アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。
政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!
言論アリーナ
今年は戦後80年ですが、天皇や夫婦別姓など積み残した小さな問題が、いまだに片づかない。この背景には、社会を「家」のイメージで見る日本人の習性があるのではないでしょうか。
新刊「江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす」の著者で、評論家の與那覇潤さんにお話を伺いました。
政治・経済・社会保障
石破首相が「日本の財政はギリシャより悪い」と発言し、国内外で波紋を呼びました。長期国債の売りや金利上昇が起こり、識者からは比較の不適切さや市場不安を招くリスクが指摘されています。通貨主権の有無よりも「政府への信頼」が財政の持続性を左右するとの見解が強調されています。
石破首相「日本の財政はギリシャより悪い」が国内外に大きな波紋を広げる(アゴラ編集部)
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石破首相の「日本の財政はギリシャより悪い」発言に対し、専門家らは債務の大きさだけでなく金利や経済基盤、通貨主権の違いを考慮すべきと批判。日本は現時点で信認があり財政運営は可能ですが、将来的な金利上昇や社会保障負担増が大きなリスクだと指摘されています。
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参院選を前に、筆者はすべての政党が「減税ポピュリズム」やバラマキ政策に偏り、財政破綻への対策を示していないと批判しています。AIに試算させた結果、れいわ・参政党は15〜17年で財政破綻に至る恐れがあり、維新の会が最もリスクが低いとされました。社会保障改革が不可避であるにもかかわらず、どの党も正面から議論していない現状に警鐘を鳴らしています。
どの政党も減税やバラマキばかりでヤバすぎて参院選で投票するアテがない(永江 一石)
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都心部で空室が続く中でも再開発が進む現状を、筆者は「実需なき再開発」として厳しく批判しています。特に湾岸部の不便さやテナント誘致の困難、高層ビル偏重の都市計画の非効率性が問題視されます。公共性を欠いた再開発は、結局は利権主導で進められていると指摘されています。
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日本の長期金利が急上昇し、国債価格が下落する中、石破首相の「財政はギリシャより悪い」発言や国民民主党の消費減税政策が火種となり、国債バブル崩壊への懸念が強まっています。金利上昇による利払い費の急増や、地銀の評価損リスクなど、金融危機の引き金となる可能性が高いと筆者は警告しています。
国債バブルが崩壊すると国民民主バブルが崩壊する(池田 信夫)
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石破首相が「コメ5kgを3000円台にする」と宣言したものの、実際には現価格からわずか5%の値下げにすぎず、具体策も不明です。背景には農水省やJAによる利権構造と流通制限があり、米価高騰は政策の問題とも言われています。夏の参院選を前に、コメ問題は大きな政治争点となっています。
石破首相「コメ5キロ3000円台を実現しなければ責任を取る」の無責任(アゴラ編集部)
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立憲民主党が提案する年金法案は、国民年金の赤字を厚生年金積立金で補う内容で、筆者はこれを「年金ネズミ講の延命」と批判しています。現行制度では今後も現役世代の負担が増え続け、根本的な制度改革、特に最低保障年金や民間の年金制度参入が不可欠だと訴えています。
年金法案を改悪して「ネズミ講」を延命しようとする立民党(池田 信夫)
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自民党と立憲民主党は、厚生年金の積立金を使って基礎年金を底上げする法案で合意しました。就職氷河期世代の救済が目的とされますが、会社員の保険料を国民年金の不足補填に充てることに批判が集中。現役世代の負担増や財産権侵害への懸念、将来的な増税への布石とも指摘されています。
自公・立民が基礎年金の底上げで合意:財源は会社員の厚生年金から流用(アゴラ編集部)
国際・エネルギー
米中関税の影響で在庫過多や供給の偏りが発生し、アメリカ経済は不均衡な状況にあると分析しています。株式市場の一時的な回復にもかかわらず、消費の先食いや景気後退の可能性が残るとし、リセッションは完全に回避されたとは言えないと警鐘を鳴らしています。
