前回の記事から、この記事を執筆している9月15日までの間に、佐倉市の持ち家手当は2回新聞報道されました。佐倉市のゴミの山問題に引き続き、アゴラで記事が公開されたことでメディアに取り上げられた事例となりました。改めて、アゴラの媒体力を思い知ったところです。
今回の記事では、前回に引き続き地方公務員の手当の論点整理をと思っておりましたが、新聞報道の解説とからめて、これまでの審議の経過を紹介することにいたします。
(前回:佐倉市職員の「持ち家手当」復活条例とその周辺の課題③)
朝日新聞と千葉日報による報道
以下が、本件に関する二つの新聞報道です。
朝日新聞の記事は、本案が総務常任委員会に付託された週の9月10日に掲載されました。
そのため、記事は付託時質疑の内容を踏まえたものになっていますので、記事と質疑動画を見比べていただくと内容が立体的に理解いただけるものと思います。佐倉市の場合、「本会議」と呼ばれる会議体だけは議会公式サイトに動画公開されます。これを観れば、どの議員がどのような疑問をもって議案に向き合っているかがわかります。該当部分はほんの数分です。
佐倉市議会公式サイト:本会議録画【1分10秒経過から質疑開始】
一方、千葉日報では、本案が審議された総務常任委員会があった翌日の9月13日に掲載されました。
そのため、記事では総務常任委員会で議論された主たる意見の概要が書かれています。しかし、その審議の詳細を動画で確認いただくことはできません。その理由は、アゴラで連載中の「恥ずかしい佐倉市議会」で再三申し上げてきたとおり、佐倉市議会の最大会派であるさくら会等が頑なに委員会等の動画公開を拒み続けているからです。
今回の委員会審議では、さくら会所属議員が、本案の効果で「市職員の市内居住が1割促進されたら」という夢物語を前提に、何千万もの税収アップが見込まれる、嗚呼素晴らしい、という掛け合いを執行部としていました。動画でぜひご覧に入れたかった・・。
千葉日報の記事に戻ると、この記事では総務省からとても重要なコメントをとっていることに気づかされます。有料部分なので引用は少々気が引けますが、記事には総務省の担当者が、佐倉市で条例が制定されれば「廃止を基本とした見直し」の助言を示唆した、とあります。
総務常任委員会では、本案は委員6名中3名が賛成、3名が反対で賛否同数となり、結果委員長が賛成にまわったため「委員会可決」されました。
本案に賛成したのはさくら会所属議員2名、自由民主佐倉所属議員1名であり、委員長は公明党の議員です。
つまり、国政では政権与党である自民党と公明党が、国の「廃止の方針」に逆らって賛成をしたことが改めて明確になったことになります。
自民党や公明党の本部が、この事態をどう考えるのか興味深いところです。
次回からは、いよいよ佐倉市職員向け持ち家手当の問題点について詳述していきます。
(次回に続く)
【関連記事】
・佐倉市職員の「持ち家手当」復活条例とその周辺の課題①
・佐倉市職員の「持ち家手当」復活条例とその周辺の課題②
・佐倉市職員の「持ち家手当」復活条例とその周辺の課題③