オーストラリア首相の「メロンです」事件で考える文化の違いと外交儀礼

オーストラリアのアルバニージー首相がネット番組に出演し、「あなたが海外でもらった最高にゴミだったプレゼントは何?」と聞かれ、

「うん、あのね、メロンなんだよね。メロン、日本のね。プレミアムメロン。首相がこうやって2つ抱えて持ってきたのよ。不思議だよね。メロンだよ。メロンです」

「わーお、なんでメロンなの? 隠し持ってきたのかしら? こんな風に? パメラ・アンダーソンみたいよね。ちょっとこの私の写真を見て」

「おー、君のメロンか」

と発言した事件が大炎上しています。

アルバニージー首相にメロンを贈呈する高市首相 高市首相Xより 2026年5月

ちなみにクラップとは、イギリス式英語で「くだらん」とか「ゴミ」という意味です。日常会話でよく使います。アメリカ人は使いません。オーストラリアの英語は、イギリス英語の表現や感覚が色濃いです。

軽いトーク番組で飛び出した「メロン」発言

このトークショーは海外でもセクハラ発言だと大騒ぎされていますが、この番組自体が超軽いノリで、ちょっとジョーク系のトークだったので、差別したりバカにしたりしていたという意味合いでもないように感じます。私が見た限りでは。

私が『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズで指摘してきたように、この件にはコミュニケーションの感覚の違いがあると思います。


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イギリスやオーストラリアの人によくあるイジリ系のネタというか、本当に差別とかセクハラだと5万倍ぐらいエグいことを隠れてやってきますからね。

もしアルバニージー首相が、その辺のサラリーマンとして飲み屋で非常に親しい同僚や部下と内輪で話していたら問題はないと思うのですが、あくまで今は首相なのですから、やはりいかがなものかとは思います。

まあ、サービス精神が豊富で、つい口を滑らせてしまうタイプの人なのではないかと。(我が国にもそのような首相がいました。でも、実は結構面倒見がよくて、サービス精神が豊富なだけだったようですが)

山城新伍さんの深夜枠での「チョメチョメ」発言みたいなものではないかと。

ところで、この「メロンなんだよ。不思議だねぇ、変だね。まあ味は良かったけど」という発言は、首相としてはいかがなものかと思いますが、英語圏にいるとあまり驚くような感じではありません。

基本的にアルバニージー首相は「メロンを持ってこられて驚いたんだよ~」と言っているわけです。オーストラリアも特産品の葡萄を日本に送ったりしているので、外交儀礼として時々あることなのですが、このネット番組はオーストラリアの一般人向けなので、一般の人が「??」と思うような面白ネタを提供しているわけです。

なぜ「贈答品にメロン」が不思議なのか

なぜメロンに驚いたという発言をしているかというと、基本的にオーストラリアでも他の先進国でも、果物は贈答品ではないので、訪問時のお土産に果物を持っていくのは珍しいからです。

ただ、昔は果物は超高価で、ちょっとした南国の果物が贈答品だった頃もありました。

燃料があまりなく、飛行機も発達しておらず、輸送が難しかった頃です。1970年代までは、欧州北部では南国の果物は貴重でした。なにせ冬は寒く、日照時間があまりにも少ないので、柑橘類やパイナップル、バナナ、メロンなんてまず栽培できません。だから今の80代以上は、缶詰果物とかバナナに目がないのです。(ちょっと親近感が湧きませんか?)

オーストラリアもイギリスの植民地だったから、基本的な文化はむちゃくちゃイギリスです。

しかもオーストラリアは夏は暑いし、農業国ですから果物は贈答品にはしません。果物は大量に作って大量に食べるから安いです。あまり甘くないです。だから「なんでメロン??」となってしまいました。

「メロン2つ」に英語圏では別の意味がある

次に重要なのが「メロンが2つ」の点です。

メロンというのは英語で「セクシュアル・イニュエンドー」、つまり性的な隠語です。

巨乳のことをメロンといいます。日本のスイカップです。だから司会の女性がパメラ・アンダーソンを例に出しています。彼女はセクシー女優です。

この点で爆笑していたのも、この番組がオーストラリアの一般視聴者向けだからです。

しかも持ってきたのが高市首相。そう、オーストラリアではすごく若くてかわいいと言われている首相です。体型はスレンダーです。

英語圏だと日本女性は若く見えます。その若々しくてスレンダーな方が、メロンを2つ抱えて持ってきてしまいました。

しかも、おとなしくて真面目で貞淑な日本人です。

まさにギャップ萌えです。

だから別に差別というわけではありません。性的な隠語系ギャグはスクールボーイズユーモアという感覚です。ちょっとお色気のある冗談です。日本語だと思いっきり下ネタになってしまいますが、イギリスだけではなく英語圏では意外と会話で気軽に出てきます。(ただし、超保守的な人にはダメですが。)表現や単語の種類も多いです。映画や小説にも登場しますね。

バンド名や歌詞の多くも「セクシュアル・イニュエンドー」です。日本人は知らないで歌ったりしていますが。クイーンやホワイトスネイクの歌はそのままです。

英語圏の「イジリ」と首相という立場

会社でもこういうイジりは結構あります。もちろん英語圏でもそうです。私が働いていたイタリアはもっとあります。フランスもあります。

相手と信頼関係があるからこそ、こういうイジリをやります。日本人の感覚だと「うわー、昭和のオヤジギャグやんけ!!」ですが、欧州もアメリカも意外と職場や商談でのコミュニケーションはベタベタで古臭いんですよ。意外でしょう。

そこでツッコミ返せれば「お、この日本人、なかなか面白いじゃん」となって仲良くなれます。場末のスナックみたいな感じです。相手にはこちらを試すようなところがありますからね。日本人はクソ真面目なので、つまらんと思われています。

首相がベタなツッコミをやるのもどうかと思うのですが、ただ、裏でネチネチ工作したり嫌がらせをやったりするより、オープンにエロい発言をして失言するぐらいのほうがいいんじゃないでしょうか?

私は面白いと思ったのですが、そんなことを言うと「名誉男性」とか言われてしまうでしょうか?

でも私は海外に30年ぐらいいて、男性が98%ぐらいの職場でも働いてきて、差別されたり嫌がらせを受けたりすることはなかったので、間違っていないと思います。しかもこの首相は左派なんですよね。左派なのに、その辺の場末のスナックのようなトークというのは、ちょっと面白いと思いました。


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