枝野幸男氏「旧宮家養子反対論」は将来の天皇制廃止につながる危険

旧宮家養子案を「天皇制の破壊」とする枝野氏の主張

中道改革連合が「旧宮家養子案容認」に傾いていることに対して、立憲民主党の創設者でもある枝野幸男氏が、「嘘ですよね? 間違いですよね?」、「万が一にも、天皇制を破壊しかねない旧皇族養子案を認めるなら、お付き合いはしきれません」とまで書いている。

枝野氏の気持ちは分かるが、あまりにも情緒的に過ぎる。いったん臣下になったり、出家したりした皇族が復帰することは歴史的にもあったことである。それを「天皇制の破壊」といい、その一方で、前例のない女系継承は推進するというのはおかしい。

枝野幸男氏 立憲民主党HPより

女系論も旧宮家復帰を排除すべきではない

皇位継承候補は潜在的には現状よりもっと用意すべきだ。そうでないと、天皇制を廃止に追い込むためのテロなど、ありえないわけではない。

私は男系継承をできるだけ維持すべきだと考えつつも、将来の問題としては、女系も絶対に排除すべきとは考えていない。ただ、女系論を主張するにせよ、「旧宮家の男系男子をなんらかの形で復帰させることも否定はしないが、女系の継承のほうが自然ではないか」というあたりに留めるべきだろう。

野党側があまりにも頑なであっては、保守派がより強く原理主義的な男系男子論を展開するのを誘発するだけだ。

旧宮家復帰は憲法違反なのか

枝野氏に代表されるような意見は、法律論としては、憲法14条1項は、国民を「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」によって差別してはならないと定めており、同条2項は「華族その他の貴族の制度」を認めないとしているので、旧皇族を皇族とするのは、「旧皇族の男系子孫だから」という理由で門地による特権付与をすることになるということらしい。

しかし、憲法第1条で天皇を「日本国及び日本国民統合の象徴」とし、第2条で「皇位は、世襲のもの」と定めているように、日本国憲法自身が、天皇・皇族については一般国民の平等原則とは異なる「世襲的地位」を予定しているのだから、皇統に属する男系男子を皇族にするのは、何も問題はない。

時限的天皇制存続論の危うさ

枝野氏らは天皇の女系子孫に皇位継承権を拡大するといっても、実際には悠仁さま、愛子さま、佳子さまとその子孫にだけ限定することを主張している。

しかし、3人の姉弟・従姉妹の子孫が数世代のうちに誰もいなくなる可能性は、それほど小さいものではない。

そうした上皇さまの血筋を引き継ぐ者がいなくなったら、昭和天皇の女系子孫からということになるのだが、常陸宮殿下、鷹司和子、池田厚子には子がなく、島津貴子には男子がいるが、孫はいない。

となると、東久邇成子の子孫、成子は3男2女をもうけている、ということになるが、これはまさに旧宮家の人々であり、養子候補の中核をなす一家だ。そして、枝野流の憲法解釈だと、彼らを皇族とするのは違憲だそうだから、その段階で皇位継承権者は誰もいないことになり、皇室制度は終焉を迎えることになる。

だから、女系論の人たちの主張は、「上皇陛下の子孫のみが皇位継承権をもち、皇室制度はこの血脈が途絶えるまでに限り時限的に存続を許す」という時限的天皇制存続論なのである。

しかし、憲法第1章が時限的な制度を論じていると解釈するのは、まことに不自然だ。したがって、旧宮家の人々の復帰を憲法が否定しているというのは間違っている。

安定的な皇位継承には候補者の厚みが必要だ

皇族の数については、公務が円滑に行われ、さしあたっての皇位継承に支障がないということで、20〜30人、子供や超高齢者を含むので実働で10人余り、くらいが適切だろう。

ただ、安定的な皇位継承を見据えるなら、潜在的な候補者は100人程度はほしいところだ。ちなみに英国の王位継承権者は1万人近い。本来は1066年に英国を征服した、フランス貴族ノルマンディー公ギヨーム、ウィリアム1世、の男系女系の子孫のはずだが、宗教戦争の影響でカトリックを排除することになった。

そこで、ジェームズ1世の孫娘でハノーバー選帝侯妃ソフィーの子孫にしてプロテスタントというような絞りがかけられて、それが1万人近いのである。

これはテロを排除するためにも有効だ。皇位継承権を狭くすると、テロリストに報酬を与えかねないのである。

日本においては、私は皇統譜別表のような形で、後陽成天皇の男系男子子孫と、明治天皇および明治以降の皇族の女系を含めたすべての子孫を把握しておくべきだと思う。それぞれ100人以上にはなると思う。

後陽成天皇は豊臣秀吉の時代に即位した天皇だが、その子が近衛家と一条家に養子に出たのと、東山天皇から出た閑院宮家から鷹司家へ養子が出ており、そこから皇別摂家と呼ばれる一族が出ている。これには、徳大寺、南部、近衛分家、指揮者・近衛秀麿の子孫、などが含まれる。

また、明治時代以降、旧宮家から1947年以前に臣籍降下した「賜姓華族」と呼ばれる人たちがいる。

また、悠仁さまに男子がなかった場合に、誰もが納得できる候補がなければ、しばらくは任期10年の任期制といった案もありうるのではないか。


系図でたどる日本の皇族


日本の名門高校

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