先ずは薪ストーブの煙害被害に関する新着のサイトを紹介しておきたい。
筆者の纏まりの無い散文論考に比して同サイトは科学的知見に基づいて詳説されているので、特に煙害被害者はご覧になることを強く推奨する。
また、掲示板もあるので意見交換など有意義かつ建設的議論に節度を以て活用されることを希望する。
但し、くれぐれも匿名を笠に着て暴言を吐き散らす等の醜い場外乱闘の場にしないよう、筆者が見分してきた中で特に大きく危惧される点について前もって言っておきたい。
また、アゴラ編集部には余計なご負担になってしまうのが大変心苦しい点を前もってお詫びしつつ、薪ストーブによる煙害被害者(他種被害系の方はご遠慮頂きたい)で、何らかの事情で筆者に連絡をご希望の方が居られれば、アゴラ編集部迄、問い合わせを頂ければと思う。
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合法行為による公害に対策を
筆者は今まで「怒りの心情」をできる限り抑制して論考を上げてきたが、(今回限りで)人並みに怒りを爆発させても良いだろうと思う。被害者にも一定の節度と良識の範囲内で「ものを言う、主張する権利」がある。
そのようなわけで「散文で心情を入れ」単なる薪ストーブ煙害被害者視点での想いを記しておこう。
薪ストーブを厳規制せよ、という主張に至る心情を記録しておきたい。
他の声なき多くの煙害被害者諸氏も、似たような心情になっているであろうことは想像に難くない。
他者の薪ストーブから出る煤煙によって健康被害を受け、生活自体を破綻させるような状況に追い込まれている隣人たちの怒りの心情は、筆者は我が事のように理解している。
筆者が強く言っておきたいことは「薪ストーブ煙害被害者たちの激しい怒りは既にピークに達している」という点である。
法規制が無い為に、他人の使用する薪ストーブの煙で健康を害され、実際に困惑している人がいる。
ものを言わぬ沈黙し我慢させられている爆発寸前の被害者が各地に多数存在する。
筆者のブログには既に数百もの悲痛な声が届いている。
但しそれらの多くは個人情報や相談などが多く含まれており、紹介できないのは残念ではある。
各地の自治体首長や議会議員諸氏に強く申し上げておく。
身近な生活環境の保全、きれいな空気の維持についてこの問題に取り組むことを強く要請する。
個人の財産権が他者の健康権を踏み台にして保護されている、SDGsに真っ向から反する理不尽な事実を敢えて指摘しておく。
それと並び強く指摘しておきたいのは、薪ストーブ業界団体の不誠実ぶりであるが、これは稿を改めることにする。
被害者の怒り
薪ストーブを焚いている僅か数軒の家屋の身勝手な自己満足のために、周辺は酷い大気汚染状態になる。
特に夜間は強烈な悪臭が充満することが多い。
欧米基準をクリア(しかし認証試験の不適切性は判明済)した高級薪ストーブだというが、
乾燥した薪だというが、それが詭弁だということがよく分かる。
そこに積まれているのは「間伐材のきれいな薪」ではなく造園廃棄物が主体。
温度が上がれば煙も臭気も消えてくる、煙も上昇すると言うが、いつまでも、空が霞むほど煙は出続け、臭気も薄くならない。
煙は上昇せず横になびき、風任せに周辺家屋に向かう。
薪ストーブ製造販売施工業者や使用者の言っていることは全て科学的には嘘だと、被害に遭い数年間で学んだ。
10月から5月までの8か月間が大気汚染の季節。
元々せっかく空気が清浄な場所なのに燃焼臭と煤煙を近隣じゅうに平然とまき散らす。
たった数軒の満足のために、近隣住民の多くが怒りを貯めて我慢をしている。
気体というものは気密の良いサッシでも、どんな隙間からでも侵入する。犬のような鋭い嗅覚の神経質でなくても、臭いものは臭い。
夜中に息苦しくなって目覚めると、家の中であの悪臭。喘息は発作を繰り返して酷くなって処置が間に合わないと、死にます。冗談抜きで。
近隣の放出する有害排気の舞う中に居るから根本的解決はできない。ほぼ毎年毎日この苦痛が続くのです。頭痛や吐き気も続きます。
薪ストーブが焚かれる以前はそんなことは全くなかった。
夜中にこっそりと薪ストーブを焚いてみても、絶対に煙と臭いはごまかせない。異臭が充満している。
強烈な悪臭が漂ってくる。家の中にいても解る。
夜や雨天だから遠慮なく焚いて問題ない、という思考回路自体が間違っている。
迷惑かどうかを判断するのは、多くの周囲の側。
