アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。
政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!

お知らせ
30年に及ぶ長期低迷、「日本病」の正体とは何か——。
サッチャーの英国病克服から高市政権のバラマキまで、日本経済の病巣と治療法を徹底検証。
■ 1/9〜毎週金曜(全12回)
■ 19:00〜20:45(Zoomオンライン)
講師は池田信夫アゴラ研究所所長。誤った診断(デフレ)を正し、政治・経済・文化遺伝子から脱却の道を考えます。
▶ 申込はこちらから
【アゴラセミナー】池田信夫「日本病のカルテ:長期低迷をいかに脱却するか」

言論アリーナ
日銀は政策金利を0.75%に上げました。これ自体は相場に織り込まれていたので大きな動きはありませんが、来年はどうなるのでしょうか。バラマキ財政を続けながら金融を引き締めて迷走する高市政権の今後を考えます。
【言論アリーナ】金融引き締めでインフレ・円安は止まるのか 早川英男×池田信夫
政治・経済・社会保障
「企業から取れば国民が助かる」——はたして本当にそうなのでしょうか?
■
日本の一般病院の7割が赤字に陥っている要因として、コスト増を価格転嫁できない構造、人件費上昇、コロナ補助金の終了、地方での患者数減少と病床稼働率の低迷を挙げています。著者は、世界最多レベルの病床数が長期入院(社会的入院)を助長し、医療費増と経営悪化の悪循環を生んでいると指摘。解決策として、急性期病床を維持しつつ長期療養型の病床を減らす「病床削減」や在宅連携への転換、さらに医療費への消費税課税などを提言しています。
日本の医療はなぜ7割が赤字で崩壊していくのか、率直に分析する。(永江 一石)

■
フジテレビの番組で、月28万円の年金を受給し持ち家に住む高齢世帯を「生活苦」として取り上げたことに対し、現役世代から強い反発の声が上がっていると報じています。月28万円は現役世代の年収600~700万円相当に匹敵し、社会保険料増で手取りが減る若者世代との格差が浮き彫りになったことで、メディアの報じ方や金銭感覚への批判が高まっています。
フジテレビ「年金月28万円の生活苦」報道が現役世代の不満の呼び水に(アゴラ編集部)

■
政府が2027年度からメガソーラーへの新規支援を廃止する方針を決めたことについて、著者は評価しています。森林伐採などの環境破壊や中国製パネルによる富の流出といった副作用が顕在化しているため、補助金による無理な拡大を止め、市場メカニズムに委ねるべきフェーズに来たと指摘。今後は原発を含めたバランスの取れたエネルギーミックスへの移行が必要だと論じています。
政府のメガソーラー新規支援の廃止方針を評価する(音喜多 駿)

■
日銀は30年ぶりとなる0.75%への利上げを決定しましたが、市場では逆に1ドル=157円台まで円安が加速しました。利上げがすでに織り込み済みであったことや、今後の利上げペースや中立金利の水準が示されなかったことで政策への不信感が高まったことが要因です。明確な将来像を示せない限り、円安に歯止めをかけるのは困難であると指摘されています。
日銀が0.75%に利上げでも円安加速:円安スパイラルはこれからが本番か(アゴラ編集部)

■
政府が介護保険の2割負担対象拡大を年内に決定せず、2026年以降に先送りする方針を固めました。現在、利用者の9割以上が1割負担でサービスを受けており、給付費の増大が現役世代の負担を圧迫している現状に対し、改革の遅れが制度の持続可能性を危うくすると批判されています。
政府が介護保険改革を先送り:9割が1割負担のまま現役世代の負担は拡大(アゴラ編集部)

■
「政府高官」が記者団に対し、個人的見解として「日本は核兵器を保有すべきだ」と発言したことが波紋を広げています。厳しい安全保障環境を理由に独自の抑止力が必要だとする一方、現政権下での実現は困難とも述べていますが、野党や一部与党内からは被爆国として不適切だとして更迭や説明責任を求める声が上がっています。また、非公式取材での個人的意見を報じたメディアの姿勢や、発言者の意図が不透明なまま議論が進んでいる点にも疑問が呈されています。
核保有をめぐる「政府高官」の発言が波紋を広げる(アゴラ編集部)

