(前回:佐倉市草ぶえの丘の指定管理者選定問題⑤:仕様の審議手法と佐倉市議会の分類)
草ぶえの丘の指定管理者制度の「選定仕様の可否」に関する審議は、本年2024年の3月21日に行われた佐倉市の予算審査特別委員会で行われました。
まず、前提をお伝えしておくと、「選定仕様」とはいえ、この段階で委員会に仕様書が配布されるわけではありません。
伝えられているのは、今回の選定条件の中で特に特徴的な部分である「指定期間を5年から10年に延長すること」、「佐倉市から指定管理者に払う年間費用の上限額を6800万円から1億円に増額すること」、「草ぶえの丘の近くにあるオートキャンプ場であるサンセットヒルズを、草ぶえの丘の選定枠から分離すること」などでした。
前回にも掲載しましたが、本件の審議のうち「草ぶえの丘の指定管理」に係るすべての審議議事録と、本審議にあたって執行部から配布された公開資料を以下にまとめました。
2024年度(令和6年度) 佐倉市当初予算審議 草ぶえの丘の指定管理に関する審議抜粋
「さくら会等議員団」の審議
この議事録をみると奇妙なことに気づきます。
私が再三申し上げているとおり、佐倉市議会は、
・さくら会
・公明党
・自由民主さくら
の3会派合計18名が、過去6年にわたり、市長提出議案を「すべて同じ賛否」で揃えることで議決権を独占し、強大な権力を持つ市議会です。
決算特別委員会も、総勢12名中、
さくら会:4人
公明党:2人
自由民主さくら:2名
の8名が上記3会派に占められています。
一方、「それ以外」の議員は、
参政党:1名
共産党:1名
市民ネットワーク:1名
と、政党に所属していない私の4名です。
しかし、委員総勢12名中半分の6名を占めるさくら会と公明党の委員たちは、草ぶえの丘指定管理者問題については一切質問していません。
また、「さくら会等議員団」に属する自由民主さくらの2人の議員は、ともに草ぶえの丘について質問をしていますが、齋藤議員は、同施設を「儲ける施設にしてほしい」とか「小学校等の利用を増やす意思はないか」のみで、大幅な仕様変更については触れていません。
もう一人の橋岡議員は、仕様変更に係るサウンディング調査や、指定管理期間10年間の予算配分について質問していますが、過去2度にわたって本議案が「彼らによって」否決された案件にもかかわらず、彼らが否決理由とした「問題の核心」にふれる質問にはなっていません。
なお、本審議の結果、「さくら会等議員団」の皆さまは、すべて本議案を含む予算案に賛成していますから、彼らは草ぶえの丘の指定管理の仕様の大改変については、ほぼ審議する必要のない議案であると判断したことになります。
繰り返しになりますが、本件に関する過去二回の否決は、彼らが中心になされたものでした。その結果、推計で2億円以上の「税金の無駄」が発生した事案であるにもかかわらず、実に奇妙な振る舞いです。
「その他の議員」の審議
「その他の議員」の中で、共産党選出の委員も、本件について一切質問していないことがわかります。共産党の立場は、指定管理のような民間活用をする議案にはすべて反対の立場ですから、そもそも反対する議案に対して審議する必要性を感じなかったものと推察されます。
次回は、「その他議員」のうち、参政党の三井議員、市民ネットワークの五十嵐議員、そして私の3名の質問について解説します。
(次回につづく)
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