アゴラ 言論プラットフォーム https://agora-web.jp 経済、ビジネス、情報通信、メディアなどをテーマに、専門家が実名で発言することで政策担当者、ジャーナリスト、一般市民との交流をはかる言論プラットフォーム ja Tue, 22 Apr 2025 22:41:08 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422083020.html AIが考える「頭のいい人」が本当に頭良すぎた https://agora-web.jp/archives/250422083020.html

gremlin/iStock

黒坂岳央です。

ネット上を騒がせているChatGPT o3。実際に触ってみると、4oとはまったく異質な印象を受けるモデルだ。

たとえば、外食時の写真を投稿すると場所を特定したり、効果音を作れたり、プロが作成したような画像を生成したり、高度なプログラムを即興で書いたりする。

明らかに、o3はこれまでのモデルの壁を一つ超えてきた。映像や音声の生成以前に、情報の「圧縮率」がとにかく異常に高い。脳内で情報を展開しきれないと、「回答の意味がよくわからない」となってしまうほどだ。

そんなo3に「頭のいい人とは何か?」と抽象度の高い、やや哲学的な問いを投げかけたところ、「頭が良いと感じさせる回答」が返ってきた。

実際出てきたものはこちら

情報処理:膨大な情報の中から本質を素早く抽出し、 最小限の言葉で要点を整理できる(高い圧縮力)「短く話しても要が分かる」

いわゆる「高い圧縮力」だ。

これは逆のケースを考えればわかりやすい。仕事ができる人は言葉が短く、難しい話を「要するにこういうことですね」と、スパッと伝えてくる。周囲もスムーズに理解できる。

一方で、仕事がうまくいかない人ほど、難しい話や専門用語をそのまま垂れ流し、説明が長くて伝わらない。その結果、「この部分、再確認させてもらってもいいでしょうか?」というような余計な確認作業が発生し、時間がムダに消えていく。

ビジネスにおける敗北とは、リソースをムダにすることだ。それはお金だけでなく時間も含まれる。時間という貴重な経営資源を節約できる人は、確かに“賢い人”といえるだろう。

推論・構造化:事実・原因・結果を多層構造で整理し、 未知の課題に汎用フレームワークを当てはめて解く「未知でも筋道が立つ」

筆者が過去に見た“頭のいいビジネスマン”の例では、原因不明のトラブルに直面したとき、周囲が混乱する中で冷静に原因を整理し、可能性を一つずつ潰しながら論理的に解決に導いた。

教わっていない分野でも、「知らないから無理」とは言わず、とりあえずやってみて得られたデータを分析し、行動を変えながら解決に向かっていく。こうした姿勢こそ“未知に筋道を立てられる力”だ。

メタ認知:自分の思考や感情のクセを客観視し、 必要に応じて戦略や視座を切り替えられる「自分を俯瞰できる」

メタ認知の欠如は、日常的に非常によく見られる事象である。

この力が欠けている場面は日常に溢れている。

  • 求職者がスキル不足を棚に上げ、「この年収しか提示されないとは…」と不満を漏らす
  • 婚活で自分と釣り合わないスペックの相手ばかりにアプローチして撃沈を繰り返す
  • SNSで他人を批判しながら、自分も同じことをしている

人間は基本的に主観の生き物で、他人のことは見えても自分のことは見えにくい。

仕事や勉強でもうまくいかない人の典型は「自分がやりたいことはやるけど、必要なことや求められていることはやらない」という思考だ。

「頑張ってるのに成果が出ない」「認められない」と悩む人は、往々にしてメタ認知が不足していて、独りよがりな努力をしてしまっている。

学習適応:失敗やフィードバックを歓迎し、 学習速度を上げるために行動を即座に微調整する「毎サイクルで賢くなる」

筆者はこれまで、家族経営の零細企業から、東大卒が多数在籍する東証プライム上場企業まで、さまざまな人たちと働いてきた。

その中で、仕事ができる人ほど「失敗を失敗と思っていない」という共通点がある。逆に、うまくいかない人は失敗するたびに自分を責めて、悪態をつき、モチベーションを失っていた。

賢い人は1つの失敗から10を学ぶ力がある。それゆえに失敗しても自己肯定感を削らず、「ここから何を学べるか?どんな分析ができるか?」と前向きに行動し、毎日アップデートしていく。その積み重ねが、知的な洗練を生むのだ。

水平思考:異分野の概念同士を横断的に結びつけ、 常識外の選択肢を生み出せる「ずらして見る発想力」

たとえば、テーマパークの行列対策を考える場合、「入場制限をして混雑を減らす」というのはよくある話だが、発想を変えれば、「待ってる間にパレードやショーを展開することで、そもそも待ち時間を苦痛な時間から楽しい時間に変えてしまう」という視点もある。

常識を外したアイデアを出せるかどうか。それが頭の良さの本質の一つでもある。

コミュニケーション:相手の前提・語彙・関心を素早く察知し、 思考の最短経路で対話を進める「伝わる最適ルートを選ぶ」

ビジネスの現場では、「いかに経営資源を節約し、最小コストで最大伝達ができるか?」が重要だ。

優秀な人ほど、短い時間で多くの情報を的確に伝える。逆に、非効率なコミュニケーションをする人は、だらだらと長時間会議を開いては参加者の時間を奪い、結局何も成果が残らないことが多い。

倫理・利他性:知識や影響力を、長期的な他者・社会の 便益と整合する形で行使する「賢さを良い方向に使う」

近年、言葉巧みに人を騙す詐欺が蔓延している。皮肉な話だが、詐欺師のほうが凡人よりもはるかにコミュニケーション力があり、有能に見えることもある。きれいなスーツ姿に身を包み、相手から信用を勝ち取る術を熟知しているのだ。つまり、頭の良さが悪い方向に使われているのだ。

一方で、本当に賢い人の中には、高収入が見込める民間企業をあえて選ばず、国家や社会の発展に貢献すべく、公務の道を選ぶ人もいる。そうした“利他的な知性”は、まさに尊敬に値する。

ここまでざっと俯瞰してきたが、AIが導き出した「賢い人の条件」は、どれも「確かにそうだ」と感じさせられるものばかりだ。

世間では、賢い人=高学歴・高収入・大企業というイメージが強いが、それはあくまで結果論に過ぎない。まず“賢さ”が先にあって、その知性を活かして合理的な選択を積み重ねた結果として、進学や就職、キャリア形成に成功しているのだ。

 

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[黒坂 岳央]のスキマ時間・1万円で始められる リスクをとらない起業術 (大和出版)

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Tue, 22 Apr 2025 22:00:21 +0000 Tue, 22 Apr 2025 22:00:21 +0000 https://agora-web.jp/archives/250419222107.html https://agora-web.jp/archives/250416224121.html https://agora-web.jp/archives/250416004156.html https://agora-web.jp/archives/250415002421.html https://agora-web.jp/archives/250414043323.html
https://agora-web.jp/archives/250422033305.html 炎上する「職場の困った人」をめぐる書籍と議論に関する考察 https://agora-web.jp/archives/250422033305.html

claudenakagawa/iStock

今回紹介する、『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(神田裕子著・三笠書房刊)は出版前にも関わらず炎上騒動に巻き込まれている。

2025年4月18日、日本自閉症協会が意見書を公表した。それによれば「書籍が、自閉スペクトラム症を含む障害のある人たちの人権を侵害するおそれがあることを懸念する」と声明を公開している。

版元の三笠書房も釈明に追われている。私にはジャーナリストとして公平な立場で取材を行うことが求められる。本書を入手したので解説したい。

【三笠書房の公式見解】

神田裕子著『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』について

神田裕子著『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』について | 三笠書房

出版前に大炎上している本書ではあるが……

ケース紹介:反応しない「無気力型」に困った!
Eさん(エンジニア・40代)は、入社2年目の部下であるFさんへの対応に苦慮している。Fさんは、何を尋ねても「はい」「いいえ」しか答えない。ちょっと突っ込んで「どうして『はい』と返事したの? 君はどう考えているの?」と質問しても、「はあ…」と言ったきり沈黙が続く。

職場での状況
業務自体は黙々とこなしており、誠実な印象はあるが、自発的にコミュニケーションを取ろうとはしない。社内イベントにもほとんど参加しないので、職場では浮いた存在になっている。特に困るのが、報告・連絡・相談がないため、Fさんの仕事の進捗状況を把握できないということだ。ある日、Fさんの担当顧客からの連絡で、Fさんのミスが発覚した。

Eさんの対応
とうとう堪忍袋の緒が切れたEさんは、「いったい君は何を考えているんだ?」「報告くらい、ちゃんとしなさい!」と、Fさんを叱りつけた。次の日から、Fさんは会社に来なくなった。

著者の解説
「いるいる、こういう人!」「あー、まさに今自分が悩んでいるのと同じような話だな」。そんな感想を持った方もいるかもしれない。そして、多くの人がどう対処したらよいのかと恐れ、途方に暮れているのではないかと思う。人は、未経験の物事に恐れを抱く。「こんな人、今までいなかった! どうやって接したらいいんだろう?」という戸惑いが、恐怖心につながるのだ。

本書では、このような流れで社内のよくある現象が紹介され、それに対して著者の解説が加えられている。一貫しているのは、知ることの重要性を示唆している点である。Fさんのような人は、どこの会社にもいるだろう。どのような人が上司になったとしても、対処方法がわからなければEさんのように叱りつけることがあるかもしれない。わかっていれば防ぐことができた事案でもある。

※ 引用部分は読みやすいようにアレンジを加えている。

様々な視点からの考察

本書をめぐる議論には複数の観点があり、それぞれ検討する価値がある。

日本自閉症協会の懸念
日本自閉症協会の意見表明は当事者団体として重要な問題提起である。障害特性を「困った人」という枠組みで論じることが、誤解や偏見を助長する可能性があるという指摘は真摯に受け止める必要がある。特に、障害特性を持つ人々が「困った人」というレッテルで一括りにされることへの懸念は理解できる。

三笠書房の対応
三笠書房の公式見解では、本書の意図が「障害に対する理解を深めるもの」であり「障害を持つ方々への差別を助長するものではない」と述べている。著者も同様の見解を示している。

職場のコミュニケーション課題
本書が扱う職場でのコミュニケーション問題は、多くの人が直面する現実的な課題である。上記の事例のようなコミュニケーションの困難さは、障害の有無にかかわらず様々な背景から生じる可能性がある。こうした問題への対処法を議論することそのものには意義があると言える。

言葉が社会に与える影響は無視できない。特定の表現が障害への偏見を強化する可能性がある一方で、現実の職場での課題を議論する上でどのような表現が適切かについては、継続的な検証が必要である。

今後に向けて

今回のようなケースは、単なる「炎上」で終わらせるのではなく、社会全体が多様性への理解を深める機会として活用することが望ましい。障害当事者の尊厳を守りながら、職場での実践的な課題解決について建設的に議論するためには、当事者団体と出版関係者、そして読者を含めた幅広い対話が必要である。

本書の内容については、読者一人ひとりが当事者の視点も含めた多角的な視点から読み解き、自分なりの見解を持つことが望ましい。職場での多様性を理解し、適切なコミュニケーション方法を模索するための一助となる内容である。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

職場の「困った人」をうまく動かす心理術』(神田裕子著)三笠書房

[本書の評価]★★★★★(90点)

【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

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Tue, 22 Apr 2025 21:50:05 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:50:05 +0000 https://agora-web.jp/archives/250420215112.html https://agora-web.jp/archives/250419095041.html https://agora-web.jp/archives/250419011238.html https://agora-web.jp/archives/250417232638.html https://agora-web.jp/archives/250418093232.html
https://agora-web.jp/archives/250421204126.html S&P 500は徐々に米国特有の懸念に https://agora-web.jp/archives/250421204126.html

先週のS&P 500は微妙な高寄りからの反落となった。週末の間に市場参加者は「電子機器の国別関税からの一時的な除外、半導体関税は別途発表」というヘッドラインを解釈させられたが、蓋を開けてみると4/14月曜は高寄りからの寄り天となった。

4/15火曜は月曜高値を再度トライしたが小さな上ヒゲ陰線で終わり、引け後に出たNVDAの対中半導体輸出規制に伴う55億ドル費用引き当てのヘッドラインでガラッと流れが変わる。4/16水曜はそれに加え、Fedのパウエル議長が再び市場介入を否定したことで更に下値を掘った。

4/17木曜はネガティブガンマ域で迎えたOp Exとなるが、いつものように反発とはならず、しけた雰囲気でグッドフライデーを迎えている。利下げをコミットしないパウエルをトランプが再び罵倒しており、それ自体は2018年末にも見られた構図であるが、三連休にかけてパウエル解任リスクが議論されることになる

GS CTAはあまりにも売りに傾いたため、4月後半には買い戻しに転ずるとしている。先週分との違いがどこから来たかというと、先週の記事では「先週指数が切り返したと言えば切り返しているので、上昇トレンドに復帰することでCTAにはそのうち買い方向に向かわせることもできるだろう」と想像している。

DBの統合ポジショニングはついに2パーセンタイルまで落ち込んだ。うちシステマティック勢は4パーセンタイル、Volコントロールは1パーセンタイルという極端な落とし方である。先週の記事で想像した通り、もう1日2%下げなどと言っても売る玉がなくなっているのではないか。

パンデミック後、S&P 500の上昇はほとんど夜間(アジア時間等)に行われており、それが直近で一気に逆転している。上昇は海外投資家による米株投資ブームの象徴であり、下落の方は引け後にトランプ政権がバッドニュースを発表することが多いためとは解釈されるものの、それ抜きでも直近ほど時間外の方が弱い気がしている。

BofAはCTAの売りがまだ多少残っているが、他のシステマティック勢の買い戻しがそれを概ねオフセットするだろうとしている。

BofAのディーラーガンマはまさにOp Exを通過した後の「残骸」のようになっている。5200にガンマロングの山ができておりサポートとなりやすいだろう。何かの拍子で5300台後半までラリーできれば、かなり久々に「アップサイド手当不足のネガティブガンマ域」への突入が見られるだろう。

連日の急落急騰で1ヶ月物のリアライズドVolが高騰したのが、これほどのシステマティック勢のデレバレッジの背景である。先週に限って言うと値動きが一気に小さくなっているが、システマティック勢が用いるモデルが1週間のような短いVol低下をキャッチするほど鋭敏かどうか。

VIXと同時に急騰したMOVEは急落している。

ハイイールド債ETFも、米国除く株式ETF ACWXも「解放の日」の底よりも天井の方が近い。色々言われている中、マクロな不確実性は既に後退しはじめており、残っているのはあくまでも米株自身の懸念である。

米国資産への海外資金フローは減速したが、引き出しには至っていない。

インサイダーはほとんど売っていない。

結局のところ、今の注目は「トランプ当選でブルッブルになった後に今、下で投げさせられている裁量投資家の動き」となる。長らく平均以上で粘ってたNAAIMはようやく本格的に低下しはじめた。これだけ調整が長引いた背景はNAAIMの低下がこれだけ遅れたためとも言え、要するに、地球はアクティブ機関投資家が愚考したストーリーや投資行動を全て否定するために回っているのである。

今週は決算期が本格化する。今までのところ、EPSに上方サプライズがあっても追いかけて買うような動きにはならず、一方で滑った企業も今更期待が高くないのか罰が浅くなっている。全体的に「それどころではない」感が強い。木曜引け後が最も重そうである。

テクニカル。先週の記事では5200 -5530レンジを意識していたが、実働域は5220 -5459と、これまでのボラティリティを考えるとすっぽり収まったのは上出来だろう。もっとも上値の方はやはり手前で失速しており、戻り売り圧力の強さを示唆する。

今週もこのレンジを否定する理由がないが、下値は首の皮一枚となっている。もうVolコントロールにはほとんどポジションがないにもかかわらず、水曜4/16は2%を超える下落となった後に木曜4/17は小十字となっており、いつものパターンなら買えるのは翌日以降ということになる。

水曜4/16からの下落マイクロトレンドの終了を宣言できるのは5330超えであり、そこをブレイクできれば雰囲気がだいぶ改善する。それまではOp Ex通過でポジショニングが綺麗になった可能性も相応にあるものの、基本的には5200が突破されたらそれ以上テクニカルなサポートがないチャートとなっている。5330より上の上値については、先週超えられなかった5500近辺で再び重くなるだろう。

機械勢はさすがにこれ以上売りに回らないだろうから、裁量投資家が投げ終わったらそこで下落局面は終了となる。それが終わるまでが長いのだが、基本的にここから裁量投資家と一緒に売る、特にヘッドラインを追いかける形で売るとあまりいいことがなさそうである。

 

 


編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年4月21日の記事を転載させていただきました。

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Tue, 22 Apr 2025 21:40:26 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:40:26 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html
https://agora-web.jp/archives/250422211501.html 国民民主党、平岩議員の「偽名不倫」謝罪と菅野志桜里氏の擁立発表が同日になる宿痾 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html 国民民主党の平岩征樹衆議院議員(45歳)は、4月22日に自身の公式サイトで過去の不適切な交際について謝罪文を公表しました。これは週刊誌の取材を受けたことを受け、自らの言葉で説明すべきだと判断したためだとしています。

平岩氏は約4年前、既婚者であることや本名を隠して、特定の女性と交際していた事実を認めました。この行為について、「自らの浅はかさと軽率さが招いた結果であり、交際相手や妻、家族に精神的な苦痛を与えたことに対し深く反省している」と述べています。

また、交際相手には弁護士を通じて謝罪の意向を伝えており、誠心誠意対応していくとしています。妻にはすべてを打ち明けて謝罪しており、今後も家庭内で謝罪を続けたいとの考えを示しました。支援者に対しても重ねて謝罪し、「到底許されることではないが、心からお詫び申し上げる」と述べました。

平岩議員・玉木代表・菅野氏各氏SNSより

しかし、こうした不祥事に対する党の姿勢に疑問を呈する声もあります。過去に党首の不倫が大きく報じられたにもかかわらず、今回のような悪質な行為が繰り返されており、党全体として反省の姿勢が見えないとする批判もあります。

支持率の高さに甘えているのではないかとの指摘もあり、有権者には改めて投票先を慎重に考えるよう呼びかけられています。

菅野志桜里氏は、国民民主党からの要請を受け、今夏の参議院選挙に比例代表で出馬する意向を固めており、23日にも公認が発表される見通しです。

菅野氏は平成21年に衆議院愛知7区から立候補し初当選。旧民進党で政調会長などを歴任した後、令和2年に国民民主党に合流しましたが、翌年の衆議院選挙には出馬せず、政界を引退していました。

菅野氏には2017年に民進党議員として活動していた際、週刊文春により倉持麟太郎弁護士との不倫疑惑が報じられた過去があります。記事では密会の様子が詳細に記されていましたが、菅野氏は不倫を認めず、その後も倉持氏を政策顧問に起用しています。この件により、両者の家庭は崩壊し、倉持氏の妻は後に自ら命を絶ったと報じられています。

不倫はプライベートなことですが、三者の経緯を見ているとなんとも言えない気持ちになりますね。

 

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Tue, 22 Apr 2025 21:35:28 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:35:28 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421211918.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html https://agora-web.jp/archives/250420211953.html
https://agora-web.jp/archives/250422072949.html TBS『報道特集』に見る偏向報道体質とメディア権力の構造 https://agora-web.jp/archives/250422072949.html

mizoula/iStock

なぜTBS『報道特集』の「みんなでつくる党」報道に違和感を覚えるのか

4月19日、TBS『報道特集』は、「みんなでつくる党」の関係者と思われる人物が「遺書」なるものを残し自死した件を大きく取り上げた。

しかし、私はこの報道に強い違和感を覚えた。そもそも報じる価値があるのか疑問であるうえに、TBSの偏向体質が今なお続いていることを象徴する事例だと感じたからだ。

本稿では、まず「みんなでつくる党」問題の背景を整理し、次にTBSの報道手法を検証し、さらにメディア権力の本質について掘り下げていきたい。

「みんなでつくる党」破産問題の背景整理

「みんなでつくる党」は、旧「NHKから国民を守る党(NHK党)」を母体とし、以下のような経緯をたどっている。

  • 2019年8月:NHKから国民を守る党設立
  • 2022年4月:党名を「NHK党」に変更
  • 2023年3月:「政治家女子48党」に変更、大津綾香氏が党首就任
  • 2023年4月:債権者トラブルが表面化(総額約11億円)
  • 2023年9月:民事再生法申立(のちに取り下げ)
  • 2023年11月:「みんなでつくる党」へ再改称
  • 2024年1月:政党交付金の資格喪失、破産申し立て
  • 2024年3月:東京地裁、破産手続き開始決定

破産管財人によれば、党資産の大部分は不動産と預金に限られ、負債総額約11億円に対し、回収率は20%未満と見込まれている。

さらに、大津党首側は破産決定に対して即時抗告を行っているものの、過去の判例から抗告認容は極めて難しいと見られている。

このように、党の破綻は主に資金運用のずさんさと、内部対立によるガバナンス崩壊が原因であり、破産手続き自体は必然だったと見る向きが多い。

TBS『報道特集』の報じ方とその問題点

TBS『報道特集』は、この「みんなでつくる党」関係者の自死をセンセーショナルに取り上げた。
だが、放送の中身を見ると次のような問題が浮かび上がる。

  • 両論併記の原則が著しく弱い
    → 立花孝志氏への取材は行われたとされるが、放送では立花氏の主張は歪められ、真意が十分に伝わっていない。
  • 放送法4条違反の疑い
    → 放送法第4条は「政治的に公平であること」「報道は事実を曲げないこと」「対立する意見をできるだけ多く紹介すること」を定めている。しかし今回の放送は、明らかに「立花氏批判」一色に染まっていた。
  • TBS側の意図的な編集
    → 自死した人物の背景や党内対立の構図が、感情を煽る形で編集されており、視聴者の印象操作を狙ったと見られる。

TBSは「関係者取材に基づく正当な報道」と主張するだろう。

だが、「関係者」と称する人物たちが一方の立場に強く偏っていれば、その発言だけを垂れ流すことは「事実相当性」を担保するどころか、かえってバランスを失わせる。

TBSの過去の重大問題──オウム真理教事件との関係

TBSの偏向体質は、今に始まったものではない。典型例が1989年に起きた「坂本弁護士一家殺害事件」である。

当時、TBSはオウム真理教幹部に対し、坂本弁護士のインタビュー映像を無断で見せたとされる。その結果、オウム側は坂本弁護士を「危険人物」と認識し、結果的に一家殺害へと至った。

TBSはこれを「放送倫理違反」として大きな非難を浴びたが、事件に対する直接責任は曖昧なまま、今日に至っている。

この一件から分かるのは、TBSは「報道機関としての公共的責任」を軽視しがちな体質を持つ、ということだ。

メディア権力の本質──「反省の反動」としてのマスメディア支配

なぜ日本のマスメディアはこのような体質に陥ったのか。その源流は、第二次世界大戦における「大本営発表」の反省にある。

戦時中、新聞社は軍部の発表を無批判に報じ、国民を欺いた。戦後、その反省から「権力に対して批判的であれ」という倫理観がマスコミ界に浸透した。しかし、結果として「権力批判=正義」という倒錯が生まれ、さらには「世論形成」という新たな権力欲へと変質してしまった。

新聞社が出資したテレビ局は、映像と音声という強力なプロパガンダ手段を手にし、やがて「見えざる権力」として政治家すらコントロールするようになった。

メディアは本来、自らの権力性にもっと自覚的でなければならない。しかし現実には、TBSに象徴されるように「自分たちこそが正義」という傲慢が蔓延している。

メディアの自省なくして、日本社会の未来なし

TBS『報道特集』の「みんなでつくる党」報道は、単なる一つの偏向事例ではない。それは、日本のマスメディアが抱える深い構造問題の縮図であり、このまま放置すれば、民主主義の基盤である「情報の自由市場」が破壊される危険性すら孕んでいる。

放送局は、国民共有の財産である電波を使って情報を発信している。

ならば、彼らが守るべきものは自らの「正義」ではない。徹底したバランス感覚と、視聴者への誠実さであるべきだ。

そして、視聴者である私たち自身も、マスメディアの情報を無批判に受け取ることなく、常に疑問を持ち、情報の海を主体的に泳いでいかなければならない。

それこそが、健全な民主主義社会を守る唯一の道である。

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Tue, 22 Apr 2025 21:30:49 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:30:49 +0000 https://agora-web.jp/archives/250418222414.html https://agora-web.jp/archives/250417220817.html https://agora-web.jp/archives/250416092300.html https://agora-web.jp/archives/250416193948.html https://agora-web.jp/archives/250415204651.html
https://agora-web.jp/archives/250422052157.html 値下げせずに売るには?「質問」で買いたくさせる営業の極意 https://agora-web.jp/archives/250422052157.html

scyther5/iStock

セールスの方々から、よくこんな悩みを耳にします。

「ウチの商品は他社と差別化できてないので、結局、値引きするしかないんです」

残念ながら、こういうセールスの方々は、セールスとしての仕事をしていません。

“売れない理由”が商品力だけだとしたら、同じ商品を扱う営業全員が苦戦しています。

しかし現実には、同じ商材でもしっかり成果を上げるセールスもいます。

そこで事例を紹介します。

世界的に有名な法人営業の指南『The Qualified Sales Leader』(ジョン・マクマーン著、未邦訳)に登場する実話です。

この本で著者のジョンは、ある日突然、保険営業の「ダン」から電話を受けたときのやり取りを、紹介しています。

会話は、ごく普通のセールストークから始まります。

「こんにちは。〇〇保険のダンと申します。5分だけお時間いただけませんか?」

同じセールとして多少共感もあったジョンは「いいよ」と言いました。

「お子さんはいますか?」
「2人。大学にいかせたいね」
「進学の費用は?」
「1人25万ドルくらいかな」
「ご自宅のローンは?」
「まだかなり残ってる」
「奥様は働いてますか?」
「働いてないよ」
「あなたと奥様のご両親は、お近くにいますか?」
「妻は移民で、両親は母国にいて、私の両親はもういない」
「もしあなたが急にいなくなったら、奥様は?」

ここでジョンは、不安になり始めました。

「仕事に戻らなければいけないけど、ローンを払えないね」
「奥様が仕事するには、お子様をデイケアセンターに預けなければいけませんが、親類の方々はお近くにいません。誰かお子様を毎日デイケアセンターに送り迎えしなければいけないでしょうか?」

そんなことは考えたこともないジョンは、子供たちの将来が不安になり始めました。

「そしてあなたが亡くなった場合、お子様たちは大学を卒業できますか?」

生命保険に入ってないことがいかに愚かなことか痛感して、「今すぐ生命保険が必要だ」と納得したジョンは、ダンと生命保険の契約をしました。

ダンはジョンの生命保険に対する優先順位を、全くの考慮外から、最優先順位に引き上げたわけです。

この事例は、私たちがつい見落としがちな重要なポイントを示しています。

ダンが売っているのは、生命保険の営業であれば誰でも売れるコモディティー商品です。

しかしダンは一切価格の話をしていません。その代わり、的確な質問を通してジョンの不安・リスク・将来像を質問に応える形でジョン自身に語らせることで、ジョンから「これは自分にとって優先順位が極めて高い」として認識させたのです。

冒頭の「値引きするしかない」というセールスと、ダンの違い、わかりますでしょうか?

現実にはお客様は、「商品の提供価値」が「商品に支払う価格」を上回れば、買います。下回れば買いません。つまりこういうことです。

買う→   商品提供価値 > 商品価格
買わない→ 商品提供価値 < 商品価格

冒頭の「値下げするしかない」というセールスは、単純に「商品提供価値=商品の機能」と考えて、商品ができることだけを説明しがちです。

たとえば保険セールスだと、「この商品は、お亡くなりになった場合の保険金が○○○○万円の保険です」と説明するわけです。「この商品機能に対して、この商品価格がついているから、説明すればいい」と考えているわけですね。

でも現実には、お客は商品提供価値(=商品の機能)が本当に商品価格を上回るのかが、よくわかりません。つまり「商品提供価値 < 商品価格」じゃないの、と思ってしまって買わないのです。

一方でダンは、お客であるジョン自身も気付かなかった「妻や子どもたちの将来への不安」を、ジョンが納得できるように、質問を通してジョン自身の言葉で明確に語らせています。

ジョンにとって「商品提供価値=妻や子どもたちの将来への不安への解決策」と比べると、商品価格(保険料金)は実に安いものに見えています。

つまり「商品提供価値 ≫ 商品価格」なので、ダンと生命保険を契約したのです。

このようにセールスの仕事とは、商品の機能を説明することではありません。

「お客様の深い課題=負担コスト」を具体的に理解し、的確な質問でその課題を顕在化して、お客様自身に“なぜ必要か”を気づいていただき、解決策を示すことで「商品提供価値=負担コストの解決策」を認識していただくくこと。

事前に考え抜いて準備した質問こそが、セールスの武器なのです。


編集部より:この記事はマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏のオフィシャルサイト(2025年4月22日のエントリー)より転載させていただきました。永井孝尚氏のメルマガのご登録はこちらから。

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Tue, 22 Apr 2025 21:25:56 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:25:56 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html
https://agora-web.jp/archives/250422084421.html 「女性」とは誰のこと? 英国最高裁の判断が投げかけた問い https://agora-web.jp/archives/250422084421.html

Michał Chodyra/iStock

今月16日、英国の最高裁判所が下したある判決が、国内外で大きな議論を呼んでいる。

判決の内容は、法律上の「女性」とは「生物学的に女性であること」を意味する、というものだった。

性の多様性が広がる今、なぜ「生物学的な女性」?

