二酸化炭素は大気汚染物質ではない

本稿では、大気汚染物質の議論に二酸化炭素を含めるべきではないこと、これに関連し途上国での大気汚染問題と化石燃料へのアクセスとの関係、先進国の住宅地での薪ストーブ問題との関係を論じる。

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大気汚染とC02を混同する「気候の悪党」の悪意

二酸化炭素が大気汚染物質ではないことは、科学的事実である。

しかし二酸化炭素を悪者扱いし、「カーボンニュートラルや気候変動に関する屁理屈」を、自己の恣意的な経済活動や身勝手な趣味に悪用する者が蔓延していると筆者は感じる。

この悪用はSDGsも同様で、せっかく良いことが羅列されているのに、先進国の「気候の悪党」(後述)たちが、自己の恣意的な経済活動や身勝手な趣味に悪用するために都合よく解釈を変更し、或いは不都合な部分を無視して嬉々としてSDGsを振り回す。実に嘆かわしいそのような事業者も掃いて捨てるほど存在する。

カーボンニュートラルやSDGsの悪用

薪ストーブは「カーボンニュートラルでSDGs」ではない
【重要】以下の各リンク記事、政策立案者は必読です。 木材燃焼バイオマスによる森林破壊、地産地消原則の無視、大気汚染とCO2排出過多が判明しEUが問題視し削減に動く政策を、日本や韓国などアジア諸国が推進への欧米視点の懐疑。 ...

その代表悪例が「バイオマス燃焼推進」「山林を破壊し太陽光発電施設や風力発電施設を濫造」である。

筆者が主に論考の対象にしている住宅地内での木材燃焼煙害も、「バイオマス燃焼推進」による「公害」である。

現在、各地の複数の自治体はそのWEBサイトで薪ストーブ問題を「公害」カテゴリに入れており、欧米先進国の殆どで家庭での固形燃料の燃焼規制強化や使用禁止が進んでいる現状から、現状「薪ストーブは公害」との認識で良い。

SDGsで本来廃止すべき木材燃焼を推進する日本国政府の時代遅れ政策と、図に乗ってその片棒を担ぐ木材関連・薪ストーブ事業者・使用者は「住環境破壊テロリスト」と言って差し支え無かろう。

各地煙害被害者の増加という形で既に答えは出ている。

薪ストーブによる煙害被害者の声から
本稿では、薪ストーブによる被害について、筆者に寄せられた手記のうち2つを紹介する。 薪ストーブが隣人の生活を一方的に問答無用で破壊している事実は極めて重い。 日本では消防法による設置基準以外に、薪ストーブへの規制(設置方...

二酸化炭素排出を削減するためなら(という詭弁を弄し煙害被害者を威圧恫喝し問答無用に沈黙させ)、煤煙悪臭をどんなに排出してもよいという姿勢は明らかに人として狂っており、「薪ストーブは近隣トラブルが多い」という事実を自覚しながら宣伝販売し或いは苦情を無視する薪ストーブ使用者は、極めて悪質(決して善良ではない)であると指摘しておく。

ましてや、エコだと言いながら廃材を薪ストーブで焼却することは以ての外である上に違法行為であるが、実際にはそれが普通に横行しておりその自覚すらない事業者や使用者も多い。

移住先で薪ストーブで猛煙を出し「やりたい放題」を行う不埒者も増加しているようだ。

加えて、薪ストーブで廃材を燃やすという違法行為の実行を、SNS上で自慢し公言するような者が公職に立候補するなど、とんでもないことである。もはや世の末だと指摘しておく。

廃棄物取扱の許可も無く廃棄物を運搬しまた受け入れて焼却処理を行うような悪徳業者もいるが、そんな事業者のなかには廃材を薪として切り刻んで販売する造園業者や建築業者も存在する上に、「廃材もそのまま燃やせる薪ストーブ」「無煙薪ストーブ」などと荒唐無稽極まる宣伝販売まで行われている。

一般に大きな誤解を与えるような文言を並べる姿勢は疑問であるし、広告表示としても問題が有る。

さらに言っておくが、燃焼は工学である。さらに言えば、未精製の固形燃料を簡素な構造の焼却炉で自律燃焼によって燃やす低品質燃焼(1000℃以下は低温燃焼である)は、すべからく環境負荷大であり、環境負荷の無いクリーンでカーボンニュートラルな燃焼にはなり得ない。

自然素材の木材・植物燃焼が人と環境にやさしいなどは妄想であり科学的虚偽である。その猛煙は何かを説明せよ。

これらに関し、再度指摘しておく。

薪ストーブ産業界の悪質性について

薪ストーブ業界、木材燃料関連者の姿勢と法規制
本題に入る前にこれをご覧頂きたい。 オランダの、木材燃焼暖房による大気汚染を辞めるように呼びかけ活動する市民団体による啓発アニメーションである。 前稿ではカーボンニュートラルとSDGsを(表向きの)理由に挙げて薪ストーブや木材燃...

