今週のおすすめ記事(12月15日〜12月21日)

アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。

政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!

お知らせ

30年に及ぶ長期低迷、「日本病」の正体とは何か——。
サッチャーの英国病克服から高市政権のバラマキまで、日本経済の病巣と治療法を徹底検証。

■ 1/9〜毎週金曜(全12回)
■ 19:00〜20:45(Zoomオンライン)

講師は池田信夫アゴラ研究所所長。誤った診断(デフレ)を正し、政治・経済・文化遺伝子から脱却の道を考えます。

▶ 申込はこちらから

【アゴラセミナー】池田信夫「日本病のカルテ:長期低迷をいかに脱却するか」

【アゴラセミナー】池田信夫「日本病のカルテ:長期低迷をいかに脱却するか」
1970年代、イギリス経済はどん底でした。10%を超えるインフレ率と失業率が続き、バラマキ福祉で財政赤字は拡大し、労働組合のストライキで経済は麻痺してポンドは暴落し、成長率はマイナスになって英国病という言葉が使われるようになりました。 ...

言論アリーナ

日銀は政策金利を0.75%に上げました。これ自体は相場に織り込まれていたので大きな動きはありませんが、来年はどうなるのでしょうか。バラマキ財政を続けながら金融を引き締めて迷走する高市政権の今後を考えます。

【言論アリーナ】金融引き締めでインフレ・円安は止まるのか 早川英男×池田信夫

政治・経済・社会保障

「企業から取れば国民が助かる」——はたして本当にそうなのでしょうか?

法人税を廃止すれば日本経済は一発逆転できる(池田 信夫)

日本の一般病院の7割が赤字に陥っている要因として、コスト増を価格転嫁できない構造、人件費上昇、コロナ補助金の終了、地方での患者数減少と病床稼働率の低迷を挙げています。著者は、世界最多レベルの病床数が長期入院(社会的入院)を助長し、医療費増と経営悪化の悪循環を生んでいると指摘。解決策として、急性期病床を維持しつつ長期療養型の病床を減らす「病床削減」や在宅連携への転換、さらに医療費への消費税課税などを提言しています。

日本の医療はなぜ7割が赤字で崩壊していくのか、率直に分析する。(永江 一石)

日本の医療はなぜ7割が赤字で崩壊していくのか、率直に分析する。
もうボロボロの日本の医療 最近、テレビでもよく流れていますが 医療崩壊の危機 なぜ病院7割が赤字? 経営悪化で医療提供にも影響 地方「医師不足」深刻化…改正医療法で偏り解決? 厚生労働省が先月26日に公表した医療経済実...

フジテレビの番組で、月28万円の年金を受給し持ち家に住む高齢世帯を「生活苦」として取り上げたことに対し、現役世代から強い反発の声が上がっていると報じています。月28万円は現役世代の年収600~700万円相当に匹敵し、社会保険料増で手取りが減る若者世代との格差が浮き彫りになったことで、メディアの報じ方や金銭感覚への批判が高まっています。

フジテレビ「年金月28万円の生活苦」報道が現役世代の不満の呼び水に(アゴラ編集部)

フジテレビ「年金月28万円の生活苦」報道が現役世代の不満の呼び水に
フジテレビ「サン!シャイン」が12月16日の放送で、年内最後の年金支給日を迎えた高齢者の生活を取り上げ、物価高による家計圧迫を伝えたが、番組内容をめぐって現役世代を中心に強い反発の声が広がっている。特に、夫婦で月28万円の年金を受給する高齢...

政府が2027年度からメガソーラーへの新規支援を廃止する方針を決めたことについて、著者は評価しています。森林伐採などの環境破壊や中国製パネルによる富の流出といった副作用が顕在化しているため、補助金による無理な拡大を止め、市場メカニズムに委ねるべきフェーズに来たと指摘。今後は原発を含めたバランスの取れたエネルギーミックスへの移行が必要だと論じています。

政府のメガソーラー新規支援の廃止方針を評価する(音喜多 駿)

政府のメガソーラー新規支援の廃止方針を評価する
政府・自民党が、2027年度からメガソーラー(大規模太陽光発電)への新規支援を廃止する方針を固めました。 これは、「再エネ推進=太陽光に手厚い補助金」というこれまでの一方向の方針から、大きく舵を切るものです。私は妥当かつ評価できる判断...