筆者は報道を知って、驚いた。性のあり方が多様化している現在、「女性」や「男性」という言葉の意味は、単に生物学的な性別だけでは語りきれないものになっている。生まれた時の性別と心の性が異なる人(トランスジェンダー)や、特定の性別に強い帰属意識を持たない人など、性の自己認識は多様化している。今回の最高裁の判断は、時代に逆行するものに思えた。

筆者は、トランスジェンダーやそのほかの性的少数派の人々が生きにくい社会になるのではないかと懸念している。また、「生物学上の女性」という定義自体が実は簡単なものではない。近年、スポーツ界で問題視されるようになったことを皆さんはご存じだろうと思う。どこまでが「生物学的な女性」あるいは「男性」と言えるのか。

「性分化疾患」(「性分化の過程で、染色体、性腺、内性器や外性器が多くの人とは異なる型をとる」日本内分泌学会)を持つ人がいることも加味すると、「男か女か」の二者択一でよいのかという疑問もわく。

争点は

この訴訟の原告はスコットランドの女性団体「フォー・ウィメン・スコットランド」。2018年、スコットランド議会が公共機関の理事会において性別のバランスを取る法律を可決した際に、「トランスジェンダー女性」も「女性」としてカウントされたことに異議を唱え、「生物学的な性に基づいた定義が必要だ」と主張した。女性専用の病棟や学校などへのトランスジェンダーの人の立ち入りを認めれば、女性の権利が侵害される、と。

一方、スコットランドの自治政府は、ジェンダー認定証明書を持つトランスジェンダー女性も職場などでの差別を禁じた平等法に基づく保護対象であるとしてきた。

最高裁のパトリック・ホッジ副長官は「平等法における女性と性別という用語は、生物学的な女性と生物学的な性別を指している」と述べた。また、「今回の判決で社会の一方の集団が勝訴し、他方の集団が敗訴したと受け取らないよう忠告する」。

米国ではトランプ大統領が「政府が認める性別は男性と女性の2つだけ」とする大統領令に署名しており、今回の最高裁の判決がこの流れに沿っているように見えるのは筆者だけだろうか。

どこまで制度が変わっていくのか

最高裁の判決に沿って、様々なルールが変わっていくのは避けられないだろう。平等法の下ではトイレや更衣室、病棟など特定の場所について、女性専用スペースの設置が認められているが、今回の判決後、トランスジェンダーの人が改めて疎外感を抱く可能性がある。スポーツ界のルールも変わっていきそうだ。

どの分野のどのようなルールを調整するべきなのか。あるいは変更なしでよいのか。判決後の対処法について、議論が始まったばかりだ。


編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2025年4月22日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。

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Tue, 22 Apr 2025 21:20:30 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:20:30 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html
https://agora-web.jp/archives/250422093331.html リスキリング奨励政策に対する疑問 --- 松橋 倫久 https://agora-web.jp/archives/250422093331.html

koga/iStock

政府は今後5年間で1兆円を投じ、人材への投資、とりわけリスキリングの推進に注力するとしています。労働者のスキル向上を図り、将来的な雇用の確保を目指すという点では、一定の合理性を備えた政策と言えます。実際、私自身も氷河期世代向けのリスキリング事業を活用した経験があり、個人としてはその恩恵に感謝しています。

しかし、氷河期世代全体を見渡したとき、本当に今必要なのはリスキリングなのでしょうか? 氷河期世代には、就職の門戸が極端に狭められたことで、正社員としての第一歩を踏み出せなかった人も多くいます。その結果、多くの人々が派遣社員や契約社員、アルバイトといった非正規雇用に甘んじざるを得ず、生活基盤を安定させる機会を失いました。私自身も大学卒業時、正規雇用の仕事に就けず、一年間フリーターを経験しました。

当時、「自己責任」の名の下に非正規が広がる中でも、誰よりも真面目に働いてきたのがこの世代でした。ようやく職に就いても、長時間労働やサービス残業など、過酷な労働環境の中で心身をすり減らし、体調を崩して退職を余儀なくされた方も少なくありません。私自身もその一人です。

氷河期世代の多くは、決してスキルがないわけでも、努力を怠ってきたわけでもありません。ただ「時代の波」に翻弄され、安定から遠ざけられてきたのです。

あるSNS投稿では、取引先からは熟練の社員だと思われていた氷河期世代のスタッフが、実は正社員登用をちらつかせながら20年以上雇われていたアルバイトで、その人が辞めたら製造機械のメンテナンスから入出荷や在庫管理まで全てできなくなり、会社が廃業(事実上の倒産)というものがあった。これは氷河期世代が既に実務能力を有し、現場の屋台骨を支えていることの証左です。

にもかかわらず、非正規という立場ゆえに社会保障や賃金面で正当に評価されず、不安定な生活を強いられているのが現状です。もちろん、持ち得ているスキルが今後の技術革新に適応できるかという課題はあります。しかしまずは、すでに高い能力を有しながらも不遇をかこっている人々の待遇改善が優先されるべきではないでしょうか。

政府はキャリアアップ助成金やトライアル雇用奨励金といった制度を設けていますが、より積極的な活用と予算の拡充が必要です。氷河期世代の正規雇用化を促進することで、ようやくこの世代の努力が報われる道筋が開かれます。

また、間もなく年金受給世代に入る我々にとって、非正規として積み上げてきた年金額の少なさは将来的な不安要因です。希望する人が働き続けられる環境の整備も求められています。高齢層のスキルを活かすことは、少子化が進む現代において企業側もやぶさかではないはずで、社会全体の生産性を維持するためにも不可欠です。

氷河期世代を支援することは、単なる「過去の救済」ではなく、日本社会の持続可能性に直結する重要課題です。今こそ、リスキリングだけでなく、すでにスキルを持ち実績を積んできた人材への正当な処遇という視点で、政策を転換すべき時だと強く感じています。

松橋 倫久
1978年青森県生まれ。東北大学経済学部卒業。弘前大学大学院医学系研究科修士課程修了。元青森県職員。統合失調症により退職後、求職者支援訓練Webデザイン科を経て、現在求職活動中。

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Tue, 22 Apr 2025 21:15:31 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:15:31 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html https://agora-web.jp/archives/250420211953.html https://agora-web.jp/archives/250420092109.html https://agora-web.jp/archives/250420173410.html
https://agora-web.jp/archives/250422091215.html キャッシュレスで潰れた店・辞めて儲かった店:政府誤算の裏側 https://agora-web.jp/archives/250422091215.html 中小・小規模店舗におけるキャッシュレス決済の現状について解説します。

【目次】

0:00 なぜ政府はキャッシュレスを進めるのか?
3:35 キャッシュレス決済の負担で閉店する店
7:06 キャッシュレス決済を辞めて成功した店
10:30 先行する他国との比較

公認会計士・山田真哉氏が、税金・ビジネス・投資・経済の得する情報や、国のややこしい制度などを解説する「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」。チャンネル登録をお願いします。

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Tue, 22 Apr 2025 21:10:14 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:10:14 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421100109.html https://agora-web.jp/archives/250421005749.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html https://agora-web.jp/archives/250419125415.html https://agora-web.jp/archives/250418221100.html
https://agora-web.jp/archives/250421095946.html 沖縄が「東京25区」と呼ばれる日は近い https://agora-web.jp/archives/250421095946.html

bgblue/iStock

投資家コミュニティー資産設計実践会のメンバーと沖縄スタディツアーに来ています。

 

到着初日は到着してからすぐ那覇にある来年完成予定の新築マンションのモデルルームを見学しました。

こちらの物件は、那覇の中心部にある国際通りから少し入った場所にあり立地は申し分ありません。

しかも一部フロアには民泊が許可されていて、管理組合公認で年間180日間宿泊施設として貸出することが可能です。年間の半分は投資用資産として活用し、残りの半分は自分でセカンドハウスに利用するといった使い方が人気になりそうです。

大手デベロッパーの開発している物件ですが、坪単価は300万円を超えており、沖縄としてはかなりの高額物件といえます。

にもかかわらず、販売状況は極めて好調ということで、ほとんどが売約済みになっています(写真)。その中でも人気の民泊可能物件は残戸が4つしかなく、これから抽選によって購入者を決めるということでした。

沖縄の不動産は元々のリゾートとしての人気だけではなく、コロナ禍を機にリモートワークやセカンドハウスとしてのニーズも増えて物件需要が高まっています。アジアの外国人も観光にやってきています。

また、高級外資系ホテルも次々と進出してきて、富裕層をターゲットにした高額物件が売れるようになってきています。

今回モデルルームにお邪魔した那覇の新築物件も購入者の8割は県外からということで、沖縄の地元の人が購入するローカル物件というより、むしろ東京の都心部の不動産物件と購入者層が重なっているようです。

避暑地として知られる長野県の軽井沢が新幹線の開通によって東京からの2拠点生活者が増え、東京23区の次の「東京24区」と言われています。

沖縄も軽井沢に続き「東京25区」と呼ばれる日はそれほど遠いことではないと思いました。

沖縄の不動産価格はここ数年でかなり上がっていますが、まだ売り手の不動産会社が強気の値付けをする上昇相場が続きそうです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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Tue, 22 Apr 2025 21:00:46 +0000 Tue, 22 Apr 2025 21:00:46 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html
https://agora-web.jp/archives/250421095918.html 建設物価上昇もたらす思わぬ弊害:日本のマンション最大の構造的問題 https://agora-web.jp/archives/250421095918.html 物価上昇と言えば食料品関係の報道が多いせいか、そちらに気を奪われがちですが、全般になんでも上がっています。その中で今日は建設物価の上昇がもたらす弊害を考えてみたいと思います。

まずはカナダの例から。私が管理組合の責任者を務める商業不動産物件の一つに昨年秋、ビューティーサロンの入居が決まり、工事が着工される旨、連絡が来ました。こちらでは市役所の許可プロセスでテナントが工事をする際に大家の了解だけではなく、管理組合の了解も必要なので私にも書類が廻ってくるわけです。特段問題ないので了承したのが運の尽きでした。

まず物件内で外壁を起因とする水漏れが見つかり、それは大家の責任ではなく、建物全体を管理する私の仕事だということになるも、その修復に苦戦します。直しては別の水漏れが発見されることを3度繰り返し、ようやく全部終わったのが1月初め。11月に建設会社と話した際には「クリスマス前には完成させる」というので「何をご冗談を。頑張っても夏ですよ、夏!」と言い切っていました。ずいぶん素人臭い建設会社の社長だなと思ったのですが、私の方の水漏れ工事の修復をしている間、彼は現場作業を何もしません。私の修繕が終わってしばらくして建設会社が図面に無理な設備配管があることに気づき、私に相談されても「それは私の知ったことじゃない。設計変更したら」としか言いようありません。

それでも2月ぐらいから無理やり工事を進めるも現場は汚い、騒音はひどい、配管でトラブルが続きます。そして2週間ほど前には天井材が山積みのまま駐車場に放置してあるので「どういうことだ!」とクレームをしたら「この工事はもう俺はやっていない。テナントが自分でやるそうだ」とまさに「ケツを割った」のです。

この時点でこの工事は終わらないな、と確信を持ちました。理由はテナントが工事などできるわけがないのです。許可が下りないし、様々な検査がクリアしないのは一目瞭然。なぜ、建設業者が契約破棄して逃げたかといえば金が合わない、テナントから文句は言われる、工期は遅れるで碌なことがないからでしょう。私の予想、「この工事は夏までかかる」は当たるかもしれません。

さてこのようなトラブルは日本でも日常茶飯事に近いと思います。中野サンプラザの跡地再開発計画がとん挫したのは皆さんご存じの通り。野村不動産の試算が甘かったものです。新宿京王百貨店跡地再開発の南街区も頓挫しています。既存建物を壊すのは大成建設が契約を取ったのですが、なぜか建てる方の建設会社が決まらず、完成予定日は未定に変わりました。通常、建物を壊した業者は上物の建築工事を取るのが大常識。なぜ大成建設が受けなかったのか、私の想像ですが、カネが合わなかったのでしょう。それも百億円単位かもしれません。

開発工事のコストが異様に膨らんでいる実態に発注側の認識が追い付いていない、これが現状なのです。大型開発案件の場合、当然、収益計算とキャッシュフローを見る必要がありますが、それこそ賃料収入で借入金すら返済できない、という数字が出ているのだと思います。

なぜ建設物価が上がるのでしょうか?これは簡単で、昨今の人件費増と資材価格の増です。ただ、問題は人件費は上がるだけではなく、建設従事者が減少し、専門職の手が全く足りない状態という抜本的問題があります。建設工事は多くの業種を足し合わせるので一つでも欠けると建物は完成しません。(自動車産業で部品が一つなくてもできないのと同じです。)資材価格も輸入品に頼る場合が多く、単に高いだけではなく、モノがないという場合もしばしば発生します。(かつて便器の供給国、ベトナムから便器が入らなくなった事態がありましたね。)

ではこれがなぜタイトルの「思わぬ弊害」につながるのでしょうか?私が心配しているのは古いマンションの大規模改修ができなくなるだろうという点です。現在の修繕積立金では改修に必要な資金が不十分となるケースが続出し、古いマンションの維持管理ができなくなる大騒動がいずれ起きるとみています。

北米なら「しょうがないな、では特別拠出金を建物所有者から集めるか」という決議をして各部屋のオーナーさんに「はい、お1人200万円ね」と請求を出せばよいだけです。「おれ、カネがない」といえば「あっ、そう。ならばお部屋の所有権に先取特権をつけます」で終わり。こちらは部屋の売買が日常茶飯事。そして先取特権は簡素化されたプロセスで一種の抵当権を付保してその不動産売買の代金から優先的に返済してもらう仕組みがあるのです。こちらの人はそれを知っているのでやむを得ず払うのです。

7maru/iStock

日本の場合、特別徴収金など真剣に払えない人が多いのがマンションの実態です。以前にもお話ししましたが「終の棲家」という発想があり、建物内で住民の入れ替えが起きないため、住民の年齢層が築年数と共にシフトしていくのです。すると例えば築20年経って大規模補修工事をするときには皆さんリタイアしていて収入はない、という話なのです。これが日本のマンションの改修で詰んでしまう最大の構造的問題であり、弊害でもあります。

多分この点を指摘した専門家はまだあまりいないと思います。これから数年すれば社会問題にすらなると思います。マンションの修繕積立金も建設物価のインフレに合わせて調整をさせないとマンションのメンテを維持できない時代になるということです。マンション住民は修繕積立金が毎年5%上がることをさて、受け入れますでしょうか?。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月22日の記事より転載させていただきました。

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Tue, 22 Apr 2025 03:00:18 +0000 Tue, 22 Apr 2025 03:00:18 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html
https://agora-web.jp/archives/250421100011.html 新型コロナウイルス、中国の「責任」と「米科学者の脱線」 https://agora-web.jp/archives/250421100011.html 第2次世界大戦(太平洋戦争)が終わって80年の筋目を迎える今年、世界各地で追悼集会や様々な国際会議が開かれる。終戦から80年の年月が経過して、戦争を直接体験した関係者が少なくなってきたため、戦争の記憶を次の世代に継承することが一段と難しくなっている。

peterschreiber.media/iStock

ところで、世界を震撼させた新型コロナのパンデミックはまだ5年余りしか経過していないが、忘れられてきた。世界で700万人以上が犠牲となり、数億人が感染した中国武漢発の新型コロナウイルス(Covid-19)の発生源について、今なお解明されていないからだ。世界のメディアの関心もウクライナ戦争や中東問題などの諸問題に移ってきている。

世界保健機関(WHO)は今月、パンデミック条約の条文案を協議し、合意に達した。5月には条約が採択される予定だ。同条約はCovid-19のパンデミックを教訓にし、次のパンデミック対策をまとめた外交文書だ。WHOの努力は評価できるが、肝心のウイルスの発生源については依然、統一見解がないのが現実だ。原因が明確ではないのに、具体的な対策をまとめることができるだろうか。WHOのパンデミック条約は新型コロナ感染問題を早急に閉じたい中国側からの政治的圧力があったのではないか、といった憶測すら沸いてくる。

幸い、昨年末から今年に入り、武漢ウイルスに関連した新しい情報が明らかになってきている。ドイツ連邦情報局(BND)が昨年秋、独自で入手していた機密情報の存在を明らかにした。そして米中央情報局(CIA)、そして米ホワイトハウスがウイルスの発生源は「武漢ウイルス研究所」(WIV)だという見解を公式表明したばかりだ。

ホワイトハウスが新型コロナ起源でWIV流出説を支持する理由として、1)新型.ウイルスは自然界には存在しない生物学的特徴を持つ。2)WIVでは過去、生物安全基準が不十分な中で機能獲得研究などが実施されていた。3)2019年秋、華南海鮮市場でCOVID-19が確認される以前に、WIVの研究者がCOVID類似の症状を示していた事例が確認されている、等を挙げている。

それらの情報は説得力があるが、決定打ではない。状況証拠だ。欠けている点は関係者の証言だ。具体的には中国人ウイルス学者、「コウモリの女」と呼ばれている新型コロナウイルス研究の第一人者、WIVの石正麗氏らの証言だ。もちろん、中国共産党政権は彼らに証言させないだろうから、現時点では発生源を断言することは難しい。換言すれば、新型コロナのパンデミックの責任は事実を隠蔽する中国共産党政権にあるといえるわけだ。

BNDが2020年に入手したWIV関連の機密情報の存在について明らかにした時、中国外務省の報道局長・毛寧氏は北京で、「新型コロナウイルスに関する問題で、中国はいかなる形の政治的操作も断固として拒否する」と強調し、BNDのWIV流出説を一蹴している。

発生源の調査は問題の政治化ではなく、科学的事実調査だ。中国側は人権蹂躙問題を追及されると直ぐに「内政干渉」と言い逃れるように、新型コロナ感染の発生源問題の追及についても「問題を政治化する試みだ」と言って煙に巻く。

中国共産党政権が忘れてならない点は、新型コロナウイルスのパンデミックで世界で700万人以上が死に、数億人の感染者が発生し、多くは今なおその影響で苦しんでいるという事実だ。

調査ジャーナリストとして著名なシャリー・マークソン女史(Sharri Markson)は、「中国共産党政権は世界の覇権を握るために世界のグローバル化を巧みに利用し、最新の科学技術、情報を手に入れてきた。武漢ウイルスはそのグローバル化の恩恵を受けて誕生してきたのだ」と述べている。

例えば、ウイルスの機能獲得研究、遺伝子操作の痕跡排除技術は、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授、そして英国人動物学者で米国の非営利組織(NPO)エコ・ヘルス・アライアンス会長のペーター・ダザック氏らとの共同研究を通じてWIVの石正麗氏が獲得していった内容だ。ダザック氏らは米国の税金でWIVのコウモリ研究を支援してきた。その意味で、米国の科学者の落ち度も追及されなければならない。

トランプ大統領の関税政策を批判し、中国は「自由貿易を擁護している」と自負しているが、中国が非人道的な共産主義思想を国是としている限り、彼らの発言を信じることは出来ない。
繰り返すが、中国共産党政権は新型コロナのパンデミックで700万人以上の犠牲者が出たことを忘れてはならない。世界の死者数は、ナチス・ドイツが強制収容所で虐殺したユダヤ人の数よりも多いのだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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Tue, 22 Apr 2025 02:55:11 +0000 Tue, 22 Apr 2025 02:55:11 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250421232236.html 経産省「2040年にGDP980兆円・時給5366円」の皮算用と隠された意図 https://agora-web.jp/archives/250421232236.html 経済産業省は2040年に向けた産業構造のビジョンを発表し、官民で現在の約2倍の200兆円の設備投資を目指すとしました。200兆円の国内設備投資を前提とした場合、名目GDPは現在の1.6倍、約980兆円に拡大し、名目賃金は年間3.3%のペースで上昇し、2040年には1時間あたり5,366円に達すると見込まれるそうです。

CHUNYIP WONG/iStock

名目賃金は1時間あたり5366円(現状の約1.9倍)となる見通しですが、実質賃金は28%伸びるとされています。

重点分野としては、省力化やデジタル化(DX)が挙げられており、これにより生産性の向上と賃金の増加を目指しています。特に観光、医療、小売などのサービス業において賃金上昇が期待され、個人消費を下支えするとされています。

https://twitter.com/TMT69J/status/1818107783470080507

また、これは名目値の試算であるため、実現しても物価も同様に上昇する可能性があり、お米やジュースの価格が大幅に上がることが想定されます。そのため、インフレへの備えが必要になってきます。

GDPや時給の計算は皮算用ですが、2040年までに社会保険料などはさらに増加することは確実です。その頃に年収2000万円なっても可処分所得は意外に少ないのかもしれません。

https://twitter.com/satobtc/status/1615223337537662976

また、2040年には住宅問題は解決されているかもしれませんが、そもそもインフラの維持がままなりません。

現状ではエネルギー政策の混乱が見られますが、2040年にはエネルギー問題も完全に決着がついているかもしれません。

一方で、日本は解雇規制の弊害で、時給の「平均」よりも正規/非正規の格差のほうがはるかに大きな問題です。こちらの問題には政治も行政も頬かむりです。

ところで、たった1年前には経済産業省が2040年には「日本が新興国並みになる」との見通しを示しており、今回の楽観的な試算との間に大きなギャップが感じられます。現状維持だとこちらのほうが現実的なシナリオのようです。

最終的に誰も責任を取ろうとせず、責任を負いたくないという風潮がある日本においては、インフレや円安による「リセット」が唯一の解決策となってしまうのかもしれません。

そういう意味では今回の経産省の産業構造ビジョンは「インフレに備えよ」という親切な警告なのかもしれません。

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Tue, 22 Apr 2025 02:50:31 +0000 Tue, 22 Apr 2025 02:50:31 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421100109.html https://agora-web.jp/archives/250420171345.html
https://agora-web.jp/archives/250421100109.html 関税カオスが終わらず!日本株は大丈夫なのか? https://agora-web.jp/archives/250421100109.html 今回の「エミ探」は「関税カオスが終わらず!日本株は大丈夫なのか?」というテーマでお届けします。(収録日:2025年4月21日)

エコノミスト、為替ストラテジストとして著名なエミン・ユルマズ氏が、マクロ経済、国際情勢、株式・為替、商品市場について語るYouTubeチャンネル「探究! エミンチャンネル」。

 

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Tue, 22 Apr 2025 02:45:09 +0000 Tue, 22 Apr 2025 02:45:09 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422091215.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250420171345.html
https://agora-web.jp/archives/250421005749.html インフレで得する人、損する人 https://agora-web.jp/archives/250421005749.html 黒坂岳央です。

最近のニュースでも耳にすることが増えてきた物価が上昇する「インフレ」。

ニュースやSNSではまるで「これから地獄になる」と言わんばかりの危機煽りばかりだが、インフレは平等にすべての人に悪ではない。そうではなく、インフレで得をする人、損をする人に明確に分かれる。

我が国は過去30年間、ずっとデフレ経済が続いていたので気持ちを180度転換して、思考や行動、人生戦略を練り直すときが来ているだろう。

claffra/iStock

インフレで得をする人

インフレで得をする人はどんな人だろうか?

まず、株式や金、不動産といったインフレに強い資産を持っている人である。インフレが進むことで所有する資産が上昇するというシンプルな理由である。

そして次に高額所得者やビジネスオーナーだ。付加価値の高い仕事をしている人ほど、物価上昇以上に賃金上昇の恩恵を受けるので、人によっては実質所得が増える。

よしんば、勤務先がそうでなくてもハイスキルワーカーなら転職が容易なので、高待遇の会社や石油やエネルギー業界など、インフレに強い産業へ移動するリスクヘッジが可能だ。

また、企業経営者は、インフレによる価格転嫁できるのでもちろん、すべての業界がそうとは言えないが比較的強い立場にあるといえる。

最後に固定金利のローンを抱える人だ。インフレすると借金の「実質的な価値」が目減りする。固定金利で借りている場合、返済額はそのままでも、お金の価値が下がることで実質的に“得”になるのだ。

つまり、これからは住宅ローン、iPhoneなどの高額スマホ、奨学金などは現金一括払いではなく、できる限り長期ローン返済でゆっくり返していく方がお得なのだ。

インフレ時に損をする人

ではインフレで損をするのはどんな人なのか?一言でいうと、インフレで得をする真逆の行動ということだが、厳密に取り上げていきたい。

最も損をするのは現金しか持っていない人だ。インフレが現金の価値が減少していく事象なので、ただ現金を持っているだけではドンドン資産価値が目減りしていく。

そして年金受給者や無職である。インフレで年金支給額の調整はあるものの、激しいインフレには対応できず、実質的な生活水準が下がってしまう。

また、無職で収入がない状態で物価が上がると、支出だけが増えて生活は厳しくなる。数年前、世界中で流行ったFIREブームも今後はわからない。確かに彼らは株式という資産を持ってリタイヤするのだが、インフレ経済化で株が長期低迷すればFIRE生活の継続は難しくなるだろう。

努力が報われやすくなった

インフレに対してひたすら否定的な見方をする人が多いが、筆者はそうは思わない。

企業は付加価値を高めて収益率を高める努力が報われる。

ビジネスマンもスキルに投資し、稼ぎを増やしてインフレ連動資産を買い続ける。

こうした努力は、むしろデフレ経済下より報われやすくなったと言えるはずだ。デフレ経済ではお金を使わず、貯金が一番報われる社会であったため、節約が最適解、買い物は最小限にして値下げを待つのが一番良かった。

だが、これからは違う。積極的に努力して力をつけ、インフレに対抗することが最適解になる。もちろん、これは痛みを伴うが成長という観点で見た場合はデフレより良いという視点もあり得ると思っている。

インフレでは努力して稼ぎを増やし続けなければ、待ちの姿勢では圧倒的に不利になる。だが「働いたら負け」という諦め的な空気よりよほど健全だろう。

日本のみならず、すでに世界規模でインフレしており、さらに人口減少でその勢いに拍車がかかっている。時代は変わったのだと環境認識をして、来る新しい時代に備える必要があるだろう。

デフレからインフレに切り替わることで、できるなら仕事を変え、資産配分を変え、欲しいものは早く買ってしまった方が合理的になった。生き方を180度転換するのはなかなか難しいことではあるが、変化に対応できるものが強者である。

 

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Mon, 21 Apr 2025 22:00:49 +0000 Mon, 21 Apr 2025 22:00:49 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422091215.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250419125415.html https://agora-web.jp/archives/250417220817.html https://agora-web.jp/archives/250417215709.html
https://agora-web.jp/archives/250420215112.html 小林秀雄と江藤淳の「ライブかCDか」論争 https://agora-web.jp/archives/250420215112.html

2回前からの続き。発売中の『表現者クライテリオン』5月号には、辻田真佐憲さん・浜崎洋介さんとの「論客追悼鼎談」(後編)も載っています!

2024年に亡くなった3名を偲ぶイベントの活字化ですが、前編では伊藤隆・西尾幹二のおふたりがメインだったので、今回は「福田和也論」。ぜひ、多くの方の目に留まればと思います。

批評家・福田和也氏を悼む|Yonaha Jun
近年のポリコレ批評に苦言を呈する記事を出したその日に、福田和也氏の訃報が飛び込んで「うぉっ!?」と戸惑ってしまった。1960年生まれで、享年63歳。なによりもまず、ご冥福をお祈りする。 「右翼でファシスト」を名乗りながら、最左翼の思想誌だった『批評空間』にもよく出ていた。専攻はフランス文学だが、日本史・日本文学はむろ...

