(※情報は随時更新・追加していく予定です。12月31日11:30更新)
日産のカルロス・ゴーン会長が19日夜、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に逮捕されたことを受け、日産は22日、臨時の取締役会を開きゴーン氏の会長職と代表取締役の解任を全会一致で決めました。
本事件についてはすでに様々な情報が乱れ飛んでおり、問題の所在がわかりにくくなっています。そこで今回は、アゴラを中心にこれまでの議論を整理することで、事件の論点をまとめてみました。
(※12月25日のケリー氏保釈、26日以降の記事・報道、31日のゴーン氏勾留延長決定までの議論を中心に整理して追加しました。)
日産・ルノーの経営統合計画を阻止するためのクーデターか
逮捕の翌朝にまず書かれたのは、大前研一氏が今年5月に解説していたような、日産・ルノーの経営統合を進めようとしたゴーン氏を止めるためのクーデター説。時価総額でも販売台数でも上回りながら資本関係で実質的に支配されている日産が、双方に議決権がない状態になるまでルノー株を買い増し、ルノーの影響力排除を狙っているのではという視点でした。
“足元をすくわれた”ゴーン氏。焦点は25%ルールか?(尾藤 克之)
ゴーン逮捕:政治的背景はあるのか?情報戦に留意を(新田 哲史)
経営統合はフランス政府の意向だった?国際問題に発展のおそれも
関連して、ゴーン氏による日産・ルノーの経営統合の動きの裏にはルノーの筆頭株主であるフランス政府、マクロン大統領の意向が働いていた可能性が指摘されました。仮にそうだとしたら、今回の事件が日仏間の経済問題にとどまらず、安全保障などの国際問題に深刻な影響を与えることも…。
ゴーン逮捕:政治的背景はあるのか?情報戦に留意を(新田 哲史)
カルロス・ゴーンの三重国籍とフランスからの視点(八幡 和郎)
虚偽記載の主体は会社ではないのか
ゴーン氏の容疑事実は「役員報酬を過少申告した有価証券報告書の虚偽記載」。従って20日昼の時点では、有価証券報告書は総務などの担当部門で情報を集約して作成・提出されるため、その中で役員報酬が過少に記載されていたのなら会社組織の問題であり、会長個人を逮捕することは通常ありえないという意見が聞かれました。
株価連動報酬の過少記載なら身柄拘束は妥当か
20日19時に日経新聞が、過少記載されていた報酬はストック・アプリシエーション権(SAR)と呼ばれる株価連動報酬であったことを報じました。SARとは「株価があらかじめ決めた価格を上回った場合に、その差額部分の報酬を会社から現金で受け取れる権利」のことで、これによりゴーン氏に支払われた5年間の報酬40億円が有価証券報告書では0円になっていたといいます。
これを受けて、アゴラの池田信夫は前日の記事を一部訂正し、会長がお手盛りで自分の役員報酬を上げてそれを隠すような行為は許すべきではないと述べました。
また弁護士・元衆議院議員の早川先生は、有価証券報告書の虚偽記載容疑での逮捕はその方が形式犯なので立件しやすかったためで、税金逋脱などの罪はこれから問われることになるだろうと指摘しました。
ゴーン逮捕:税金逋脱や特別背任での捜査も免れないはず(早川 忠孝)
経営陣は今年6月にはじめて知った?他の役員の連帯責任の有無は?