日銀は30年ぶりとなる0.75%への利上げを決定しましたが、市場では逆に1ドル=157円台まで円安が加速しました。利上げがすでに織り込み済みであったことや、今後の利上げペースや中立金利の水準が示されなかったことで政策への不信感が高まったことが要因です。明確な将来像を示せない限り、円安に歯止めをかけるのは困難であると指摘されています。

日銀が0.75%に利上げでも円安加速:円安スパイラルはこれからが本番か(アゴラ編集部)

日銀が0.75%に利上げでも円安加速:円安スパイラルはこれからが本番か
日銀が30年ぶりとなる水準まで利上げに踏み切ったが、為替市場では円安が加速するという逆説的な展開となった。円安による物価上昇を警戒しての利上げだったにもかかわらず、市場は政策運営への不信を強め、今後の日銀の判断力と政策の信認が厳しく問われて...

政府が介護保険の2割負担対象拡大を年内に決定せず、2026年以降に先送りする方針を固めました。現在、利用者の9割以上が1割負担でサービスを受けており、給付費の増大が現役世代の負担を圧迫している現状に対し、改革の遅れが制度の持続可能性を危うくすると批判されています。

政府が介護保険改革を先送り:9割が1割負担のまま現役世代の負担は拡大(アゴラ編集部)

政府が介護保険改革を先送り:9割が1割負担のまま現役世代の負担は拡大
政府が介護保険サービス利用時の自己負担割合の見直しについて、年内決定を見送る方向で調整に入った。給付費の急増が続く中での先送り判断に対し、制度の持続可能性を疑問視する声も強まっている。 9割引きで利用している人が91.8%も。保険...

「政府高官」が記者団に対し、個人的見解として「日本は核兵器を保有すべきだ」と発言したことが波紋を広げています。厳しい安全保障環境を理由に独自の抑止力が必要だとする一方、現政権下での実現は困難とも述べていますが、野党や一部与党内からは被爆国として不適切だとして更迭や説明責任を求める声が上がっています。また、非公式取材での個人的意見を報じたメディアの姿勢や、発言者の意図が不透明なまま議論が進んでいる点にも疑問が呈されています。

核保有をめぐる「政府高官」の発言が波紋を広げる(アゴラ編集部)

核保有をめぐる「政府高官」の発言が波紋を広げる
日本の核政策を巡り、政府高官の発言が波紋を広げている。安全保障環境の変化を背景に核保有の必要性に言及したとされるが、政府としての方針とは距離があり、発言の意図や報道のあり方を含めて議論を呼んでいる。 18日、首相官邸関係者とさ...

国際・エネルギー

ドイツの哲学者N・ボルツ教授の自宅が家宅捜索を受けた事件を取り上げ、ドイツにおける言論弾圧の現状を批判しています。2年前のX(旧Twitter)での皮肉交じりの投稿が「ナチスの文言使用」として告発されたことが発端であり、政府批判を行う学者やジャーナリストへの圧力や、市民による相互監視・密告が推奨されている状況を「全体主義への道」と警告。日本でも同様の言論統制が進みつつあると懸念を示しています。

言論の自由はこうして死ぬ。ドイツの著名学者襲撃が示す「全体主義」への道(川口 マーン 惠美)

言論の自由はこうして死ぬ。ドイツの著名学者襲撃が示す「全体主義」への道
突然の家宅捜索と“異例の標的” 2025年10月23日の朝、N・ボルツ教授の自宅に、突然、家宅捜索の命を受けた4人の警官が訪れた。 ボルツ氏(72歳)は哲学者であり、メディア理論研究者としてつとに有名。2018年までベルリン工科...

著者は、カナダの知人の例を挙げ、メディアや周囲の影響で個人の思想が形成され、それが「ナラティブ(物語)」となって自己の正義を強化し、他者を排除する動きにつながると分析しています。トランプ現象やオーストラリアでの銃乱射事件などを例に、個人や国家が独自のストーリーを作り上げることで分断が生じると指摘。2026年以降、日本もそうした世界的な分断の試練に直面する可能性があると警鐘を鳴らしています。

世界は何故分断するのか?(岡本 裕明)

世界は何故分断するのか?
私の知り合いのカナダ人が最近嫌なことを言い始めました。「イスラム排除姿勢のトランプ大統領は偉い」と。普段、そんな政治の話をしない人だけに「なぜそう思うの?」と聞けば自分のワイフがメディアでそういう話を聞き、自分に説明し、なるほどと思ったから...

