前編にあったとおり、質問原稿を作成した議員の名前を読み上げないように、とする議長からの要請をお断りし、2月議会ではこれまでどおりの方法で無事一般質問を実施することができました。
しかし今度は、佐倉市議会が発行する議会報「佐倉市議会だより」の内容を決める広報公聴委員会で、この件が問題とされる事態になりました。
これは、一歩間違えば憲法21条の表現の自由にかかわる大きな問題です。言論の府である地方議会において、このような事案が発生するとは思いもしないことでした。
なお当委員会の委員長は、佐倉市議会の最大会派「さくら会」の所属議員です。
問題とされていること
本当に驚くべき事態ですが、委員長があげた「問題」を要約すると、以下のとおりとなります。
- 無会派3名が実施した一般質問のタイトル数が多すぎて、「議会だより」の紙面を圧迫することは問題だ
- 無会派議員3名の一般質問の原稿に、質問を執筆した議員の名前を入れることは慣例に反するので禁止したい
まず、「1.」の「タイトル数問題」は、驚くべき言いがかりです。今回私たち3名が実施した一般質問の通告、つまりタイトル数は9個でした。過去、まさにさくら会は何度となく8個のタイトルで代表質問を実施しています。8はいいけど9はダメ、とする理由はいったいなんでしょうか?さらに、何度も申し述べている通り、「コロナ下短縮議会」における特別措置として、3名の質問を一括しているという前提があります。つまり、人数割りの単純計算で一人3つのタイトルの質問です。これのどこが問題なのでしょう?実際、本件はあまりに稚拙な立論だったからか、議会事務局から「問題なし」というコメントが出たため、委員長はあっさり取り下げました。
次に、「2.」の「質問を執筆した議員の名前を書くことを禁止する」とする件。これは、言論封殺という意味でより深刻です。
全回の記事のとおり、「コロナ下短縮議会」において、「30分の時間枠の中で、3名の議員の質問をまとめて代表1名が読み上げてください」ということになったという経緯があります。
その意味で、直近過去二回、まったく問題なく「ここからは●●議員の質問です」と議場で発言していたし、議会だよりの原稿にもそのように反映していました。
今回の議会から、いったい何が変わったのでしょうか?
考えられるのは、私が配布した議会報告書に対する報復措置です。
佐倉市議会多数派が仕掛けた「ある指定管理者の否決」
私の議会報告書は、まさに直近の「議会だより」と同じ本年2月1日に新聞折り込みとして佐倉市全域に配布されました。内容は、市が実施した「指定管理者の入札事案」に、佐倉市議会の多数会派が仕掛けた「不可解な否決」に対する批判でした。
詳細は割愛しますが、「草ぶえの丘」という名のレクリエーション施設の指定管理者選定審査において、2016年と昨年2020年の2回、ある業者が落札できなかった審査結果を、佐倉市議会の多数派が「否決」した事案に関する批判記事でした。
その問題については、私の記事に詳しいので興味のある方はぜひご一読ください。1万文字を超える原稿のため、お読みいただく場合は少々気合が必要です。
前編:草ぶえの丘等指定管理者の「否決」からひも解く「佐倉市議会という病」
私が一つ前の記事で、あまりに圧倒的な力を持つ会派が存在する地方議会においては「議会による行政監視機能の麻痺」が発生し、皆さまが収めた市税を無駄にする議決の数々につながる、と申し述べたのは、このような事例が念頭にあるからです。
議会だよりの行方
佐倉市議会で発生した「質問作成議員の名前をめぐる事案」について書けるのは、今のところここまでです。あと一か月以上経過すると、私が先に説明した広報公聴委員会でなした反論が、議事録として公開されるでしょう。それでは、遅すぎます。
私がことあるごとに「委員会等の議論の動画公開が必要だ」という意見を表明しているのは、まさにこのようなケースが発生したときです。そうでなければ、市民による議会のチェック機能が働かない。つまり、長年動画公開にかたくなに反対している佐倉市の多数会派議員たちは、「市民による議会のチェック機能が働かない」状態を永続させたいわけです。
さくら会をはじめとする「動画公開に反対」している議員が言うのは、費用対効果です。日ごろ、あまり見られていない議会の動画を公開しても、かかる費用に対する効果が低い、というわけです。
文字数の都合上費用面についてのみ述べますが、YouTubeなどのプラットフォームが利用できる現在では「費用はほとんどかからない」とだけ言っておきましょう。その証明も、すでに2年前の文章で実例をあげて完了しています。
市議会議員の本気の討議「各種委員会」の動画公開が急がれる、という話
決戦は月末水曜日
「質問作成議員の名前事案」は、次回の広報公聴委員会開催日の3月31日水曜日午前10時からの会議で、おそらく多数決により決定されます。
広報公聴委員会は傍聴可能ですので、もし佐倉市役所まで来ることができる方がおられましたら、ぜひお越しください。なお、通常は委員会そのものを傍聴いただけるのですが、今回は「コロナ下議会」ということで、おそらく音声のみの傍聴となってしまうことを予めお知らせいたします。メディア関係者も、ふるって取材にお越しください。大歓迎です。取材いただけるようでしたら、私を含む無会派議員3名は喜んでお受けします。
くしくも、次の佐倉市議会だよりは記念すべき100号。委員を務める私の提案で、100号記念の特集が組まれる予定です。
このような折に、地方議会の言論に関する問題提起ができることは、前向きに考えれば光栄なのかもしれません。
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無会派議員の不安定な立場と度重なる「要請」:佐倉市議会問題①はこちら
質問作成議員の名前をめぐる事案の発生:佐倉市議会問題②はこちら