葉山町長選挙と薪ストーブ

本稿では、無関係に見える葉山町長選挙と薪ストーブにまつわる話題を提供する。

なお、各氏の敬称は適宜略する。

葉山町長選挙について

2023年12月24日投開票が行われた葉山町長選挙にて、3期12年にわたる経歴の後、山梨崇仁が7431票を得て圧勝当選し4期目を決めた。

筆者がかねてより「叩いて」きた山梨崇仁葉山町長が再選された訳である。(山梨崇仁の公約

矛盾するようだが結論から言うと「山梨当選で良かった」と考えている。

立候補者は2名であった。うち1名は公示前日に突如立候補表明、2002票で敗退した鳥山泰輔は約10年前に葉山町に移住したとの経歴。(鳥山泰輔の公約

鳥山の公約を見る限り、前職の山梨の列挙するものと大差はなく目新しい項目も無い。両陣営とも抽象的表現のみで、公約の優劣すら付けられないのがいつもの選挙同様に毎度ながら困りものではある。争点がどこにあるのか具体的に全く見えず、投票意欲が萎える。

鳥山は山梨町政を停止させることを主目的にしているようだが、その先で何をしたいのかは抽象的かつ不明瞭、事情を知らぬ多くの町民には判断ができない。

さらに氏は(企業人としての豊富で充分な経験は有るにせよ)地方議員の経験も無く、首長としての政治手腕は全くの未知数であると言えよう。

新人候補に対する漠然とした不安(筆者の感想)があり、山梨町政のままで(良くはないが)まあ良いか、という票が圧倒的で山梨大勝との結果につながったのであろうと思われる。

葉山町での当選者の傾向としては、議員の例ではあるが若い人や女性の候補が好まれるということもある。若く投票に積極的な有権者は、高齢候補者を選ばず、できるだけ同世代を選びたいという心理も有る。

なお、本選挙においては葉山町長選で史上最低の35.58%という酷い低投票率であった。

実は筆者は「叩いているはず」の山梨崇仁に投票をした。

まず、薪ストーブ使用者に投票する気は無いという前提がある。

さらに、筆者は現在進行形で山梨に対し薪ストーブや廃棄物焼却等の煙害対策を要求しており、過去からの経緯を知っている人物のほうが適任であることに加え、従来からの政策の積み残しを継続し完成させる必要がある。

次期・さらにその先を見据えた場合の政策の完成度を高めるためには時間が必要であり、より若く柔軟な頭脳が適するとの判断である。

蛇足だが、今般の葉山町長選挙において、どちらの陣営かは敢えて記さないが、「推薦人」部分を後から黒塗りにした公選ハガキが配達された。

しかし黒塗りにしてあっても推薦人の肩書や氏名がはっきり読み取れる状態で、果たして疑問が沸く。何があったのか差出者に説明を求めたいところではあるが、一般人は知る由もない。

この選挙でも多くの有権者が棄権をした。

SNS上で「ずっと選挙には行っていない」と豪語する者もいるが、全く自慢にならないと思う。選択肢がなければ白票でよい。投票率に寄与することが民意を示すことでもあるはずだ。

議員や行政府にモノをいう数少ない正当な権利の行使の機会を、愚かにも自ら放棄したなら、その段階で罵詈憎言を並べ立てて公務員・議員・首長を罵倒し行政に文句を言う権利は一切無かろう。

文句を言いたいならまず投票に行き、議員にものを申すか、(能力があるならば)自分が公務員になるか、(人望や知見がもし有るならば)立候補し議員や首長など権限を持つ地位を得るべきであると思うのだが。

投票にも行かずに政治への不平不満を騒いでいても何にもならない。

葉山町長選挙についてはこのあたりでよいだろうか。

葉山町での薪ストーブへの問題提起

前提として7項目を挙げておく。

1:葉山町議会は以前より「薪ストーブ問題の増加を把握」

2:葉山町環境課は「薪ストーブへの苦情増加に苦慮している」

3:葉山町議会は令和5年度に「薪ストーブ煙害」について議員より問題提起。(動画)

4:葉山町は令和5年の秋頃以降「薪ストーブを公害カテゴリ」に入れている。

5:広報葉山にて「薪ストーブ使用への注意喚起」掲載。

6:議会報でも「薪ストーブ問題」を採り上げたと記載。

7:公明党広報紙でも「薪ストーブやタバコ問題」を採り上げたと記載。

葉山町内や全国各地での薪ストーブへの苦情増加という背景、木材燃焼煤煙の健康被害が深刻化する欧米諸国でも既に規制強化され、一部の地域や国では廃止方針や禁止政策まで行われているという事情、さらには日本国内でも「薪ストーブは有害である」との研究論文まで出されていることを事実として、少なくとも日本の狭隘な住宅地で薪ストーブは「無し」だというのが、「善良な住民としての最低限の良識」というものだろう。

葉山町議会議事録では、環境課の答弁中「すごくトラブルが多く対応に苦慮」「善良な業者は薪ストーブの設置を施主に断念させる例有り」と記録されている。

葉山町内で最近になってこれだけの「薪ストーブ迷惑問題」に関する動向が出てきていることは、薪ストーブ関連業者や使用者も気が付かぬわけも無かろう。

そんな状況の変化のなか、苦情を無視し住宅地に薪ストーブを設置して使用し続けることは、葉山町環境課の見解を裏返せば、「善良ではない者」ということになる。

使用者だけでなく薪ストーブ製造販売設置業者も同様である。

もちろん薪ストーブは本来削減目標であり、これの使用推進はSDGsにも反する。

薪ストーブで廃材焼却は違法

薪ストーブや暖炉等で木工品解体材・廃棄パレット・建築廃材などいわゆる一般および産業廃棄物を焼却することは明らかに廃掃法違反葉山町環境課に見解を確認済み)である。

繰り返すが薪ストーブは大気汚染源であり、葉山町においては「公害カテゴリ」である。公害発生源である薪ストーブを住宅地で使用し、或いは廃材を堂々と燃やすという良識の欠如した違法行為を実行するという、近隣住民への思いやりが欠落し、遵法精神の無い者が増加しているという呆れた現実が起きている。

崇高な目的を掲げながら一転、自らの自己顕示および趣味嗜好を優先し、煤煙悪臭発生行為を自ら実行し廃材焼却をするのは本末転倒かつ言行不一致である。

薪ストーブは既に欧米諸国では環境ソリューションではなく、近所迷惑の主要な原因になっている、代表的な身勝手趣味のツールである。

日本人であっても(他人に酷い迷惑をかけてはいけないと躾を受け育ったなら)それは使者自身が充分に自覚しているはずだ。

「薪ストーブで堂々と廃材焼却をする者」が存在するなど、御用邸のある町の著しい名汚し面汚しである。

廃掃法を知らなかったとは言い訳にならない。刑事罰が科される犯罪行為であることを付け加えておく。

それにしても、近年の勘違い移住者たちのやりたい放題が、葉山町の住環境を身勝手に壊してゆくことには非常に残念な思いを持つ。


編集部より:この記事は青山翠氏のブログ「湘南に、きれいな青空を返して!」2023年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「湘南に、きれいな青空を返して!」をご覧ください。