
simarik/iStock
(前回:佐倉市議会発言削除事件①:地方議会における「討論」とは何か)
地方議会には「自律権」があります。
議会のことは議会で決める。議会運営については、まず議会自身が判断する。これは地方自治の基本原則の一つです。
では、議会が議員の発言を取り消し、議事録から削除した場合も、それは裁判所の手の届かない領域なのでしょうか。
発言取消しに対する国家賠償請求訴訟
私は今、その問いの当事者として法廷に立とうとしています。
私は本年3月、佐倉市議会で行った討論の一部について、議会から発言取消しの措置を受けました。その後、佐倉市を相手取り、国家賠償請求訴訟を提起しています。

この訴訟について、佐倉市は答弁書の中で、まず「議会内部の問題であり、司法審査の対象とはならない」と主張しています。
つまり、市の立場はこうです。
議会の内部で起きた問題は、議会の自律権に委ねられるべきであり、裁判所が判断するべきではない。
これに対して、私は別の考えを持っています。
議会の自律権と司法
私は、裁判では議会の政治的判断そのものを争っているわけではありません。発言取消決定そのものの取消しを求めているわけでもありません。
私が争っているのは、議長や議会が行った発言取消しという措置が違法であり、それによって損害を受けたという点です。
ここで興味深いのは(と、自分でいうのもなんですが)、この問題が単なる佐倉市議会の内部紛争にとどまらないことです。
近年、地方議会をめぐっては、懲罰や出席停止、発言取消しなどをめぐり、議会の自律権と司法審査の関係がたびたび争われています。
かつては「議会内部の問題だから裁判所は関与しない」と考えられる傾向が強くありました。しかし近年の司法判断を見ると、その境界線は必ずしも固定的なものではなくなっています。
第1回口頭弁論
議会は、言うまでもなく民主主義の重要な機関です。
だからこそ、自律権は尊重されなければなりません。
一方で、議会もまた公権力を行使する機関です。その権限行使が違法であった場合に、司法審査が及ぶ余地を全く認めないとすれば、それもまた法治国家の原則との関係で大きな論点になります。
議会の自律権はどこまで認められるべきなのでしょうか。そして裁判所はどこまで介入できるのでしょうか。
私の訴訟は、その境界線をめぐる一つの事例に過ぎません。
現時点で、私は勝敗を予測するつもりはありません。今回の事件でもっとも関心があるのは、裁判所がこの問題をどのように整理するかです。
地方議会における発言取消しは、果たして純粋な「議会内部事項」なのでしょうか。それとも司法審査の対象となり得るのでしょうか。
6月26日に予定されている第1回口頭弁論では、まずこの入口の問題が争われることになります。
本件は一地方議会の出来事ではありますが、そこで問われているテーマは決して佐倉市だけのものではありません。おそらく、大なり小なり、この原稿を読んでくださっているあなたがお住まいの自治体の議会でも、抱えている問題です。
地方自治と司法の関係、議会の自律権と法治主義の境界線——。
私は当事者として、この裁判の経過を引き続き報告していきたいと思います。
■







コメント