そこでの議論の鍵になる挿話について、せっかくなので再録しておきましょう。鼎談では私が持ち出したもので、初出は江藤淳・福田和也「対談・小林秀雄の不在」(『文學界』1996年4月号)。

江藤淳に見出されて飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の福田氏が、あえて江藤に感ずる違和感も吐露しつつ、いわば「親離れ」のための師弟対談として行った形でした。江藤は99年の7月に自殺してしまうので、年少の世代との対話を通じて、彼の最晩年のメッセージを聞くことができます。

で、面白いのがここで――(本noteのタイトルは私がいま風にしたもので、もちろんCDでなくLPの話ですから、誤解なきよう)。

江藤:小林〔秀雄〕さんの真贋ということで話すと、……モーツァルトの「魔笛」や「フィガロの結婚」は、やっぱりウィーンやザルツブルグへ行って観るのがいいと思うんですね。それであるとき、小林さんは今日出海さんと一緒に英国女王の戴冠式の時〔1953年か〕にヨーロッパへ最初に行かれてグルッと回って帰ってこられていたし、これからも幾らだって行くことはできると思って小林さんに言ったことがあるんです。

「ウィーンで観るオペラというのは、あんな面白いものはありませんね。やっぱりモーツァルトはレコードで聴いたんじゃ分からないものがあると思います。……」

そしたら小林さん「ふーん」とニコニコと聞いていたけれど、「きみ、僕はレコードのほうがいいよ。モーツァルトはオペラっていうけど、モーツァルトはきみ、シンフォニーだよ。レコードがいい。だってシンフォニーならレコードで聴けるじゃないか」と。

それこそまさにベンヤミンなんです。

福田和也『江藤淳という人』新潮社、98頁
段落を分け、強調を付与
江藤の最初の訪欧は、1964年夏

最後の1行は、ベンヤミンの1936年の有名な評論を踏まえたもの。1993-95年に草稿『パサージュ論』の邦訳が出るなど、江藤・福田対談の当時は、まさにベンヤミン再評価のピークでした。

「複製技術時代の芸術作品」ヴァルター・ベンヤミン – artscape

なんで小林秀雄の話から急に飛ぶかというと、福田氏の発言にいわく、「一回的な……信仰的な美ではなくて、無限に複製されてばら撒かれて、物に取り囲まれている時代でもなおかつ人間は生き、感動する、その感動は何なんだ、ということを、小林さんはやった」から(92頁)、その批評はベンヤミンの論旨に通じる、というわけ。

議論はそこから、こんな風に続きます。

江藤:いや、とにかくね、オペラじゃなくてレコードが好きだっていうのは、あれはとっても示唆的だと思う。
(中 略)

福田:我々はフェイクであると。それはいいんです。本当ですから。でも、やっぱり小林秀雄は、もうとっくにそういう世界に当たっているわけで、にもかかわらず、その中にある真如を語ろうとしたというのが凄みであって、ただフェイクだキッチュだというんであれば、もう〔戦前の〕モボ・モガの時代に尽くされている。

江藤:そうなんですよ。ですけれど、そのフェイクを通じて、小林さんは贋中の真をいつも見ようとしてきたんですね。……ちょうど1961年、昭和36年ぐらいが小林さんの分水嶺なのかもしれないんですね。つまり、そういう贋中の真と、それから贋中の贋、真中の真というようなこと、真でも贋でもどうでもいいっていうような世界との、ちょうどその転換点。

同書、108・110頁
算用数字に改定

そもそも大量生産/消費の資本主義がニセモノ量産装置な上に、日本人は欧米をコピーする形で近代化したから、二重にニセモノである。そんな時代に、あえて「ホンモノ」の痕跡を求めることに意味はあるのか? という問いが、明治以降の日本のインテリにはお約束としてある。

で、江藤いわく、小林秀雄クラスのビッグネームでも、1960年代の高度成長の頃からもう諦めたんじゃない? というわけですね。

ホンモノとニセモノはどう見分けるか|Yonaha Jun
時事通信社が運営する「時事ドットコム」に、拙稿「『ノット・フォー・ミー』が分断を和らげる」が掲載されました。会員限定の記事ですが、登録・講読は無料で可能とのことです。 概要が伝わるように、節タイトルを目次として列記するとこんな感じ。全体で3000字くらいの短い論説です。 ・「控えめ」な人こそが本当は強い ・令和の...

……なんでそんな結論になるかというと、江藤さん自身にとっては、敗戦と高度成長以降の日本がまるごとニセモノなんですよね。この点は、来月5/15に出る拙著でも、じっくり論じています。

ところが、今回の『表現者クライテリオン』鼎談では、『小林秀雄の「人生」論』などの著書がある浜崎さんから、待った、それは違う! とのダメ出しが、江藤と福田(と私?)に入るんですな。

『小林秀雄、吉本隆明、福田恆存――日本人の「断絶」を乗り越える』(ビジネス社) - 著者:浜崎 洋介 - 橋爪 大三郎による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
浜崎 洋介『小林秀雄、吉本隆明、福田恆存――日本人の「断絶」を乗り越える』への橋爪 大三郎の書評。文芸批評家はもう絶滅危惧種なのかもしれない。本書の読後感だ。小林秀雄、吉本隆明、福田恆存。俊英の批評家が全力を傾け、文学の批評を通じて日本人の無意識を暴露し、混迷の読者に指針を示した。それはもう昔のこと。人びとは自分の根

どんな議論になるのか、気になりませんか? ぜひ同誌、ないし基になった配信の動画で確かめてくだされば、幸いです!

参考記事: 鼎談前編については1つめに

反共主義から「ネットの中傷」を考える: ファンだからこそアンチになるとき|Yonaha Jun
2021年春のオープンレター騒動の頃からSNSを騒がせてきた、「誹謗中傷の季節」が終わりを迎えつつある。とはいえ、ネットの誹謗中傷がなくなったり、減ったりしたわけではない。 まともな批判に「中傷だ!」と言い張って責任逃れをする人や、自分の加害行為には頬かむりして、被害を受けた時だけ「中傷された!」と喧伝する人が増えす...
「自由民主主義的な全体主義」の予見者・西尾幹二氏を偲んで|Yonaha Jun
独文学者(ニーチェ研究)で保守の論客としても知られた、西尾幹二氏が亡くなった。1935年生で、享年89歳。ご冥福をお祈りする。 平成が青春だったぼく(79年生)の世代にとって、西尾さんはなんと言っても「新しい歴史教科書をつくる会」(97年結成)の初代会長である。実は、つくる会的なネオ・ナショナリズムには批判的なリベラ...
もしコバ: もし小林秀雄がウクライナ戦争を見たら|Yonaha Jun
3月9日に法政大学で行われた「日本文明」研究フォーラムのイベントが、論壇チャンネル「ことのは」で視聴可能になりました。有料会員限定ですが安い(廉価なコースは月690円!)ので、たぶん損しないです。番組へのリンクはこちら。 苅部直先生の著書『小林秀雄の謎を解く』(新潮選書、2023年)をめぐる合評会で、私は産経新聞にも...

(ヘッダーは文春オンラインより、『諸君!』で対談する小林と江藤)


編集部より:この記事は與那覇潤氏のnote 2025年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は與那覇潤氏のnoteをご覧ください。

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Mon, 21 Apr 2025 21:50:12 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:50:12 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422033305.html https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html
https://agora-web.jp/archives/250421064742.html ミャンマー大地震で露呈した中国の違法建築:世界に拡散する危険な建築物(藤谷 昌敏) https://agora-web.jp/archives/250421064742.html

Fahroni/iStock

政策提言委員・金沢工業大学特任教授 藤谷 昌敏

報道によると、3月28日に発生したミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震について、ミャンマーで実権を握る軍の報道官は31日午後、これまでに2,056人が死亡し、3,900人がけがをして、270人の行方が分かっていないことを明らかにした。大きな被害を受けた第2の都市マンダレーでは、複数の建物が倒壊した。

一方、タイの首都バンコクでは、この地震の影響で建設中のビルが倒壊したという。ビルは3月28日の地震発生直後、垂直に崩れ落ちた。建設作業員ら15人が死亡、約70人ががれきの下敷きになった。

地震が少ないタイで強い揺れを伴う地震は極めてまれで、住宅の壁のひび割れが多発し、全国で3,000棟以上のビルが点検対象になった。ひび割れを目にして突然パニックになったり、地震が発生していないのに揺れたように感じて建物外に逃げ出したりする人も相次いだ。

バンコクには多くの高層ビルがあり、その8割は耐震構造ではなかったが、今のところ他のビルは何とか持ちこたえており、完全に倒壊したのは今回の建設中のビルだけだ。

震源地から約1,000キロも離れた建物がなぜ倒壊したのだろうか。

中国が建設していた倒壊ビル

倒壊したビルは、チャトチャック・ウィークエンド・マーケットからほど近い場所にあり、鉄筋コンクリート造の34階建てのビルだった。ゼネコンであるイタリアン・タイ・デベロップメントと中国の大手企業「中国中鉄」の子会社「中鉄十局」が共同で手掛けていた。がれきのサンプル収集作業を主導するエーカナット工業相は「基準を満たさない鉄筋が使われた可能性がある」と述べた。同省は半年前から基準に満たない製品を製造する鉄鋼メーカーの取り締まりを実施しており、工場7ヵ所を閉鎖した。

こうした中、タイの捜査当局は工業省と連携して捜査に乗り出し、「中鉄十局」の中国人男性従業員4人が現場近くの事務所から資料を持ち出そうとしたとして一時拘束された。地元裁判所は4月1日、ビル敷地内に許可なく入ったとして、4人に禁錮1ヵ月(執行猶予1年)と罰金3,000バーツ(約13,000円)を科した。

今回の倒壊事故の原因は、主に3つあると言われている。

① 耐震設計の不足
タイでは地震が少ないため、耐震構造が十分に施されていない。

② 施工不良
倒壊したビルは中国企業が施工しており、使用された資材が安全基準を満たしていなかった可能性がある。

③ 長周期地震動
地震の揺れが長周期地震動であったため、高層ビルに特有の揺れが発生し、構造に大きな負荷がかかった。

中国企業による崩壊事故が続発

ケニア橋梁崩落事故

2017年7月4日、ケニア西部で総工費1,200万ドル(約14億円)をかけて中国企業が建設していた橋が、完成を目前にして崩落した。現場は同国のケニヤッタ大統領が2週間前に視察したばかりだった。崩落したのはケニア西部ブシア郡で中国の建設会社が建設していたシギリ橋で、これまで政府の開発プロジェクトから置き去りにされてきた経済困難地域にあり、ケニヤッタ大統領は大統領選挙の再選を目指してインフラ開発を公約の柱に据えていた。

同大統領が公約に掲げるインフラ開発プロジェクトは、中国企業と中国からの出資に大きく依存している。総工費38億ドル(約4,300億円)をかけて2017年6月に開通した鉄道のマダラカ・エクスプレスにも、中国企業が出資していた。

カンボジア・シアヌークビルのビル崩壊事故

2019年6月22日、カンボジア有数のリゾート観光地、シアヌークビルで、中国企業が所有する完成間近の7階建てビルが崩壊した。6月25日時点で死者28人を数え、カンボジア史上最悪のビル倒壊事故となった。ビル内には、中国人の電気技師ら作業員約80人が寝泊まりしていた。カンボジア当局が当初から違法建築で建設中止を勧告していた中で発生した事故だった。

ビルを建設していた中国企業はこの勧告を無視、違法建築を続行していた。6月25日には、シアヌーク地裁で事故直後から拘束されていた中国人のビル所有者1人が過失致死罪の容疑で、さらに中国人の建設会社社長1人と中国人の現場責任者2人が共謀罪容疑で計4人がそれぞれ起訴された。

セルビアの駅舎崩壊事故

2024年11月1日、セルビアの首都ベオグラードの北西70kmにある都市、ノヴィサドの鉄道駅で駅舎の外側に設けられた屋根が崩落する事故が発生し、少なくとも14人が死亡、30人以上が重軽傷を負った。駅は、運輸省が1,600万ユーロ(約26億円)を投じて2021年から中国企業によって改修工事が行われ、今年7月に工事が完成したばかりだった。

駅の改修工事を請け負ったのは「中国鉄路国際有限公司」(CRIC)と「中国通信建設有限公司」(CCCC)だった。この事故では手抜き工事疑惑が浮上し、ベオグラードなどでは責任を問い担当大臣の辞任を求める大規模な抗議デモが発生した。同国のインフラ投資で存在感を高める中国と、それと手を組む政府に対する一般国民の不信感の高まりが噴出した。

こうした崩壊事故の続発は、習近平政権の「一帯一路」政策の下、中国企業が欧州、アジア、アフリカなど各地で、インフラ建設などを積極的に推し進めてきたことによる。その結果、各地で中国企業による「手抜き工事」、「現地政権の汚職の深刻化」、「建築基準の不徹底」、「建築の過剰なスピード優先主義」などが問題となったが、未だに是正される兆しが見えていない。

習近平氏は「一帯一路」政策の質的転換を目指すとしているが、まずは違法建築の根本的見直しが必要だろう。

藤谷 昌敏
1954(昭和29)年、北海道生まれ。学習院大学法学部法学科、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科修士課程卒、知識科学修士、MOT。法務省公安調査庁入庁(北朝鮮、中国、ロシア、国際テロ、サイバーテロ部門歴任)。同庁金沢公安調査事務所長で退官。現在、経済安全保障マネジメント支援機構上席研究員、合同会社OFFICE TOYA代表、TOYA未来情報研究所代表、金沢工業大学特任教授(危機管理論)。


編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2025年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。

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Mon, 21 Apr 2025 21:45:41 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:45:41 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html https://agora-web.jp/archives/250419222050.html https://agora-web.jp/archives/250419222027.html https://agora-web.jp/archives/250416195341.html
https://agora-web.jp/archives/250421061412.html 地球温暖化、“科学者97%”の真実? https://agora-web.jp/archives/250421061412.html

EvgeniyShkolenko/iStock

はじめに

「地球温暖化は人間の出すCO2によって引き起こされている。このことについて科学者の97%が同意している」──このフレーズは、20年近くにわたり、メディア、環境団体、国際機関を通じて広く流布されてきた。

この数字に対し、私たちは疑問を抱くことなく「科学の合意」として受け入れてはいないだろうか?しかし、果たしてこの「97%」という数字は、どれほどの根拠と信頼性を持っているのだろうか?

本稿では、この主張の背景とその問題点、そしてそれに異議を唱える国際的な科学者団体の活動を紹介し、科学的信頼性とは何かを改めて考えてみたい。

97%合意説の出典と問題点

「97%の科学者が温暖化の人為的原因に同意している」という主張の代表的な出典は、2013年に発表されたジョン・クックらによる論文である。この研究は、気候変動に関する11,944本の学術論文の要旨(abstract)を分析し、そのうち「97.1%の論文が、人為的原因を支持する立場」を示していたという結果を導いている。

Consensus on consensus: a synthesis of consensus estimates on human-caused global warming

しかし、ここにはいくつかの重大な問題がある。第一に、この調査は論文の「要旨」のみに基づいており、論文執筆者本人の意見を直接確認しているわけではない。また、「人為的原因を支持する」と分類された論文の中には、CO2を主因と明記していないものや、自然要因との併記を含むものもあり、その分類基準自体が主観的である。

さらに、この種の統計は「科学的合意」というよりも「印象操作」に近い使われ方をする傾向があるともいわれる。実際の科学的議論は、データや仮説の検証、反証の積み重ねによって進められるべきものであり、単純な割合やスローガンに還元されるものではない。

もう一つの声

このような「97%合意」言説に対し、異を唱えてきたのがオランダに拠点を置く独立系の科学者団体CLINTEL(Climate Intelligence Foundation)である。CLINTELは、「気候非常事態は存在しない」という声明(WCD)を掲げ、科学的データと理論に基づいた気候観を提示している。

WCD:World Climate Declaration There is no climate emergency

CLINTELの大きな特徴は、WCDに署名した科学者や専門家が実名と肩書きを公表している点で、2025年現在、世界中で1983人の科学者・技術者・政策決定者が名を連ねており、その専門分野も気象学、物理学、工学、地質学、統計学など多岐にわたっている。

彼らは「気候は複雑な自然現象であり、CO2のみを主因とする見方は不正確である」と主張し、現在の急進的な気候政策は拙速かつ不均衡であると警告している。

どちらの主張が信頼できるのか?

ここで重要なのは、「どちらが正しいか」を決めつけることではない。むしろ、「どちらの姿勢が科学として信頼に足るか」を問うことが本質だといえる。

科学とは本来、仮説と検証、反証を繰り返す自己修正的な営みであり、異なる見解を封じるのではなく、公開された場で議論を重ねることによって真理に近づいていくプロセスが重要である。

その意味で、CLINTELのように実名と専門分野を明示し、反証可能な形で主張を公にする姿勢は、科学の本質に忠実な行動と言えよう。これに対し、「97%の科学者(の一団)が合意している」という数字を用いて異論を封じる態度は、科学というよりも政治的同調圧力や信念体系に近いものになってしまう危険がある。

気候変動が「疑似科学」になりやすいポイント

気候変動を巡る議論では、「科学的である」とされる主張の中にも、真正な科学に基づくものと、疑似科学的な次のような特徴を持つものが混在している。 

1. 気候モデルの神格化
気候モデルは「仮定に基づく未来の可能性のひとつ」にすぎないにも関わらず、未来を確定的に予測する道具として扱われることがある。これは、科学ではなく予言や占いに近い使われ方といえる。

2. 数字の呪術化(例:「97%の合意」)
このような数字は、「多数派が正しい」という論理のすり替えに使われやすく、議論や反証の余地を奪うために利用されることがある。

3. 道徳と結びついた主張
「子どもたちの未来のために」「地球を救うために」というフレーズが、科学的懐疑や反論を倫理的に封じるために使われることがある。これも疑似科学的手法といえる。

一方、真正な科学とは常に反証を許し、新たなデータに開かれていることである。どんなに高名な科学者でも、どれほど「合意」があっても、絶対に正しいと断言した瞬間に科学ではなくなる。

気候変動の議論も、政治・経済・倫理が絡む重要なテーマであるからこそ、科学は科学としての姿勢を保ち続けることが必要であり、私たちも、「誰が言っているか」ではなく「どういう論拠で言っているか」を見極める目を養う必要がある。

表1に両者の違いを比較してみた。

表1 真正科学と疑似科学の比較表
(註)RCP:代表的濃度経路シナリオ、SSP : 共有社会経済経路シナリオ

おわりに

科学は「疑うことを恐れない営み」であり、異なる見解が存在すること自体が、科学の健全性を保つ条件である。特に気候変動のようなテーマでは、「科学のふりをした信念体系」に注意が必要といえる。

気候が重要な課題であることは疑いようがない。しかしその解決に向けた議論は、一つの見解だけに依拠すべきではない。「科学者が何パーセント同意しているか」という数字に惑わされず、多様な視点を尊重し、異なる意見にも耳を傾ける柔軟さこそが、民主主義と科学の健全な発展を支える土台となる。

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Mon, 21 Apr 2025 21:40:12 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:40:12 +0000 https://agora-web.jp/archives/250420092109.html https://agora-web.jp/archives/250417052423.html https://agora-web.jp/archives/250416064632.html https://agora-web.jp/archives/250411214743.html https://agora-web.jp/archives/250408234637.html
https://agora-web.jp/archives/250420171345.html 「ピーター・ナヴァロは社会主義者だ」 https://agora-web.jp/archives/250420171345.html

こんにちは。自由主義研究所の藤丸です。

アメリカのトランプ大統領が就任してから、本日(4月20日)で3か月です。

今月上旬、「トランプ関税」の発表により、世界を驚かせたアメリカですが、今後の各国との関税交渉に注目されています。

関税の是非については、前回の記事もぜひ御覧ください。

関税の隠れたコスト?~『見えるもの、見えないもの』とは?|自由主義研究所
こんにちは!自由主義研究所の藤丸です。 本日4月9日、トランプ米政権による相互関税いわゆる「トランプ関税」が発動しました。 トランプ関税、中国104%に 70カ国交渉も世界不況懸念 - 日本経済新聞 トランプ米政権による相互関税が日本時間9日午後1時1分(米東部時間9日午前0時1分)に発動する。中国製品には...

関税については、アメリカ国内はもちろん、トランプ政権関係者内でも意見の大きな相違があります。

トランプ大統領の貿易・製造業担当上級顧問のピーター・ナヴァロ氏は、関税政策について「関税は減税だ」として推し進めています。

今回は、これに対して激しく批判を展開する、アメリカのReason誌の記事「Elon Musk Says Peter Navarro Is ‘Dumber Than a Sack of Bricks’」を全文翻訳し、紹介したいと思います(翻訳掲載については、Reason誌から許可を得ています)。

※元の記事は以下です。

Elon Musk says Peter Navarro is 'dumber than a sack of bricks'
Imagine an alternate reality where President Donald Trump's top trade adviser was a bulging Hefty trash bag stuffed with discarded bricks. No, really.
ピーター・ナヴァロ氏とは?

ピーター・ナヴァロは、アメリカ合衆国の経済学者・公共政策学者です。

現在、ドナルド・トランプ大統領の貿易・製造業担当上級顧問であり、トランプ政権の1期目では新設された国家通商会議(後に通商製造業政策局)のトップを勤めました。

2016年に文藝春秋から翻訳出版されたベストセラー「米中もし戦わば」の著者でもあります。

※ 本文に出てくる「レンガ袋」ですが、Dumb as a sack of bricksなどと使われることが多く、「能力や意志のない、くだらないもの」という意味の英語独特の表現です。
※ 太字は筆者です。

イーロン・マスク、「ピーター・ナヴァロはレンガ袋よりも愚か」と語る

マスクは正しい。

ナヴァロは愚かな経済観を持つ社会主義者で、何かの責任者に任命されるべきではなかった。

ドナルド・トランプ大統領の貿易顧問のトップが、「捨てられたレンガが詰め込まれた膨らんだゴミ袋」だったとしたらどうだろうか?

いや、本当に考えてみてほしい。

トランプが重要な会議のために閣僚を集めたとき、なぜか部屋の隅には大きな袋が置かれている。その黒いポリエチレンの側面は、中に積まれた何十個ものレンガと思われるものの鋭利な角を収めようとして、ぎこちない角度に伸びている。巾着の上部から抜け出た赤土のほこりが床に残っている。

ホワイトハウスのインターンがその袋を移動させようと苦労している。その袋は何もしゃべらないし、何も伝えない。何も考えていない。貿易赤字の意味について意見を述べたり、アメリカ経済の状況について誤解を招くデータを作り出すこともない。

そして自問してほしい。もしトランプがピーター・ナヴァロではなく、その「文字通りのレンガの袋」に助言を求めていた方が、アメリカはより良い状況にあったのではないか?

イーロン・マスクはそう考えているようだ。

ここ数日間、マスクは一連のツイートでホワイトハウスの通商政策最高顧問であるナヴァロを批判し、ナヴァロを「愚か者」と呼び、「ナヴァロは何一つ作り上げたことがない」と指摘した。

火曜日の朝、マスクはさらに核心を突いた。「ナヴァロはレンガ袋よりも愚かだ」と述べた。

私はどちらの人物とも直接会ったことがないため、それぞれの知性について直接的にコメントする資格はない。

しかし、より重要な問い―ナヴァロと文字通りのレンガの袋のどちらがトランプの貿易政策を導くべきか―に関しては、答えは明白だ。

ナヴァロを解雇し、レンガ袋を雇うべきだ。

ノア・スミスは先月Xで、ナヴァロがFox Newsで「関税は減税だ」と主張したことに対して、「ナヴァロはアメリカで最も間抜けな経済学者でありながら、最も影響力のある経済学者でもある」とコメントした。真実はナヴァロの言うことの逆である。つまり、関税は大増税なのだ。

それ以来、ナヴァロの欠点はさらに明らかになっている。

彼はケーブルニュースのインタビューでさらなるナンセンスを語るだけでなく、外国がトランプと関税引き下げ交渉をしようとするのを妨害していると報じられている。

昨日、EUとベトナムが、アメリカが同じことをするなら関税引き下げ交渉に応じる意向を示した後、ナヴァロは即座にその考えを一蹴した。

「EUやベトナムがゼロ関税を提案してきたとしても、それは我々にとって何の意味もない」とナヴァロは言った。

ナヴァロの経済的無知の根は深い。

2020年のReason誌の記事で詳述したように、ナヴァロは左翼的な政治キャリアが失敗に終わった後に、トランプ政権の最初の任期で最も力を持つ人物の一人となった。長年カリフォルニア州の政治評論家であるジョー・マシューズは彼を「サンディエゴのバーニー・サンダース」と呼んでいる。

この類似性は、現在の状況を多くの点で説明している。サンダースは、関税を長年支持し、自由貿易に反対し、消費者は市場での多様性や選択肢を必要としないと考える人物である。サンダースがアメリカの貿易政策を担当した場合、ナヴァロと何かが違っただろうか?

