なぜ日本の人々はAIを脅威に感じていないのか

最近発表された調査で、日本の人々が他の国の人々に比べてAIを脅威に感じていないという割合が非常に高いことが話題になりました。

2025年12月9日発売の私の最新書籍である『世界のニュースを日本人は何も知らない7 フェイクだらけの時代に揺らぐ常識』でも解説しましたが、他の先進国では、AIの導入により、大手企業がかなり大胆なリストラをやっていることが話題になっており、その上、新卒の大卒の就職先が激減しており、大騒ぎになっています。

PonyWang/iStock

これは大学の専攻にも非常に大きな影響が起きていて、イギリスの場合も、まずコンピューターサイエンスの履修者が激減しています。コロナ前後から文系の履修者は、経済の悪さを反映して減ってはいたのですが、ここに来て、さらに理系の中でも理系の中でもコンピューターサイエンスが激減するという状況になっています。

その一方で、会計等経営の専攻は希望者があまりにも多いために、大学によっては定員を増やさざるを得ないような状況です。

しかし、なぜ日本と他の国ではこんなにAIに対する脅威の感覚が異なるのか、日本の方は直感的にはわからないかもしれません。

実はこれは、他の先進国で仕事をしておりますと、非常に納得できる結果であります。

まず他の国では、日本と違って、全体的に一般の人の教育レベルが驚くほど低く、家庭も教育をやる気がなく、公教育の投資も紙の上では多いのではありますが、実は学校であまりにも問題が多く、実はその費用は犯罪防止や警備費、問題を起こす制度への対応費などに使われているために、日本のように実際にその教育自体に投資されているというわけではありません。

そして、教育レベルが全体的に低い人々が社会に出ると、どうなるかというと、彼らは仕事ができません。

仕事ができないとはどういうことかというと、まずマニュアルを読んでも字が読めないので、理解できないのです。

そして、いろいろなものを覚えたり、根気よく計算をするという訓練を受けていないので、簡単な暗算ができませんし、機械を扱うにしても、どのボタンを押せばよいのかということすら覚えられません。

これは実際に、私はアメリカ、イタリア、イギリスで働いてきましたが、日本と比べますと、中等以下の人々の教育レベルや職業意識というのが、あまりにも低く、信じられないレベルなのです。

そして、そのような人々を現場で教育しようとしても、学ぶ気もありませんし、間違いを注意しても、それは差別だとか、「俺を馬鹿にしているのか」ということを言ってきて、暴力を振るわれたりするので、改善が無理なわけです。

私は長年、日本の高い品質を求めるお客様や日本側の会社と、欧州やアメリカ側、発展途上国との板挟みになり、夜も眠れないような時間を過ごしてきました。

いくら契約書で縛ろうとしても、まず彼らは契約書自体を捨ててしまいます。しかも文章を目の前に突きつけて、「ここに書いてあるから、こうやりなさい」と言っても無視をするのです。

そして、監視システムを導入して、システムで監視しながら仕事をしてもらっても無視をします。彼らはもうどうでもよいと思っているのです。

したがって、それらの国では何が起きたかというと、様々な仕事の自動化とシステム化です。

日本だけで仕事をしていると、なかなかわかりませんが、他の先進国では様々な仕事、サービス業や知識に関する部分が、かなりシステム化されています。

しかもスピードを重視しますから、既存のパッケージを買ってきて、それにプロセスを合わせてしまいます。そのようなプロセスを書き直し、検証するのが私の仕事の1つでもあります。

したがって、日本のように組織ごとにプロセスの作り込みなどを細かくやりません。とにかくスピードと仕事を回すことが重要です。

そして、システム化が進みますと、仕事をどんどん海外に投げてきました。とにかくコストを削減したいというのがありますし、海外のさらに低賃金の人々の方が、まだマシだからです。

そして、現在起きているのが、そのようなシステム化したものに、さらにAIを導入して自動化し、効率化するという作業です。

人を雇うよりもはるかに安いですし、もちろん品質は日本の基準では完璧ではありません。ただし、あくまで全く働きがなく、間違いだらけで、職場のものを盗んだり、同僚と殴り合いを始めるような人々を雇うのに比べたら、はるかにマシだということです。しかも、介護のコストもかからないのです。

私は、他の先進国の人々がAIの導入により仕事がなくなって大騒ぎしているのには、自業自得な部分があると考えています。

しかし、日本の場合は、お客様が非常に高い品質を求めるので、他の国に比べると、実は様々な業務は、それほどシステム化が進みませんでした。

また、各組織独自の仕事があったので、プロセスを標準化せず、独自のやり方のままで続けてきたため、システム化しづらかったというのもあります。

システムでコストを削減する部分を、人間の安い人件費で代替してやってきたので、日本では賃金が安いです。

しかし、今になって、それが働く人々にとっては、むしろよいほうに作用しているわけです。

つまり、システム化していないから、AIの導入も時差があり、高い品質を求められるため、AIで大体できる作業では、お客様も納得しないということです。

この流れに気がついていないのは日本人だけであります。これを日本的なガラパゴスというと、悪い風にも聞こえますし、非効率な部分もありますが、よい部分もあるということです。

ただし、日本は少子化で人不足でありますから、その部分はAIで代替して補っていく必要はあるでしょう。

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