一方で、ゴーン氏のSARだけがわかりやすくずっと「0円」になっているのに、今年6月になるまで周りは誰も気づかなかったのでしょうか?池田と元検事・弁護士の郷原さんは、財務部門のスタッフや他の日産役員もやはり認識していたはずだと指摘しています。そうなると今後は、他の役員の連帯責任も焦点になってくることが予想されます。
ゴーン事件は「役員報酬飛ばし」か「経営統合つぶし」か(池田 信夫)
日産幹部と検察との司法取引に“重大な欺瞞”の可能性(郷原 信郎)
日産役員と検察の司法取引は許容範囲内の取引だったのか
他の役員の連帯責任という観点では、日産役員と検察官の間で行われたとされている「司法取引」についての疑念も示されました。郷原さんによれば、今回ゴーン氏、ケリー氏のみを処罰の対象とし、他の会社幹部は処罰しないという「合意」が成立したのだとすると、それは今年6月に導入された「日本版司法取引」の許容範囲を超えているおそれがあるといいます。
日産幹部と検察との司法取引に“重大な欺瞞”の可能性(郷原 信郎)
アゴラでもおなじみの八幡さんは、検察もグルになった会社乗っ取りとも見なせるゴーン氏の逮捕・解任を問題視する一方、国際的な批判が高まることで日本の検察制度が変わるためのいいきっかけになるかもしれないと指摘しました。
会社は誰のものか:日本型 vs. 英米型
報道によると、ゴーン氏はSARの虚偽記載の他に、ベンチャー投資を装った住宅購入や業務実績のない姉とのコンサル契約締結を行なっていたとされています。この点に関連して、「経営者の報酬」についての日本と海外の考え方の違いも議題に上りました。
検察はゴーン氏の5年間の実際の役員報酬は約99億9800万円だったと発表しましたが、世界的にみると年間100億円を超える役員報酬もあります。ゴーン氏は、90年代末に倒産寸前だった日産をV字回復させて多大な貢献をしました。池田が指摘するように、ゴーン氏の「隠れ役員報酬」は日産経営陣の合意によるものだったことも考えられます。
ゴーン事件は「役員報酬飛ばし」か「経営統合つぶし」か(池田 信夫)
日本のいまのシステムとヒエラルキーを温存したい攘夷派の反撃か
「いま日本は、まるで幕末のように開国と攘夷で揺れているのではないか」と問題提起したのは、海外で学位を取り、外資系の金融機関で長年働いていた藤沢数希さん。大学入試から会社での働き方まで、日本のヒトに関する制度は非常に特殊でいまもまったくグローバル化していない。今回の事件も、グローバル化をこれまでどおりモノだけに留めて、日本のいまのシステムとヒエラルキーを温存したい攘夷派による反撃の一場面だったと指摘しました。
ゴーン事件に関するネット記事まとめ
(追記11月24日15:20)ネット上のゴーン事件に関する記事をまとめました。
日産にとって悪材料ばかりではないゴーン氏らの逮捕(外から見る日本、見られる日本人)
要旨:経営の自由度が増して日産色を出せるようになり中長期的にはプラス
日産会長金商法違反事件-司法取引は国民目線で考えよう(ビジネス法務の部屋)
要旨:会社法より金商法違反の方が他の役員の虚偽記載の認識が問題になりにくいが、投資家の投資判断に影響を及ぼすほどの「重要な虚偽記載に該当するのか」という疑問も
ゴーン氏解任後の日産は、大丈夫なのか?(片山修のずだぶくろ)
要旨:ゴーン独裁への不満が噴出した反乱だが、ゴーン氏がルノーCEOを継続する可能性はまだなくなっておらず、ゴタゴタが長引けば3社凋落も
「ホリエモン逮捕」に通じる「ゴーン氏逮捕」(生きた経済ブログ)
要旨:小が大を呑み込む構図、個人の強欲をクローズアップした報道などがライブドア事件を彷彿。国策逮捕だろう
会計トリックスター・ゴーンの失脚は必然(投資を楽しむ♪)
要旨:ゴーン就任直後のV字回復は会計操作による演出だった。長い目で見ると失脚は悪材料ではないかも
