立共野合を砕いた健全な国民感覚で憲法改正の推進を

自民党オフィシャルページより

後講釈を承知でいうなら、野合と呼ぶに相応しい立憲民主党と共産党の選挙目当てにしか見えない共闘が、自民党を嫌う以上に共産党を嫌う人々の立憲離れを生み、それらの票が日本維新の会に流れることの予感はあった。維新なかりせばその票の多くは国民民主党に流れていただろう。

今回の選挙結果が語る他の一つは、立共合作とも称された左派野党の共闘が小選挙区制の特徴を際立たせたことではあるまいか。横須賀市在住の知人は「選択肢が進次郎と共産党じゃなあ」と嘆じたが、だからこそ辻元清美をただの人にしもした。つまり人物本位の結果が出易いということ。

ただし自民は、単独過半数が取れるかどうか危ぶまれた事前予想からは議席を伸ばしたものの、数を減らしたには違いない。しからば自民党が何を反省し、何をしなければならないかといえば、それが憲法改正の推進であることは、立共が議席を減らし、維新と民民が伸ばしたのを見れば自明だ。

ぎりぎり踏ん張った自民や維新の躍進に加え、国民民主も議席を増やしたことで、改憲に慎重な公明を除いても、改憲に前向きな勢力が311議席を占めた。衆議院の全議席数は465、つまり311議席は改憲の発議に必要な3分の2議席(310/465)を図ったように1議席越える。

維新の吉村大阪市長のコロナ対策が評価されたことは確かだろう。専門家も理由の判らないコロナ患者の増減が為政者の支持率に影響するのは世界共通の傾向だ。人知を超えたこの新しい流行病がそれを弁えて、総選挙のタイミングに日本のコロナ患者を急減させるという配剤をしたのかも知れぬ。

ここ最近の世界共通の傾向といえば、戦狼外交をますます激化させている、習近平率いる中国共産党の一党独裁体制への忌避がある。米国は共和党トランプ政権から民主党バイデン政権に代わっても、議会の後押しもあって今のところ対中強硬策を継続し、英連邦諸国もこれに倣う。

一帯一路を軸にした経済面での繋がりからこれまで中国と緊密だったEUでも、一つには一帯一路の経済効果が期待したほどには上がらないことや、何より香港への国家安全法適用新疆ウイグル自治区でのジェノサイド露見などが、人権に敏感なこの地域での中国忌避を増幅させた。

【参考拙稿】
孤立へ向け暴走する習近平の中国共産党、「香港国家安全法」施行で
ウイグル漏洩文書とは?中国は新彊ウイグルでの人権弾圧をやめよ!

EUと中国との投資協定の棚上げや台湾との連携強化はその具体例だ。特に中東欧諸国の中国離れと台湾との緊密化は、経済面に限らず政府高官の相互訪問やワクチンの供与などの政治や健康福祉の方面にも及ぶが、この地域で共産ソ連の苛政が身に沁みていればこそのことでもある。

今回の選挙で立憲は共産党と組むという「禁断の果実」あるいは「毒饅頭」を食らった。枝野は弁護士らしく「閣外協力」を「閣外からの協力」などと、「口入れても飲み込まないから、いつでも吐き出せる」というような詭弁を弄する。が、一度口にした毒は全身に回り、徐々に身体を侵す

【参考拙稿】
習近平が訪問した湘江で93年前に何が起こったのか(前後編)

20年1月の台湾総統選びで、当初苦戦を伝えられた民進党蔡英文が圧勝したのは、19年春からの香港での逃亡犯条例改正案に反対する大規模デモと、北京の意を受けてそれを弾圧するキャリー・ラム香港政府への嫌悪が、明日は我が身と感じた台湾人を突き動かした結果だった。

【参考拙稿】
台湾総統選は蔡英文の圧勝!立法委員選も民進党が過半数を確保か

国際社会は、香港デモ1周年の前日に国家安全法を適用した北京が香港を無力化するのを目の当たりにした。共産中国がこの100年、チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど非漢族の弾圧のみならず、大躍進や文革などで数千万人の自国民の虐殺してきた歴史は世界の人々の多くが知るところだ。

【参考拙稿】
習近平の共産中国は「本卦還りの三つ子」

レーニンやスターリン時代の共産ソ連で起きたことや、ポル・ポトのカンボジアで共産党政権が何をしてきたのかを周知させたのも習近平の負の貢献の一つだ。チェコの総選挙で共産党と社会党の議席が消滅したことも習近平の戦狼外交のお陰といって過言でなかろう。

【参考拙稿】
共産党と社会党が議席喪失:見習うべきチェコの総選挙

今回の日本人の投票行動は台湾やチェコのそれと通底するが、その絶妙なバランス感覚が果たして憲法改正にも発揮されるかどうかという問題が残る。だが、日本に向けていると思しき530余の地上配備型中距離ミサイル発射装置を持つ北京の恫喝は、そうした躊躇を許さないところまで来ている。

憲法への自衛隊明記ですら、足腰が弱って寝たきりになるのを防ぐべく「明日から毎日一万歩歩こう」と日記に書くに過ぎない。敵基地攻撃能力を持っても万歩歩きを始めた程度のこと。原発では想定外を想定せよなどという輩に限って防衛力強化に無頓着だが、強固な抑止力なしに国は守れない。

今般の選挙結果は、多くの国民が無意識ではあるにせよ憲法への自衛隊明記や男子男系の皇統維持を望んでいることを物語る。引っ込み思案な日本国民は背中を押されるのを待っている。311議席の憲法改正推進勢力には、縷説した天の配剤を利用して、憲法改正に一気呵成に舵を切ってもらいたい。