防災と消防団②:消防団と寄付

高橋 富人

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そもそも、消防団の寄付について私が本腰をいれて調べることになったのは、ある市民の方からの一本のメールがきっかけでした。

詳細は割愛しますが、その趣旨は「自治会で消防団に対する寄付金を募っているが、法律違反なので佐倉市では消防団に対する寄付行為を禁止する条例を制定すべきだ」というものでした。

詳細を調べた結果、現在の法律や司法判断を前提とすると、「消防団に対する寄付行為」は、控えめに言って推奨できる状況ではありませんでした。

前回:防災と消防団①

非常勤公務員である消防団員への寄付

第一稿で確認したとおり、消防団員は、有償ボランティアと呼ぶ程度の金額設定ではあるものの、年間報酬や出動手当も支払われている非常勤の公務員です。

他方、年間報酬や出動手当がいかに廉価であったとしても、公務員である以上、その職務行為に報酬以外の対価を受け取ることは法律で禁じられています。その名称が寄付であれ何であれ、法的にはそうなっている。

また、平成22年の横浜地裁の判決では、「本来業務との関連が疑われる活動につき、市民等から慰労などの趣旨で直接寄付金を受領することは、違法となる余地がある」という判決文がでたことから、それ以降全国の多くの市町村で「消防団への寄付廃止」の条例が制定されはじめています。

寄付の必要性に関する観点

一方で、現実的には自治会が集金して、地元の消防団に寄付をすることは、未だ全国的にみられます。これは、「自分たちの地域の安全は自分たちで守る」という江戸時代から続く日本の「共助の伝統」を基とする習慣ともいえます。

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地域の若者が、火事や災害の折真っ先に駆け付けて「消防団」として活躍する。そのお礼として、地域住民から世帯当たり幾ばくかの「寄付」が払われる。その寄付をもとに、団員が年に一、二回程度、4~5千円程度の酒席でつながりを深める。そこでの会話で、一人暮らしの高齢者はどこにいる、崖崩れが起きやすい集落の状況などを共有する、といった営みを、地域に根付く生きた活動の糧とする。

法的な議論はいったんおくとして、私は上記のような「地域共助の紐帯」ともいうべき寄付についてはしっかり残していくべきだと思います。「消防団は、自治会に寄付を強要し、そのお金で旅行して、芸者をあげた飲み会でどんちゃん騒ぎしても、用途の内訳を一切公開しないから寄付なんてすべきじゃない」という意見も聞きました。確かに、今の時代にそこまで派手な振る舞いは控えるべきだし、用途の透明性は担保されるべきでしょう。また、寄付はあくまで任意のものであるため、強要するべきではありません。でもそれならばそれらを個別に改善すれば済む話で、ことの本質は地域住民による寄付行為という「地域共助の紐帯」を保持すべきかどうか、という点であることを指摘したいと思います。

消防団への寄付の賛否と論点の枠組み

本件については、皆さんの意見はまちまちだと思います。実際、私は本件について関係者含め50人近い方々からヒアリングしましたが、皆それぞれ違う意見を表明されました。

ご意見すべてを紹介することはできませんが、その内容を大別すると「全国的に(付帯条件なく)寄付を廃止する」、「寄付の在り方を見直す」、「団員報酬を実情にあったものにし、寄付を廃止する」、「消防団員制度を廃止する」、「現状維持」という5つに大別できることがわかりました。

次回原稿では、それらの方針について個別に検討していきます。

次回:「防災と消防団③」へ続く

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