日産が仕掛けた「ゴーン追放」でルノーとの経営統合はどうなる?(M&A Online)
要旨:フランス政府の強い意向により、ゴーン氏追放はルノーとの経営統合を早める
ゴーン追放はクーデターか…日産内で囁かれる「逮捕の深層」 井上 久男(現代ビジネス)
要旨:ゴーン氏ら一部の外国人が高級取りで会社の金で贅沢三昧なのに現場投資を怠っていることへ社内の不満を放置していれば、矛先はいずれ自分に向かってくるという西川氏サイドの判断だったのでは
日産「ゴーン逮捕」で「大いなる後退」を憂う 大西 康之(Foresight)
要旨:犯罪は経営者として失格だが19年間の数々の改革は全否定されるべきではなく、「やはり日本的経営でいいのだ」では時計の針が戻ってしまう
カルロス・ゴーン逮捕、アメリカでどう報じられたか 冷泉 彰彦(ニューズウィーク日本版)
要旨:巨大権力に溺れた「経営者の腐敗」と「グループを構成する一企業が独断でローカルな国の捜査当局に捜査協力している状況への違和感」の2種類の見方に分かれている
ゴーンを“追放”した西川社長の誤算 日産立件で総退陣浮上(日刊ゲンダイ)
要旨:特捜部は法人も罰する金融商品取引法の両罰規定を適用する可能性があり、法人も立件されれば現執行部は責任を取らざるをえないのでは
(追記11月27日16:40)ネット上のゴーン事件に関する記事のまとめを追加しました。
先送り報酬80億円を不記載 ゴーン元会長、報告書に(日経新聞)
要旨:有価証券報告書に記載されていなかったゴーン元会長の役員報酬は、「受領を先送りした報酬80億+SAR40億」の合計120億円か
「カルロス・ゴーン氏は無実だ」ある会計人の重大指摘 細野 祐二(現代ビジネス)
要旨:問題はゴーン氏の「故意」があったか。海外の高額マンションの購入は会計基準上の役員報酬とはならず、オランダの非連結子会社から得た役員報酬は内閣府令が定める連結役員報酬に該当せず、40億のSAR費用処理はゴーン氏が日本の連結財務諸表規則や開示内閣府令などを知っていたはずがなく、故意は認定できない。
ゴーン後任はフランス人と仏経済相が言明(八幡 和郎)
要旨:仏経済相はゴーン後任の3社連合のトップはフランス人と言明。ゴーン氏はフランス政府に対してむしろ独立性の高い経営者だった。日本の司法の異常さは日米地位協定の改定などの支障にも
役員報酬「隠蔽」は退任後の「支払の約束」に過ぎなかった(郷原 信郎)
要旨:虚偽記載とされたのは「退任後の支払の約束」だった。開示義務があるのか重大な疑問。私的な投資資金・経費の支出はまず取締役会で議論するのが本来の会社のガバナンスで、特捜部に持ち込んだのは二人の出席を妨害する目的だったか。
ゴーン氏事件 朝日新聞は、なおも「従軍記者」を続けるのか(郷原 信郎)
要旨:退任後報酬の開示義務は疑問、それに加えて、投資家の判断を左右する「重要な事項」であることも立証しなければという二重のハードルが残る。そこに気づいた読売に対し、時効の成立する10年も前の、最終的な損益が不明な余罪(特別背任)の可能性を報じる朝日。
(追記12月22日23:30)12月10日の起訴から21日のゴーン氏再逮捕までの記事を中心にまとめを追加しました。
金商法違反容疑の焦点は「退任後報酬の違法性」に
日産前会長・金商法違反事件-退任後報酬の記載義務等について(ビジネス法務の部屋)12月3日
投資判断を変える「重要事項」にあたるのか
ライブドア事件に似てきたゴーン事件(池田 信夫)12月10日
会長の報酬を毎年10億円小さく記載することより、赤字を黒字と記載することの方が株主価値に与える影響は大きい。
ゴーン事件に垣間見る「歪んだ」格差認識(藤巻 健史)12月11日
有価証券報告書は投資家、潜在的投資家、銀行等のためのもの。会長の報酬が20億円ではなく10億円との表記で投資判断を変えた人がいたのか疑問。
日産前会長金商法違反事件-会計実務家の常識的判断を尊重せよ(ビジネス法務の部屋)12月12日
