イランのような斬首作戦では長期的に悪い影響しかない

だいたい、悪の帝国の帝王を斬首作戦で殺したら好ましい秩序ができるとか思ってうまくいくわけない。リビアのカダフィ大佐を殺したらリビアは国家としてのていをなさなくなった。

また、小泉首相は金正日総書記相手に、リビアのようにテロ国家を卒業したら指導者も温かく国際社会から迎えられるとか甘言をささやいて拉致被害者の一部を奪還したたが、カダフィ殺害で、小泉首相のアドバイスはろくでもない甘言のささやきだったことを証明してしまったので、その後、拉致問題も核開発開発の阻止もできなくなった。

当時の日本の首相は菅直人だったが、カダフィを裏切ることは東アジアにとって困ると言わなかった責めを負うべきだ。

イラクのフセイン大統領を殺してもいいことなどなにもなかった。長い目でみれば、イラクは同じシーア派優位のイランに傾斜していくだろう。

ベネズエラのマドゥーロ追放のほうが、政権内でももてあまされてたから、マドゥーロなきチャベス系政権ならうまくいくかもしれない。

日本でも仮に米国が昭和天皇を標的にしていて爆撃や突入で殺したりしたら悔いをのこすことにしかならなかっただろう。

そのあたりは、新著『国家の興亡史からわかる現代地政学――西欧の衰退』(さくら舎)でも縷々ろんじたところだ。だいたいアメリカの望む民主主義など中東の一国たりともううまくいっていない。

イスラエルも、アラブ系住民を追い出し、また差別するなかでの議会主義だから、民主主義でもなんでもない。

対イラン軍事作戦を宣言するトランプ大統領 ホワイトハウスXより

イランの場合、民主派政権などかりに成立してもテロと内戦で持ちこたえられないし、ハメイニを反シオニズムの殉教者にしたら、中東各国の王制や政権が常にその残党の脅威にさらされかねないと思う。

イラク戦争もアメリカに遠慮して欧州首脳が、「米国の攻撃は国際法違反だが、国民を苦しめてきた政権が取り除かれたことはいいことでもある」とかいってるのは、感心しない。はっきり、国際法違反であって支持できないということでいい。

そのなかで、スペインが米軍基地の使用を許可しなかったことは、注目だ。米国はスペインとの貿易との貿易は全面停止だと回いっているが、無茶苦茶だ。

日本も、国際法に違反する先制攻撃に沖縄などの米軍基地の使用を認めないという選択肢ができるわけで、米国が勝手に戦争始めてしまったから仕方ないとはいえないことを意味する。その意味で、台湾有事などにおける関与の良き足枷になるのではないか。


国家の興亡史からわかる現代地政学――西欧の衰退

【目次】
第1章 文明の源流と民族奥亡が紡いだ古代ユーラシアの大地図
第2章 大航海、新帝国、革命が形づくった近代ユーラシアの再構築
第3章 ユダヤ・イスラーム・ギリシアの世界が形づくった中東の文明圏
第4章 ロシアとウクライナを形づくった千年の興亡史
第5章 インド文明を形づくった大地・民族・宗教の多層史
第6章 王朝・民族・地政学で読み解く東アジア世界の歴史構造

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