化石燃料使用不能が大気汚染を悪化

本稿の主題である、Craig Kelly氏によるポストを紹介しよう。

Here we have another example of a low information voter that has been misled and propagandised by climate grifters.

One of best tricks used by Climate grifters to fool the gullible Is to conflate “air pollution” with C02

C02 is a clear gas that plants need to grow – its what turns tap into sparkling mineral water. It’s the bubbles in lemonade. It’s not air pollution.

‘’Air pollution” is particulate matter – the soot and dust in the atmosphere and it’s a killer that we should be concerned about.

And here’s the thing for the misguided climate zealots – the countries with the highest C02 emissions per capita  are the countries with the lowest air pollution deaths.

Likewise, it’s actually countries with low CO2 emissions that have the worst air pollution. That’s because without electricity from fossil fuels and connections to natural gas – people burn wood, twigs & dung to survive.

Although it might sound counter-intuitive, denying people access to fossil fuels actually will make real air pollution worse – because to survive they just burn more twigs, dung & straw.

これについて筆者が解説を多く付け加える必要はないだろう。

先進国が途上国に「化石燃料の使用」を制限していることの悲劇は現在進行形である。

先進国の身勝手な「気候の悪党」は化石燃料排斥を目指し、木材業界ロビーとして政府や財界にバイオマス推進を企図させている。おまけに日本では原子力までも(感情論で)打ち倒そうという勢力が跋扈している始末だ。

化石燃料を使用できず、電気も使用できない途上国の貧困地域では「木材や小枝、糞を燃やす」しか生存し生活する方法が無い。彼らはやむを得ず「汚い固形燃料」を燃やし濃厚な煤煙を吸い続け、短寿命を受け入れ健康を犠牲にして生きている。

しかし先進国の身勝手な「気候の悪党」たちは、SDGsで認められている化石燃料の効率的な使用を無視して化石燃料の廃絶を振り回し、逆にSDGsで「辞めろ」とされている古典バイオマスを推進している。これを狂気と言わずして何と表現すればよいのだろうか。

参考までに、木材燃焼カーボンニュートラルの発祥地・北欧のスウェーデンはその旗手でもあった環境省を廃止していることを付け加えておく。

日本でも一部の学生や得体の知れぬ環境団体、社民党・共産党・立憲民主党などの政党が中心となって原子力や化石燃料廃絶を主張している。しかし彼らは大気汚染については全く言及していない。ここに偽善環境活動家の本性と矛盾が顕れている。

それが結果的に途上国に悲劇を強い、貧困と苦しみを継続させ絶望に追い込んでいるが、彼ら活動家たちは自らの言動を猛省する必要があろう。

ましてや、今般発生した能登半島の地震災害に関連付けて「だから原子力は」という論調の安直かつ軽率で不謹慎な、例えば福島瑞穂議員(社会不満分子を票田にする意図での行動だろう)のような支離滅裂極まる有害な言説を流すなど、人として疑問である。この者たちにはデリカシーというものはないのだろうか。

世界の大気汚染の現状

途上国が大気汚染源だとの指摘は事実である。

IQAirによる参考図を以下に示すが、これで事情が判るだろう(日本時間2024年1月11日14時のPM2.5の状況)。

アジア・オセアニア

欧州・中東・アフリカ

北米・南米

これが現実である。途上国の赤色は危険を示す。

しかしこの悲劇を生成し継続させているのは、「先進国の気候の悪党」である。

薪ストーブは途上国で苦しむ貧困層への最大の愚弄

USC方式で煤煙悪臭が出ないJERA横須賀火力発電所

途上国の現状を知るか知らずかは別として、現代の先進国の一般家庭や事業者で各個別に木材燃焼を行い、たった数台の小さな薪ストーブが、130万Kwの最新式火力発電所よりも酷い大気汚染を発生させ、近隣住民の苦痛を一切無視して廃材までも燃やしながら薪ストーブを楽しむという身勝手極まる行為は、「途上国で苦しむ貧困層への最大の愚弄である」と筆者は敢えて指摘する。

このような蛮行は断じてエコでもSDGsでもない。もちろん「人と環境にやさしい」など、とんでもない詭弁である。

科学的・医学的には「人にも環境にも過酷な薪ストーブ」が正しいことは、すでに提示されている。

住宅地で薪ストーブを使用し煤煙悪臭を撒き散らし苦情を無視する使用者と、製造販売設置者に対しては、「恥を知れ」と言っておく。

大気汚染物質ではない物質の排出削減だと表向きには言い訳し、実際にはそんな高尚な意識も無くただ火焔を眺めたいという個人の特殊な趣味嗜好欲望を最優先し、大気汚染物質を大量排出し近隣住民を苦しめてておきながら、何食わぬ顔をして薪をくべているなど、一体どのような精神構造なのか。

薪ストーブは欧米では既に中産階級の見栄ツールであり、個人的趣味・ノスタルジーを原動力とした身勝手な横暴としか表現できない。

あなた方のしていることは、上図が示す途上国のように、日本列島を真っ赤に表示させることである。

「恥を知れ、環境テロリストよ」


編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2023年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。