「社会常識の変遷」を根拠にしてしまっては罪刑法定主義に反する可能性が。2010年3月度の時点から重要事項に該当していたことが必要だが、そうではなかったのでは。
日本の「人質司法」に対して高まる海外からの批判
WSJもゴーン逮捕は宗教裁判で中国並みと猛批判(八幡 和郎)11月28日
世界のビジネス界を不安に陥れる野蛮な行為は韓国の徴用工判決よりさらに悪質。長期の服役の脅威にさらすのは現実の脅威で、世界のビジネスマンに来日をためらわせる恐れすらある。
ゴーン氏取り調べの不可解さ:逮捕劇と日産会長解任がはらむ危険 The Wall Street Journal(ダイヤモンド・オンライン)11月29日
日本の検察当局は、東芝やオリンパスの容疑者に対してこのような扱いをしなかったはず。
ゴーンショックが今後の法制度に及ぼす影響について(個人的意見)(ビジネス法務の部屋)12月4日
海外からも日本の「人質司法」への批判が高まる中、外圧を受けて刑事訴訟における人権保障の風が吹きつつあるのが現状。
違法ではなくても「モラルの欠如」が問題か
違法性より倫理の欠如でゴーンは失格(中村 仁)12月3日
検察がかりに裁判で有罪に持ち込めなくても、ゴーンは免責にされない。違法でなければ許されるかとなると、それは違う。一流企業ほど、経営者には高い倫理性が求められるもの。
問うべきはゴーンの経営モラルの全体像(中村 仁)12月22日
事件の核心は、一貫してゴーンの経営モラルの欠如のはず。
国際的に通用するには「法の支配」が必要か
最低の反応:ゴーン事件で東京地検のプレゼン力を憂う(篠田 英朗)12月2日
国際社会が相互に信頼するときに参照するのは、「人権」「法の支配」「法の前の平等」「デュープロセス」「推定無罪」といった普遍性を持つ原則。
「組織の論理」によるゴーン氏起訴と「法相指揮権」(郷原 信郎)12月5日
日本の刑事裁判所は有罪率99.9%。被疑者の長期間の身柄拘束や、弁護士が同席できない取調べによる人権侵害等に対する国際的な批判が高まっている。
西川社長の責任は問われないのか
ライブドア事件に似てきたゴーン事件(池田 信夫)12月10日
西川社長はゴーン会長の役員報酬の「覚書」にサインしたといわれている。検察は日産を会社として起訴したのだから、会長と社長の責任は同等。ゴーンだけが犯罪者になるのはおかしい。
ゴーン氏「虚偽記載罪で起訴・再逮捕」“検察バイアス報道”で生じる誤解(郷原 信郎)12月12日
金融商品取引法197条1項1号では、犯罪の主体は「報告書を提出する義務を負う者」。直近2年分については西川氏がCEOなのだから、まず責任を問われるのは西川氏。
日産・西川社長の交代を計画=ゴーン容疑者、業績不振で叱責も―米紙報道(時事通信)
ゴーン容疑者は西川社長の経営方針に不満を抱き、最近の米国事業の不振についてたびたび叱責。(背景に西川氏の個人的な動機が存在していた可能性)
「ルノー、ゴーン氏を解任せず」で日産経営陣は窮地に
ゴーン氏事件、日産の「大誤算」と検察の「大暴走」の“根本的原因”(郷原 信郎)12月14日
13日ルノーの取締役会でゴーン氏の解任が見送られた。検察捜査が終結した場合、西川氏らには、ゴーン氏がルノーの会長にとどまるという「地獄絵図」が待ち受けることに。
「勾留延長却下」で東京地検特捜部と日産経営陣は窮地に
ゴーン氏勾留延長却下の根本原因は“不当な再逮捕”(郷原 信郎)12月21日
ゴーン氏・ケリー氏の再逮捕事実による勾留の延長が東京地裁に却下された。保釈されてゴーン氏が早期に公の場に出てくることは、検察にとっては勾留延長却下以上に「衝撃」。ゴーン氏は日産にどんな反撃を開始するのか。
これであすには保釈かな。東京地検特捜部始まって以来の危機。これで司法もグローバル化するなら、不幸中の幸いかもしれないが。 https://t.co/7VzS1jqN37
