トランプ政権が発足しましたが、政権発足後に急速にされつつある政策に対して、欧州では第二次世界大戦後のアメリカと欧州の関係が完全に崩壊したという見方が有力です。
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dem10/iStock
これまでアメリカは、欧州に莫大な軍事支援を行ってきましたが、トランプ政権はこれ以上負担したくはないという方向です。
日本と同じく欧州も、アメリカが軍事を担当することで防衛費を削減することが可能でした。
削減した費用は、欧州の手厚い福祉や経済に回されてきたのです。
実はそのような負担をアメリカがする事は、これまで議論されてこなかったわけではなく、かなり不満に感じているアメリカの納税者が少なくなかったのです。
トランプ政権の決定に対して、少なからぬアメリカの有権者は、欧州の人々のライフスタイルがいかにゆったりしていて、怠惰であるかと言うことを、ネットでかなり厳しく批判しています。
恵まれた福祉、政府がお抱えの医療や教育、労働者の権利の強さ、長々としたランチの時間や長い休暇です。
実際はアメリカの人たちが想像するほど欧州の生活は恵まれているわけではないのですが、多くの事柄が自己責任で民営であるアメリカに比べると、欧州の様々な制度は公費で賄う部分が多いのも事実です。
欧州の人々は、もともとイギリスの植民地であったアメリカを、粗野でお金だけはある成金の従兄弟のような感覚で扱ってきました。
アメリカのお金は求めるが、とくに尊敬しているわけでもなく、自分達よりも文化やセンスが劣っているというふうに見てきたのです。
外交やビジネスでもそのような意識は垣間見ることができますし、普段の生活でも欧州ではアメリカ人の悪口を生きがいにしているような人々が多くいます。
ところが、ビジネス資金や安全保障はアメリカに頼り切ってきたわけですから、当然のことながらアメリカ側は不満だらけです。
しかし、欧州はアメリカにとって重要なパートナーでありますから、これまでアメリカはそのような負担を厭わなかったわけですが、ここに来て関係が決裂するような厳しい要求を突きつけているわけです。
欧州はここまで厳しい要求をされるとは予想していなかったので、政治はかなり混乱しています。
今後何がどうなっていくのかも予想がつかないのです。
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