アメリカ経済は「喉元」を過ぎたのか?:関税問題で大いに揺さぶられた株式市場(岡本 裕明)
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イスラエルの軍事作戦により、ガザ地区では封鎖と攻撃が続き、飢餓や大量の死者が出る深刻な人道危機が発生しています。筆者はこの事態をホロコーストや奴隷貿易にも匹敵する「人類史の汚点」とし、現代の国際社会が無力であることに絶望を述べています。
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CNN記者らの新著が、バイデン大統領の認知機能低下とその隠蔽を暴露。俳優ジョージ・クルーニーを認識できなかったエピソードや、再選時の車椅子使用検討、がん発表のタイミングへの疑念が紹介され、政権の透明性と継続可能性に大きな疑問が投げかけられています。
やっぱりバイデンはボケていた!:「暴露本」に全米が震撼(アゴラ編集部)
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日本人と韓国人が互いをどう見るかは、世代や地域で大きく異なります。韓国の近代史教育や日本統治時代への評価、日韓関係の認識も時代とともに変化しています。特に高齢世代は統治時代の教育を受けた影響があり、若年層は反日感情を背景にした教育を受ける傾向が強いと筆者は分析しています。
日本人も韓国人も世代によって互いを見る目がこんなに違う(八幡 和郎)
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トランプ米大統領が、ロシア・ウクライナの協議をバチカンで行う意向を示したことを受け、バチカンの調停役としての可能性が注目されています。しかし、ロシア正教会のキリル総主教が戦争を支持している現状では、教皇庁の仲介は象徴的な役割にとどまり、実質的な成果は期待しにくいと筆者は見ています。
バチカンはロシア・ウクライナ間の調停役が務まるか(長谷川 良)
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米フロリダ州で「気候工学(ジオエンジニアリング)」を犯罪とする法案が可決され、雲の種まきや太陽放射管理(SRM)が規制対象となりました。日本ではCDR(CO₂除去)技術が推進される一方、リスクや倫理面の議論が不十分です。筆者は、日本も気候工学全体を正しく理解し、国際的ガバナンスに参画すべきと主張しています。
フロリダ発、気候工学禁止法の波紋:日本はどう向き合うべきか(室中 善博)
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ヨーロッパ諸国は再生可能エネルギーを積極導入していますが、実際には送電網の連携やフランスの原子力電力に依存しており、単独では安定供給が困難です。日本は島国で電力の融通ができないため、単純比較は不適切であり、地政学や制度の違いを踏まえた議論が必要だと筆者は訴えています。
データが語る欧州の電力脆弱性:日本と何が違うのか?(尾瀬原 清冽)
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ドイツでは高額な教会税を嫌い、多くの人がキリスト教から離れていますが、今後はそれを上回るカーボンプライス(炭素税)の負担が求められます。筆者は、気候変動対策が「信仰」に似た構造を持ち、実感しにくい“ご利益”のために人々が継続して負担を受け入れられるのか、疑問を投げかけています。
教会税を払いたくないドイツ国民が炭素税を負担するか?(手塚 宏之)
ビジネス・IT・メディア
富岡市役所の木材劣化問題を例に、隈研吾氏の建築が抱える課題が指摘されています。にもかかわらず依頼が絶えない理由は、地元産木材を多用する設計が国の「木材利用促進」政策と合致し、行政や公共事業と親和性が高いためです。ブランド力と政治的ニーズが相乗効果を生み続けているとされています。
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40〜50代は収入が安定する一方、支出や将来不安が増える時期です。筆者は、資産形成には「守り」(生活防衛資金)と「攻め」(投資運用)の明確な分離が必要だと説きます。詐欺や投資リスクに注意しつつ、分散投資と知識への自己投資を重視する姿勢が、長期的な安定につながると述べています。
お金持ちの人が知っている「守り」と「攻め」の戦略(尾藤 克之)
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経営思想家・倉本圭造氏と「識学」代表・安藤広大氏の対談では、「社員に寄り添う」よりも「組織の規律と責任の明確化」が重要だと主張されます。上司と部下の役割を線引きすることで、情報がスムーズに上がり、組織の強さと社員の自律が両立できると説いています。