— 池田信夫 (@ikedanob) 2018年12月20日
ゴーン氏再逮捕。焦点は二つの「特別背任」容疑に
ゴーン元会長を特別背任容疑で再逮捕 東京地検 (日経新聞)12月21日
東京地検特捜部は21日、ゴーン元会長を会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕。自身の損失を日産に付け替えたほか、多額の資金を第三者に流出させた疑い。会社法の特別背任罪の公訴時効は7年だが、ゴーン元会長は海外滞在歴が長いことから時効は成立していないと判断したとみられる。
ゴーン氏特別背任逮捕は、追い込まれた検察の「暴発」か(郷原 信郎)12月21日
二つの容疑での特別背任の刑事立件には多くの疑問が。付け替えは実際にはその後で契約を元に戻しており、損失は発生していない。関係者への入金については詳細がまだ不明だが、国際的な取引に関連する資金の動きに関する問題で、単純に刑事事件としてはとらえられないだろう。組織防衛のための逮捕だったとすれば、検察こそ「権力を私物化」したことに。
日産前会長の再逮捕劇-大事件化の予感(?)(ビジネス法務の部屋)12月21日
法人としての日産を巻き込んで、ガバナンスや内部統制に関する視点から、多くの関係者を様々な法的責任問題に巻き込むような大きな事件になる予感。検察も背に腹は代えられなかった?直近の関心は、(1)日産が社内調査報告書をいつ公表するのか、(2)前会長の再逮捕の事実がケリー氏の保釈申請にどのような影響を及ぼすか。
ゴーン前会長、容疑を否認 「実損が生じていない」(朝日新聞デジタル)12月21日
ゴーン前会長は損失の付け替えについて、「実損が生じていないし、罪には当たらない」と否認。また子会社を介した知人への入金についても「日産の業務を委託していた。送金は委託費だった」と否認している。
ゴーン前会長再逮捕 海外メディアは批判的論調(NHKニュース)12月22日
世界各国の有力紙が今回の再逮捕を報道。「日本の刑事司法制度は国際的な厳しい監視下に置かれている」と伝えるなど、長期間の勾留も含めた日本の司法制度の在り方に注目が集まっている。
(追記12月25日23:50)ゴーン氏の特別背任容疑に関する新たな報道からケリー氏保釈決定と検察の準抗告棄却、ケリー氏保釈までの記事を中心にまとめを追加しました。
ゴーン氏の会社法違反(特別背任)容疑に関する新たな報道
懇意の銀行幹部が指示か 「付け替え」担当者難色 ゴーン前会長投資損失(産経新聞)12月22日
新生銀行の外国人幹部(当時)が日産への損失付け替えを提案していた。
投資損失、日産に負担させる ゴーン容疑者、数千万円(毎日新聞)12月24日
2009年1月に日産から新生銀行に数千万円が支払われ、同2月にゴーン氏が自費で解消した。
ゴーン被告「損失保証料」中東の知人30億負担(読売新聞)12月24日
ゴーン氏の中東の知人が約30億円の信用保証料を支払っていた。
ゴーン容疑者弁護人が反論、協力者への支払いは事業活動への報酬(ブルームバーグ)12月23日
付け替えについて証取委は利益相反にあたる可能性を指摘したが、ゴーン氏を告発はしなかった。協力者への支払いは日産に提供された事業活動への報酬だった。
日産のケリー前代表取締役、25日にも保釈-妻がビデオでコメントhttps://t.co/WssGZIiEdv pic.twitter.com/94MwZ0lsOF
— ブルームバーグニュース日本語版 (@BloombergJapan) 2018年12月24日
(1)損失付け替えによって法人(日産)に損害は発生したのか
「従軍記者」朝日の“値千金のドキュメント”が描く「検察の孤立化」(郷原 信郎)12月24日