高市総理の「台湾有事への介入」を示唆する発言に対する中国の猛反発は、国内の経済不振や社会不安を外部へ逸らすための反応であると分析。中国は不動産バブル崩壊や人口減少などの構造的問題に加え、軍内部の汚職や「福建閥」の粛清など体制内の亀裂も深まっており、長期的な衰退サイクルに入ったと論じています。

高市総理の発言に反発する中国の長期衰退の兆し(藤谷 昌敏)(JFSS)

高市総理の発言に反発する中国の長期衰退の兆し(藤谷 昌敏)
政策提言委員・金沢工業大学特任教授 藤谷 昌敏 2025年11月7日の衆院予算委員会 で、高市総理は「戦艦を使い武力行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と発言した。これは、2015年安保法制で導入された「存立危...

ミス・フィンランド優勝者が「つり目」写真により称号を剥奪されたことを受け、同国の一部議員が抗議として同様の写真を投稿したことや、政府任命の人権大使が批判的な日本人をSNSでブロックするなどの対応を見せたことで波紋が広がっています。政府は政治家の発言は公式見解ではないとしていますが、人権先進国としての信頼を揺るがす事態に発展しています。

フィンランド「つり目」写真問題、同国人権大使の反人権的反応でさらに批判拡大(アゴラ編集部)

フィンランド「つり目」写真問題、同国人権大使の反人権的反応でさらに批判拡大
フィンランドの「ミス・フィンランド」優勝者が、目尻を指でつり上げる写真をめぐり人種差別批判を受け、称号を剝奪された。この判断に反発した議員の行動や、政府が任命した人権大使のSNS対応が新たな問題となり、「人権先進国」とされてきた同国の姿勢そ...

2027年度の省エネ規制強化により、安価なエアコンが市場から消え、価格が倍増する懸念があります。著者が試算した結果、標準的なファミリー世帯では投資回収に約17年かかる一方、電力使用量の少ない一人暮らし世帯では約160年かかり、事実上「回収不能」であることが判明しました。この規制強化は、単身者や若年層、低所得層にとって恩恵がなく、単なる負担増(実質増税)となる可能性が高く、再検討が必要であると主張しています。

エアコン「2027年問題」は一人暮らし若者への実質大増税なのか(杉山 大志)

エアコン「2027年問題」は一人暮らし若者への実質大増税なのか
「エアコンの2027年問題」が話題になっている。 エアコンが「2027年問題」で2倍の価格に?:格安機が消える「見えない増税」の衝撃 省エネルギー基準の改正により、これまでの安価なエアコンが買えなくなり、結果とし...

ビジネス・IT・メディア

2025年に刊行されたビジネス書の中から、実用性や市場反響を基に選定されたランキングの上位5冊を講評。

日本一早いビジネス書ランキングの講評(1位~5位)(尾藤 克之)

日本一早いビジネス書ランキングの講評(1位~5位)
今回、ランキングに発表した10冊の講評をおこなう。本ランキングは、年間を通じて刊行されたビジネス書の中から、読者評価、実用性、著者の専門性、そして市場での反響を総合的に判断して選定したものである。 2025年も数多くのビジネス...

6位〜10位はこちら

FXのデイトレードは、スプレッド(手数料)を考慮すると「マイナスサムゲーム」であり、統計的にも資産を減らす口座の方が多いと指摘。メンタルへの負担が大きく、社会的意義も見出しにくい投機的な取引よりも、不動産や債券など安定したインカムゲインを生む資産運用の方が生活の質を高められると主張しています。

FXでデイトレードをやってはいけない理由(内藤 忍)

FXでデイトレードをやってはいけない理由
FX(為替証拠金取引)を使って短期の売買を繰り返すデイトレードをやっている個人投資家がいます。今年の運用成績は好調のようで運用資産は2025年10月まで6カ月連続で増加しているそうです。「資産が増加したFX口座の割合は6割と過去最多」とイキ...

名古屋鉄道が名鉄名古屋駅周辺の大規模再開発計画を事実上白紙化し、開業時期や規模を「未定」としたことが報じられています。建設資材の高騰やオフィス賃料の低迷に加え、地下駅を運行しながらの難工事が壁となり、2040年代完成予定が頓挫。この動きは、巨額の資金で既存施設を建て替える都市更新モデルの限界を示唆しており、他都市への波及も懸念されています。

名鉄名古屋駅の再開発「白紙化」は再開発の限界か、名鉄の特殊事情か(アゴラ編集部)

名鉄名古屋駅の再開発「白紙化」は再開発の限界か、名鉄の特殊事情か
名古屋鉄道は12日、名鉄名古屋駅周辺で進めてきた大規模再開発について、開業時期と事業規模をともに「未定」とすると発表した。総事業費約8880億円、2040年代完成を想定していた計画は事実上停止し、名古屋の中枢で都市更新が止まる現実がはっきり...