問題を起こしている発生源である薪ストーブ家屋ではない。
迷惑を掛けておいて、問題を起こしておいて、迷惑になんかなっていない、問題は無いと言い放つ無責任無神経。
既にお互いさまの域を越えている。
どうして、薪ストーブを使う人たちは、こんなにも自分勝手なのだろうか。
穏やかで温和な、というイメージとは正反対。実際はおっかなくて乱暴で傲慢。
薪ストーブは環境にやさしいとか言われているけれど嘘、その猛煙は何だ。近隣の住民には全然やさしくない一方的な暴力装置。
住宅地の中で薪ストーブで迷惑を掛けて知らん顔の人たちはこれだと思う。
・他人に対して無関心(近所迷惑を顧みる脳が無い)
・ルールに従わない(社会の基本的マナーを守れない)
・傲慢(極度の自己中心、周囲に我慢を強いて自分は我慢しない)
・たくさん嘘をつく(無害で臭くないと言い張る)
・人をだます(高級機と乾いた薪なので臭くないと虚言)
・行動にともなう結果をかえりみない(何十軒もが迷惑している)
・怒りっぽい(お互いさま等と論点をすり替えて逆切れする)
それにしても排煙。薪ストーブだけは何故か規制する法が無い脱法地帯。
既設のものも含め遡及してまでも法律や条例を整備して規制しないと意味が無い。
連続反復継続的に空気を汚すものを常時稼働させているのだから、当然厳しく規制すべきであり、それが常識的判断であり社会正義である。
「工業由来ではないから規制対象外」とか寝ぼけた事を言っているお役所に対して、その片手落ち、矛盾を敢えて指摘反論しておく。
工業由来ではない植物(落ち葉、野菜残渣、間伐、伐採枝葉等)の野焼きに関しても有害物質排出の懸念が有るとし、環境保全の立場から問題視し平成13年には法令ができて(まだ実効性不足ではあるが)規制が始まっている。
燃やしているものは薪だって同じ自然素材の植物。
自然素材を燃やしたって有害物質は発生するのはこの段階で認めているのに、なぜ薪ストーブという形の「屋内焼却炉」だけは規制ができないのか、しないのか。
しかも建築廃材や造園廃棄物が実際に薪ストーブの燃料として使われている実態は誰も指摘しない不思議。
お役所は薪ストーブ関連業界の話(あるいは圧力?)を鵜呑みにしているから「規制せず」なのでしょうね、間違いなく。それはどう考えても理不尽なこと。
「調理の排煙と同じだから規制不可」と言われているが薪ストーブの排煙は調理臭気とは違う。それに調理は一時的なものだから許容できるが、薪ストーブは長期間連続排煙だ。
その段階で受忍限度を越えている。火鉢と同じという詭弁主張も聞こえるが、その主張は明らかに間違っている。木炭を使う火鉢には煙突は無い。
東京都が石原慎太郎の一声で古いディーゼル車を排除したように、既設の既に迷惑発煙を行っている薪ストーブに対しての規制も理論上は可能のはずだ。なぜ俎上に上げないのか?
できない、やる気が無い=おっかない業界団体が役所に圧力を掛けている、としか思えないが。
また業界にとって不味い裏事情も有るのだが、これも稿を改めよう。
そもそも、欧米では既に木材燃焼、薪ストーブそのもの自体が問題視され「やめよう或いは禁止」というケースも実際に出てきているくらい、大きく問題視されているのだ。
EU域では大気汚染対策として薪ストーブや暖炉等の木材燃焼器具を原則禁止すべく2027年に向けて本格的議論が始まっているし、オランダのユトレヒトでは2030年に禁止が決定している。それくらい薪ストーブは人体に有害だということ。
しかしそれを知らなかったような顔をして、日本のメーカーや販売店はそれでも平然と言う。
「欧米基準クリアだから」とまるで「つくる責任つかう責任」が全く感じられない。
木を切って燃やすことは、何れにしてもエコではない。子供でも解ること。
木を有効利用するということは、燃やすことではない。
まず建材や家具、木工品等の材料として使うこと。
そして粉砕したものは集積材の材料にすること。
最後に、どうしようもないものを、やむを得なく処分する方法は、自然の中に還してゆっくりと分解させること。
燃やす有効利用は最後の最後。即ち彼らが振り回す定番言い訳「炭素中立」を逆手に取れば、エネルギー政策のために廃木材は全て強制的に回収しバイオマス発電所で使用すべきだろう。
木材燃焼炭素中立に関する詭弁を指摘しておこう。
