
2月の総選挙での自民党の圧勝は「野党だけ多党化」が原因なのに、それを加速する動きが止まらない。大敗した中道改革連合からは、旧立憲民主党の “有名議員” の流出ばかりが騒がれる。
中道への合流直前まで代表代行だった吉田晴美氏の離党(ヘッダーはTBS)では、さすがに「それは違う」との声が出た。そもそも中道ではない “穏健リベラル” とは何を指すのか、たぶん本人にも説明できるとは思えない。

とはいえ公平に見て、ぐだぐだと正式な合流を決めない中立公の3党にも責任はある。で、やっとその本当の理由が、報じられ始めている。
ずばり言うと、ネックは参院における非拘束名簿式の比例代表制だ。個人名でも投票可能で、上から順に当選する制度なので、組織力が弱い団体は合流すると議席を失う可能性があるのだ。

2年後の参院選に関し、立民が比例代表で擁立する労働組合の組織内候補を、公明が支援する案も検討。公明系候補の削減も視野に入れる。
時事通信、2026.6.1
(強調は引用者)
2025年の参院選だと、公明の比例で当選した4名は、いずれも30万票台。一方で立憲の比例では7名が通ったが、30万票に届いたのは首位の蓮舫氏のみで、各労組の候補は9~15万票に留まる。
中道が人気なら「党名票」を分けあって仲よく通れるが、そうでないのに合流すると、公明系だけが上位で労組系が全滅するリスクがある。それじゃもうナショナルセンターじゃないじゃん! と叫びたいが、現実は厳しい。

上のとおり1947年、初の参院選の「全国区」(個人名でしか投票できない)では、元全国水平社の松本治一郎が4位、のち民社党委員長となる佐々木良作が8位だった。宗教系では浄土真宗(7位)、天理教(11・12位)、一燈園(17位)など。
要するに宗教団体と比べても、日本に欧米型の(企業別ではない)労働組合は、政治を動かす “つながり” の形として根付かなかった。戦後80年を経て、寂しくもそれが野党の現在地なのだ。

とはいえ、そうした選挙対策のテクニカルな話は、見えない場所で内々に協議してほしいものだ。ニュースになったと思ったら、毎回「話しあいましたが、結論は出ませんでした」では、応援する人ほどげんなりしてゆく。
むしろ表に出すべきなのは、「これをやりたいから」政党の枠を越えて合流する、賛成ならどの党からでも来てほしい、というビジョンだろう。
何度も紹介した『公明』7月号のインタビューでは、たとえばこんなのはどうですか? として、中道改革連合にぼくなりのアドバイスをしている。

同性婚や夫婦別姓婚を望む人に、名称よりも実質の面で道を開く「パートナーシップ制度」を打ち出してはどうでしょうか。「選択的夫婦別姓」に反対する保守層も、LGBTQなど性の多様性を認めないわけではない。
それなら「戸籍上の婚姻」はあくまで男女かつ同姓に限りつつ、税の控除などで婚姻に準じた措置が受けられる、「男・男」「女・女」「男女で別姓」のいずれも利用可能なパートナー契約の制度を別途、新たに整備してはどうでしょう。
他の西側諸国でも、法的な同性婚ができない時代に、そうしてサポートした例は多くあります。この線で与野党を超えて意見の集約を見せれば、「中道やるじゃん」「これが “真ん中” の政治だ」との評価が高まるのは、間違いありません。
『公明』2026年7月号、28頁
(段落を変更)
最後の段落で有名な例はフランスのPACSだが、同性愛でも異性愛でもどちらも使える点が大事だ。それ抜きだと、制度を利用した人は「LGBTQだと知られる」ことになり、実質的なカミングアウトの強制になってしまう。
これが、地方自治体が “意識高い” アピールで制度を作っても、いままで普及しない理由だった。延々と引き延ばされる「夫婦別姓」の問題も、Wで解決できるなら、奇貨と呼ぶべきだろう。

先日、皇位継承の問題で動画に出た際のコメント欄でも痛感したが、理屈を超えてなにがなんでも明治時代に決まったスタイルを護持したい人がいて、それは基本、宗教的な信仰と同じだから、”説得” で変えるのは難しい。
いわゆる岩盤保守層と呼ばれる人たちだが、少数派といえども3割弱は常に占め、かつ政治的にアクティブである(旧立憲の支持層と異なり、選挙で逃げ出さない)。これはもう、一種の民族問題のようなものだろう。
第三者的には不合理な慣習・奇っ怪な信念としか映らないものでも、相手に「押しつけ」さえしないなら、互いに住み分けてゆくのが多民族共存のコツだ。それができずに本気で殴りあうと、最後はウクライナになってしまう。

穏健ならぬ “過激リベラル” はこの間、そんな妥協は敗北だうおおおお! と叫び続けたが、彼らは選挙で役に立たない。見境なく殺傷兵器をSNSのケンカに持ち込み、相手に奪われ殴り返される。まさに無能な味方である。
そんな面々としっかり縁を切ることが、すっかり “蔑称” になってしまったリベラルやフェミニズムを甦らせる。「うおおおおじゃなくて、意見が違う人とも “共に生きる” 気あるんだ」。このイメチェンだけで、効果は絶大だ。

中道の執行部は幸い、そうした姿勢ではぐだぐだせず、一貫しているように見える。このままブレずに “真ん中” を進んで、両極の人たちがオワコンにしてしまったものを、取り戻してほしい。
民主主義ユースフェスティバル2026での一幕です。
本日、小川淳也代表が会場で、
参政党・神谷宗幣代表 @jinkamiya と懇談しました。立場や考え方に違いがあっても、
互いに向き合い、
言葉を交わすこと。それもまた、
民主主義にとって大切な姿勢です。中道改革連合は、… pic.twitter.com/k6tWAAdO7o
— 中道改革連合 公式 (@CRAJ2026) May 16, 2026
参考記事:


編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2026年7月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください







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