中道・立憲・公明の頓挫と中道政治の未来への展望①:選挙制度の制約を克服できず

合流断念の背景と「統一会派」の意味

中道・立憲・公明が合流を断念することになった。たいへん残念だが、参議院の立憲民主党が前向きな話し合いをできる状況にないのだから、長い目で見たら、ここで一呼吸置くことはひとつの判断だと思う。

中道改革連合の小川淳也代表、公明党の竹谷とし子代表と会談する水岡俊一代表立憲民主党代表 立憲民主HPより 2026年2月

今週末の状況としては、立憲民主党は、①将来ともに中道には参加しない、②参議院での統一会派は維持したい、③中道の衆議院が戻ることは認めないとしている。

それに対して、公明党は解党して立憲がどうしようが関係なく中道に合流するという案もあったが、それだと衆議院だけでも公明出身議員が多数派なのに、公明党の参議院議員21人まで合流すると、7割ほどが公明議員の党になってしまうので、長続きするとは思えず断念した。

そこで、中道から公明系の議員は分党など何らかの形で分離して、おそらく新公明党のような公明党とは別の組織をいったん創立し、いずれ公明党と合流することになるだろう。かつて新進党が解党したときと同じだ。

ただ、衆議院における統一会派は野党第1会派であるために意味があるから、維持することになりそうだし、それが将来における新しい中道勢力の結集の種になる可能性がある。

また、公明党では、自民党総裁が高市さんから別の人になったからといって、ただちに連立復帰はないといっている。

今回は、まず、選挙制度から来る制約と利害調整の難しさを克服できなかった実態について解説する。

立憲の地方組織は公明の2割ほどしかいない

そもそもなぜ、最初から立憲・公明両党の合併にしなかったかといえば、選挙制度とのからみで利害調整が複雑だったからだ。まず、なにより、公明党は党員数40万人で立憲民主党は12万人。市町村議員数は公明党が2600人以上で立憲は約700人である。その一方、衆議院議員は立憲が144人で公明が23人だった。

これでは、党員投票で何かを決めようとしたら、公明党の意見が何につけても採択されるし、代表選びについてもそうである。

そして、衆議院については、小選挙区で立憲の候補に対して公明の支持者の投票はそれなりに期待できるが、立憲の支持者が公明の候補に投票してくれるかは疑わしかった。なにしろ、立憲は地域での組織が弱いので、自分たちへの支持を求められても、公明に投票してくれといっても従ってくれる有権者はあまりいないように見えた。

衆院選で崩れた「公明票上乗せ」の計算

そこで、公明党は2月の総選挙では、思い切って小選挙区での擁立をやめて、比例だけにして、28人の候補を名簿上位に並べた。なぜ28人かだが、2021年の総選挙では公明党は小選挙区9で比例が23で合計32、2024年は小選挙区が4で比例が20で合計28だった。そこで、その中間の28議席で我慢しておこうということで理に適ったものだった。

それでは、なぜ、立憲がこれを呑んだかといえば、これまで自民党候補を支持していた小選挙区で公明党が立憲候補を支持してくれたら、だいたい20~50議席ほど多く当選できそうだったからだ。

自公連立時代には、公明党が推薦を出した場合には、公明票の8~9割が自民党に投票していた。もし、同じ割合が立憲に投票してくれたら50議席ほど増えてもおかしくないが、急なことだったし、自民党議員でも特別に公明党支持者との関係が良かった候補者もいるし、フレンド票と呼ばれる、創価学会員などではないが、知り合いに頼んで投票してもらうものを動かせる時間もないから、立憲には7割くらいしか投票しないのではないかといわれており、それでも20議席くらいは増やせそうだった。

そうすると、比例区で公明は自分で20議席分の票は集められるのだから、8議席を立憲が公明党に譲っても、小選挙区で20議席だけでも増えれば十分すぎるくらいに元が取れるはずだった。

ところが、現実には小選挙区は7、比例で42(立憲分は14議席)という惨敗だった。安定した組織票をもともと持たない立憲では、前回の総選挙では比例で44だったが、仮に公明の20議席分の票はそのままとすれば、立憲の44議席分の支持者が22議席分に半減したことになる。同じように小選挙区でも立憲支持者は半減しただろうから、公明党支持層からの投票を上乗せしても惨敗は当然である。

そして来年は統一地方選挙だが、すでに説明した通り、立憲民主党の地方組織はきわめて弱体だから、現状では公明党の組織といっしょになりようがないので、競合しない選挙区で互いに推薦しあうくらいしかできない。私は、たとえば、47都道府県の都道府県議会で試験的に1人ずつ中道候補を募集してトライアルしてみてはどうかなどと提案したことがあるが、その程度だろう。

参院選で浮かぶ公明・立憲の票の構造差

さらに難しいのが再来年の参議院選挙だ。参議院選挙では、党名でも個人名でも投票できるが、立憲の場合は党名で投票することが多いが、公明は個人名で、しかも、同じようなレベルの数字にそろえることができる。

昨年の選挙で、公明党は、①平木大作 377,986票、②司隆史 341,441票、③佐々木雅文 325,345票、④原田大二郎 310,047票でここまでが当選。あとは、⑤河野義博 291,436票、⑥新妻秀規 218,999票、⑦河合綾 10,084票などと続いた。

それに対して、立憲は①蓮舫 339,311票、②岸真紀子 147,648票、③吉川沙織 116,314票、④水岡俊一 116,142票、⑤小沢雅仁 99,963票、⑥郡山玲 94,610票、⑦森裕子 92,395票までが当選だったが、公明党の最低得票当選者を上回ったのは蓮舫だけで、2位の岸真紀子でも公明党の6位に遠く及ばなかった。

こうなってくると、次期参議院選挙では比例当選者の大きな部分は公明党系になってしまいそうで、それでも当選者がよほど多くなるのなら、公明が現状維持程度で我慢すればなんとか話し合いが成立したが、当選議席数が減少した場合には公明党ばかりが当選しかねず、双方にとって満足できそうな解決策が見いだせなかったということだろう。

また、参議院の地方区では、立憲民主党の候補者がかなり尖った左派・リベラルで、公明支持者の支持を得られるか疑問もあったのだが、そのあたりも含めて、パート2で論じたい。


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