ナヴァロは選挙に負けたり、彼の立場を支持するために架空の経済学者をでっちあげたりするだけでなく、反成長的な地域コミュニティ組織を設立し、カリフォルニア州に今も害を与えている住宅建設規制のいくつかを固定化する手助けをしている。

確かに、そんな人物をに経済の大部分を任せるべきだとは思えない。

おそらく、トランプ政権にナヴァロを招き入れたのはジャレッド・クシュナーだろう。トランプの娘婿であるクシュナーは、選挙運動中にトランプが中国についてもっと具体的に話したいと思ったとき、ナヴァロをチームに引き入れたと言われている。

Vanity Fair誌のサラ・エリソンは2017年に、トランプがクシュナーに自分の見解の要約を渡し、調査を依頼したと報じている。クシュナーはネットで検索し、ナヴァロの本の一冊を見つけたのだ。

ナヴァロは現在、MAGA(Make America Great Again)の一員であるかもしれないが、その本質は社会主義者だ。

COVID-19パンデミック中、彼は「連邦政府の力が民間企業の力と融合することの美しさ」について詩的に語った。アメリカの貿易政策に対するナヴァロのビジョンは、ウラジーミル・レーニンが誇りに思うような自給自足経済のようなものだ。

これらの見解が十分に不適格でないならば、トランプはホワイトハウスでの実績によってナヴァロを解雇すべきだ。彼はトランプ政権の最初の任期中、ホワイトハウス国家貿易委員会のディレクターとして、ジョーンズ法(国内での船舶輸送を高額にする保護主義の法律)の改革を阻止する主要な役割を果たした。

この法案は、トランプ政権が苦境に立つカメラ会社イーストマン・コダックに7億6500万ドルの契約を与えるという愚かなアイデアを推進する原動力でもあった(その契約は幸いにも、証券取引委員会が調査を開始した後にキャンセルされた)。

明らかに、文字通りのレンガ袋はそのどちらも行わなかっただろう。

現在、ナヴァロは、株式市場から数兆ドルを蒸発させ、国を深刻な景気後退に陥れる可能性がある関税政策を推進している。それはトランプの他の政策や彼の遺産に明らかに深刻な結果をもたらすだろう。チャンスをもう一度与えるというのもありだが、ナヴァロはとっくにトランプからの信頼を失うべきだった。

マスクとナヴァロの対立は示唆に富んでおり、その結果は第2期トランプ政権の将来を大きく左右する可能性がある。

マスクには欠点がないわけではないが、彼は貿易の価値を明確に理解しており、これらの関税で意図的に経済を悪化させるのは大きな間違いだと認識している。彼は成功したビジネスを築き、市場が機能するようにすることが経済成長に必要であることを知っている(彼自身も政府契約を喜んで受け入れているが)。

一方、ナヴァロは何も築き上げていない。彼は失敗した政治家であり、うそつきだ。彼の愚かな経済思想は、予想通りの結果をもたらしている。

トランプはアメリカの貿易政策を社会主義者に任せるべきではない。レンガ袋の方がましだ。

Reason誌記載の記事の翻訳は以上となります。最後まで読んでくださりありがとうございました。

「関税は減税」は意味不明ですね。消費者にとって大増税であるトランプ関税は今後どのような展開を迎えるのでしょうか。各国との交渉により、結果的に関税がより下がり、自由貿易の方向へ進むことを期待したいです。


編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2025年4月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。

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Mon, 21 Apr 2025 21:30:45 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:30:45 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250421060740.html 信用格付が社債の価格変動に過剰な影響を与えること https://agora-web.jp/archives/250421060740.html 社債の発行に際しては、発行体には、投資家の価値判断が可能になるように、情報の開示が義務付けられている。そのうえ、発行体は、社債の発行に際して、信用格付業者に依頼して、格付を取得するのが普通である。発行体の狙いは、開示情報だけで投資判断を形成できない投資家に対して、専門家の参考意見を提供することで、投資家層の拡大を図ることである。

金融規制当局からすれば、信用格付の利便性によって、社債投資が容易となり、幅広い投資家が市場に呼び込まれるのは望ましいことであるから、金融格付業者を規制していても、信用格付自体は規制していない。しかし、信用格付が投資家の行動を左右する影響力については、深刻な弊害のあり得ることから、注意深く監視しているのである。なかでも、多くの投資家が格付を信用リスク管理指標にしている現実のもとでは、格付の引き下げが大量の売却を誘発し、市場の攪乱要因になり得ることは大問題である。

ADragan/iStock

さて、理論的に、社債投資の専門家である投資運用業者にとっては、自らの調査分析力で独自の投資判断を形成している以上、参考意見としての信用格付は不要であって、逆に、信用格付との見解の不一致こそ、付加価値源泉になっているはずである。なぜなら、信用格付を基準に行動する投資家の存在が社債価格の変動をもたらすことによって、信用格付を見ない投資家は、より高く売り、より安く買う機会を得るからである。

つまり、社債市場においては、信用格付に従う投資家の集団と、信用格付にとらわれることなく独自に投資判断をする投資家の集団とがあって、両集団が対峙することで、社債の価格形成がなされていると考えられるのである。このとき、両者の力が拮抗していれば、市場は効率的となる、即ち、価格の適正性が維持されるわけである。

しかし、現実には、信用格付に従う投資家の力は優越している。背景には、社債市場においては、金融機関が投資家として大きな役割を演じていて、金融機関は、総じて、信用格付に基づく類似した信用リスク管理手法を採用していることがある。故に、格付の引き下げは、著しく大きな価格下落の原因になってしまう。これは信用格付の弊害ではあるまいか。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
X(旧Twitter):nmorimoto_HC
Facebook:森本紀行

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Mon, 21 Apr 2025 21:20:39 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:20:39 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250420103156.html https://agora-web.jp/archives/250419094920.html https://agora-web.jp/archives/250416192827.html https://agora-web.jp/archives/250417070131.html
https://agora-web.jp/archives/250421211918.html ドル円が下落して140円台に:トランプ発言が米国のトリプル安を招く? https://agora-web.jp/archives/250421211918.html 4月21日の東京外国為替市場では、アメリカのトランプ大統領が関税交渉において「為替」を非関税障壁の一つとして問題視する発言を行ったことなどを受けて、市場では日本に対しドル高是正を求めてくるとの観測が広がりました。その結果、円高・ドル安が進行し、円相場は約7か月ぶりに1ドル=140円台まで上昇しました。

この円高の動きはその後も続き、午後5時の時点で円相場は1ドル=140円55~57銭と、前週末より1円84銭の円高となりました。一方で、ユーロに対しては円安が進み、1ユーロ=162円41~45銭でした。円高ではなくドル安の流れが継続しています。

また、市場ではトランプ大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長を任期途中で解任する可能性が報じられたことも影響しています。これにより米金融政策の先行きに不透明感が生じ、ドルを売る動きが強まっています。

ドルは他の主要通貨に対しても下落しており、ドル指数は3年ぶりの安値水準となっています。こうした状況を背景に、円高圧力が高まっています。トランプ政権による関税政策が米国景気に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念も、市場の不安要因となっています。

さらに、加藤財務大臣とベッセント米財務長官が24日に会談を予定しており、円安是正が交渉の焦点となる可能性が高いとの見方も市場に影響を与えています。市場では、円高が先行して進んだことで、会談における米側の為替是正要求が弱まる可能性も指摘されています。

ドル円相場は140円を下回る可能性が意識されており、今後の下落リスクへの警戒感が強まっています。現在はドル全面安の流れとなっており、円高傾向が続くと見られていますが、トランプ大統領の利下げ要求発言が、市場に混乱をもたらし、結果的に金利上昇やドル安・株安・債券安の「トリプル安」を招く恐れもあります。

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Mon, 21 Apr 2025 21:20:18 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:20:18 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421100109.html
https://agora-web.jp/archives/250420171943.html イタリアがP-1哨戒機を導入することはありえない。 https://agora-web.jp/archives/250420171943.html 竹内修氏のイタリアがP-1を採用する可能性があるという記事です。ですが、ぼくは、それは実現しないと思います。単にエアバスから譲歩を引き出すための当て馬だと思います。

日本の軍用機「初の輸出」に現実味 「win-winだね」ってそういう意味か… かつてないほど接近する日伊

日本の軍用機「初の輸出」に現実味 「win-winだね」ってそういう意味か… かつてないほど接近する日伊(乗りものニュース) - Yahoo!ニュース
 2025年3月29日付の「ディフェンスニュース」など複数のメディアは、イタリア空軍の制服組のトップであるルカ・ゴレッティ参謀総長が、海上自衛隊が運用しているP-1哨戒機の導入を検討していると述べた

イタリアが加盟するEU(ヨーロッパ連合)は2025年3月4日、ヨーロッパの防衛力を強化するため、最大8000億ユーロ(約125兆円)の資金を投入する計画を発表しており、おそらくイタリアは地中海方面で活動するロシア海軍に対する備えに、少なからぬ資金を投入するものと考えられます。

イタリアは日本と同様、自国で賄えない防衛装備品の多くをアメリカから輸入してきました。周辺のイギリスやドイツなどはボーイング737をベースに開発されたP-8A「ポセイドン」哨戒機を導入していますが、現在、ヨーロッパ諸国の間にはトランプ政権に対する反発から、アメリカ以外の国から防衛装備品を導入しようという動きが広まっています。

ロシアの軍事行動の活発化と、ヨーロッパ諸国の「アメリカ製防衛装備品離れ」が重なったことで、イタリアはP-1に白羽の矢を立てたというわけです。

P-1哨戒機 防衛省HPより

まずP-1の調達コストが高すぎる。性能、信頼性が高いP-8の2倍です。そしてシステムが低性能、対潜能力が低いのは周知の事実です。最大の問題は約三割の低い稼働率です。

これは主としてエンジンの問題(ついで光学電子センサー)なので改修のためにはエンジンの交換しかない。調達機数が10機程度として、そのためにエンジン換装しますか?という話です。そしてシステムもレオナルドが作り直しますか?

そしてエンジンも機体も全部専用です。つまり日本から輸入して相応の量をデポしておかないといけない。これがP-8であればエンジンも機体も737の流用ですから、なんなら民間市場からでも調達できる。

米国からの装備調達が政治的に問題であるならば、P-8ではなく、エアバスのA319 MPAに乗る方が現実的でしょう。民間機の流用ですから、P-8同様に、運用コストが安く、高い稼働率も期待できます。イタリアがプロジェクトに参加するならば相応の生産や開発分担が、レオナルドも期待できます。何なら一部のシステムだけでもイタリア仕様にすることも可能でしょう。何かあっても欧州域内の機体ですから対処は迅速にできるし、近代化も容易でしょう。

Airbus signs new study contract to define France's future maritime patrol aircraft
The French Defence Procurement Agency (Direction Générale de l'Armement) has signed a contract with Airbus Defence and Space as prime contractor, in partnership...

イタリアがP-1を導入する理由はひとつもありません。


防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)

財政制度分科会(令和6年10月28日開催)資料
防衛
防衛(参考資料)


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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Mon, 21 Apr 2025 21:15:43 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:15:43 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250421085525.html 石破政権方針転換!理由はトランプ対策か!? https://agora-web.jp/archives/250421085525.html 物価高が続く中、なぜ石破政権は現金給付も減税も見送ったのか? 補正予算断念の裏には、国債市場の動揺やトランプ政権への“忖度”があった!?

【目次】

0:00 物価高対策は給付も減税もなし!
1:34 給付や減税の議論を振り返る
4:11 国債利回りのニュースが鍵!?
5:46 国債価格が下落した背景とは?
8:42 円安誘導はトランプ大統領がキレる!?

元新聞記者、現役ジャーナリストの視点からニュースを読み解くYouTubeチャンネル『記者VTuberブンヤ新太』。チャンネル登録をお願いします!

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Mon, 21 Apr 2025 21:10:25 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:10:25 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250422091215.html https://agora-web.jp/archives/250421100109.html https://agora-web.jp/archives/250420211953.html
https://agora-web.jp/archives/250419222107.html 人間は自分に興味があることしか見ようとしない https://agora-web.jp/archives/250419222107.html 生後3ヵ月のコーギーのピノ君(写真)を買い始めたばかりですが、毎日振り回されながら今まで気にならなかったことが急に気になるようになりました。

 

例えば、他の犬がどのような飼い方をされているかです。

散歩に行くと、歩いている他の犬がどんな首輪やリールを付けているのかを見たり、飼い主がどのように躾けているのかが気になって仕方ありません。

以前はまったく目に入ることもなかった動物病院の宣伝看板も自然に目に入ってくるようになりました。

部屋に戻ってパソコンに向かうと犬を同伴できるカフェの情報などに反応してしまいます。

人間は五感を使って周囲から様々な情報を集めていますが、同じ情報が入ってきてもそれぞれの人がその中から自分に興味のあることしか見えていません。

私の話ではありませんが、車を運転しているときに助手席に座っている付き合っている女性から「できちゃったの」と言われた。その瞬間、今まで気が付かなかった道路の両側にある産婦人科の病院が急に目に入ってきたと言う話を聞いたことがあります。

興味のないものは無意識にスクリーニングしてスルーしてしまい、興味のあることしか情報として意識していないのです。

犬に限らず好奇心が強く、様々なものに興味を持つ人は、入ってきた情報に反応しやすく、広く世の中を見ることができるようになっていると言えます。

逆に特定のことにしか関心がない人は、情報の取捨選択が偏ってしまい、他の人との感覚のズレが生じてしまうのかもしれません。

MicroStockHub/iStock

私は、元々興味のあることと無いことの差が激しく、周囲の人に人の話を聞いていないと良く言われることがあります。人の話を聞いていないのではなく、正確には聞いた話に興味がないのだと思います。

ここ数日は犬に対する関心が高まりすぎて、いつにも増して他のものに対する関心が薄れてしまっていると自分でも感じています。

入ってくる情報をバランス良く収集できるように好奇心のアンテナを広げる意識を持たなければいけません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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Mon, 21 Apr 2025 21:00:07 +0000 Mon, 21 Apr 2025 21:00:07 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422083020.html https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html
https://agora-web.jp/archives/250419222050.html 基軸通貨ドルを調整すべきか?:米国債を多量に所有する日本政府のバランス感覚 https://agora-web.jp/archives/250419222050.html 基軸通貨ドル、トランプ氏はこれを調整しようとしているように見えます。一連の関税措置が終わったら強いアメリカを作るために第二弾の経済措置をしたいと考えている気配はさまざまな発言から想定できます。それは国内製造業を強くする、であり、工場などのアメリカへの回帰であり、通貨価値を下落させ、輸出競争力をつけることであるようにも聞こえます。

トランプ大統領とスコット・ベッセント財務長官とハワード・ラトニック商務長官 ホワイトハウスXより

通貨価値の調整方法は大まかに2通りあります。1つは中央銀行の金融政策による調整機能です。各国の中央銀行の目的は国内物価の安定と雇用の適度な活性化です。適度というのは過剰な雇用状態とされる完全雇用になると労働の質が極めて低下するため、一定の失業率は許容されるべきとするものです。適度な失業率は各国の規定や国柄により差異がある為、一概に何%が妥当とは言えません。日本の失業率は現在2.4%程度でアメリカが4.2%程度かと思いますが、両国ともほぼ最適雇用の上限に近い領域にあると思います。

その中央銀行の目的からすると為替の調整機能は彼らの目的外ではありますが、金利の上げ下げがマネーの流れと流通量の変化を付随的に伴うため、意図しようがしまいが、結果として為替には影響が出やすくなります。故に日銀が金利を上げそうだといえば為替は円高に動きやすくなるのです。

基軸通貨のドルで見るとFRBが今年金利を4回程度下げるのではないか、と市場関係者はみています。当然ながら今年残り7か月程度をかけての話となればトレンドとしてのドル安傾向が生まれやすくなります。但し、これはあくまでも他国が利下げしなければという話で他の国も一緒に利下げすれば帳消しになり、ドルの価値は維持されることになります。

ではもう1つの通貨価値の調整方法はどこにあるかといえば政府が発する政策があります。これは中央銀行の微調整機能に対して大きめのクラックを伴う変動になりやすいと言えます。その最たるものが85年のプラザ合意であったわけです。

トランプ氏のことですからFRBによる為替調整機能は補助的手段だとみているでしょう。ではどうやって基軸通貨の価値を調整するかです。一番想像しやすいのは国債を利用する方法が思いつきます。例えばですが、アメリカが永久国債を発行すれば市場はどう反応するでしょうか?仮想通貨を使う手も無きにしも非ずですが、これはあまりにも市場の認知度が低く危険を伴うので現実的ではないかもしれません。

それらは私の想像力を超えるので手段については議論を差し控えますが、私が気になるのはアメリカは基軸通貨を調整するべきか、という本質論であります。アメリカがアメリカたる理由の一つは基軸通貨ドルを国内通貨のみならず、世界の「基準通貨」として流通させていることに価値があるのです。もしもドルが基軸としての機能を持たなくなればドルは暴落し、今の半分ぐらいの価値になるかもしれません。(プラザ合意でドルの価値がどれぐらい下がったかは基準点をどこに取るかで変わってきますが、一般には半分になったとされます。)

トランプ氏は上述の目的を達成するためにドル安としたい、しかし、FRBはその目的論からトランプ氏の意志に頷けるものではありません。ならば政府が政策として無理な方策で動かそうとするかもしれません。これは現在の世界経済に大津波を引き起こすようなもので個人的にはすべきではないと考えています。

一方、ドル信認が今までの通りなされるか、といえばそれもやや疑問視される状況にあるとみています。理由は何故ドルでなければならないかという説明ができないからです。70年代80年代ならわかります。ですが、今やデジタル通貨を議論する時代で実物的な担保価値が薄い仮想通貨に一定の価値を見出す時代になったのです。ドルはアメリカの政府通貨としての担保価値があります。金は物的な価値があります。ですが、仮想通貨はほぼ何もないのに価値を創造しており、投資家がそれを認める社会が形成されつつあるということは基準通貨がドルである必要はないという議論はできるでしょう。

かつてこのブログでIMFのSDR(特別引出権:ドル、ユーロ、円、ポンド、人民元の通貨バスケット)やSDRに金を足した新たなバスケットを創出して、それを基軸通貨にするというアイディアを紹介したことがあります。もう7-8年前だったかもしれません。

それから時間がたった今、ふと思うのは基軸通貨がなくても地域通貨による取引が起こる可能性はより現実的になってきたとみています。地域通貨は例えば中国元を使うというばかりではなく、中国元にインドやブラジル、ロシアなどの通貨ミックスを作りそれを使うことだって可能でしょう。

つまり基軸通貨ドルはトランプ氏が恣意的に何か価値を調整させようがさせまいが、いずれその存在を維持できなくなる公算が絶対にないとは言い切れない時代に入りつつあるのです。その中でトランプ氏が意図的に通貨価値をいじろうとすれば1985年のプラザ合意の時に比し、極めて大きなレバレッジが働くことで大混乱が生じるリスクが顕在化します。

恐ろしい話ですが、トランプ氏のように経済に政治を持ち込むことで地球規模の経済をいびつに、そして一定の壁を作るわけで国家レベルの貿易に一定の制限やルールが課されやすいなったと言えます。要は何が起きてもびっくりしてはいけないともいえます。

そう考えるとアメリカの国債が暴落して多量に所有する日本政府に被害が及ばないことだけを祈ります。一般的な投資のリスク分散の思想からは日本はアメリカに偏重投資の状況です。バランス感覚が非常に悪い気がするのは私だけでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月21日の記事より転載させていただきました。

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Mon, 21 Apr 2025 03:00:50 +0000 Mon, 21 Apr 2025 03:00:50 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250419222027.html 様々な筋目の年が重なった「復活祭」 https://agora-web.jp/archives/250419222027.html 4月20日はキリスト教会の最大の祝日、イエスが十字架上で亡くなって3日後に蘇ったことを祝う復活祭(イースター)だった。先月23日に退院したばかりで、健康状態が依然回復していないフランシスコ教皇(88)が復活祭で主礼を果たすか否かは20日の朝まで分からなかった。バチカンニュースによると、フランシスコ教皇は20日早朝(現地時間)、ローマ訪問中のバンス米副大統領(カトリック信者)と会見している。

▲バンス米副大統領の訪問を受けるフランシスコ教皇、バチカンニュース、2025年04月20日

フランシスコ教皇はサン・ピエトロ広場で行われた復活祭のミサは代理人をたて、自らは車椅子でサン・ピエトロ大聖堂のバルコニーに姿を見せると、広場に集った約3万5000人の信者たちから暖かい拍手で迎えられた。教皇は「復活祭おめでとう」と皆に挨拶し、記念ミサ後、サン・ピエトロ大聖堂のロッジアから「ウルビ・エト・オルビ」の祝福の言葉を述べた。ただし、イースターのメッセージはディエゴ・ラヴェッリ儀式長が代読した。その後、フランシスコ教皇はオープンカーに乗ってサン・ピエトロ広場を通り、信者たちの歓声に応えている。

バチカンの復活祭をライブ中継していたオーストリア国営放送(ORF)の解説者は「フランシスコ教皇は復活祭の主礼として最低限だが責任を果たした」と述べていた。

ところで、今年はローマ・カトリック教会、プロテスタント教会、そして正教会で同じ日にイースターが挙行された。世界最大のキリスト教会のカトリック教会にとっては2025年は25年ぶりに到来する「聖年」だ。それだけではない。キリスト教会の教義を統一した「第1二カイア公会議」開催から1700年目の歴史的筋目に当たる。すなわち、今年の復活祭は様々な歴史的筋目が重なったわけだ。

ちなみに、ローマ・カトリック教会(およびプロテスタント教会)は通常、グレゴリオ暦を使用して復活祭の日付を決定する一方、正教会の多くはユリウス暦に基づいて復活祭の日付を計算する。そのため、正教会の復活祭はカトリック教会よりも1週間から5週間遅れることが一般的だった。カトリック教会と正教会は1054年の「大シスマ(東西教会分裂)」以来、別々の暦で復活祭を祝うことが多く、同じ日に祝うことは稀だった。

その東西キリスト教会が同じ日に復活祭の祈りを捧げるということは、その祈りが発するエネルギーは通常より大きいだろう。10人の信者が祈る時より、100人の信者が集まって祈るならば、そのエネルギー、その波動、周波数は当然パワフルだろう。

天才の発明家二コラ・テスラは「エネルギー、周波数、波動が分かれば、世界の全てが解決できる」と語っていたことを思い出す。

宗教界では超教派運動(エキュメニカル運動)なる活動があるが、宗派の壁を越えて宗教が再統合するならば、その宗教者たちがする祈りのエネルギーは膨大だろう。そうなれば、「世界の平和実現」は決して空論ではなくなるのではないか。

繰り返すが、2025年は第1ニカイア公会議(325年)から1700年目だ。同公会議は、キリスト教の教義を統一し、復活祭の日付を決定した重要な会議だった。この節目の年に、カトリック教会と正教会が同じ日に復活祭を祝った。単なる偶然ではなく、歴史的な意味があるはずだ。「意味のある偶然の一致」といわれるシンクロニシティではないか。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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Mon, 21 Apr 2025 02:55:27 +0000 Mon, 21 Apr 2025 02:55:27 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250420211953.html 日米関税協議 石破首相「食の安全を譲ることはない」に沈む自動車産業 https://agora-web.jp/archives/250420211953.html 今回の日米関税交渉では、日本がコメの関税を守ることで、自動車に25%の関税が課され、日本経済に深刻な影響が出るおそれがあります。しかし、鳥取県選出で「地方創生」を掲げる石破首相には、その政治的決断ができないとの厳しい批判があります。

コメを守り続ければ、日本の主力輸出品である自動車に25%の関税が課され、日本経済全体に深刻な打撃を与えかねません。

この交渉は、本来であれば農畜産物の高関税を外圧によって見直し、インフレ対策や酪農を含む農業改革を進める好機でもあります。

https://twitter.com/takadaeiichi/status/1913970950443598096

しかし、日本国内では「輸入食料は安全でない」という前提で議論を止め、消費者の選択肢を奪っているという声もあります。実際には、消費者自身が判断する権利を持つべきであり、一律に自由化を妨げることへの反発が広がっています。

石破首相インスタグラムより

また、農水省や農協といった農政の既得権益構造は、変化を拒み続けており、これを温存する必要があるのか疑問視する意見も少なくありません。農水省は解体されても誰も困らないのではないかという厳しい指摘もあります。

メディアの姿勢に対しても批判が強く、とくに日経新聞が「米農家を守る」との立場から自由貿易を否定するかのような論調を取っていることに対し、「経済紙の資格がない」「いつから農本主義に転向したのか」との厳しい批判が見られます。

輸入米を自由化すれば、価格は自然と下がり、米不足も解消できるはずです。日本産の米が4千円でも4万円でも、それを望む人が買えばよく、安い外国産米を選ぶ権利も尊重されるべきです。要は、関税を撤廃して選択肢を広げるべきだということです。

このような改革に対して農協などが反発すれば、「外圧」を利用すべきだという考えも根強くあります。過去の日本は外圧によって構造改革を進めてきましたが、米の輸入自由化に関しては、最後まで強固な抵抗が予想されます。とくに農業関係者だけでなく、国産米を宗教的に崇拝するかのような一部の論者までが反対に回っている現状では、改革のハードルは極めて高いです。

石破首相の姿勢は、かつて群馬選出の中曽根元首相が、国内農業を守るために半導体産業を「捨て石」にしたと批判された事例と重なります。結果として、鳥取選出の石破首相もまた、同じ過ちを繰り返す可能性があるとの懸念が広がっています。

石破首相と赤沢経済再生相 首相官邸HPより

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Mon, 21 Apr 2025 02:50:53 +0000 Mon, 21 Apr 2025 02:50:53 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421211918.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html
https://agora-web.jp/archives/250419095041.html ETC障害の大混乱が象徴する日本の無駄の多さ https://agora-web.jp/archives/250419095041.html 中日本高速道路(NEXCO中日本)のETCの障害により大規模な高速道路の交通障害が起きてしまいました。これは日本において無駄な部分にコストをかけすぎていることによる弊害の象徴だと考えています。

ETCレーンが閉鎖されたため生じた大渋滞

高速道路の仕組みについての議論は行政学や財政、産業政策、都市計画の観点から長年行われているわけですが、しかし無駄な事はやめようと言う議論はなかなかありませんね。

私は欧州から来たアフリカ、ロシア中央アジア、南米、北米などを訪問し、実際に住んできたわけですが、実はETCのような一見便利に見えて、複雑かつ、大変なコストがかかる有料道路の課金システムがある国はそれほどありません。

例えばイギリスの場合ですが、基本的に有料道路と言うのはとても少なくほとんどありません。高速道路も県道にあたるような道も通行料は無料です。

ではどうやって費用を徴収しているかと言うと、道路税を年間で徴収してそこから財源に当てています。

各車両には支払いのステッカーを貼り付けて、それを国中に貼りめぐらした監視カメラで検証し違反があれば罰金を払うようにと言う手紙が送られてきます。

欧州の場合は同様の仕組みが少なくありません。国境をまたいで別の国に入る場合は、先にその国の通行用のステッカーを購入して車に貼っておきます。街中に読み取る機械も何もありません。

極めてシンプルで合理的なのに驚かされますが、機械を使ったり、テクノロジーを導入すればするほど設置費用やメンテナンスの手間がかかるので、コストが最小限のアナログにしておくというのは極めて合理的です。

しかも現在は監視カメラの精度が上がっているので、車の監視も兼ねて通行料支払い済みステッカーの確認もすれば一石二鳥です。ちなみにこういう監視カメラは実は日本のメーカーが世界トップです。

アメリカの場合も高速道路は無料です。たまに有料道路があることもありますが、30年以上前でもなんと通行するゲートにかなり単純な作りの自販機のようなものがあり、トレーがでていてそこにちゃりんとコインを投げ込んで終了。

私は学生時代にそれを目撃し、実にシンプルでわかりやすい良い仕組みだなと感じました。

そして日本に戻るとETC導入前は料金所に人がいて、いちいち費用を徴収していました。

ETC導入後はあの読み取る機械とカードがなければ通行ができません。

しかも高速道路の通行料は結構高く、海外の人が日本に来ると驚きます。

日本は現在人手不足であり、少子高齢化でもっと悪化していくわけで、ETCのインフラの維持も運用も大変な費用がかかります。

他の国のシステムを参考にし、ここで一気に合理化してはどうでしょうか?

利権が存在するのであればそれを潰すのが政治の役割です。しかし有権者が指摘して議論を盛り上げなければ何も解決しません。

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Sun, 20 Apr 2025 22:00:41 +0000 Sun, 20 Apr 2025 22:00:41 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422033305.html https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421100109.html
https://agora-web.jp/archives/250416195341.html ついに始まったアメリカ株大崩壊 中篇 https://agora-web.jp/archives/250416195341.html こんにちは。

今日は3月18日に投稿した『ついに始まったアメリカ株大崩壊 前篇』に続く中篇をお届けします。なお、前篇では「2回にわけて」と書いておきました。

ですが、その後トランプ大統領懲罰的な高率関税を導入して中国に貿易戦争を挑むという無謀な選択をした結果、アメリカの政治・経済・社会・外交軍事全般にわたる没落の足取りは一層早まったと判断し、詳細な分析をするために前・中・後の3篇構成とさせていただきます。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

「解放の日」は何を解放したのか?