国際・エネルギー
ドイツの哲学者N・ボルツ教授の自宅が家宅捜索を受けた事件を取り上げ、ドイツにおける言論弾圧の現状を批判しています。2年前のX(旧Twitter)での皮肉交じりの投稿が「ナチスの文言使用」として告発されたことが発端であり、政府批判を行う学者やジャーナリストへの圧力や、市民による相互監視・密告が推奨されている状況を「全体主義への道」と警告。日本でも同様の言論統制が進みつつあると懸念を示しています。
言論の自由はこうして死ぬ。ドイツの著名学者襲撃が示す「全体主義」への道(川口 マーン 惠美)

■
著者は、カナダの知人の例を挙げ、メディアや周囲の影響で個人の思想が形成され、それが「ナラティブ(物語)」となって自己の正義を強化し、他者を排除する動きにつながると分析しています。トランプ現象やオーストラリアでの銃乱射事件などを例に、個人や国家が独自のストーリーを作り上げることで分断が生じると指摘。2026年以降、日本もそうした世界的な分断の試練に直面する可能性があると警鐘を鳴らしています。

■
高市総理の「台湾有事への介入」を示唆する発言に対する中国の猛反発は、国内の経済不振や社会不安を外部へ逸らすための反応であると分析。中国は不動産バブル崩壊や人口減少などの構造的問題に加え、軍内部の汚職や「福建閥」の粛清など体制内の亀裂も深まっており、長期的な衰退サイクルに入ったと論じています。
高市総理の発言に反発する中国の長期衰退の兆し(藤谷 昌敏)(JFSS)

■
ミス・フィンランド優勝者が「つり目」写真により称号を剥奪されたことを受け、同国の一部議員が抗議として同様の写真を投稿したことや、政府任命の人権大使が批判的な日本人をSNSでブロックするなどの対応を見せたことで波紋が広がっています。政府は政治家の発言は公式見解ではないとしていますが、人権先進国としての信頼を揺るがす事態に発展しています。
フィンランド「つり目」写真問題、同国人権大使の反人権的反応でさらに批判拡大(アゴラ編集部)

■
2027年度の省エネ規制強化により、安価なエアコンが市場から消え、価格が倍増する懸念があります。著者が試算した結果、標準的なファミリー世帯では投資回収に約17年かかる一方、電力使用量の少ない一人暮らし世帯では約160年かかり、事実上「回収不能」であることが判明しました。この規制強化は、単身者や若年層、低所得層にとって恩恵がなく、単なる負担増(実質増税)となる可能性が高く、再検討が必要であると主張しています。
エアコン「2027年問題」は一人暮らし若者への実質大増税なのか(杉山 大志)

ビジネス・IT・メディア
2025年に刊行されたビジネス書の中から、実用性や市場反響を基に選定されたランキングの上位5冊を講評。
日本一早いビジネス書ランキングの講評(1位~5位)(尾藤 克之)

6位〜10位はこちら
■
FXのデイトレードは、スプレッド(手数料)を考慮すると「マイナスサムゲーム」であり、統計的にも資産を減らす口座の方が多いと指摘。メンタルへの負担が大きく、社会的意義も見出しにくい投機的な取引よりも、不動産や債券など安定したインカムゲインを生む資産運用の方が生活の質を高められると主張しています。

■
名古屋鉄道が名鉄名古屋駅周辺の大規模再開発計画を事実上白紙化し、開業時期や規模を「未定」としたことが報じられています。建設資材の高騰やオフィス賃料の低迷に加え、地下駅を運行しながらの難工事が壁となり、2040年代完成予定が頓挫。この動きは、巨額の資金で既存施設を建て替える都市更新モデルの限界を示唆しており、他都市への波及も懸念されています。
名鉄名古屋駅の再開発「白紙化」は再開発の限界か、名鉄の特殊事情か(アゴラ編集部)

■
ビジネスにおいて「気遣い」はスキルであり、相手に気を遣わせる人は年齢とともに淘汰されると著者は警鐘を鳴らしています。飲み会での振る舞いはそのリトマス試験紙であり、リモートワークやZoom会議、さらにはAIへのプロンプト入力においても、相手(やAI)に配慮した「お膳立て」ができるかどうかが、仕事の成果や周囲からの信頼を左右すると論じています。

