IPCC報告の論点㉛:太陽活動変化が地球の気温に影響した

IPCCの報告がこの8月に出た。これは第1部会報告と呼ばれるもので、地球温暖化の科学的知見についてまとめたものだ。何度かに分けて、気になった論点をまとめてゆこう。

Pitris/iStock

太陽活動の変化が地球の気温に影響してきたという説については、以前②でも触れたけれども、今回はナマのデータを紹介しよう。

IPCCの報告では、20世紀に起きた地球規模での気温上昇は、その殆どがCO2等の温室効果によるものだとしている。

だがこれは、太陽活動の変化が殆どなかったとするデータセットに基づいている。

別のデータセットを用いると、太陽活動は大きく変化しており、地球温暖化の大半はそれで説明できてしまう。(Connolly らの論文

図の左側(a)から(d)は、太陽活動に大きな変化は無かったとするデータセット。対して、図の右側(f)から(h)は、大きな変化が在ったとするデータセット。

特に(g)を見ると、1800年代から現在までの差は1平方メートルあたり3ワットから4ワットもある。

これだけで過去200年に起きてきた地球温暖化は殆ど説明できる可能性がある、CO2等の寄与は殆どなかったかもしれない、と同論文は示唆している。

他方で、IPCC報告は、このような太陽活動の大きな変化は無かったものとして、(a)から(d)のデータセットにのみ基づいて書かれている。

これは科学の議論として偏っている、と同論文は非難している。

1つの報告書が出たということは、議論の終わりではなく、始まりに過ぎない。次回以降も、あれこれ論点を取り上げてゆこう。

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