新生銀行が担保不足への対応を要求→ゴーン氏側が日産への一時的な付け替えを提案→証券取引等監視委員会が違法の疑いを指摘→結局、短期間で「付け替え」は解消、という経緯を「会社に財産上の損害を発生させた特別背任罪ととらえるのは無理がある」のでは。
日産前会長・会社法違反事件-特別背任罪の成否と経営判断原則(ビジネス法務の部屋)12月25日
10年も前の日産の取締役会でなされた審議の内容次第では、「損失付け替えについて「損害」どころか前会長の違法性の意識(特別背任罪においては「会社に損害を及ぼすことの容認」)は否定されて」しまうのでは。
(2)サウジアラビア人への支払いは「損害」か、それとも「費用」や「報酬」か
「従軍記者」朝日の“値千金のドキュメント”が描く「検察の孤立化」(郷原 信郎)12月24日
検察との司法取引に応じている秘書室長の「サウジアラビア人への支払いの目的」に関する供述には、「司法取引供述の虚偽供述の疑い」という重大な問題、「共犯者の引き込み」の虚偽供述の疑いがある。
日産前会長・会社法違反事件-特別背任罪の成否と経営判断原則(ビジネス法務の部屋)12月25日
10年前に日産の取締役会でどういった審議がなされたのか、出席している取締役や監査役が意味もわからずに承認することはありえない。それ次第では、「16億を払ったことも「損害」ではなく「費用」や「報酬」として適正に支払われたことになってしまう可能性もありそう」。
東京地裁がケリー氏保釈決定、東京地検の準抗告棄却、ケリー氏保釈
東京地裁、日産ケリー役員の保釈決定 検察は準抗告(日経新聞)12月25日
日産ケリー役員が保釈 約1カ月ぶり https://t.co/rzSGgQz7jh
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年12月25日
「無実、法廷で明らかに」 ケリー役員のコメント全文 https://t.co/OaEtDyfK8e
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年12月25日
(追記12月31日11:30)ケリー氏保釈後からゴーン氏勾留延長決定までの記事・報道を追加しました。
ケリー氏保釈後の記事・報道とゴーン氏勾留延長決定まで
サウジ実業家の会社 日産へ活動報告なし(時事通信)12月27日
司法取引使わず捜査=特別背任、押収資料で判明-ゴーン容疑者事件・東京地検(時事通信)12月27日
ゴーン容疑者に協力の知人はハリド・ジュファリ氏 サウジアラビア有数の複合企業副会長(産経新聞)12月27日
販売促進16億円、日産担当者「不要だった」(読売新聞)12月28日
サウジ知人側への送金把握せず 中東日産の財務担当元役員(共同通信)12月28日
何ゆえそんなにハードコア。日産事変に思うこと(秋月 涼佑)12月28日
日産の損失はゼロ、ゴーン氏は特別背任にあたらない 細野 祐二(JBpress)12月29日
ゴーンは浮利とは無縁の技術屋で遵法精神も高い(八幡 和郎)12月29日
【ゴーン前会長事件】裁判所元幹部が語る日本の司法が変わる可能性 小島 寛明(Business Insider)12月29日
Carlos Ghosn’s Daughters See a Nissan Revolt Behind His Arrest(The New York Times)12月29日
ゴーン前会長、9キロやせた 娘2人が米紙に「胸が痛い」(共同通信)12月30日
ゴーン前会長 追加担保求められた取引移したか 特別背任は否認(NHKニュース)12月30日
ゴーン氏いきつけの焼き鳥屋へ取材 領収書はどこ名義?(ベストカーWeb)12月30日
ゴーン前会長、取り調べ年末年始も 年越しはカップ麺で(朝日新聞デジタル)12月30日
ゴーン元会長 10日間の勾留延長認める 東京地裁 (日経新聞)12月31日
ゴーン容疑者、1月11日まで勾留=延長決定、年始も取り調べ-東京地検(時事通信)12月31日