欧米の大手メディアは、通常曲がりなりにもアメリカの現職大統領が推進する方針には微温的な表現で評価することが多いものです。

しかし、トランプが「解放の日」と銘打った4月2日にアドバルーンを上げ、3日に詳細を発表したアメリカに対して貿易黒字を出している諸国全部に対する懲罰的な高率関税課税案は、ちょっと違います。

大手メディアの中でも穏健派と分類されるイギリス『エコノミスト』誌でさえ、表紙案として次の2枚の絵柄を選ぶほど、常軌を逸した方針でした。


トランプが自分で足元の地盤をのこぎりで切り崩している図柄といい、「これで再び偉大になるのはアメリカではなく中国だ」という主張といい、ふつうならそこまでやらないほど辛辣な皮肉の効いた表紙案になっていました。

しかし、トランプ政権が発表した「相互(報復)関税」導入方針は、酷評されても仕方がないほどずさんで、しかもアメリカ製品を輸入したくても輸入できるほどの資金を持たない貧困な国々にとって死活問題と言えるほど過酷なものだったのです。

トランプが「レシプロカル(reciprocal、相互的あるいは報復的な関税」と呼んでいる諸外国に対する関税率は、本来「相手国がこれだけの貿易障壁を築いているから、わが国もこれだけ高率の関税をかけて対応しますよ」という趣旨のはずです。

ところが、トランプが自信満々で得々と振りかざしたフリップボードに書かれた高率関税案は、相手国が築いた関税・非関税両面にわたる障壁とはまったく関係のないところで弾き出された数字だったのです。


左側の一覧表に出ている数字をご覧になれば、ベトナムカンボジアバングラデシュスリランカといった国々に中国以上に過酷な高率関税を課すはずになっていたことがおわかりいただけるでしょう。

これらの国々の共通点は、アメリカに対してそこそこの輸出額があるけれども、残念ながらまだ貧しくてたとえ買いたくともほとんどアメリカ製品を買えない経済状態の国々だということです。

トランプは「貧しいこと自体が非関税障壁だ。アメリカに輸出をして稼ぎたかったら、輸出額相当の輸入ができるようになってから、出直してこい」とでも言いたかったのでしょうか。

どうもトランプは「アメリカ製品はどこに輸出しても他国の製品に引けを取らない品質だ。だから、アメリカが輸入超過になるとすれば、それは相手国がずるをしているからに違いない」という大昔からアメリカの貿易赤字がかさむたびに言い古されてきた神話を本気で信じこんでいるようです。

結局のところ、「解放の日」はいったい何を何から解放したのでしょうか。経済統計を見るかぎり、世界中で投融資をしようと待機している資金を「やはりアメリカほど強くて大きくて、投資機会に満ちた国はない」という固定観念から解放してしまったようです。

次の2段組グラフをご覧ください。上段は過去数年間政治的にも経済的にも凋落著しいユーロ圏の通貨である、ユーロに対してトランプ政権の登場がどんな意味を持ったかを示しています。


2023年秋と去年暮れから今年の初めにふたつ大きな山をつくって上昇してきた米ドルの対ユーロ為替レートが、トランプ政権の本格稼働と同時に壮烈な2段下げを演じています。どうやらこれは、アメリカから投融資資金=資本が逃避しはじめた兆候を描いているようです。

資本逃避は、先進国ではめったに起きないと言われています。

でも、もし起きてしまったら、とくにアメリカのように経常収支も財政収支も慢性赤字が拡大する一方という国では、債務の踏み倒し宣言をするか、長期にわたるハイパーインフレで実質的な元利返済負担を激減させるか以外には解決策のない、怖い事態です。

そして、下段もやはりかなり皮肉な「解放」を示唆しています。国債の金利が上がるということは、その国債の価格が下がることを意味します。発行元である政府にとっては今までと同じ金額を借りようとすると、金利負担が増えるので歓迎できない状態です。

ところがアメリカの場合、国債の金利上昇についてこれまではあまり心配しないで済んでいました高金利を求めて世界中から資金が押し寄せてきて米ドルの諸外国通貨に対する為替レートが上がって、米国政府にも国民にも購買力が上がるという利点があったからです。

しかし、見事に「解放の日」を分岐点にして、国債金利が上がる(=国債価格が下がる)と、米ドル指数が上がることで金利負担増加の重荷を軽減してくれるという図式が逆転してしまったのです。

4月3日以降は、国債金利が上がって国債価格が下がり金利負担が増えると同時に、米ドル指数も下がってアメリカ経済全体にとって購買力が下がるという泣きっ面に蜂の状態がふつうになってしまったのです。

株式市場は敏感ですから、こうした情勢変化にすぐ対応します。そして、今年2月初めに史上最高値をつけたS&P500株価指数は、次のグラフでご覧のとおり、トランプ関税政策発表直後にピーク比で20%下落という伝統的なベア弱気相場の条件を満たしてしまったのです。


トランプは、関税政策発表直後から自分でつくったお手盛りSNSサイトであるトゥルース・ソーシャルで、1国の元首が自国の中央銀行総裁に使うことばとは思えないほど無礼な表現で連邦準備制度Fed)のジェローム・パウエル議長に金利引き下げを要求していました。

どうしてここまで露骨な表現をしたかといえば、翌5日に公表する手はずはすっかり整っていたビデオ映像で、「米株市場の暴落は自分の天才的な戦略で意図的に起こしたことだ」と主張しているのに、現実はまっこうからその反対に動いてしまっていたからです。

強がりを言うほど墓穴を掘るトランプ

次にご覧いただくのが、このビデオ映像を編集したモンタージュですが、自分の失策を認めず強がりを言うほどその強がりが現実と遊離していく悲哀がすばらしく表現されていますので、ぜひ元になったティックトック映像もご覧ください。


残念なことに、このビデオ映像が公開されたときにはもう、株が下がると同時に国債金利も上がって国債価格も下がる相場になっていました。

トランプ自身が、このビデオ映像の中で「株価なんて20%ぐらい下がってもへっちゃらだけど、大口の国債借り換えスケジュールが詰まっている現状では、国債金利の上昇だけはなんとしてでも避けなければならない」とかなり率直に告白しています。

そこで「手柄はいつも自分のもの、ヘマは他人がすること」というご立派な世界観を持っているトランプは金利上昇の責任をFedのパウエル議長に負わせて、「さっさと金利を下げろ」と叱責したわけです。

それにしても、バイデン政権末期にはすっかり沈静化していた卵の値段まで、いかに自分の経済政策が優れているかの証拠として持ち出したのは、あまりにもウソが見え透いた大失敗でした。

じつにタイミング良く、A級大玉卵1ダースの値段が史上初めて6ドル台に乗せたとき「卵の値段が下がったのも俺のおかげ」と自慢している動画を公開してしまったからです。


それとも、トランプは「どうせ俺の支持者たちは経済統計なんか見ないし、たとえ見たところでそれが何を意味するかなんてわかるはずがない」とタカを括って大ウソをつき続けるつもりなのでしょうか。

そして、自分が提唱した懲罰的な高率関税政策が株安を招いたことをよく知っているトランプは、今度はこの政策の実施を延期したり適用対象を絞ったりすれば、株価は上がると読んで、堂々と現職大統領の身でインサイダー情報を流布し始めます。

始めは「高率関税実施の90日延期なんてフェイクニュースだ」と言っておき、次に実際に延期を発表し、そして時間外であきないが閑散な土曜日を狙って、今度は「高率関税の対象からコンピューターやスマートフォン、半導体製造装置を外す」と言ってのけたのです。


もちろん、実際には自社製品をほぼ全部中国で造らせているアップルなどから強烈な突き上げと、従来以上の高額ロビイング献金の約束などがあったのでしょう。とは言え、ここまで露骨に株の売買についてインサイダー情報を流した大統領トランプが初めてでしょう。

待てど暮らせど最愛の人からの電話は来ず

しかし、問題は上の表で箇条書きした項目のうちの4、トランプが期待していた中国からの税率を下げてくれ」というような交渉の電話がまったくなく、それどころか中国はアメリカ以上に高率の関税をかけて反撃する」と主張していることでしょう。


孤独な独裁者の悲哀と言うより、ティーンエイジャーの女の子がみんなの憧れの的になっているボーイフレンドからの電話を待っているような、幼稚な強がりがよく出た風刺写真の傑作だと思います。

そもそも「アメリカが懲罰的な高率関税をかければ、中国は降参して税率を下げてくれとお願いしてくるはずだ」という発想自体が時代錯誤であり、事実無根なのです。まず製造業に限定した中国の「対米依存度」から見ていきましょう。


いちばん「対米依存度が高いその他製造業(ここにはオモチャや雑貨などが入ります)でも25%で、ほとんどのサブセクターでは10%台半ばとなっています。全製造業で見た対米依存度も14.8%で「アメリカに輸出できなければ食っていけない」ほどではありません。

そもそも依存度という用語が見当違いで、どこの国へでも売れれば輸出するし、適度な利益を見こんだ金額では売れない国にもなんとか工夫して無理やり輸出しなければ産業として成立しないといった事情もありません。

まあ、中国の場合、中国共産党首脳部が将来の有望産業と見込んでいるEVやソーラー発電装置では、世界各国に安値輸出をしながらシェアの確保を図っている傾向はありますが、製造業全体がそういう方針でやっていけるわけがないのです。

全産業ベースで、アメリカにとっての中国への輸出額と中国からの輸入額を比べたグラフに移りましょう。


こちらでは、やっぱり圧倒的に大きいのがコンピューター・電子製品電子機器・同部品の2つのサブセクターでの巨額赤字でして、これがいかに大問題なのかよくわかります。

ですから、いくらハイテク超大手からの圧力があったとは言え、この2分野を懲罰的高率関税の対象から除外するというのは、トランプにとって清水の舞台から飛び降りるような決断だったのでしょう。

それでも習近平から「ありがとう」コールひとつなかったので、トランプはカンカンに怒っているのでしょうが。

米株・米ドル・米国債全面安の意味すること

アメリカの金融市場は、株がダメなら米国債どちらもダメでも米ドルと、どこかに逃げ場のある環境だった時代が40~50年続きました。ですが、もうそういう時代は戻って来ないでしょう。

次の6枚組グラフでご注目いただきたいのは、黄色の枠で囲った10年債と30年債の金利動向です。


これまで米国債は、米株や米ドルが安くなる金利が下がり価格は上がるという動きをして、ほかの金融資産から逃げてきた人たちの資金を吸収していました。ですが、「解放の日」以降は、米株も米ドルも下がりつづけているのに、米国債金利は上がり国債価格は下がっているのです。

いったい、いつ、どこで、だれがこの決定的な変化をもたらしたのでしょうか。最初の疑問「いつ」はかなり狭い範囲内に限定することができます。懲罰的高率関税の発表された翌週の月曜日から水曜日、日付で言えば4月7~9日の間だったことは間違いありません。


株式市場を見慣れた眼では、3日間かけてたった50ベーシスポイント、つまり0.5パーセンテージポイントというのは、取るに足りない変化に見えます。ところが変動率で言えば、これは12.55%とという非常に大きな変化だったのです。

さて、それではだれが動いたのか。この点に関していろいろ考える材料を提供してくれるのが下段のグラフです。

まず、「中国政府が懲罰的高率関税導入策に怒って米国債の投げ売り、米ドル売り・人民元買いを進めた」という説は、棄却して差し支えないでしょう。

4月7~9日という決定的な期間に、赤の折れ線で示した人民元の対米ドルレートは一貫して下がっています大規模な米国債売り・人民元買いはなかったはずです。

なぜなかったかというと、習近平主席を中心とする中国共産党首脳部は今、人民解放軍幹部将校たちとの暗闘で手一杯で、この絶好のチャンスを生かせなかったのだろうと思います。

60倍という素人運用並みの危険なレバレッジをかけて米国債を買い持ちしていた農林中央金庫が、懲罰関税で米国債の金利が下がり価格は上がると見ていたのに逆目に出たので、含み損のさらなる拡大を恐れて持っていた米国債を投げ売り」という説も人気があります。

しかし、もしこの米国債金利急騰・価格急落が農中主導だったとしたら、週明けの月曜日からすぐ始まっていたというのは、ちょっと反応が早すぎるという印象があります。

米国債市場の最大勢力はもちろんアメリカの大手金融機関です。その中には、ベーシス取引というかなり危ない取引の専門家たちも所属しています。

国債現物と先物のあいだに存在するわずか4~5ベーシスポイントほどの差から、大手金融機関にふさわしい規模の利ざやを稼ぐために、自己資金1に対して100ぐらいの借入を起こしてレバレッジで儲けようとする人たちです。

つまり農中の運用担当者がおそるおそるマネをしていた取引スタンスのお手本になっていた人たちなのです。私は、このベーシス取引のスペシャリストたちが、一斉に米国債現物を投げ売りしたのが、今回の金利高騰・価格暴落のきっかけだったと見ています。

なお、このベーシス取引は、次回『ついに始まったアメリカ株大崩壊 後篇』の主要テーマのひとつとなりますので、ぜひことばだけでも覚えておいていただきたいと思います。

とにかく、あれほどトランプが大事だと言っていた米国債の低金利・高価格はもろくも崩れ落ちてしまいました。次の2段組グラフが示すとおりです。


上段を見ると、2024年9月に連邦準備制度が約4年ぶりに政策金利の引き下げをするやいなやそれまで下降傾向を維持していた米国10年債金利が上昇に転じます。この頃から米国債券市場には何かしら異常な動きがあったわけです。

いちばん素直な見方は「短期債ならきちんと約定どおりの金利を稼げて、元本もほぼ間違いなく戻ってくるが、償還期限が遠のくほど約定どおりの金利を得ながら最後に元本も無事戻ってくるか心配だ」と考える債券市場参加者が増えたということでしょう。

そして今年の3月末までは、S&P500の下落とともに、金利が下がり.価格は上がっていた米国債10年物が、4月に入ってからは金利が上がって価格が下がるようになり、株と債券の間を移動しているファンドにとっては、逃げ場のない相場になっていきました。

なお、下段ではベーシス取引の解消が始まったのは8日夜か9日朝となっています。

ですが、おそらく7日の午後にはベーシスポジション解消の投げ売りが始まっていたけれども、多くの投資家が株安には債券買い」という長年の行動パターンを脱せずにいたので、ベーシス取引の解消がなかなか顕在化しなかったということではないでしょうか。

ぱっくり開いたワニの口

「いつ、だれが、何を」の謎が完全に解けたわけではありませんが、その後の金融市場の現実ははっきりしています。そこに呑みこまれたらどう転んでも結果はマイナスというワニの口が大きく広がっているのです。


上段でご覧いただけるとおり、10年債利回りはとくに9日に入ってから上昇に加速がつき、その分債券価格は急落しています。

一方、S&P500株価指数はやや下落幅が狭まっているように感じます。ですが、下段に眼を転ずると、関税政策で大失態を演じたトランプがなりふり構わずインサイダー情報の公開までして、なんとか株価が小康状態を保っているだけという印象もあります。

いずれ、この見せかけの小康状態金融市場の中で波乱を迎えるか、大統領による株価操縦として司法の判断を仰ぐことになるか、どちらにしても平穏無事では済まないでしょう。

資本逃避に関する教科書的説明には、以下の6段階で資本は特定の国から逃避すると書かれています。

1.経常赤字の拡大

2.世界各国中央銀行の外貨準備に占める自国通貨シェアの下落

3.通貨価値の毀損=インフレ

4.国家総債務と利払い負担の増加

5.資本の他国への逃避

そして、当該国家がデフォールト宣言を選ぶか、ハイパーインフレを選ぶかの最終段階である

6.金利上昇

現在のアメリカ経済はすべての条件を満たしています。よく「基軸通貨としての米ドルの地位は揺るがない」という反論を見かけます。ですが、外貨準備に占める米ドルの地位は着実に低下しつづけています。


従来から、それぞれ独自の理由で米ドル準備を控えめにしていたスイスとロシアを除いた外貨準備の中では米ドルのシェアは約63%とかなり高めです。しかし、この2ヵ国を含むデータでは、はっきり60%台を割りこんでいます

下段で見る米ドル指数の下落は、外貨準備に占める米ドルのシェアを下げようとしている国アメリカの有力貿易相手国の中にも存在することを示唆しています。

なお、米ドル指数とは、アメリカの有力な貿易相手国のアメリカとの貿易総額で加重平均した通貨ユニットで測ると1米ドルがいくらになるかを示しています。

次の2段組グラフをご覧下さい。


上段はトランプ関税政策の失態が、米ドル指数をかなり押し下げたことを示しています。そして、下段は1985年には160台に上がっていたこの指数が、次のハイテクバブルの天井では130前後にとどまり、20世紀最後の15年間アメリカの国力がそうとう落ちた印象があります。

今回最後のグラフは、第2次トランプ政権発足から「解放の日」直後までのアメリカ金融市場3大指標の推移を示しています。


何度かくり返しお伝えしたように、これまでは米株と米ドルが同時に下がっても米国債金利の低下=価格の上昇)が逃げ場となっていたのですが、「解放の日以降はその逃げ場がなくなったのです。

このシリーズ最終回になる後篇では、ベーシス取引解消のインパクトと、米株市場を牽引してきたマグニフィセント7壮麗なる7社)がマリグナント7悪性腫瘍7社)に転落した経緯を中心に書き進み、最後に日本が果たしうる世界史的貢献を説明させていただく予定です。


増田先生の新刊 『アメリカ消滅』が好評発売中です。ぜひご覧ください。

【関連記事】


編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2025年4月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。

 

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Sun, 20 Apr 2025 21:50:40 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:50:40 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250420092109.html 洋上風力発電導入計画の実態を明らかにし国民が納得する施策を! --- 齋藤 伸三 https://agora-web.jp/archives/250420092109.html 近年、洋上風力は資材価格及び人件費等の高騰により、欧米では事業縮小や撤退が相次いでいる。わが国の洋上風力発電の技術基盤と産業化は欧米と比較して極端に未熟であるが、政府は電力安定供給に資するだけでなく地域経済の活性化や産業振興に繋がると期待し、事業者が洋上風力から撤退しないよう対策強化を検討中である。

しかし、合理性のない再エネの大量導入で高い電気代を国民に押しつけて良いものであろうか。

zentilia/iStock

わが国の洋上風力発電の導入計画経緯と現状

本年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、40年には再エネ4~5割、原子力2割程度、火力3~4割程度とされた。変動エネルギーである太陽光は全体の22~29%、風力は4~8%としている。

事業用の太陽光発電はFITの導入で近年大幅に拡大され平地面積に占めるパネル設置面積は世界1位となる一方、森林伐採、山崩れ等々環境、防災上の懸念に対し地元住民の反対も高まっており、今後はこれまでと同様の拡大は望めないと推察される。

一方、風力発電は、第5次エネルギー基本計画(18年)において、陸上風力発電の導入可能な適地は限定的であるとして、洋上風力発電の導入拡大が不可欠とされた。

しかし、海洋利用に関する統一的なルールがない事、海運や漁業等の地域先行利用者との調整に係る枠組みがない状況にあった事、価格の目安として36円/kWhというFIT価格はあまりにも高額である等の課題があった。

そこで、政府は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」を19年4月より施工し、更に事業者を公募し競争を促してコスト低減を進めた。政府は積極的に環境・風況等の調査を行い、風力発電促進地域、有望地域等を選定した。

20年12月、「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」において「洋上風力産業ビジョン(第1次)」を取り纏め、図1に示すように風力発電は風況が適した北海道、東北、九州を中心に洋上風力発電の導入が進んでいる。目標として30年までに1,000万kW、40年までに3,000万kW~4,500万kWとした。この目標値は現時点でも維持されている。

図1 政府による導入目標

表1に示すように26年までに運転開始が見込まれるのは第1ラウンドの五島市沖の1基のみであり、他は28~30年に運転開始を見込んでいる。また、純粋に国産の風車は五島市沖のみである。しかし、22年末時点では本格的洋上風力は23基、91.4MWであり、これに表にある促進区域分を加算しても累計で3,600MW(=360万kW)で30年までの目標1,000万kWにはほど遠い。

表1 洋上風力発電の動向

洋上風力発電の主要な課題と展望

世界における洋上風力の累積導入量は、2011年の3.4GWから2023年には75.2GWに増加し、2030年には299GW、2033年には436GWの導入見通しが報告されているが、その一方で内外の足下では課題が顕在化している。

(1)内外での資機材高騰等による洋上風力事業の撤退・縮小

世界の洋上風力事業では欧州発のエネルギー危機によるインフレに起因する資機材費価格の高騰で、投資額が大きく上昇して事業採算性に大きく影響が現れ事業撤退が続出している。

① スウェーデン・バッテンホール電力
140万kWのノーフォーク・ボレアス洋上風力の取引を22年に英国政府と締結したが当初予定していた投資額が40%上昇したとして23年7月に事業撤退を発表。

② 米国・アバングリッド社(エネルギーサービス持ち株会社)
マサチューセッツ州の122万kWの洋上風力事業について23年7月に違約金の支払いにより契約を解除。その後、アバングリッド社は24年にNY証券取引所から上場廃止。

③ デンマーク・風力最大手オーステッド社
米国で現在進められている洋上風力事業の半分に関与している。23年11月にオーステッド社は、ニュージャージー州の225万kWの事業について中断を発表。

④ 英国BP社
BP社はノルウェーのエクイノールと共同で進めるニューヨーク州の3事業(合計330万kW)について売電価格が州政府と折り合わず、24年1月に一部事業の中止を発表。

⑤ 三菱商事
三菱商事は秋田沖など3海域洋上風力事業で522億円の減損損失を計上し、他の風力事業を含めて事業性の再評価を検討中と公表(25年2月)。

(2)洋上風力発電コストの内外トレンド比較に見る日本の高コスト体質

洋上風力発電は、陸上風力と比較して基礎部分の難易度が高く、また大型化により手間がかかるので建設費が高くなり、海底ケーブル、洋上変電設備等の送電設備の設置の費用も要する。さらに、発電コストの30%以上を占める維持管理費としては離岸距離、水深が影響し、塩害、強風対策等メンテナンスに費用が嵩む。

NEDOは、現在の欧州並みの洋上風力のサプライチェーン及びインフラが構築された環境において洋上風力発電設備が建設されるという極めて楽観的な想定に基づく試算値として、欧米に比較して40年における建設費は1.36倍としている。

浮体式洋上風力発電を社会実装するためには、さらに風車、浮体、係留システム、ケーブルの挙動・性能・施工法・コストを考慮した一体設計により信頼性の向上と低コスト化が必要となる。さらに、日本及びアジアでは特有の自然条件である台風、地震、落雷、低風速等に対応した風車仕様の最適化が必須である。

因みに、着床式風力発電が運転されている富山県東部沖における着床式と浮体式の採算を比較した例がある。38基の風力発電を35年から20年間運転すると仮定し、全てを着床式、浮体式及び半々と仮定するとともに設備利用率及び景観費用を±20%増減し評価している。

着床式では3種類のケースで便益が発生したのに対して、浮体式は全てのケースで損失が発生した。その要因は、浮体式の建設費が着床式の2.76倍である一方、便益(設備利用率が数%増、景観費用が僅かに減)が両者であまり変わらなかったことにあり、浮体式の建設費低減が課題であると示唆している注1)

経済産業省では洋上風力発電の低コスト化プロジェクトに取り組んでいる。図2に示すように21年から30年までに総額1195億円(上限)を用意し、具体的なスケジュールは提案者の創意工夫に委ねることを原則としているが、ステージゲートを設定し、事業進捗を見て、継続可否を判断するとしている。

図2 洋上風力発電の低コスト化プロジェクト
出典:「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(案)の概要(経産省2021年8月)

フェーズ1は、①風車、②浮体製造・設置、③電気システム、④メンテナンスについて要素技術開発を加速化する。フェーズ2は、風車、浮体、電気システム、係留等の挙動・性能・施工性・コストを考慮した一体設計技術を確立し、浮体式洋上風力発電を国際競争力がある価格での商用化に繋げる予定である。なお、フェーズ2では、発電事業者主導でコンソーシアムを組織するとし、30年には着床式洋上風力の発電コストは8~9円/kWhに設定しているが、本当に現実的に可能であるのだろうか。

(3)風力発電の技術・設備導入における中国リスクへの対応

洋上風力発電計画における最大の課題は日本国内に大型風車メーカが存在しないということである。日本の風車メーカは中国製品とのコスト競争力が劣るため風車の設計・開発・製造から撤退した。

23年9月に国内初の民間資金による一般海域の着床式洋上風力発電が富山県入善町沖で運転を開始した。ここでは中国製風車(出力3MW級)3基で最大出力約7500kW、FIT買取り価格は36円/kWhである。

事業としてEPC(設計、調達、施工)サービスは清水建設が行い、同社が建造したSEP船(自己昇降式作業台船)を使用して基礎、台車を設置したが、運転・保守サービスは中国風車メーカの明陽智能(ミンヤン)が担当する。世界の風車ビジネスでは欧州メーカが先行したが、今や中国は世界全体の風力発電設備の製造能力の6~7割を占める。

中国の安売り攻勢に対し、EUは制裁関税で中国からの「デフレ輸出」を防ごうとしている(東京新聞、24年6月20日)。

日本の対応が待たれる課題である。

提言

上記の課題と展望を踏まえ洋上風力発電に関し以下提言する。

  1. 国は、我が国の洋上風力発電の真の実力を可及的速やかに見極め、導入政策の妥当性を検証し、結果を公表されたい。
  2. 合理的な事業運営の目途が立たないと判断される場合は、40年における最大4500万キロワットの導入計画を直ちに見直す事を検討すべきである。不足する発電容量の確保に当たっては最先端低炭素火力発電や中長期的には原子力の活用を考えるべきである。併せて洋上風力発電とリンクした新規送電網計画(7兆円構想)も適切に見直す事が肝要である。

注1)「富山県東部沖における洋上風力発電導入の費用便益分析-東京大学公共政策大学院 公共政策の経済評価2023年度最終報告書」石井ほか 23年

齋藤 伸三
日本原子力研究所(現日本原子力開発機構)において原子炉安全研究に従事後、高温ガス炉(HTTR)の開発をプロジェクトリーダーとして完成に導く。東海研究所長を歴任後、理事長を務める。退任後は原子力委員長代理に就任。
【著者所属等】齋藤伸三、針山日出夫、松永健一:エネルギー問題に発言する会有志、日本原子力学会シニアネットワーク連絡会有志

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Sun, 20 Apr 2025 21:40:09 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:40:09 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250421061412.html https://agora-web.jp/archives/250417052423.html https://agora-web.jp/archives/250416064632.html https://agora-web.jp/archives/250411214743.html
https://agora-web.jp/archives/250420103156.html 士業が商工会で仕事をもらうコツ(横須賀 輝尚) https://agora-web.jp/archives/250420103156.html

AmnajKhetsamtip/iStock

大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。

商工会などの経済団体加入で、仕事は取れる

Q:仕事を取るために地元の商工会などに入れば、絶好の営業場所になりそうです。

地域密着で仕事をするなら、商工会などの団体に入るのがよいと聞きました。経営者が集まっている会ですし、仕事は取りやすいと思います。絶好の営業場所だと思うのですが、何か気を付けることはありますでしょうか?

結論からいえば、商工会などの団体に入ることで仕事は取れます。しかし、当然入っただけで仕事が来ることはなく、いくつかの注意点が必要です。

まず、本論に入る前に各団体の概要を知っておきましょう。多くの経済団体が、社会活動の貢献や企業の繁栄のためにつくられています。

(1)日本商工会議所
明治時代からある経済団体。130万人以上の会員を誇る組織です。活動は日本国内のみに留まらず、国際的な活動も行います。

(2)全国商工会連合会
商工会議所と名称は似ていますが、別の団体になります。活動は商工会議所と似ていますが、小規模企業中心の活動で、国内の活動が中心的になります。

(3)中小企業家同友会
47都道府県にあり、4万人以上の経営者が参加しています。経営体験を報告する例会などが行われています。

(4)倫理研究所
個人会員20万人、経営者6万5千社が参加する会。法人の会を倫理法人会と呼び、こちらが比較的一般名称として知れ渡っているようです。社会教育、研究、文化、出版などの事業を行なっています。

(5)ライオンズクラブ
世界最大の社会奉仕団体「ライオンズクラブ国際協会」に所属する単位クラブで、ボランティア活動が主な活動内容になります。

(6)ロータリークラブ
国際的な社会奉仕連合団体「国際ロータリー」の単位クラブ。ボランティアや社会活動が中心の団体です。

この他にもさまざまな団体がありますが、士業として活動するのであれば、おおよそこのくらいの団体と関係していくのが一般的です。

地域団体は、「血縁団体」に近い

話を元に戻しましょう。こういった団体に入ることで仕事は取れるようになります。しかし、ただ入っただけでは効果はありません。

逆の立場で考えてみるとわかるでしょう。あなたがこういった団体に長く所属していたとして、素性のわからない新人会員に喜んで仕事を出しますか? あるいはあなたには会の活動があるのにもかかわらず、自分の営業しかしない会員に好印象を持ちますか? 答えはいわなくてもわかるはずです。

つまり、こういった団体に入って仕事が欲しいと思えば、自分の事務所の営業活動などはせずに、会の活動をしっかり手伝うことが重要になります。定期的に開催されるイベントや、忘年会や新年会、各祝賀会やパーティなどに参加し、積極的に活動していくことが必須です。その中で、あなたの活動が評価されたとき初めて、仕事を頼まれるようになります。

私自身も東京都調布市の商工会に所属していました。特に私は生まれが調布市だったわけではないので(埼玉県出身)、余計に「よそ者」でした。そのため、営業活動などは一切せずに会の活動や大小さまざまなパーティや飲み会に参加し、会の一員になることを目指しました。半年以上そういった活動を繰り返すことによって、存在を認められ仕事が増えていきました。これは私だけの経験ではなく、各地域のクライアントから報告いただいているので、どこの地域でもおおむね間違っていない戦略です。

もう少しかいつまんで説明すると、「君、いつも一所懸命いろいろなイベントに参加していて好印象だな。ところで、仕事は何をしているんだ?」といわれるようになれば、仲間入りといえます。こういった地域団体は、あなたがどんな仕事をしているかよりもあなたがどういう人間なのかのほうが圧倒的に重要なのです。

適切な距離感で活動することが重要。

ところで、開業して間もない頃で時間に余裕があれば、こういう団体のイベントには積極的に参加できますが、徐々に仕事が増えてくると飲み会など断らざるを得なくなる可能性もあります。このとき気をつけたいのが、「一定の距離感」で付き合いは続けるということです。

あまりに離れ過ぎてしまうと仕事がこなくなってしまいますし、逆に近づきすぎても本業がおろそかになってしまう恐れがあります。イベントも3回に一度の参加程度にして、徐々に自分なりのペースをつかんでいくことが重要だといえるでしょう。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2025年2月13日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。

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Sun, 20 Apr 2025 21:35:55 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:35:55 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250420173410.html 国会議員らの「子育てケアマネ制度」が炎上:財源はやっぱり社会保険料? https://agora-web.jp/archives/250420173410.html 国会議員らが「子育てケアマネジャー」の制度化を進めようとしていることに対し、子育て世帯からは強い反発の声が上がっています。

菅野志桜里氏Xより

特に、3人以上の子どもを育てる共働き世帯からは、「ケアマネなど必要と感じたことは一度もない」「そんな制度にお金を使うくらいなら、社会保険料や税金を下げてほしい」との意見が相次いでいます。

制度の内容は、妊娠期から出産後までの家庭に対し、保健師などが継続的に支援するというもので、フィンランドの「ネウボラ」制度を参考にしています。しかし、実際に支援が必要な時期に誰かに相談できなかったという一部の声をもとに、すべての家庭に一律に導入するという方針には疑問が呈されています。

また、すべての家庭を対象とした場合、単純計算でケアマネは25万人規模が必要とされ、現在の介護分野のケアマネ約20万人を上回る体制が求められます。その莫大な人件費の財源がどこから捻出されるのか、社会保険料のさらなる引き上げにつながるのではないかとの懸念が広がっています。

子育て家庭の多くは、「伴走支援」よりも「手取りの増加」を切実に求めています。扶養控除の縮小や高騰する保険料に苦しむ中で、「ケアマネではなく、保育の人手を増やすべきだ」「マネジメントではなく、現場での支援こそ必要だ」といった声が聞かれます。

https://twitter.com/mihyonsong/status/1913871155515081061

このような現実に反し、政府がまたしてもNPOや関係団体を通じて予算をばらまこうとしている構図に、冷ややかな目が向けられているのが実情です。子育て支援の名を借りた利権化には歯止めが必要です。

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Sun, 20 Apr 2025 21:35:10 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:35:10 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421211918.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html
https://agora-web.jp/archives/250419074517.html トランプは関税政策にも「常識」を働かせよ https://agora-web.jp/archives/250419074517.html 「常識」について小林秀雄がこう書いている(新潮社版『小林秀雄全集』第九巻「私の人生観」195頁)。

実際、自由主義と言い、民主主義と言い、どうやら風の吹きまわしで、はやっているに過ぎない様に思われる。(中略)常識は、何事によらず、行過ぎというものを好まない、ただそれだけの事に過ぎないのかも知れない。

・・キリストは「狭き門」という言葉を使ったが、自由主義も民主主義も、「狭き門」である事に変わりはないのである。面倒な言説を弄せず、常識的に考えてみる方がよいのだ。(中略)自己は、いくら主張してもいいが、うぬぼれるな。狂信的になるな。他人の、いや敵の自己主張も尊重しろ。

いま米国でトランプの「常識革命」の嵐が吹き荒れている。彼が就任直後に発した数多の大統領令で、オバマの1次・2次・3次(=バイデン)政権の12年間を根こそぎ否定したのを「行過ぎ」とする向きも多い。米国のオールドメディアをただ翻訳して報じる日本メディアもその口だ。

トランプの「常識革命」とバイデンの「予防恩赦」
トランプ大統領の就任式が現地時間の1月20日、ワシントンDCのホワイトハウスで行われた。2時間余りの式はトランプによる約30分間の演説で締め括られた。その冒頭10分辺りで、彼は「常識革命(revolution of common sense...