【対談・前編】『社員に寄り添う経営』は間違っている??(倉本 圭造)
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フジテレビは株主ダルトンの役員提案を全面否定し、独自候補で株主総会に挑む構えを見せました。これは株主との対立が深まる中、過半数の支持を得られる見通しがあることの表れとされます。背景にはメディア事業の構造的課題や、不動産事業の扱いをめぐる対立があり、ダルトンの戦略や勝算にも疑問が残ります。
フジテレビ問題は新局面入りか?:ダルトン案の否定が意味するもの(岡本 裕明)
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日本企業では、終身雇用を守るために「常に人手不足で残業対応」が前提となっており、繁忙期でも新規採用をせず、今いる社員で乗り切る体制が根付いています。これにより、有給が取りづらく、過労死も発生するという構造的問題があると筆者は指摘。解決には終身雇用制そのものの見直しが必要だと主張しています。
日本企業ってなぜ人が足りないくらいがちょうどいいの?と思った時に読む話(城 繁幸)
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東京都心の大型オフィスビルで空室率が急増しており、3年間で長期空室の面積が12倍に。特に湾岸エリアで顕著で、交通アクセスの悪さや利便性の差が影響しています。一方、大手町など中心部は満室状態。供給過剰の懸念が高まる中、再開発の在り方が問われています。
東京都心の商業ビルの空室率が上昇?:二極化か乱開発の末路か(アゴラ編集部)
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筆者は、男性が幸福を感じやすい要素として「社会への貢献」「家族を守る責任感」「自己実現」の3つを挙げています。自分の能力を活かし、他者に価値を提供することで深い満足感を得る傾向があるとし、人生の目的を「誰かのために生きること」と捉える視点が男性の幸せに直結すると論じています。
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ソニーが冬の賞与を停止した背景には、グローバル企業としての制度の違和感や、成果主義へのシフトがあると筆者は分析しています。賞与は本来給与を抑える手段として企業に都合よく使われてきた一面もあり、今後は成果配分型や年収ベースの支給に移行する可能性が高まっています。
冬の賞与を止めたソニーの物語ること:日本の賞与システムへの違和感(岡本 裕明)
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昭和の「定年後はのんびり暮らす」という常識は終わり、一生働くことが現実的な時代になっています。年金制度の限界や人口減少により、高齢者も労働を続ける必要があり、スキルや市場価値の維持が重要です。働き方も「就社」から「就職」へと変化し、パラレルキャリアやAI活用が新たなチャンスを生むと筆者は前向きに捉えています。
科学・文化・社会・一般
筆者はサイゼリヤの低価格と高品質のバランスを高く評価しつつ、都心部の店舗閉店はコスト増への対応不足と指摘します。そこで「サイゼリヤ・プレミアム」といった新業態を提案し、価格を上げて価値を高めた店舗展開で新たな顧客層を開拓すべきだと主張しています。
サイゼリヤは閉店よりも「プレミアム化」で業容拡大を(内藤 忍)
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宮崎県日南市をドライブし、「サンメッセ日南」で世界で唯一公式に復刻が許可されたモアイ像を見学。さらに都井岬では、江戸時代から続く半野生の御崎馬に出会い、自然と文化の豊かさを実感しました。青い海、美術作品、野生動物に触れる、非日常を満喫する旅の記録です。
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難病の子どもを育てる親の孤立や不安に寄り添い、「居場所」の重要性を伝える本書では、20年先を見据えた子育ての道のりが具体的に紹介されています。支援法整備が進む一方、心の支えや仲間との出会いが希望を生み、情報は安心につながると筆者は力強く訴えています。
孤立から希望へ:難病の子と家族の『居場所』を考える(尾藤 克之)
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筆者は、日本女性学会で起きた「分科会報告書」への異議申し立てが、トランス擁護派による組織的な乗っ取りの一環であり、学問の自由を脅かすと警鐘を鳴らします。署名活動に外部の一般人を巻き込み、意見の封殺が進む様子は、戦前の民間による言論弾圧と類似すると指摘しています。
ある “学会乗っ取り” の背景:トランスジェンダリズムは「戦前の右翼」である(與那覇 潤)