CO2の増加無しという詭弁について、樹木が成長して蓄えた量と樹木を燃やして出た量は+−ゼロだから、と言うが、しかし樹木の成長によって吸引固定しCO2の由来は、実は18世紀以降においては化石燃料由来のものが圧倒的に多いはずだ。となると、元々は化石燃料由来の大量のCO2をもせっかく蓄え固定化したはずの樹木を、人間の刹那的な快楽のために燃やすことによって、化石燃料由来のCO2が再び急速大量に大気中に開放されるという事だ。
詭弁であると指摘する最大の理由は、燃やす人たちは環境のことなど心にも無くまず「燃やすことありき」であって、時間軸で考えていないということ。
「放置してもどうせ腐って二酸化炭素を放出するのだから、だったら燃やして使おう、どっちにしても同じことだ」という荒唐無稽極まりない言い訳の炭素中立を後付けで振り回しているだけだ。
本来、植物が寿命を迎え朽ちてゆく速度=分解しガスや物質を大気中に放散する速度は、きわめてゆっくり。
それを他の植物がゆっくりと吸収してゆく、このスローで自然な循環だけが本来のエコであり、人間が介在し意図的に燃焼させる速度は、自然界の吸収速度よりも圧倒的に速く、それは断じてエコとは言えない。
大気中に放出され、植物が吸収しきれない物質は大気中にそのまま長期間浮遊する。
何十年かかっCO22を吸収して育った樹木を、たかだか数日、数時間で燃やしてしまう。
何十年ぶんのCO2を数時間で大気中に、微粒子や有害物質と共に開放してしまう。都合、大気中のCO2やその他有害物質は時間単位でみれば、みかけ上、増加する。
CO2は長寿命の気候変動寄与物質であって、一旦大気中に放出されたらその同量の回収は数十年から数百年を要する。
燃やす速度以上のCO2や燃焼発生物質を吸収できる植物を大量に、並行して植林しても計算上は+−ゼロにはならず一方的に指数関数的に増加するだけです。
彼らの言う「カーボンニュートラル、オフセット」は詭弁です。
欧州ではバイオマス燃焼は既にクリーンエネルギーから除外されています。
北極圏の雪原で見つかっている解氷効果の大きな大気汚染物質BlackCarbonは、欧州のバイオマス燃焼増加が由来とさえ指摘されています。
また、欧州では具体的定量化した科学的根拠提示の無い「エコ・グリーン」という範疇の文言を使ってプロモーションすることが禁止された。つまり欧州で薪ストーブを「エコで炭素中立で健康にも良い」と宣伝することは既に違法行為となっています。
しかし日本ではこれを一切規制することなく、科学的医学的虚偽である「木材燃焼無害宣伝」が横行している。
バイオマス炭素中立など、そもそも成立していない理論。
そして大気汚染の3大要因とは、ディーゼルエンジン、石炭、木材燃焼です。
しかしディーゼルエンジンと石炭を燃料とする日本で運用される機器には、高度な排気浄化装置が装備されているので汚染物質はほぼカットされ排出されている。しかし一般家庭やそのへんの事業所の薪ストーブや薪ボイラなどは「そのまま垂れ流し」だ。
バイオマス炭素中立は発電用途限定であって、薪ストーブ業界や農林関係者は自己の利益のためにフリーライドし販促のために悪用しているのが実態です。苦情を受けても「合法で炭素中立だ」と撥ねつけるための方便でもある。
はっきり言っておく。林業関係者や造園関係者が薪ストーブを勧めるのは彼らがその後で自動的に儲かるしくみになっているからです。
今までお金を払って産業廃棄物として棄てていた伐採樹木枝葉等や建築廃材など、これを切り刻んで薪として売れば彼らの半永久的長期間にわたる安定的な収入になる、又は伐採した樹木や廃材を薪としてタダで配ることで、彼らは産廃処理費用を払わずに処分できる、というカラクリなのだ。
ある工務店では「うちで建ててくれれば薪ストーブ用に廃材を提供し続けます」と言っている例も見聞した。
廃掃法の抜け道に薪ストーブが巧みに悪用されている訳です。
露骨にいえば「ゴミがカネになる」そういうことです。だからエコエコと必死になって煽り行政まで担ぎ上げてブームを起こしたのです。実に解りやすい簡単な仕掛けだったわけです。
廃棄パレット。切り刻まれ薪ストーブで燃やされる。
更には欧米の木材燃焼器具(薪ストーブ規制や禁止の進展)で売れなくなってきた薪ストーブを、ブームに乗りやすく欧米信仰の強い日本人に売りつけるしくみや組織を作り、そこで世界の流れに逆らうように住環境大気汚染を官民協同で推進するわけです。
苦情を無視し「迷惑をかけていない」と自分に都合よく思い込んでいる薪スト家屋。
それを煽りたてる薪ストーブ業者や薪販売業者、造園業者、建築業者、設計士、各メディア等。