■
メディアの多様化が進む中でNHKが営利目的ではなく、公平な報道や海外への発信といった独自の役割(公益性や国益への寄与)に特化すべきだと主張。しかし、現状の「受信できる人は誰でも払え」という受信料制度には無理があると指摘し、教育チャンネルの廃止や海外発信強化などの改革案を提示しつつ、運営費の半分を国税で賄う形での公益社団法人化や、有料放送化(スクランブル化)などの抜本的な見直しが必要だと論じています。
NHKのあり方:受信できる人は誰でも払えという奇妙なルールのゆくえ(岡本 裕明)

■
伊藤詩織監督の映画『Black Box Diaries』の会見で、同作の権利問題を報じてきた望月衣塑子記者と伊藤氏が激しく対立しました。承諾を得ない映像使用や弁護士への謝罪の有無などを巡り、両者の主張は平行線をたどっており、倫理的・手続き的な疑念が解消されないまま対立が深刻化しています。
かつての同志、伊藤詩織さんと望月衣塑子記者が記者会見で大激突(アゴラ編集部)

■
2025年12月のスマホ新法施行により、iPhoneでもApp Store外からのアプリ入手や外部決済が可能になりますが、セキュリティリスクが増大します。著者は、運営元不明のアプリストア利用や見覚えのない決済リンクへのアクセスはマルウェア感染や詐欺被害につながるため、初心者は引き続き公式App StoreとApple Payを利用するよう推奨しています。

■
2025年11月、新排出ガス規制により50ccバイクの製造が中止された背景には、開発コストの高騰や「坂が登れなくなる」といった技術的な限界がありました。著者は、かつてホンダが4ストロークエンジンのスーパーカブで、ヤマハが2ストロークのRZ250で、それぞれの逆境を跳ね返し、新たな価値を生み出した歴史を振り返りながら、今回の逆境においてもメーカーが知恵を出し、魅力的な次世代バイクを生み出せるかどうかに期待と懸念を寄せています。
「50ccバイク製造中止」カブを超えるマシンは生まれるか(関谷 信之)

科学・文化・社会・一般
アメリカの覇権による20世紀後半のグローバル化が同盟諸国の協力によって支えられていたと分析する一方、現在はアメリカだけでなく日本や欧州の国力低下も重なり、「グローバル化の挫折」が起きていると指摘。国力が疲弊する日本にとって日米同盟は生命線であるが、アメリカの力を過信せず、自国の価値低下を認識した繊細な外交努力が必要だと論じています。
田所昌幸『世界秩序』を読んで考える「グローバル化」の終焉と日本外交(篠田 英朗)

■
現代のSNS社会において、個人の私的な感情や体験が他人の目を意識して公開され、消費される状況を「ポルノ化」と表現しています。本来は自分の胸の内に秘めておくべき脆い感情やアイデアまでもが、SNS上で「推し活」や「社会正義」のパフォーマンスとして露出され、安易に上書きされてしまうと指摘。こうした状況に対し、他人の手帳という私的な記録を通して「私」を取り戻す試みを紹介し、SNSによる自己のポルノ化から距離を置き、素顔で触れ合う「密」な関係性を取り戻す必要性を説いています。
すべてのSNSはポルノであり、だれもが出演する俳優である。(與那覇 潤)

■
著者は、ピンカーが「内なる悪魔」よりも「善なる天使」が優位になりつつあると説く「暴力衰退論」を紹介しつつ、中国の台頭や統計分析の問題点など、この理論に対する批判も提示。その上で、日本の学界がこの画期的な研究に関心を示さない現状に疑問を投げかけています。
なぜか「平和主義」の日本で注目されない暴力衰退論(野口 和彦)

■
日本三大庭園の一つである兼六園は、紅葉が見頃を迎え、多くの外国人観光客で賑わっていました。夕暮れの光に照らされた紅葉や霞ヶ池の徽軫灯籠(ことじとうろう)、ライトアップされた金沢城の石垣など、幻想的な風景の美しさが描写されており、冬の雪景色への再訪も期待させる内容となっています。

■
一部の歴史学者たちが、他者の歴史解釈を「修正主義」や「否定論」として糾弾する一方で、自分たちの不祥事や都合の悪い事実は隠蔽・抹消しようとしている「歴史否定主義」的な態度を批判しています。
自分の不祥事は “歴史否定主義” する歴史学者たち:令和人文主義を添えて(與那覇 潤)






