今週の文春砲はワクチン接種の遅れを糾弾しているが、アゴラに私が昨年末以来、書いてきた記事の内容を超えるものはない。
あらためて、
- ワクチンを何ヶ月も遅らす日本の医療界の利権構造
- 東京五輪は選手も観客もワクチン接種者だけで開催してはどうか
- 中国製のワクチン導入も選択肢にいれるべき
- 医療関係者のお手盛りワクチン優先接種は日本だけ
- ワクチン「上級国民」の出現は絶対に許されない
といった記事の提起した問題が重要だったか分かってもらえるだろう。
それはともかくとして、今回はワクチン接種の現状と見通しの現段階を総括しよう。
本来は4月12日から高齢者への接種が始まるはずなのだが、もっぱら医療関係者優先という世界に類例をみない接種も100万人程度に留まって、人口当たりだと韓国の40%余り(韓国では75歳以上の高齢者への接種が始まった)。
それでも、4月12日には高齢者向けの接種を始めたいようだが、その時点では医療関係者への接種が半分にも達していない見通しである。
河野行革相はブルームバーグとの英語でのインタビューで、「65歳以上の高齢者へのワクチン接種は4月12日の開始を予定している」ものの、一部の医療関係者と平行することもあって「当初の供給量は限定的で、地域によりばらつきがある」「非常にゆっくりとしたペースになるだろう」とした上で、「都道府県知事からゆっくり進めてほしいとの要望があった。そうすれば接種体制を確認でき、全市町村で準備が整えられるからだ」と語ったそうだ。
また、韓国では高齢者以外ではもっとも優先されている高齢者施設の従業員の接種も始まったが、日本では3月18日づけの厚生労働省のチャートでもわかるように、一般高齢者より劣後している。高齢者施設がもっともクラスター発生が心配され、死に直結されるなかで憂慮される。
韓国はすでにアストアゼネかとモデルナも接種を始め、ヤンセンやジョンソン&ジョンソンも急ぐそうだ。日本は「うまくいったらアストアゼネかとモデルナを五月中に認可できるかもしれない」と厚生労働大臣が宇宙人的な呑気さだ。