ビジネスにおいて「気遣い」はスキルであり、相手に気を遣わせる人は年齢とともに淘汰されると著者は警鐘を鳴らしています。飲み会での振る舞いはそのリトマス試験紙であり、リモートワークやZoom会議、さらにはAIへのプロンプト入力においても、相手(やAI)に配慮した「お膳立て」ができるかどうかが、仕事の成果や周囲からの信頼を左右すると論じています。

AI時代「気を遣わせる人」は静かに淘汰される(黒坂 岳央)

AI時代「気を遣わせる人」は静かに淘汰される
黒坂岳央です。 ビジネスには能力やスキルの以上に結果を左右する要素がある。それが「気遣い」である。 年齢を重ねるほど、相手に気遣いが出来る人と、逆に相手に気を遣わせる人の格差はドンドン開いていく。仮に相手に気を遣わせる側になると...

メディアの多様化が進む中でNHKが営利目的ではなく、公平な報道や海外への発信といった独自の役割(公益性や国益への寄与)に特化すべきだと主張。しかし、現状の「受信できる人は誰でも払え」という受信料制度には無理があると指摘し、教育チャンネルの廃止や海外発信強化などの改革案を提示しつつ、運営費の半分を国税で賄う形での公益社団法人化や、有料放送化(スクランブル化)などの抜本的な見直しが必要だと論じています。

NHKのあり方:受信できる人は誰でも払えという奇妙なルールのゆくえ(岡本 裕明)

NHKのあり方:受信できる人は誰でも払えという奇妙なルールのゆくえ
AI君にメディアの役割は何か、と聞くと「情報伝達(ニュース、知識、娯楽の提供)、世論形成(討論を通じて社会の意見をまとめる)、そして監視・教育(権力のチェック、文化的価値観の継承)の3つが基本」と出てきました。最近ではオールドメディアに対し...

伊藤詩織監督の映画『Black Box Diaries』の会見で、同作の権利問題を報じてきた望月衣塑子記者と伊藤氏が激しく対立しました。承諾を得ない映像使用や弁護士への謝罪の有無などを巡り、両者の主張は平行線をたどっており、倫理的・手続き的な疑念が解消されないまま対立が深刻化しています。

かつての同志、伊藤詩織さんと望月衣塑子記者が記者会見で大激突(アゴラ編集部)

かつての同志、伊藤詩織さんと望月衣塑子記者が記者会見で大激突
ジャーナリストの伊藤詩織さんが2025年12月15日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を開き、自身が監督したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」をめぐる批判に反論した。会見では、映画内容を問題視してきた東京新...

2025年12月のスマホ新法施行により、iPhoneでもApp Store外からのアプリ入手や外部決済が可能になりますが、セキュリティリスクが増大します。著者は、運営元不明のアプリストア利用や見覚えのない決済リンクへのアクセスはマルウェア感染や詐欺被害につながるため、初心者は引き続き公式App StoreとApple Payを利用するよう推奨しています。

12月スマホ新法、iPhoneでのNG行為(黒坂 岳央)

12月スマホ新法、iPhoneでのNG行為
黒坂岳央です。 2025年12月のスマホソフトウェア競争促進法、いわゆるスマホ新法の完全施行に伴い、iPhoneユーザーに大きな変化が起きる。これまでAppleが強固に守ってきた「壁」が取り払われ、ユーザーの自由度が増す一方でリスクも...

2025年11月、新排出ガス規制により50ccバイクの製造が中止された背景には、開発コストの高騰や「坂が登れなくなる」といった技術的な限界がありました。著者は、かつてホンダが4ストロークエンジンのスーパーカブで、ヤマハが2ストロークのRZ250で、それぞれの逆境を跳ね返し、新たな価値を生み出した歴史を振り返りながら、今回の逆境においてもメーカーが知恵を出し、魅力的な次世代バイクを生み出せるかどうかに期待と懸念を寄せています。

「50ccバイク製造中止」カブを超えるマシンは生まれるか(関谷 信之)

「50ccバイク製造中止」カブを超えるマシンは生まれるか
初めて乗ったバイクは50cc。そんな方も多いのではなかろうか。友人から借りた「タクト」。バイトで買った「RZ50」。家の手伝いで乗らされた「スーパーカブ」。 カテゴリーは違っても「楽しさ」は変わらない。車体が軽いから、加速が良い。曲が...

