレートは商品ではない。あなたの連絡先と引き換えるための、釣り針につけた餌だからである。次稿では、これらの情報収財の法則についてまとめる。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

23冊目の本を出版しました。

3時間で身につくClaude活用術』(WAVE出版)

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