対し、被害者たちは組織も無く声をあげることすらできないのだ。
薪ストーブ使用者や販売者・薪販売者側からの論理でのみ語られているわけで、被害者の声にはまったく耳を傾けていない。
「二次燃焼室や触媒が付いているから臭くも煙くもないはず」とか、
「周囲に迷惑を掛けることは滅多に無い」とか、
「多少の臭いは大丈夫」とか、
「乾燥した薪なら臭いや煙は出ない」とか、
「欧米の高級機種で完全燃焼するから煙や臭いは出ない」とか、
「CO2削減になりますよ」とか、
「遠赤外線で芯から温まるよ」とか、
果ては「良いにおいだから文句言うな」と延々と自分勝手な事を言う。
炎を見て安らぐとかうそぶいているけれども、そんな温厚とは正反対。
被害者たちがはっきりものを言えないのは、
「規制する法律や条例が無いから、強気のやりたい放題。苦情を言ったら逆切れ恫喝される」
「周囲が困り、或いは健康を害していて、我慢させられている」
「近所付き合いを慮って、苦情を言い出せずやむなく我慢」
「苦情を言ったら理不尽な報復や恫喝されそうで怖いから我慢」(これが一番多いでしょう)
・・・という事情によります。
テレビや書籍では伝わらない、煤煙臭気、大気汚染の問題を販売者は大きく明記しなさい。
「臭くて煙くて有害物質が一杯出ます、他人に対し健康被害を与える上に、近所迷惑になるものなので、他に人家が見当たらないような山奥の一軒家でどうぞ」と業界として表明しなさい。
法律や条例が無いからといって、
権利の上にあぐらをかかないでください。それは傲慢というものです。あなたたちの行為が、
他人の「快適な環境と健康な生活をする」権利を侵害していることを自覚してください。
あなたたちは自分の満足のために権利を濫用し周囲に一方的に我慢と苦痛と健康被害を強いているのです。
迷惑の原因を作り出しているのは薪ストーブユーザーであって周辺の住民ではありません。
原因発生者がきちんと深く反省し謝罪をしなくてはいけません。
そこでもし薪ストーブ使用者が居丈高な態度をとれば、「住宅地で薪ストーブをやるような人は皆この程度の酷い人間」
と自らと同好者の酷さという印象操作を自ら行うことになります。
勝手な権利の行使には、相応以上の義務や負担、重い責任を伴い、
いずれ大きな代償を払うことになります。
お金を掛けてしまったから、憧れだったから使いたい、というのはあなた個人の勝手な理由でしかありません。
迷惑を掛けても良いと正当化する合理的な理由にはなり得ません。
周囲の理解を充分に得ずに設置使用してしまったあなたが悪いのです。
周囲だってそれ以上のお金を掛けてマイホームを手に入れて住んでいるのです。
その人たちの平穏快適に生活する権利を問答無用に蹂躙侵害していることを猛省しなさい。
他人の健康を害し何らかの症状を引き起こす原因となる行為を続けるのであれば、他人を苦しめてまで燃やし続けるその神経は強い反社会性を帯びています。
そして、本人たちはおしゃれなセレブ生活と思っているかもしれないが、
「本物のセレブ」だったら、こんな近所迷惑なことは絶対にしません。
セレブは大声を出したりチェンソーや草刈機を振り回して空ブカシして威嚇しません。
他人に強制的に苦痛を与えておいて、その苦痛の上に自分たちは快楽を得ておきながら、
僅かでも心が痛まないのが、全くもって理解できない。
これ以上、安易にブームに乗っておしゃれ感覚の軽い気持ちで街中に(実質)廃棄物焼却炉を増やさないでほしい。
基本的に迷惑なことをしている認識自覚をして猛省してほしい。
特に設計士、建築士、設置業者、こんなものを安易に勧めないでくれ。
「法律には違反していないから何をやってもよい。」
その狼藉を薪ストーブ業界と使用者が傍若無人に実行しているのが現状です。
恥ずかしいと思わないのだろか?
彼らの振り回す財産権に基づく合法な隣人加害行為は隣人たちの健康権を蹂躙してやまない。そのツールが薪ストーブです。
この問題に関心をもって下さい。
もっと足元の、住民の良好で快適な生活環境を守るという「基本的で身近な環境問題」にも、きちんと向き合って下さい。これも議員・首長・大臣の本来の仕事です。
編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2025年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。