科学・文化・社会・一般

アメリカの覇権による20世紀後半のグローバル化が同盟諸国の協力によって支えられていたと分析する一方、現在はアメリカだけでなく日本や欧州の国力低下も重なり、「グローバル化の挫折」が起きていると指摘。国力が疲弊する日本にとって日米同盟は生命線であるが、アメリカの力を過信せず、自国の価値低下を認識した繊細な外交努力が必要だと論じています。

田所昌幸『世界秩序』を読んで考える「グローバル化」の終焉と日本外交(篠田 英朗)

田所昌幸『世界秩序』を読んで考える「グローバル化」の終焉と日本外交
田所昌幸教授の近刊『世界秩序』(中公新書)の合評会の研究会に出て、ご本人もまじえた議論に参加する機会を得た。中公新書からは、日本の国際政治学の歴史の中で最高権威と言える故・高坂正尭・元京都大学教授の『国際政治』という題名の1960年代の名著...

現代のSNS社会において、個人の私的な感情や体験が他人の目を意識して公開され、消費される状況を「ポルノ化」と表現しています。本来は自分の胸の内に秘めておくべき脆い感情やアイデアまでもが、SNS上で「推し活」や「社会正義」のパフォーマンスとして露出され、安易に上書きされてしまうと指摘。こうした状況に対し、他人の手帳という私的な記録を通して「私」を取り戻す試みを紹介し、SNSによる自己のポルノ化から距離を置き、素顔で触れ合う「密」な関係性を取り戻す必要性を説いています。

すべてのSNSはポルノであり、だれもが出演する俳優である。(與那覇 潤)

すべてのSNSはポルノであり、だれもが出演する俳優である。
早いもので師走も半ば、「今年をふり返る」系の企画が増える時期である。光栄なことに、昨年に続いて『文藝春秋』(2026年1月号)の読書欄が、「わたしのベスト3」に起用してくれた。 文学が社会に戻ってきた年だった。むろん、売上...

著者は、ピンカーが「内なる悪魔」よりも「善なる天使」が優位になりつつあると説く「暴力衰退論」を紹介しつつ、中国の台頭や統計分析の問題点など、この理論に対する批判も提示。その上で、日本の学界がこの画期的な研究に関心を示さない現状に疑問を投げかけています。

なぜか「平和主義」の日本で注目されない暴力衰退論(野口 和彦)

なぜか「平和主義」の日本で注目されない暴力衰退論
国際関係論・国際政治学の1つのメインテーマは、「戦争と平和」です。にもかかわらず、我が国のこの分野の研究者たちは、「世界では暴力が激減しており、平和への道を進んでいる」ことを論証する大作について、あまり大きな関心を払っていないように見えます...

日本三大庭園の一つである兼六園は、紅葉が見頃を迎え、多くの外国人観光客で賑わっていました。夕暮れの光に照らされた紅葉や霞ヶ池の徽軫灯籠(ことじとうろう)、ライトアップされた金沢城の石垣など、幻想的な風景の美しさが描写されており、冬の雪景色への再訪も期待させる内容となっています。

黄昏の兼六園 紅葉の庭園を歩く。(ミヤコ カエデ)

黄昏の兼六園 紅葉の庭園を歩く。
11月は2度、仕事で金沢を訪ねました。仕事は月曜日にあるのですが、意図的に前乗りし(!)、夜は金沢に転勤してきた元部下と食事をする約束をしていたのですが、金沢に着いたのは16時ごろ。約束までちょっと時間があったので、久しぶりに兼六園を訪ねる...

一部の歴史学者たちが、他者の歴史解釈を「修正主義」や「否定論」として糾弾する一方で、自分たちの不祥事や都合の悪い事実は隠蔽・抹消しようとしている「歴史否定主義」的な態度を批判しています。

自分の不祥事は “歴史否定主義” する歴史学者たち:令和人文主義を添えて(與那覇 潤)

自分の不祥事は "歴史否定主義" する歴史学者たち:令和人文主義を添えて
1997年に「新しい歴史教科書をつくる会」が発足して以来、平成を通じて "歴史修正主義" といえば絶対悪の代名詞だった。とりわけ学者の世界がそうで、ほとんど "人種差別主義" と同じくらい、存在自体が許されないものという感じだった。...