が、筆者の目には民主党政権の「行過ぎ」をトランプが元に戻していると映る。不法移民の野放し、気候変動原理主義、DEIに名を借りたマジョリティ差別、ポリコレ・キャンセルカルチャーの跋扈、膨大な財政支出、司法の武器化など、その「行過ぎ」を挙げれば切りがない。トランプの「常識」が「行過ぎ」に見えるのはそのせいだ。

トランプの「常識革命」は古き良き米国への回帰であると筆者は思う。共和党「Grand Old Party(GOP)」の使命、と考えてのことだろう。その象徴が、トランプが第一次政権末期に設置した「1776委員会」だ。バイデンが就任時に廃止したが、トランプが25年1月に復活させた。

トランプの「1776委員会」は米国社会の分断に終止符を打てるか
1776年7月4日の米国独立宣言は、前文で「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と述べている。 天才学者小室直樹は「悪の民主主義―...

「常識革命」の眼目の一つが製造業の復活だ。ラストベルトに生まれ育ったJDヴァンスを副大統領に据えたことにその意思が垣間見えるし、「USスチール」のマジョリティに拘る理由もそこにある。が、それの手段として「関税」という怪物を、中国のみならず世界中に解き放ってしまったのは「行過ぎ」である。

今や『Fox』を抑えてトランプ押しメディアの雄になった『Newsmax』から、昨日(4/18)こんなNewsletterが配信されて来た。

警告:関税は忘れてください…これが米国経済を破壊するでしょう

心配するアメリカ人の皆様へ

先週、トランプ大統領は中国製品に驚くべき125%の輸入関税を課した。この動きは中国が米国製品に84%の関税を課したことに対する反応だが、トランプ大統領は中国の操作的な戦術に屈するつもりはない。トランプ大統領は、アメリカが公正な国際貿易を実現できるよう尽力している。

しかし、水面下では中国が静かに動き、アメリカを圧倒しかねない事態を引き起こしている。

2024年の中国の貿易額は、米国とはわずか6,883億ドルにとどまるが、ASEANとは9,823億ドル、EUとは7,858億ドル、BRICS諸国とは1兆ドルを超えている。そして、中国はラテンアメリカ、ロシア、中東への影響力と経済範囲を拡大するために2013年に開始した一帯一路構想に1兆7500億ドルを投資しており、それを実行するためのサプライチェーンは整っている。

さらに悪いことに、中国は3兆ドル以上の商品を世界各国に輸出している。つまり、中国が米国以外の国への輸出を年間わずか8.5%増加させるだけで、わずか2年で米国の貿易をすべて代替できる可能性があるのです。(中略)

中国は急速に方向転換している。そしてそれは我々に向かっているわけではない。もし北京が米国を排除すれば、世界通貨としての米ドルの力を失うことになるかもしれない。それはかつてトランプ氏が警告したように「世界大戦に負ける」ような動きとなるだろう。

ところで、トランプも怪物が一瞬にして市場を大暴落させたのは想定外だったようだ。即座にベッセント財務長官の進言を入れ、中国を除く各国との交渉期間90日を設けたことがそれを物語る。シレっと修正をするそうした柔軟さもまたトランプたる所以である。

米側閣僚との会議を控えた赤沢特使を執務室に招き入れ、50分間遣り取りをしたのも修正路線の表れだろう。筆者には、中国以外の諸国にも大きく振り上げてしまった拳を早く降ろしたい、とトランプが考え始めているように見える。ASEANやEUやBRICSを敵に回しては拙いと。

トランプ大統領と面会した赤澤経済再生担当大臣 内閣官房Xより

対日交渉が「最優先だ」と述べて、早期妥結を目指す意向を示した。が、翌日のメローニ伊首相との会談後は、「我々は急いでいない」とし、「貿易協定は100%成立する」「彼らはそれを強く望んでいる。私はそれを十分期待している。それはフェアなディール協定となるだろう」とも述べた。が、どうフェアなのかを明らかにしないのは予防線を張ったのである。

こうしたトランプの心境を忖度し、『Newsmax』が指摘する米国の対中政策の弱点を是正しようとするなら、日本を含めた各国は、中国以外の諸国への関税を一律10%の範囲に抑えるべく、トランプが振り上げた拳を降ろし易いような提案をするべきだし、トランプもそれを受け入れるべきだ。

そこで日本が採るべき最も重要な対応策は何かといえば、拙稿「トランプ関税:この90日間に日本が採るべき政策」で述べた1)コメの輸入拡大、2)石油・天然ガスの輸入拡大、3)武器の輸入拡大、4)自動車の輸出戦略の4項目のうちの3)になる。

1)と2)は日本の国益にも直ぐに反映される短期的対応だから、即座に実施すれば良い。3)の「核付き原潜」は中長期の政策になるが、米国の対中政策の弱点を極めて強く補完し得る。その核心は、23年11月に麻生副総裁(当時)が提唱した「JAUKUS」構想の推進だ。

麻生氏はキャンベラでの講演で「中国の長期的目標は海軍力で第2列島線を支配することだ」とし、これを防げなければ米海軍の活動が抑え込まれるとの危機感を示した。その上で、米英豪の「AUKUS」に日本を加えた「JAUKUS」により、豪州が「AUKUS」で進める潜水艦部隊の強化に「日本は大いに貢献できる」と指摘した。

豪州の原潜構想については筆者も21年9月の拙稿「仏vs米豪の潜水艦騒動:原潜保有国は全て核兵器保有国」で触れた。が、弱体化しつつある米国の造船業のせいで、豪州への納入が大幅に遅れている状況を24年11月、韓国の左派紙『ハンギョレ』が「『世界最強』誇った米国の造船業と海軍が崩れる…韓国にはチャンス」と題し、詳しく伝えている。

仏vs米豪の潜水艦騒動:原潜保有国は全て核兵器保有国
米英豪3国は16日、軍事関連の自動化や人工知能、量子技術などの共有を目的とする「AUKUS」の結成を公表した。豪州はその機にフランスからの潜水艦導入契約を破棄し、米国から原潜を導入する旨を表明した。これにフランスは激怒して米豪両国の大使を召...

トランプは大統領選の帰趨が見えた24年11月7日、尹錫悦韓国大統領と電話会談を行った。話題は造船業だった。トランプは「韓国の世界的な軍艦と船舶建造能力はよく知られており、船舶輸出だけでなくMRO(維持・補修・整備)分野でも韓国と緊密に協力する必要がある」と述べた。

『ハンギョレ』はトランプが強調した「協力」には「修理」と「造船所買収」があるとし、外国の造船所で艦艇の建造を禁止している「バーンズ・トリプソン修正法」に触れている。同法が改正されない限り、韓国や日本など外国の造船所が米海軍の船を作ることはできないからだ。

同紙は、「修理」については例外条項を設けているため、一部可能だとし、在外米軍艦を韓国や日本などの同盟国の造船所で修理し、これらの国の企業が米国の造船所を買収して米国の造船業の生産性を引き上げることが期待されているとする。実際、日本の横須賀基地では従前から第七艦隊の艦船修理を行っている。

赤沢大臣との会談でトランプが安保の話題を持ち出したことを、日本側は想定外だったとした。かつて麻生氏が提案した「JAUKUS」構想や『ハンギョレ』が書いているトランプと尹の電話会談のことを忘れたか、或いは知らないのだろうか。まったく情けない政権である。

そこで「AUKUS」と「JAUKUS」だが、この同盟の核心は原潜である。現状の原潜保有国、即ち、米・英・仏・露・中・印・イスラエル・パキスタンは須らく核保有国である。つまり原潜=核ミサイルなのだ。豪が「AUKUS」のために原潜の購入先を仏から米に切り替えたのも、秘密裏に核ミサイルを搭載するからだ、と考えられよう。

だが「CSBA」(Center for Strategic and Budgetary Assessments)の報告に拠れば、米国には「ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート(GDEB)」と「ハンティントン・インガルス・インダストリーズ・ニューポート・ニューズ社(HII-NN)」にしか原潜は建造できない。だから「韓国にはチャンス」と『ハンギョレ』が書いているのだ。

翻って、日本の通常型潜水艦の技術は世界一だ。その技術を持つ三菱重工なり川崎重工が米国に造船所を作り、米国と連携して原潜を造ったらどうかというのが、拙稿「トランプ関税:この90日間に日本が採るべき政策」3)武器の輸入拡大で述べた「核付き原潜」提案の肝である。

こうした計画の実現には最低でも5年、長ければ10年は掛かる。が、「うぬぼれるな。狂信的になるな。他人の、いや敵の自己主張も尊重しろ」というべき「行過ぎ」た中国の横暴を、これ以上許すまじという日米の国益に必ずや資する。これを理由に拳を降ろすなら、米国民もそうしたトランプをきっと受け入れる。

※前拙稿「トランプ関税:この90日間に日本が採るべき政策」で、自動車(及び鉄・アルミ)の追加関税を24%としましたが、正しくは25%です。事例の再計算は省きますが、1%分影響が大きくなるとご承知ください。

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Sat, 14 May 2016 08:38:59 +0000 Sat, 14 May 2016 08:38:59 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422083020.html https://agora-web.jp/archives/250422033305.html https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422072949.html
https://agora-web.jp/archives/250418220520.html ミレイの一手が効いた!アルゼンチンで貧困層が急減した理由 https://agora-web.jp/archives/250418220520.html

ミレイ大統領インスタグラムより

貧困率が急減、ミレイ政権下で「奇跡」の兆し

2023年12月にハビエル・ミレイ氏が大統領に就任して以降、アルゼンチンで新たな「奇跡」が起きつつある。長年にわたり同国を苦しめてきた慢性的な課題のひとつ、貧困層の多さが急速に減少しているのだ。この現象は、長らく続いていた激しいインフレの沈静化と密接に関係している。

たとえば、クリスチーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル氏(以下、クリスチーナ)が副大統領を務め、アルベルト・フェルナンデス氏(以下、アルベルト)が大統領であった2019年から2023年の間、貧困層の割合は人口の52.9%に達していた。これは約2,500万人が貧困状態にあったことを意味し、国民の半数が貧困というのは、まさに悲惨な状況と言える。こうした状態で健全な経済運営が可能なはずもない。

それにもかかわらず、当時の政権は「我々は貧困層を支援するために働いている」と繰り返し主張していた。実際に彼らが行っていたのは、生活費に対する補助金の支給であり、電気・水道・教育・交通費などに公的資金を投じていた。しかし問題は、その財源である。必要な資金は新たに紙幣を発行することで賄われており、その一部は汚職によって消えていたとされる。

財政の均衡を無視し、紙幣を必要なだけ刷るという行為は、インフレの典型的な原因とされており、まさに経済教科書にある通りの過ちをアルゼンチンは繰り返してきた。

天文学的紙幣発行とインフレ率800%超の現実

クリスチーナ氏とアルベルト氏による政権下での累積インフレ率は、実に814%に達した。たとえば、2020年度には15億2,300万枚の紙幣が発行され、それを1枚ずつ並べると地球を6周できるほどの量に相当した(2021年5月14日付「インフォバエ」から引用)。

このような紙幣発行による経済政策は、GDPの20%超に相当する金額を補助金などに充てていたことを意味し、すなわちインフレを助長する手段を平然と取り続けていたことになる。当然、物価は上昇し続け、賃金は追いつかず、貧困層の拡大は避けられない結果となった。

紙幣発行を止めたミレイ大統領、貧困率に改善傾向

ミレイ大統領は、インフレの根源とされる紙幣の大量発行を止めた。彼は、インフレ抑制こそが貧困層削減の鍵だと捉え、これを強力に実行した。

一般には、「大統領就任から6か月以内にインフレが下がらなければ、国民は彼を見限るだろう」と予測されていた。ところが、ふたを開けてみると、半年を待たずしてインフレは下降し始め、同時に貧困層も減少傾向を見せ始めたのである。

ただし、2024年に入ってからは再びインフレがやや上昇傾向を示している。それにもかかわらず、専門家の予測では今年のインフレ率は前年をさらに下回る見込みであり、今後も貧困層の減少が続くと期待されている。

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Sun, 20 Apr 2025 21:25:20 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:25:20 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html
https://agora-web.jp/archives/250418220329.html トランプ米大統領が関税引き上げを乱発、対する「自由貿易体制」とは? https://agora-web.jp/archives/250418220329.html 4月上旬、トランプ米大統領が世界各国・地域に新たな関税策の導入を発表し、世界中が驚きと混乱に陥った。その後、何度も関税対象国や品目、税率などを変更し、混迷は深まっている。

こうした中、「自由貿易(あるいは自由貿易体制)のルールが崩れた」などの表現をよく目にする。この「自由貿易」とはいったいどういう意味なのだろう?

通常、国境を越えたモノの輸入・輸出には一定の関税がかかる。自由貿易とは貿易に制限や統制を加えず自由に取引させることを意味するが、「自由貿易体制」とはどういうものか。

改めて、整理してみた。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

「自由貿易体制」とは

本来、自由貿易とは「国境を越える財やサービスの取引が、政府の介入(関税、輸入制限、補助金など)なしに行われる状態」を指す。各国が市場原理に任せて貿易を行うことで、資源が効率的に配分され、全体として豊かになるという考えに基づく。18世紀から19世紀にかけ、産業革命を経た英国で特に主張された。

しかし、実際にはどの国もある程度の関税や規制を持つ。それでも「自由貿易体制」と呼ばれるのは、一定のルールのもとで、過度な保護主義を抑制し、できるだけ障壁を取り除いていこうという国際的な合意と枠組みがあるからだ。

国際的枠組み

現在の国際枠組みとしては、たとえば:

WTO(世界貿易機関):加盟国は互いに差別的な関税や輸入制限を避けるよう定められている。

FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定):国同士が関税の撤廃や貿易ルールを緩和する合意を結ぶ。

トランプ政権と自由貿易

トランプ政権は「米国第一主義」に基づき、自国産業保護を目的とした関税引き上げや、特定国への制裁的な貿易措置を頻発した。これに対して、「自由貿易体制の原則に反する」あるいは「国際ルールを軽視している」といった批判が出た。

各国に関税はあるが、国際ルールに基づき緩和・透明性を高める努力をしている体制が「自由貿易体制」といえる。「自由貿易=完全無関税」ではなく、ルールに基づいた自由を指す。

国際的に合意されたルールベースの貿易の枠組みに対して逸脱が起きた時に、自由貿易体制の「原則が揺らいでいる」と表現されたということになるだろう。


編集部より:この記事は、在英ジャーナリスト小林恭子氏のブログ「英国メディア・ウオッチ」2025年4月18日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「英国メディア・ウオッチ」をご覧ください。

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Sun, 20 Apr 2025 21:20:28 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:20:28 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250419125415.html 元野村證券の銀座キャバ嬢きこさんに「今アツい!業界」を聞いてみた https://agora-web.jp/archives/250419125415.html 野村證券でトップ営業として活躍し、現在は銀座の人気キャバクラで働く“きこさん”が語る、異色のキャリアと投資のリアル。今アツい業界や金融商品のトレンドにも触れ、投資初心者から業界関係者まで必見のインタビューです!

著名な実業家であり、経営者、マーケティングのエキスパートとして広く知られる田端信太郎氏のYouTubeチャンネル「田端大学 投資学部」。コツコツ積立だけでは満足できない!周囲を出し抜く!そんな株の醍醐味を味わいたい方へ。「田端信太郎の株道場」入会はこちらから。

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Sun, 20 Apr 2025 21:10:15 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:10:15 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422091215.html https://agora-web.jp/archives/250421100109.html https://agora-web.jp/archives/250421005749.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html https://agora-web.jp/archives/250418221100.html
https://agora-web.jp/archives/250419094441.html なぜ子犬を飼うと「いい人キャラ」に見えるのか? https://agora-web.jp/archives/250419094441.html

Ivan Tucha/iStock
画像はイメージ

ついにワンコと一緒に暮らす生活が始まってしまいました。

 

静岡のブリーダーさんに紹介してもらったコーギーの子犬を車に乗って見に行き、その場で引き取って育てることにしました。

ゲージをアマゾンで注文したり、首輪やリール、おもちゃやベッドを買ったりと慌ただしく準備をして、何とか迎え入れることができました。

最初は慣れない環境に怯えているようでおとなしかった子犬ですが、新しい環境にすぐに慣れて、急激にやんちゃになってきました。

部屋の中をぐるぐる走り回り、早速大暴れしています。トイレのしつけもちゃんとできていないので、すでにリビングルームがペットショップのように犬臭くなっています。抱きかかえていた私も自分で犬臭いのがわかります。

しばらくは、この子犬に振り回される生活になりそうです。

子犬のコーギーは今は生まれて3ヶ月なので3.1キロしかありませんが、1年すると成犬になって体重が9キロ位まで増えるそうです。

あっという間に大人になってしまうので、可憐な子犬の時期を一緒にいられるのは1年足らず。今年1年は少なくとも、ワンコ中心生活でいこうと思います。

困るのは、長期で旅行に行く時です。連れて行っても宿泊施設に制約があり、現地での仕事や遊びにも連れて行くことはできません。

もしかしたら旅行に出かける回数もこれから減っていくのかもしれません。

それにしても子犬を飼うと、その人が「いい人キャラ」に見えてしまうのはなぜでしょうか?

子煩悩のマイホームパパと同じように見えるからかもしれません。

子犬の想定できない行動に振り回されながら、自分が経験したことのない人間の子育てもこれと少しだけ似ているのかもしれないと思いました。

ちなみにうちのコーギーの名前はピノ君になりました。ミドルネームはグリージョです(笑)。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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Sun, 20 Apr 2025 21:00:40 +0000 Sun, 20 Apr 2025 21:00:40 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250419060424.html 今週のおすすめ記事(4月14日〜4月20日) https://agora-web.jp/archives/250419060424.html アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。

政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!

政治・経済

国民民主党の玉木代表は、物価高対策として消費税を一時的に5%へ引き下げる案を提案し、赤字国債での財源調達を主張。一方、立憲民主党や自民党は財政悪化を懸念し慎重姿勢。共産・れいわはさらなる減税や廃止を訴え、野党の政策が「れいわ化」しているとの批判も出ています。

玉木代表「赤字国債で消費税カット!」で財政は大丈夫?:野党の「れいわ化」が加速(アゴラ編集部)

玉木代表「赤字国債で消費税カット!」で財政は大丈夫?:野党の「れいわ化」が加速
国民民主党の玉木雄一郎代表は、現金給付ではなく時限的な消費税率の5%への引き下げを求め、インボイス制度の廃止やガソリン税の暫定税率の廃止なども提案しました。財源については赤字国債の発行で対応すべきとし、これは短期的な経済下支え策だと説明して...


高市早苗氏が財源の裏付けなしに減税や給付を行えば、英国で起きた「トラス・ショック」のような金融危機が日本でも起こり得ると筆者は警鐘を鳴らします。経常黒字であっても財政赤字のリスクは消えず、金利上昇や市場の信用低下が重なると国債暴落や円安が現実となる可能性があると分析しています。

高市早苗首相になると日本でも「トラス・ショック」が起こる(池田 信夫)

高市早苗首相になると日本でも「トラス・ショック」が起こる
高市早苗氏のツイートが話題を呼んでいる。長期金利が上がっており、減税や給付金で財政赤字を増やしたら、2022年の「トラス・ショック」のような金融危機が起こるおそれがあるという森山幹事長の心配に対して、彼女は次のように答えた。 森山幹事...

米国ではトランプ政権の関税政策による不安定な政権運営で「株安・債券安・ドル安」のトリプル安が進行中。そんな中、国民民主党は日本での消費税5%減税を提案。筆者はこれを「選挙目当てのポピュリズム」と批判し、日本もアメリカ同様に財政信認を失えば、国債暴落やインフレ、金融危機に陥ると警告しています。

「トランプ発の金融危機」を輸入する国民民主の消費減税要求(池田 信夫)

「トランプ発の金融危機」を輸入する国民民主の消費減税要求
トランプ関税が一部撤回されて落ち着いていた債券市場が、半導体に新たな関税をかけるというラトニック商務長官の発言で、また荒れてきた。けさ(東部時間13日12時)の長期金利(国債10年物)は、一時4.5%を抜いた。 株安・ドル安・債券...

今週のVlogです。

立憲民主党内で消費税減税をめぐる意見が対立し、野田佳彦代表は党内に慎重姿勢を求めています。党の「大きな政府」路線と減税の整合性に疑問があり、歳出削減なしの減税は他野党も含め「ポピュリズム」と批判。筆者は短期的な減税と中長期的な財政改革を組み合わせた現実的な道を模索すべきと述べています。

消費税の減税を巡って立憲民主党もギクシャクしているようですが(音喜多 駿)

消費税の減税を巡って立憲民主党もギクシャクしているようですが
消費税減税めぐり「決まったら従っていただきたい」立憲・野田代表が先鋭化する党内議論に釘 ほぼすべての野党が消費税に関しては「減税」で足並みを揃える中、野党第一党の立憲民主党が割れています。 まあ流石に分裂にまでは至らないとは...

消費税の廃止・減税による影響を解説。一般消費者や現金商売の中小企業は得をする一方で、損をするのは①輸出企業、②高所得者、③年金生活者や公共サービス依存層。消費税は逆進性があるものの、社会保障の財源でもあるため、単純な「善悪」では語れないと論じています。

消費税廃止・減税で得する人、地獄を見る人(山田 真哉)

消費税廃止・減税で得する人、地獄を見る人
消費税廃止・減税のメリット・デメリットを確認しつつ、その影響を解説します。 【目次】 0:00 消費税増税派 vs 減税派 4:35 消費税減税で特に得する人・業種 9:28 消費税減税で損する人① 10:33 消費税減税...

日本は、トランプ政権の「相互関税」発動延期を受けて真っ先に交渉入りしたが、海外メディアからは「モルモット(実験台)」扱いと揶揄されました。赤沢経済再生相が交渉を主導するも、在日米軍経費増など予想外の要求に直面し、日本の単独交渉姿勢が不利に働く懸念が高まっています。

石破政権は米国の「モルモット」?:関税交渉で「大活躍」の赤沢経財相(アゴラ編集部)

石破政権は米国の「モルモット」?:関税交渉で「大活躍」の赤沢経財相
世界中がトランプ氏による『相互関税』発動の延期を受け、その引き下げに向けて動く中、日本は先駆けてトランプ政権との交渉を開始しました。一方で、トランプ政権が日本を『厚遇』しているように見えるものの、海外メディアは日本を他国の交渉方針を測る『実...

財務省は、一部私立大学で四則演算や英語の基礎を教えるなど教育の質が極端に低い例を挙げ、私学助成の見直しを提案しました。背景には大学数の増加と助成金の希薄化、学生負担の増大があり、文科省との対立も浮き彫りに。世論からは財務省の動きを評価する声が上がっています。

財務省が文科省の「Fラン大学利権」に切り込む:ホリエモンも賞賛(アゴラ編集部)

財務省が文科省の「Fラン大学利権」に切り込む:ホリエモンも賞賛
財務省は15日の審議会で、一部の私立大学について、授業内容が「義務教育のように初歩的すぎる」として、教育の質に応じた私学助成の見直しを提案しました。 財務省、今日はキミに一番高いラーメンを奢りたい気分だよ。 いいぞもっとやれ...

国際・エネルギー

日本は米国との関税交渉において、トランプ政権の「核心的利益」である財政赤字・貿易赤字の削減に焦点を当てるべきだと筆者は主張しています。自由貿易の理念ではなく、実利に基づいた「共通の利益」を交渉材料とし、日本の米国債保有という立場も交渉カードとして活用すべきだと提言しています。

日本はアメリカとどう交渉すべきか(篠田 英朗)

日本はアメリカとどう交渉すべきか
日本政府が、アメリカ政府と関税交渉に入る。世界の諸国の先陣を切る。日本には1980年代からのアメリカとの間の貿易交渉の歴史がある。ベッセント財務長官の様子からは、期待がうかがえる。 アメリカは当初、高率関税を普遍的に導入する意...

ロシア軍がウクライナ・スムイ市を攻撃し多くの民間人が犠牲となった中、ゼレンスキー大統領はトランプ氏にウクライナ訪問を要請。トランプ政権はロシアとの交渉姿勢を強めており、停戦実現の鍵を握る可能性も。筆者は、戦争の現実を直視するためにもトランプ氏が現地を訪れるべきだと提言しています。

トランプ大統領はウクライナを訪問すべきだ(長谷川 良)

トランプ大統領はウクライナを訪問すべきだ
ロシア軍のウクライナ攻撃がここにきて一層激しくなっている。AFP通信によると、ロシア軍は13日朝(現地時間)、ウクライナ北東部の都市スムイを攻撃し、多くの民間人、子供たちが犠牲となった。ウクライナ側の発表によると、ロシア軍のミサイル攻撃で少...

赤沢経済再生相が単身ワシントンで日米関税交渉に臨み、トランプ氏らとの長時間の会談を行いました。日本が最初の交渉相手に選ばれた背景には「従順で前例を作りやすい」との見方があり、今後の交渉では米軍費負担や農産物輸入など厳しい要求が想定されます。筆者は交渉の行方を実務的視点で注視しています。

どう見る日米関税交渉:なぜ関税交渉の先陣が日本だったのか?(岡本 裕明)

どう見る日米関税交渉:なぜ関税交渉の先陣が日本だったのか?
赤沢亮正経済財政再生大臣が単身、ワシントンに乗り込んだら当初予定されていた知日派のベッセント財務長官とグリア通商代表部代表との3人の会合ではなく、トランプ大統領とラトニック商務長官も出てきて猛獣に囲まれる中、武士の魂で戦いは始まりました。事...

トランプ大統領は、利下げに慎重なパウエルFRB議長に対し、公然と退任を要求し圧力を強めています。利下げを急ぐトランプ氏と、経済指標に基づく慎重な金融政策を重視するパウエル氏の対立が激化。法的には解任困難ですが、FRBの独立性を巡る論争が再燃し、市場の混乱やインフレリスクが高まる可能性もあります。

トランプ大統領がパウエルFRB議長に退任要求:インフレ再燃は必至?(アゴラ編集部)

トランプ大統領がパウエルFRB議長に退任要求:インフレ再燃は必至?
トランプ米大統領は、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長に対する不満を繰り返し表明し、早期の利下げを強く求めています。 ECBは7度目の利下げを予定しているが、いつものように「遅すぎた」上に「間違っている」FRBのジェローム...

e-fuel(合成燃料)は水素とCO₂から生成される脱炭素燃料で、内燃機関でも使用可能です。EUは例外措置でe-fuel車を2035年以降も認めましたが、日本は電動車100%目標を維持中。e-fuelの製造コストは現状ガソリンの4倍以上と高く、技術革新が必要です。航空向けSAF(持続可能な航空燃料)も期待されており、2050年には従来燃料と同等コストになる可能性が示されています。

我が国でのe-fuel開発の現状と展望について(室中 善博)

我が国でのe-fuel開発の現状と展望について
はじめに 気候変動への対策として「脱炭素化」が世界的な課題となる中、化石燃料に依存しない新たなエネルギー源として注目されているのがe-fuel(合成燃料)である。自動車産業における脱炭素化の切り札として各国が政策的な後押しを行っている...

北海道〜新潟間に計画されている海底送電線(約2兆円)は、再エネ導入を前提にした投資ですが、風力発電の実現性やコスト効率に疑問が残ります。筆者は、利用率が低く不確定な再エネよりも、既存の原発活用とそのための送電インフラ整備のほうが現実的で経済的だと主張しています。

もう再エネのための送電線の増強はやめよ(尾瀬原 清冽)

もう再エネのための送電線の増強はやめよ
北海道~東京海底送電線が暗礁? 2024年4月電力広域的運営推進機関(OCCT)は「北海道本州間連系設備(日本海ルート)」事業実施主体の募集を始めました。これは図1に示すとおり、北海道の積丹半島付近から、秋田市付近を経由して、柏崎刈羽...

ビジネス・IT・メディア

AIの進化により、単純な事務作業や責任の軽いスキルは急速に不要になりつつあります。議事録作成や仕訳入力、初級翻訳などはすでに自動化が進行。今後は、AIを使いこなしつつ品質を担保できる“上流スキル”や自律的に行動できる力が重要になり、思考停止型の働き方は淘汰されると筆者は警鐘を鳴らしています。

AI時代にオワコン確定なスキル(黒坂 岳央)

AI時代にオワコン確定なスキル
黒坂岳央です。 筆者自身も国内外のAI研究者をフォローし、研究会や技術発表に積極的に参加。さらに、AIサービスへの課金や実務での積極活用を通じて、日々その変化を肌で感じてきた。 過去の技術革新では、しばしば煽り気味な情報発信や過...

従来のWeb検索経由の集客が減少し、SNSやYouTubeが主流となる中で、直接動画内に商品カートを挿入できる「YouTubeショッピング」機能が注目されています。特にShopifyとの連携が効果的で、カート表示によって購入率が大幅に向上。筆者は、これからのネットショップ運営には動画+SNS+カート連携が不可欠だと提言しています。

これからはYouTubeやInstagramにカートを挿入するのがベストの選択(永江 一石)

これからはYouTubeやInstagramにカートを挿入するのがベストの選択
お知らせです。 ちなみにホリエモンとは35年以上前からの友人です。ZATSUDAM出るのは2回目 【イベント告知】 「ホリエモン × 永江一石氏」スペシャル対談 明日4月17日(木)10:00~11:00に開催 気にな...

川崎重工が大阪・関西万博に出展した四足走行ロボット「CORLEO」は美麗な映像で注目されましたが、実物は動作不能なコンセプトモデル。筆者は、日本のロボット開発が「映像先行・実用後回し」になっていると警鐘を鳴らし、米中の実用化が進む中で、日本の「誇張された技術演出」は信頼低下につながると懸念を示しています。

ルンバの警鐘:盛りすぎ日本のロボット技術(関谷 信之)

ルンバの警鐘:盛りすぎ日本のロボット技術
大阪・関西万博に、バイクメーカーKawasaki(川崎重工)がロボットを出展している。4足歩行――いや4足「走行」と言った方が良いかもしれない――ロボット「CORLEO(コルレオ)」である。 公式サイトによると、 「マシ...

フジメディアHDを巡り、SBI北尾氏や村上世彰氏の関係者らが株主として経営刷新を求めています。過去にフジ買収劇を演じた“同窓生”が再集結し、株主総会が注目を集める一方、筆者は現在の経営陣が旧体制の影響下にあると指摘。今後の改革がメディア業界全体を変える可能性も示唆されています。

フジメディアホールディングスはエンタメの真骨頂を演じるのか?(岡本 裕明)

フジメディアホールディングスはエンタメの真骨頂を演じるのか?
中居さんの一件から経営姿勢問題に至り、コマーシャルのスポンサーが一気に見送り姿勢となる中、株価だけが急騰してるのがフジメディアホールディングス。アメリカのアクティビスト、ダルトン インベストメントが経営問題に関して様々な書簡を送りつけ、最近...

日本の公正取引委員会は、グーグルがスマホメーカーに自社アプリを優先搭載させていたことが独占禁止法違反にあたるとして、排除措置命令を出しました。今後5年間は改善状況が監視されます。アメリカでも広告事業で違反が認定され、グーグルは事業分割を迫られる可能性もあり、グローバルに大きな影響が広がっています。

日米でグーグルに独禁法違反の判断:事業の分割や売却を命じられる可能性も(アゴラ編集部)

日米でグーグルに独禁法違反の判断:事業の分割や売却を命じられる可能性も
公正取引委員会は、米グーグルがスマートフォンメーカーに対して自社の検索アプリを優先的に搭載させていたことが独占禁止法に違反するとして、初の排除措置命令を出しました。今後5年間は第三者機関が改善状況を監視し、公取委に報告することになります。 ...

科学・文化・社会・一般

中野サンプラザ再開発が白紙化する中、筆者は中野区の強みであるアニメ産業に注目。MAPPAやCloverWorksなど有力制作会社が集まり、情報通信業の中でもアニメの存在感は高まっています。新サンプラザをオフィス中心に再設計し、アニメ制作会社を誘致すべきだと提案。アニメ城下町としての中野ブランド確立を訴えています。

中野区はアニメ城下町を目指せ‼ 新・中野サンプラザ理想の一つの形(加藤 拓磨)

中野区はアニメ城下町を目指せ‼ 新・中野サンプラザ理想の一つの形
新・中野サンプラザの開発計画は白紙となった。詳細は『サンプラザ再開発計画白紙へ:中野区議会からみた顛末』をご覧いただきたい。 新・中野サンプラザは従前の計画でオフィス棟・分譲住宅棟・交流拠点の割合を4:4:2としていた...

中国の3DCGアニメ映画「ナタ 魔童の大暴れ」が日本で上映され、観客の多くが在日中国人である現状に筆者は驚きを示しています。イギリスでは映画館が移民向けコンテンツ中心になった例を挙げ、日本も同様の移民社会へと進んでいる兆候と分析。娯楽や消費の主役が変わる中、日本の文化・商業が大きく変質する可能性を指摘しています。

中国のアニメが日本上映されることから見える『未来の日本』の風景(谷本 真由美)

中国のアニメが日本上映されることから見える『未来の日本』の風景
日本では中国のアニメで中国の3DCGアニメーション映画「哪吒之魔童鬧海」の⽇本語字幕版である、「ナタ 魔童の大暴れ」として4月4日から全国で公開されています。 「ナタ」とは「⻄遊記」などに登場する神話中国の国民的キャラクターで...

筆者は福岡への帰路、天気を理由に予定を変更し尾道を訪問。海辺の遊歩道や千光寺、猫の細道を散策し、尾道水道の景色と地元グルメを堪能しました。歴史ある渡船の廃止や、地域に根付く文化も紹介され、短時間でも深い満足感を得た尾道の魅力が伝わってきます。

よりみち尾道さんぽみち(ミヤコ カエデ)

よりみち尾道さんぽみち
4月13日 広島県尾道市に来ました。昨日、単身赴任帰宅で愛知県に帰っていたのですが、そこから福岡市に戻る途中、ふらりと寄り道したくなったのです。本当は京都に寄り道する予定だったのですが、天気が良くないとのことだったので天気が回復して...

文京区小石川のうなぎ専門店「わたべ」は、予約必須の人気店。筆者はショートコースと名物の「地焼き鰻」を堪能し、その香ばしさと薬味の絶妙な組み合わせに感動。料理・飲み物の工夫や落ち着いた店内の雰囲気も魅力で、家族や接待にも最適。再訪を決意させる極上体験が綴られています。

予約してでも訪れたい!うなぎの老舗『わたべ』で味わう極上ランチ(出口 里佐)

予約してでも訪れたい!うなぎの老舗『わたべ』で味わう極上ランチ
出口里佐です。 本日は、うなぎの老舗『わたべ(和多遍)』をご紹介します。 場所は、地下鉄三田線春日駅から徒歩3分、または地下鉄南北線後楽園駅から徒歩7分です。 人気があるので、数週間から1か月前には予約する...

筆者は「欧米」という言葉の時代的限界を指摘し、ウクライナ戦争やトランプ政権下での米欧分裂を通じて「西洋の解体」が進行中だと論じます。歴史的に米欧が一体だったのは短期間であり、これからは両者の違いを前提に世界を捉える視点が必要だと説いています。歴史への深い理解が、現代政治の読み解きにも役立つと強調します。

欧米という概念の終わり(與那覇 潤)

欧米という概念の終わり
大学院生のとき、フランス出身の留学生へのメールで「欧米」の語を使ったら、”EuropeとAmericaは別だから、自分は欧米もOccident(西洋)も概念として使わない” と返されたことがある。イラク戦争の時代で、欧と米(とくに仏...

筆者は「読んでも記憶に残らず、アウトプットできない本は読む価値がない」と指摘します。読書の質を高めるには、実際に書店で本を選び、自分にとって意味のある一冊を見つけることが大切。読んだあとは感想を書く、誰かに話すなどアウトプットすることで、学びが自己成長に繋がると述べています。

読まなくていい本とはどんな本か?(尾藤 克之)

読まなくていい本とはどんな本か?
あまたある本のなかには、残念ながら、ありきたりのエッセイを寄せ集めた本、テーマがはっきりせずに軸が定まっていない本が少なからず存在します。 こういう本は読んでも印象に残りません。記憶に定着することもありません。記憶に定着しませ...

筆者は福岡県大川市と佐賀県佐賀市を結ぶ、筑後川に架かる「筑後川昇開橋」を訪問。旧国鉄佐賀線の廃線跡で、船の航行時に橋の中央部が上下する全国唯一の昇開橋として保存されています。地元の要望で撤去を免れ、今は遊歩道として地域に親しまれており、鉄道遺産としての価値が再認識されています。

日本唯一の鉄道昇開橋 旧国鉄佐賀線・筑後川橋梁へ(ミヤコ カエデ)

日本唯一の鉄道昇開橋 旧国鉄佐賀線・筑後川橋梁へ
3月の晴れたある日、わたしは福岡県と佐賀県の県境にいました。 ここは福岡県大川市と佐賀県佐賀市の間を流れる筑後川。その間に架かる筑後川橋梁です。 筑後川橋梁は筑後川の下流、中洲の手前に位置する遊歩道で車が通ること...

田沼意次の「田沼政治」がいつ始まったかは諸説ありますが、筆者は老中就任直前の明和4年(1767年)を転機と見ています。異例の昇進、閨閥戦略による幕閣支配、経済政策の転換(農政から商業重視)などから、幕府の財政再建を担う改革派官僚として台頭した意次の本格的な政治主導がこの時期に始まったと考察されています。

田沼政治はいつ始まったか?(呉座 勇一)

田沼政治はいつ始まったか?
田沼意次(1719~88年)が江戸幕府を牛耳っていた時代・政治は俗に「田沼時代」「田沼政治」と言われる。しかし「田沼政治」がいつ始まったかという点については諸説あり、必ずしも明確ではない。今回はこの問題を論じてみたい。 1. 田沼...
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Sat, 14 May 2016 08:38:59 +0000 Sat, 14 May 2016 08:38:59 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422083020.html https://agora-web.jp/archives/250422033305.html https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422072949.html
https://agora-web.jp/archives/250419094920.html トランプ関税そっちのけで繁盛する外国人相手のビジネスで取り残されるのは誰? https://agora-web.jp/archives/250419094920.html 今年1-3月の訪日外国人が1,054万人で四半期として過去最高を記録しました。これに続く2四半期の4-6月期と7-9月期は観光シーズンに万博もあり、ひっちゃかめっちゃかになりそうな気がしています。

この事実に対して日経は「先行きの懸念材料はトランプ米政権による関税政策で、世界経済が減速すれば、日本経済を支える訪日客消費も冷え込む恐れがある」と記していますが私は断言しましょう、冷え込むことなどはあり得ない、と。今年は通年で4,000万人に到達する公算は大だと思います。

LewisTsePuiLung/iStock

お前はなぜ、日経の悲観的予想をあっさり否定するのかと思うでしょう。北米にいると懐の深さはよくわかるのです。過去何十年も好況だろうが不況だろうが持っている人は持っているし、多くの方が「景気とは別腹」という懐があるのです。私が今住んでいるところは500室もあるホテルの真ん前で窓からはホテルの玄関が見え、外に出ればホテル客でにぎわっています。そのホテル、ハイシーズンになると一泊5-6万円、朝食はおひとり様5,000円也ですが、混みすぎて朝食なんて30分待ち状態です。

もう一つの訪日ブームに火をつける要素が中国人観光客です。日中の政治的融和ムードがあるため、中国人の観光客が一気に押し寄せる、これが日本をほぼ麻痺状態するほどになるとみています。中国は不景気なのじゃないのか、とおっしゃる方もいるでしょう。中国には14億人も人口がいるのです。年収はどの国でも層状になるのがわかっており、どんな貧困国でも一定数の富裕層がいるものです。そして分母が大きい中国だと消費余力のある絶対人数は当然多くなるのです。

実は私は6月に日本に仕事で行くのですが、その際、関西方面に行く予定があります。(万博ではありません。)ところが大阪あたりのホテルがとんでもない状態になっていてどうしようかと思っています。ごく普通のホテルが一泊3万円となると考えてしまいますよね。いくら安いたこ焼きに巡り合えてもホテル代と合算すると安さという点では無意味な話になります。

これは別に万博に限らず、東京も満杯状態、熱海などの温泉もダメ、もはや「ひぇー!」状態です。

当然ながら外国人を相手にするビジネス、特にホテルと飲食店は絶好調だと思います。では取り残されるのは誰かというと実は大半の日本国民であります。まもなくゴールデンウィークでそのあと夏の家族旅行も待っています。さて、どこに泊まるか、となるとお父さんとお母さんのお財布を逆さにしても「払えない!」という状態になってしまうのです。

経済というのは需要と供給の関係ですが、観光関連の需要が外国人主導となった今、旅行好きの日本人が価格競争で弾かれてしまう、そんな状況にあると言えるのです。私は京都にも仕事で行きたいのですが、もはや、祇園エリアに泊まるなど考えられない状態になってしまいました。

最近はよく知らない方から「私の持っている不動産を外国人に貸したいのだけど…」という相談も私に舞い込んでくるようになりました。外国人は1-2週間の短期滞在型と3-6か月の中期滞在、そして1年間のワーキングホリディや就労ビザを取得して長年日本にいる長期滞在組に分かれます。大まかに短期滞在組はホテルに、中期滞在はシェアハウスに、長期になるとアパートの需要になります。

私の経営する外国人向けのアパートも今月末たまたま2部屋開くのですが、外国人同士の口コミで数日後には両方の部屋とも別の方が契約しました。つまりマーケットに募集広告を出す前に消えてしまうほどなのです。

正直なところを申し上げると私のところのシェアハウスも外国人の方の需要が強く、彼女たちは3か月から1年程度でどんどん回転します。光熱費の高騰もあることから賃料をその度に引き上げています。すると長くお住まいの日本人の方の部屋と価格差が大きくなっており、日本人が退去して外国人が入居すると賃料が大幅アップという現象が起きているのです。私はシェアハウスの運営においては日本人と外国人の割合を重視しているので賃料がとれるから全員外国人というような阿呆な運営はしませんが、それぐらいの違いがあるということです。

日銀の植田総裁がトランプ関税で先行き不安を感じ、急に弱気になっているという報道を目にしました。私は真逆でトランプ関税は結果として日本全体としてはかなりプラスに転じるとみています。もちろん自動車産業などへの影響はありますが、それは企業ベースで努力して対策するしかないし、できると思います。むしろ開放されている日本市場は世界がうらやむ好景気の循環を生み出すとみています。

東京ビックサイトあたりで行われるトレードショーにはちょくちょく行くのですが、多くの出店者は「外国では売っていないんですよ」「外国仕様になっていないんですよ」「メンテができなくて…」という惜しい声ばかりなのです。そこを乗り越えればもの凄いビジネスチャンスがあるのにもったいないと思います。JETROがもうちょっと後押しすべきでしょう。日本は光り輝く要素はいくらでもあるということです。アメリカをフォローしなくても大丈夫です。独り立ちできますよ。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年4月20日の記事より転載させていただきました。

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Sun, 20 Apr 2025 03:00:20 +0000 Sun, 20 Apr 2025 03:00:20 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250419094837.html 米政府「Covid-19のWIV流出説」を公表 https://agora-web.jp/archives/250419094837.html 新型コロナウイルスのパンデミック発生から5年以上が経過したが、ウイルスが動物から人間に感染したのか、中国の武漢ウイルス研究所(WIV)からの流出で発生したかは依然として不明だ。そのような中、米国ホワイトハウスは18日、Covidgovウェブサイドの改訂版で「新型コロナウイルスはWIVから流出した」という公式見解を表明した。

Covidー19の武漢研究所流出説を公式発表するホワイトハウスのウェブサイトからスクリーンショット、2025年04月18日

ホワイトハウスのウェブサイトによると、ハリウッド映画のポスターに似たこのページには、「LabLeak」というタイトルが大文字で表示されている。二つの言葉の間には、トランプ米大統領が立っている。タイトルの下には手書きで「COVID-19の真の起源」と書かれている。

ホワイトハウスが新型コロナ起源でWIV流出説を支持する理由として、1)新型.ウイルスは自然界には存在しない生物学的特徴を持つ。、2)WIVでは過去、生物安全基準が不十分な中で機能獲得研究などが実施されていた。3)2019年秋、華南海鮮市場でCOVID-19が確認される以前に、WIVの研究者がCOVID類似の症状を示していた事例が確認されている、等を挙げている。

そのうえで、元アメリカ国立アレルギー感染症研究所所長アンソニー・ファウチ博士を「自然発生説を主張し、米国民を誤導する役割を果たした」と厳しく批判している。

今年に入り、武漢ウイルスの発生源問題で興味深い動きが出てきている。新型コロナウイルスの発生源問題では「自然発生説」と「WIV流出説」の2通りがあるが、米中央情報局(CIA)は「研究所事故の可能性は低い」との立場を表明してきたが、トランプ米政権がスタートした直後の1月25日、CIAの新長官ジョン・ラトクリフ氏は「中国の研究室から流出した可能性が高い」とする新たな評価を明らかにしているのだ。CIAは「入手可能な情報によれば、研究所起源説が、自然発生説より可能性が高い」と説明したが、具体的な理由については何も言及していない。

ちなみに、独週刊誌シュピーゲルによると、独連邦情報局(BND)は昨年秋、CIAに2020年にWIVなどから密かに入手した機密資料・情報を提供している。公的なデータの分析に加え、「サーレマー」というコードネームで行われた情報機関の極秘作戦で入手した資料も含まれる。資料の中には、中国の研究機関、特にウイルス研究の最先端機関のWIVからの科学データや、自然界のウイルスを人為的に改変する「機能獲得(Gain-of-Function)」実験のリスクに関する証拠や、研究所の安全基準違反を示す多数の資料も含まれていたという。

ホワイトハウスのサイトでは「メディア、政治家、保健当局、そして米国の著名な免疫学者ファウチ氏がウイルスの自然起源説を広めているが、ウイルスが中国の大都市武漢の研究所から発生したという証拠は数多くある」と主張している。

米国ではこれまでFBI、米エネルギー省、そして今回、CIAとホワイトハウスがWIV説を支持したことになる。例えば、米上院厚生教育労働年金委員会(HELP)の少数派監視スタッフの共和党議員らが15カ月間にわたり調査、研究して作成した「COVID-19パンデミックの起源の分析、中間報告」が2022年10月下旬、公表され、関心を呼んだことがある。結論として、「公開されている情報の分析に基づいて、COVID-19のパンデミックは、研究関連で生じた事件(事故)の結果である可能性が高い」と指摘、「WIV流出説」を支持している。その後、米エネルギー省は2023年2月、中国武漢発「新型コロナウイルス」の発生起源がWIVからの流出との結論に至ったという。

バイデン政権時代は自然発生説が依然、支配的だった。最高の研究機関と人材を誇る米国がウイルス起源問題で今だ結論に至らないのは、中国側の情報隠蔽だけではなく、米国内の親中人脈、政治家、専門家、研究者、ロビイストがブレーキをかけてきたからだ。
ドイツの著名なウイルス学者クリスティアン・ドロステン教授(シャリテ・ベルリン医科大学ウイルス研究所所長)は南ドイツ新聞(SZ)とのインタビュー(2022年2月9日)で、武漢ウイルスの解明を阻止しているのは中国側の隠蔽姿勢にあると明確に指摘したうえで、「実験を知っていた米国の科学者たちの責任」にも言及している。

米国には新型コロナウイルス感染起源を知るうえで貴重な学者がいる。彼らは過去、WIVと接触があり、中国人ウイルス学者、「コウモリの女」と呼ばれている新型コロナウイルス研究の第一人者、WIVの石正麗氏と一緒に研究してきた専門家たちだ。

ウイルスの機能獲得研究、遺伝子操作の痕跡排除技術は、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授、そして英国人動物学者で米国の非営利組織(NPO)エコ・ヘルス・アライアンス会長のペーター・ダザック氏らとの共同研究を通じてWIVの石正麗氏が獲得していった内容だ。ダザック氏らは米国の税金でWIVのコウモリ研究を支援してきた。米国の感染症対策のトップと言われるファウチ博士は長い間、WIVと関係を有してきた専門家だ。

なお、バイデン米大統領(当時)は1月20日、退任直前にトランプ現大統領の政敵と見られる人物に対して予防的恩赦を与えたが、その中にファウチ博士の名前があった。なぜバイデン氏は免疫学者に予防的恩赦を与えたのか。理由は明らかだ。ファウチ氏は武漢ウイルスの事情や米中間の科学者交流を熟知しているからだ。トランプ政権がファウチ氏を改めて公聴会などに呼びだす可能性が出てきた。バイデン氏はなぜかそれを恐れているのだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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Sun, 20 Apr 2025 02:55:37 +0000 Sun, 20 Apr 2025 02:55:37 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250419215415.html 基礎年金底上げ、厚生年金の流用案が撤回:たかまつなな氏の「無理解」が発端? https://agora-web.jp/archives/250419215415.html 厚生労働省は、年金制度改革法案から「基礎年金の底上げ」策を削除する方向で調整に入りました。この施策は、財源として厚生年金の減額や国庫負担の追加を伴うため、自民党内で強い反発がありました。

政府は、パート労働者の厚生年金加入拡大や高所得者の保険料引き上げなどだけ法案に盛り込み、今後、与党内での議論を経て国会に提出する方針です。

年金制度は、全員が加入する基礎年金(1階部分)と、会社員や公務員が加入する厚生年金(2階部分)の2層構造です。厚労省は、基礎年金の財政悪化に備え、厚生年金の一部を減額し、さらに国庫負担を増やすことで基礎年金の給付水準を将来的に引き上げる案を検討していました。

しかし、この案では厚生年金の受給額が一時的に最大月7,000円減るとされ、消費税にして約1%分、年に2.6兆円もの追加財源が必要と見込まれています。これに対しては、「将来の増税につながる」との懸念も自民党内で広がりました。

また、「マクロ経済スライド」と呼ばれる年金調整制度が機能していないにもかかわらず、その見直しがなされていないことも問題視されています。厚労省が「調整期間一致」などの難解な用語を用い、広く国民に理解されないまま議論を進めたことも、今回の反発を招いた一因とされています。

自民党内では「国民の理解が不十分なまま法案を提出すべきではない」との慎重な意見が出ており、法案の提出時期や内容は依然として不透明です。林官房長官は早期提出を目指す考えを示していますが、参院選への影響もあり、政府・与党内での調整は続いています。一方で、厚生労働省の年金部会の委員であり、年金制度の説明役とされるたかまつなな氏が、厚生年金積立金の流用について十分に理解していない様子が見られ、年金官僚への忖度ではないかとの指摘もあります。

https://twitter.com/satobtc/status/1883672281739878702

基礎年金の底上げには、厚生年金積立金65兆円の流用に加え、70兆円規模の新たな国庫負担が必要とされており、財源の確保が大きな課題となっています。現役世代の負担増が避けられない中で制度の抜本的な見直しを求める声もありますが、「若者代表」を名乗るたかまつなな氏が本当に現役世代の声を反映できるのか疑問視されています。

制度の無知によって今後も世論をミスリードしつづけなければよいのですが。

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Sun, 20 Apr 2025 02:50:15 +0000 Sun, 20 Apr 2025 02:50:15 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421211918.html https://agora-web.jp/archives/250420211953.html https://agora-web.jp/archives/250420173410.html
https://agora-web.jp/archives/250420002444.html 野党各党の消費税「減税案」は愚民政治家の知能テスト https://agora-web.jp/archives/250420002444.html 参議院選挙が迫り、目ぼしい政策のない与野党がそろって消費減税を大合唱し始めた。トランプ関税で世界的に金利が上がり、金融危機のリスクが大きくなっているとき、財政赤字を増やして金融危機を起こすつもりなのか。

財源のあやふやな国民民主

消費減税の先頭を切ったのが、国民民主党の玉木代表である。昨年の総選挙で「103万円の壁」キャンペーンが大ヒットしたので、今度は消費減税で2匹目のドジョウをねらおうというわけだ。

最初は「赤字国債をちゅうちょなく出せ」と言っていたが、財源を示さないのは無責任だという批判を浴びると「暫定的な財源」を考えると言い始めた。 その財源の中身はわからない。

「短期的な物価高対策」として2年だけ一律5%に下げ、インボイスもなくすというが、そんなことはできない。そもそも消費税という税の根幹の大改正には税調の答申が必要で、急いでも来年4月からである。当面の物価高対策にはならない。

橋本内閣で1997年に消費税を5%に上げてから、2019年に安倍内閣で10%に上げるまで22年もかかった。今度も10%に戻すには22年かかると予想するのが普通である。「法律に2年と書く」というが、安倍内閣は法律を改正して増税を延期した。

食品の税率をゼロにしろという維新

国民民主に追随したのが維新である。高校無償化を条件に予算を飲んだため、与野党交渉でも相手にされなくなったので、今度は消費減税だ。これも2年限定で「食料品の税率をゼロに下げろ」という。

本当に複数税率にそんな効果があるのだろうか。チャットGPTに聞いてみた。

  • イギリス:食料品のVATはゼロ税率。研究によると、全体としては若干の再分配効果が認められるが、費用対効果は悪い。
  • ドイツ:食品に7%の軽減税率(標準は19%)。低所得者層ほど負担軽減率が高いが、再分配手段としては効率が悪い。
  • OECD・EUの評価:ゼロ税率や軽減税率は貧困対策としてのターゲティングが不十分。再分配効果はあるが非効率的で、直接的な現金給付の方が望ましい
  • 複数税率は税収が減り、事務が煩雑になるコストが大きく、その再分配効果はほとんどないので、スウェーデン・デンマーク・フィンランドでは税率を一律に戻した

関税で困っている輸出企業の「還付金」をなくせという立民党

立民党でも消費税減税の動きが広がり、枝野幸男氏が「減税ポピュリズムに走りたい人は、別の党をつくればいい」と言ったのに反発して、馬淵澄夫氏などが「財源案」を出してきた。

馬淵氏の案では消費税を小売売上税に変え、税率を一律5%にするという。このとき輸出還付金8.4兆~9.6兆円がなくなるので「理論上、小売売上税へ転換しても税収は変わらない。必要財源5兆円程度で、5%に減税することが可能になる」という。

これは誤りである。課税対象を小売店だけにすれば税額が減るのは当たり前で、メーカーや卸は非課税になる。今は輸出メーカーが部品メーカーなどに消費税を払っているので、それが輸出されるとき払い戻されるが、メーカーが非課税になると還付金もなくなる。

これは「財源」ではない。輸出還付金は普通の仕入税額控除と同じで、今の消費税額に含まれている。売上税にしたら「必要財源5兆円」ではなく、輸出企業の払う8.4兆~9.6兆円が減収になり、合計14兆円の財源が失われるのだ

多段階の消費税はメーカーから小売店まで公平に負担し、税金のごまかしをなくす第2法人税である。これを小売店だけが負担する売上税にしたら小売店は廃業し、商店街は消滅するだろう。そもそもトランプ関税で困っている輸出企業の還付金をなくして「輸出税」をかけようという発想が倒錯している。

法人税と所得税を増税する「減税案」

もっと笑えるのは、この「減税案」である。

未公表の隠し金11兆7645億円」と書いているが、これは上にも書いた還付金で、消費税収はこれを差し引いた額が計上されているので、隠し金でも何でもない。これは36年前に消費税ができたときから変わらないしくみだが、それを今ごろ「隠し金」と称して大発見のように記者会見で発表するのは噴飯物である。

この提案はよく読むと「法人税と所得税を20.1兆円増税して4.4兆円増収になる」と書いている。つまりこれは減税案ではなく、れいわ新選組や共産党も主張する法人税の増税案なのだ。

これが日本の国会議員の知能程度である。この提案は学生のレポートでも落第する代物だが、政治家の知能テストには使える。ちょうどこの江田一派の議員の一覧表があるので、今度の選挙で投票してはいけない議員のリストとして便利だ。

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Sun, 20 Apr 2025 01:20:00 +0000 Sun, 20 Apr 2025 01:20:00 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html https://agora-web.jp/archives/250421232236.html https://agora-web.jp/archives/250421100109.html https://agora-web.jp/archives/250420171345.html
https://agora-web.jp/archives/250419124401.html トランプ大統領が交渉で示した態度をどう受け止めるか https://agora-web.jp/archives/250419124401.html アメリカと日本の関税交渉が始まった。日本側の代表である赤澤経済再生大臣がホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領の目の前に座るという印象深いシーンで始まった。

トランプ大統領と赤沢経財相 ホワイトハウス提供

報道によれば、ここでトランプ大統領は三つの領域を示したという。①貿易赤字、②米国製自動車の販売、③在日米軍の駐留経費負担だ。

赤澤大臣は、優先順位をつけてほしいと要請した、と報道されている。ひょうひょうとした人柄で存在感を出している赤澤大臣だが、日本政府として受け身である、という印象はぬぐえない。

トランプ大統領があげた三つの領域というのは、このままで受け止めると、体系性がない。すでに「(日本の縦割り行政を当てはめる日本側の常識そのままで言えば)関税問題と安全保障問題は別の問題になる」という「日本では正論」の意見も見られる。

ただし、すでに私が指摘しているように、アメリカ政府の関心は、貿易赤字と、さらに深刻な財政赤字を減らすことだ。

日本はアメリカとどう交渉すべきか
日本政府が、アメリカ政府と関税交渉に入る。世界の諸国の先陣を切る。日本には1980年代からのアメリカとの間の貿易交渉の歴史がある。ベッセント財務長官の様子からは、期待がうかがえる。 アメリカは当初、高率関税を普遍的に導入する意...

関税ですら、そのこと自体が本質的な議題ではない。トランプ大統領の発言は、わかりやすく言い換えると、次のようになるだろう。

第一に、理論や努力はどうでもいいから、とにかく貿易赤字を減らすのに協力してほしい、ということである。在日米軍を参照しているのは、二国間関係を総合的に見て、財政赤字のほうでもいいので、赤字を減らすことに協力してほしい、という懇願だ。

第二に、トランプ大統領は、製造業の復活を目標にしている。その象徴として、アメリカ市場に日本車が深く入り込んでアメリカの製造業を痛めつけているというイメージを相殺できるように、自動車産業の復活に協力してほしい、ということだ。

あえて第三を付け加えれば、思いやり予算でも何でもよく、貿易赤字ではなく財政赤字のほうでいいので、赤字削減に資するアイディアを出してほしい、という意思伝達だ。

この問題は、高関税に端を発した交渉になっているが、ある意味で高関税政策は、交渉を開始するためのきっかけでしかない。

したがって「本来あるべき自由貿易の姿は・・・」とか、「在日米軍の問題は関税の問題とは異なる問題であり・・・」とか、「アメリカの車は日本の道路では大きすぎるので売れない・・・」といった「正論」を言っても、仕方がないことは、すでに前回の記事で述べたとおりである。

たとえば、在日米軍の費用負担は、安全保障の政策の問題などではない。日本が米国の財政負担を減らすために直接的に貢献できる領域だ、ということである。アメリカの自動車産業の問題は、アメリカの車が日本の道路を走るかどうかの問題ではない。要は、アメリカの製造業が復活の契機が見えれば、それでいい。

トランプ大統領は、とにかく何でもいいので、貿易赤字と財政赤字を減らす努力に協力してほしい、と言っている。わかりやすく言えば、安全保障上の同盟国が倒れてしまったら、日本だってのんびりしているわけにはいかなくなるはずだろう、協力すべきだ、と示唆している。

もちろん日本も巨額の財政赤字を抱えており、ただ単にお金を渡す、というわけにはいかない。また、一過性のものよりは、継続的に問題改善につながるもののほうがいい。しかしプラザ合意の再来のような急進的な通貨政策は、日本にとって負担が大きすぎ、また管理不能な状態に陥るリスクも抱える。より創造的なアイディアが必要と思われる。

アメリカ政府自身が投資を計画しているAIの領域に、アメリカ政府の負担を軽減しつつ、アメリカに利益が確保される形で日本も投資をするなどのアイディアが求められるだろう。

いずれにせよ、アメリカに対して受け身の姿勢をとりすぎると、かえってトランプ大統領の中心的な意図から外れていく結果になりかねない。そこは注意が必要である。

国際情勢分析を『The Letter』を通じてニュースレター形式で配信しています。

篠田英朗国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月2回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。

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Sat, 14 May 2016 08:38:59 +0000 Sat, 14 May 2016 08:38:59 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422083020.html https://agora-web.jp/archives/250422033305.html https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422072949.html
https://agora-web.jp/archives/250419093531.html 農業がなくなって困るのは農家でなく農業政策に寄生している人たち https://agora-web.jp/archives/250419093531.html 兼業農家を含めた日本の農家全体の所得に占める農業所得の割合は、農林水産省の統計によると、約20%以下とされている。専業農家も存在するが、そのほとんどはサラリーマンを退職したあとに農業が副業から主たる収入源になった人たちであり、通常は厚生年金の受給者である。

Rawpixel/iStock

農業所得がゼロになっても、ほとんどの農家は主たる収入源を失うわけではない。うっかりすると、兼業農家にとっては、働いている工場が閉鎖になるなど産業衰退の方がよほど大きな問題である。

農業保護を必要としているのは農家ではなく、農業政策に寄生している人たちである。

国産米を守れと言っている人は、近代的な農業経営、しかも大量生産も可能な米という作物を、農家平均1.8haという小規模で、専門的な技術や経営ノウハウもないまま生産し、その結果、国際価格の数倍で流通させ国民に食べさせる状況を続けたいと言っている。そして、国内が不作になったり、買い占めやパニック買いが起きたときには、価格が急騰しても構わないと思っているようだ。

あまりにも極端な保護策をとっていることが、海外から経済効果だけでなくモラルの面でも問題視され、結果として自動車などほかの分野で譲歩させられ、日本経済に莫大な損害をもたらしても構わないという主張をしていることになる。

自動車など工業製品のために自由貿易を標榜するから農業が犠牲になっているという農業専門家がいるが、江戸時代に戻るとすれば、石油も電力も農業機械も農薬も化学肥料もなしに田畑を耕し、大八車でも引いて出荷するのだろうか。

江戸時代の平均的な自作稲作農家は、収穫した米のうち約40%弱を年貢として領主に納め、翌年の栽培用として約10%を種籾として確保し、家族の食料として約30〜40%を自家消費し、残りの10〜20%を市場で売却して現金収入としていた。

小作農はさらに地主の取り分が20%ほどあったため、自家消費分や現金収入はさらに少なかった。

農家は明治以降、貿易や産業の発展のおかげで生産コストが下がり、年貢に代わる税金も低くなり、さらに兼業も可能になったことで豊かな暮らしができるようになった。したがって、産業の犠牲になっているという認識はとんでもない誤解である。

私の主張は、先進国の農業はある程度保護されるのは当然としても、一定の年限を設けて関税率を数十パーセントで自由化し、それを追い風として経営の合理化を進めれば、それほど生産は落ち込まず、米価も安くなるというものである。

米が安くて美味しくなれば、需要もある程度は伸びるだろう。また、高級米は海外に輸出し、低価格米は一定割合を輸入するのが、安定的な食糧供給というものである。

食料安全保障とは、不作などの非常時に食料価格が急騰しても、外貨の乏しい国で食料が確保できなくなるような事態を防ぐことである。ところが、日本では平時にもかかわらず、国際価格の数倍から十倍もの米価が続いており、本来あってはならないことが毎年起きていることになる。

日本には外貨が潤沢にあるため、世界的な食糧不足が起きても、現在の国内米価を払えば米を確保することは可能である。

では、隕石でも落ちて異常気象になったらどうするかと言えば、そのときは日本国内の稲作もできない。世界大戦になって輸入ができなくなったらどうするかと問われれば、そのときは石油なども入って来ないため、農業そのものが成り立たない。

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Sat, 19 Apr 2025 21:50:30 +0000 Sat, 19 Apr 2025 21:50:30 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html https://agora-web.jp/archives/250420211953.html https://agora-web.jp/archives/250420173410.html
https://agora-web.jp/archives/250418222414.html チャットGPTが巻き起こした「ジブリ旋風」の光と影 https://agora-web.jp/archives/250418222414.html 3月26日、オープンAIがジブリ風画像生成サービスを公開。サム・アルトマンCEO(最高経営責任者)も自身のX(旧ツイッター)の肖像画をジブリ風のものに変えた(下図)。

サム・アルトマン氏Xより

バズるきっかけを作ったのは、シアトル在住のソフトウェア・エンジニアのグラント・スラットン氏。同氏がジブリ風の家族写真をXに投稿したところ世界中で数百万回も視聴された。オープンAIのサーバーも追いつけず、一時ユーザーの1日の投稿回数を制限した。

スタジオジブリにとっては朗報か?

日本のコンテンツが世界に広まるのは、英語圏のメディアで取り上げられることがトリガーになるのは今に始まったことではない。

2016年8月、ピコ太郎さんが「PPAP(ペンパイナッポーペン)」と歌い踊る約1分間の動画は、米国の人気歌手ジャスティン・ビーバーがツイッターで紹介したのが、きっかけで大ブレーク。ユーチューブ週刊再生回数が3週連続で日本人初の世界一を記録。3カ月強で再生回数が9500万を超え、2016年の動画ランキングでも2位を占め、日本人初のランキング入りを果たした。

そのピコ太郎さんを超える注目を集めたのが、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さん。近藤さんの場合は著書の「人生がときめく片づけの魔法」が2010年にベストセラーになり、2014年には米国でも出版されてベストセラーとなった実績はあった。しかし、世界中で注目されるようになったのは、2019年にネットフリックスが「こんまりメソッド」を配信してからである。

チャットGPTのジブリ風画像生成機能は公開から1週間で7億枚の画像を生み出し、利用者は世界で1億3000万人を超えた(ヤフーニュース、4月8日)。チャットGPTは拙稿「2年弱で2億人が利用、大企業の92%に普及するチャットGPT」のとおり、代表的ソーシャルメディアを上回るスピードで2億人の利用者を獲得した。

読売新聞オンライン(4月2日)は「現在の利用者は1週間あたり約5億人で、23年11月時点の約1億人から急増した。24年10月にAI検索機能を追加し、25年3月には高度な画像生成機能を導入。こうしたサービス面の拡充が利用者の増加につながっている」と報じた。

このように今回の画像生成機能拡充はチャットGPTにとって間違いなく朗報だが、スタジオジブリにとってはまだ未知数。今後のジブリ作品の売り上げ増につながるかどうかにかかっているからである。

ジブリの著作権を侵害しないのか?

この点については4月16日の衆議院内閣委員会で、今井雅人議員(立憲民主党)の質問に対して、中原裕彦文部科学戦略官が文科省の見解を示した(ヤフーニュース、4月17日)。

今井氏は「いわゆるジブリフィケーション、ジブリ風にするというのが最近はやっている。著作権に当たるのではとの議論がある。現在の解釈として、どこまでが適法か」と尋ねた。

中原氏は「著作権法は創作的な表現に至らない作風やアイデアを保護するものではない」と述べ、「AIで生成されたコンテンツに、既存の著作物との類似性や依拠性が認められれば、著作権侵害となり得る」と語った。

流行の「ジブリ風」画像生成 文科省の見解「作風の類似のみなら著作権侵害に当たらない」

著作権法は著作物について、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義している(第2条1項1号)。このように著作権法が保護するのは、「創作的表現」であって「アイデア」ではない、このため、「作風」が「アイデア」である場合、そのような「作風」が共通したとしても、著作権侵害とはならない。

既存の著作物との類似性は類似しているかどうかだが、依拠性は既存の著作物に依拠したかどうか、言い換えると真似たかどうかで、依拠せずに偶然同じような作品ができても著作権侵害にはならない。これは生成AIの著作物にかぎらず著作物一般について言えることである。

以上は著作権(財産権)の話で、著作権には大別してもう一つの権利がある。「著作者人格権」で、著作権(財産権)が著作権者の経済的利益を守るのに対し、著作者の名誉や感情を守る権利である。ジブリ風画像が著作者人格権を侵害しないかについて、参考になる論考を紹介する。

バークレー大学ロースクールのアンジェラ・チャン氏はウェブログIPKatへの投稿
『ギブリ化』と米国著作権法の道徳的誤り」は以下のように指摘する。

宮崎監督は以前から、人間の動きを(グロテスクに)模倣するAIツールの使用を批判してきただけでなく、彼の作品は暴力、環境破壊、過剰消費をしばしば非難している。ジブリGPTブームのピーク時に、ホワイトハウスがスタジオのスタイルを想起させる国外追放ミームを投稿したなど、宮崎監督(そしてスタジオ)はおそらく忌み嫌うだろう。

宮崎監督は2016年のテレビ番組で、人工知能で作られたグロテスクな映像を見せられて、「極めて不愉快。そんなに気持ち悪いものをやりたいなら勝手にやっていればいいだけで、僕はこれを自分たちの仕事とつなげたいとは全然思いません。極めて何か生命に対する侮辱を感じます」と酷評した。

チャン氏はI企業が著作権者の許諾なしに学習することについて以下のように続ける。

この傾向は、アーティストを搾取し、彼らの芸術的追求に反する画像に彼らのスタイルを適用することの倫理的影響について、一般の人々に向き合うよう迫っています。
残念ながら、法律では現在のところ、こうした倫理的問題に対処する手段が提供されていません。視覚芸術家権利法(VARA)は、著作者個人が有する非経済的権利である著作者人格権を規定しています。(中略)米国の著作者人格権は欧州諸国よりもはるかに制限されており、基本的な帰属および同一性保持の権利は「視覚作品」の著作者にのみ適用され、これらの権利は著作者の生涯にわたってのみ存続します。

 

「視覚作品」は、展示目的で制作された絵画、デッサン、版画、彫刻、写真の単発または限定シリーズのエディションに狭く限定されていました。スタジオによる大規模なロビー活動のおかげで、映画は明示的に著作者人格権保護から除外されました。

最近でこそ、ビックテックの台頭によってかっての神通力は失せたが、ハリウッドはその豊富な資金力(献金力?)にモノを言わせて、成立させたい法案はことごとく通してきた。

代表例は著作権保護期間を20年延長した1998年のソニ・ボノ著作権保護期間延長法で、職務著作物については公表後95年まで延長することにより、ディズニーが2003年に満了するミッキーマウスの保護期間を2023まで延命させたため、ミッキーマウス保護法と揶揄された(詳細は林紘一郎編著「著作権の法と経済学」の拙稿「第5章 権利保護期間延長の経済分析:エルドレッド判決を素材として」参照)。

映画をVARAの適用除外としたのもハリウッドの往年のロビー力を示す一例である。

著作者人格権の中でもジブリ風画像に関連すると思われる同一性保持権については、チャン氏は以下のように分析する。

一方、同一性保持権は、アーティストの「名誉」や評判を毀損する作品の意図的な歪曲、切断、または改変をアーティストが阻止することを可能にします。(中略)AIの出力は膨大な視覚データに基づく情報パターンを同期させるため、物理的な芸術作品の破壊と、視覚作品の断片の解体(そして再構成)を裁判所が類推することは困難です。

視覚作品の画像を学習させた出力(識別可能な要素をデジタル的に分解・再構築すること)は、原作の歪曲に当たるのでしょうか?AIという「媒体」を通してのみ、アーティストの名誉や評判に害を及ぼす改変が生じる可能性はあるのでしょうか(これはおそらく、美しく人間的な芸術を創造するという宮崎駿の理念に反するでしょう)。AIによって生成された出力が象徴的な画像を利用して有害または憎悪的なメッセージを発信した場合、それは作品の改変に当たるのでしょうか?

日本の著作権法20条は同一性保持権について「著作者は、その著作物(・・・)の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」と規定する。

ネット上には上記ホワイトハウスの投稿も含め、宮崎監督の意に反すると思われる改変も散見されるが、同一性保持権による保護も難しいとの分析である。

解決策は?

解決策として、チャン氏はまずVARAの拡大を提案する。

AIに基づくあらゆる法的論評と同様に、これらの疑問への答えは不明確であり、徹底的な検討が急務です。著作権法の核心は、著作者を保護することで創造性を促進しつつ、公衆が意義のある創作物にアクセスできるようにすることです。まず、VARA(著作権侵害防止法)は、より幅広い芸術作品を保護するために大幅に拡大することができ、おそらく拡大すべきです。私たちが暮らすデジタル世界では、公衆がそれらの作品に価値を認めているにもかかわらず、最も大切にされている芸術作品の中には、VARAの適用範囲外となっているものが少なくありません。

続いて、商標法の希釈化防止策の著作権法への導入を提案する。

あるいは、将来の著作権法は商標法の原則を取り入れ、著作権を侵害する創作物が元のアーティストの作品の価値と認識性を「薄める」場合に、その作品を保護するという考え方もあるかもしれません。そして、将来の訴訟では、芸術作品が歪められ、切断され、または改変されることの意味について、より広範な定義を推進するような議論が展開されるべきです。

米国商標希釈化防止法は、有名な商標について、他人が様々な商品やサービスに使用することにより、その商標としての機能が弱められないよう保護している。日本でも不正競争防止法で保護している。こうした原則を著作権法にも取り入れる提案である。

インディアン・タイムズ(3月30日)は、スタジオジブリ発と称する偽の警告文が、オンラインで急速に広まっていると報じた。警告文は、この種のアプリは著作権侵害となり、直ちに停止しない限り法的措置を取るとしているが、スタジオジブリは NHK の取材に対し、こうした警告文は出していないとしている。

スタジオジブリは「ジブリ風」写真生成アプリについては、今のところコメントしていないが、今後の対応が注目される。

著作権の法と経済学

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Sat, 19 Apr 2025 21:40:14 +0000 Sat, 19 Apr 2025 21:40:14 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422072949.html https://agora-web.jp/archives/250417220817.html https://agora-web.jp/archives/250416092300.html https://agora-web.jp/archives/250416193948.html https://agora-web.jp/archives/250413210921.html
https://agora-web.jp/archives/250418220148.html 日米交渉が示すトランプ流の装った無知と日本の弱点 https://agora-web.jp/archives/250418220148.html 両国に反省材料が満載

高関税で脅しをかけて譲歩を迫るトランプ米大統領が日米閣僚級協議の場に加わり、想定外の演出で日本に早速、圧力をかけてきました。日本側トップの赤沢経済再生相は「私は(大統領に比べ)格下も格下なので・・」と下手にでて、卑屈に見せる演出でトランプ氏を喜ばせる偽装をしたのだと思いました。

トランプ大統領と面会した赤澤経済再生担当大臣 内閣官房Xより

報道によると、「在日米軍の駐留経費負担、米国製自動車の販売、貿易赤字の縮小」(朝日新聞)の3つの柱をトランプ氏は示し、改善を望んだそうです。意図的な誤解を平然とさらけだす情報戦(認知戦)が含まれ、日本側も落としどころを見つけるのに苦労しそうです。

「在日駐留軍経費負担」について、日経新聞は「思いやり予算とも呼ぶ」(きょうのことば)、「日本側負担(思いやり予算)の増加」(社説)、「思いやり予算増を視野」(17日夕刊見出し)と、何度も「思いやり」という表現を使っています。読売新聞にも「日本側負担(思いやり予算)」という表現が出てきます。

1978年当時、日本側の円高で米国側の負担(ドル建て)が増えて不満が高まったため、駐留軍経費の一部を日本が支援することになり、金丸防衛長官が「米軍に対する思いやりだ」と、場違いな表現をしたことから使われ始めた言葉です。朝日新聞は一般記事、社説を含め、「思いやり予算」という表現は使っていません。これが正しいと思います。

「思いやり予算」という表現を安全保障の分野に持ち込むのは間違いです。米側の公文書では「hostnationsuport」(支援を受ける接受国側の支援)となっているそうです。さすがに政府もおかしいと思ったのか、2021年度あたりから日本語表記はやっと「同盟強靭化予算」に変えました。いまだに「思いやり」という表現を使う新聞の言語感覚を疑います。

もっともトランプ氏は「米国は日本を守るために、何千億㌦も払っているのに、日本は何も支払わない」ととぼけたことを言っています。トランプ流の意図的に無知をさらけ出す情報戦(認知戦)でしょうか。22年度ー26年度は年度平均で日本は2110億㌦の支援をしています。落としどころは米国製の戦闘機、ミサイルを買わせる算段かとも想像します。

第一次トランプ政権の時、安倍・元首相が米国からF35戦闘機を105機、購入すると約束し、トランプ氏のご機嫌をとりました。石破首相も同じことをするような気がします。「関税問題を含め、日本は毅然とした態度を取るべきだ」という声は正しくても、毅然としていれば、日本はトランプ氏の無茶な要求を跳ね返せるのかどうか。言葉だけの「毅然」なら、虚しさを感じます。

トランプ氏は持論である円安批判はしなかったそうです。近く行われるベッセント財務長官と加藤財務相との会談で、為替問題を持ち出すのでしょう。日本側は円安誘導はしていないと、一貫して主張してきました。異次元金融緩和は脱デフレのためであり、意図的な円安誘導はしていないとの説明です。

それは虚偽に近い説明でした。アベノミクスの当初のスローガンは「2年、2%の物価上昇、通貨供給量2倍」で、つまり2年で2%の消費者物価上昇を実現し、デフレを脱却するとの公約でした。いつまでたっても、実現はせず、アベノミクスは次第に「円安、財政ファイナンス(国債購入)」が本当の目的になっていったというのが反アベノミクス派の通説です。そうだと思います。円安で輸入物価が上がり、国内物価にも波及し、税収も増えることで、政府、日銀は「しめしめ」となったのです。

2016-19年はの円相場は1㌦=105ー110円、22年10月には148円、23年10月には150円と円は下落しました。日米金利差によるもので、ゼロ金利に近い円資金を借りて、高金利のドルに投資(円キャリー・トレード)すれば儲かる。その過程で円を売れば円安が進む。物価も上がる。税収も増える。

円安を米側が突いてくれば、日本側は逃げようがありません。すでに円は140円程度まで切りあがり、130円台を予想する向きもあります。もっとも将来、関税引き上げで米国の物価が上昇すれば、円高も止まるかもしれません。独裁政権のトランプ氏は早くも「パウエルFRB議長を一刻も早く解任すべきだ」と発言しています。政治が中央銀行に口出すると、どういうことになるのか。日本がそのモデルです。

米国経済がインフレと景気後退のスタグフレーションに陥る可能性が指摘されています。そういう悪循環とトランプ氏の政治的意図の闘いが始まります。トランプ氏は、巨大な市場の審判を受けることになると想像します。米国政治の独裁者になれても、巨大な市場の独裁者にはなれません。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2025年4月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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Rocco-Herrmann/iStock

(前回:『コミュニティの社会理論』の「縁、運、根」

高齢化への関心

今回は『コミュニティの社会理論』(1982)の続きともいえる内容に、新たに高齢化への関心とその対応、包括的な社会変動論、そしてその歴史的素材としての日本の高度成長期の分析を取り込んだ『高齢化の社会設計』について、「縁と運」を軸にまとめておこう。

 

本書「はしがき」の日付は、まだ久留米大学に勤務していた1984年6月26日であった。すなわち、すべての原稿は久留米大学時代に書き上げて、『コミュニティの社会理論』を刊行したアカデミア出版会に送り、夏の期間に印刷されて、10月20日の奥付で刊行されたのである。10月1日付の北大採用だったため、本書は就任後の第1作になる。

主な内容

前回紹介したコミュニティ関連とのつながりでは、「Ⅲ 都市型社会の構造と人間像」、「Ⅴ 高齢化とコミュニティ関係の創造」、「Ⅵ コミュニティシステムと生活の質研究」の3章があり、全体の半分を占める。その一方で新しい分野として、初めて「社会変動論」に取り組んだ成果を「Ⅰ 社会変動論の今日的状況」として巻頭においた。

社会変動論の依頼

元来この章は、四国在住の社会学者の方々の企画による『現代社会学の視点』(法律文化社、1983)に寄稿した論文を大幅に加筆したものである。1982年に代表編者の愛媛大学横飛信昭教授からこの企画が伝えられて、そのなかで「社会変動」の章を受け持ってほしいと依頼された。

それまでは、コミュニティ関連で都市化と産業化、そして新しく高齢化という「社会変動」への関心をもってはいたが、テキスト用に「社会変動」総論を書き上げる知識はなかったので、いったんはお断りした。そうしたら、今回の四国在住の社会学者グループではその部分が誰も担当できないから、執筆条件を示してほしいとの返事が届いた。

「社会体制の変革」ではなく「社会システムの社会変動」に限定

その時代、戦後日本の社会科学を席巻した「マルクス主義」が社会学界でもまだ健在であり、そのパラダイムでは「社会システム」というより「社会体制」を好み、「社会変動」ではなく「社会革命」を使い続けていた。

テキスト用としてこの立場まで配慮すると、分量は2倍に増えるし、準備にもかなり時間がかかる。だから、マルクス主義の「社会変革論」を省略して、新しい「社会システム」論をベースにした「社会変動」に限定してもいいのならばお引き受けすると回答したら、結果的にはその通りになった。

横飛教授はまことに寛容であったが、この縁がなければ社会システム、構造機能主義、システム変動、イノベーション、社会発展と社会成長、そして高田保馬の社会学的史観などへの関心は芽生えなかったはずである。さらに、当時すでに話題になっていたベルの『脱工業社会』論や村上の『産業社会の病理』にまで手を伸ばすこともなかった。

その意味で、テキスト用の「社会変動」への取り組みは、10年後に長谷川公一との共著で誕生する『マクロ社会学』の出発点ともなった。これもまた運であり縁である。

社会システム論での「社会変動」の一般化

以上のような問題意識で書いた『現代社会学の視点』の「社会変動」を改訂して、本書ではもっと一般化してみた。

  1. 産業化や人口増減に伴う資源配分構造の変化
  2. 社会システムの機能要件の不充足
  3. 社会システム成員の欲求充足水準の実質的低下
  4. 成員間における相対的剥奪感による社会的不満の高まり
  5. 社会的緊張の増大
  6. 逸脱的行動の普遍化と増加
  7. 社会システムの変容を求める集合行動の発生
  8. 資源配分基準の変化と便益システムの変動
  9. 規範と価値の両システムの変動と変更された資源配分基準の正当化
  10. 新しい社会システム構造の成立と安定

というようなまとめを行ったのである(金子、1984:33-34)。この期間、社会システム論の理解が深まったように思われる。

価値論への関心

さらに価値システムの問題にも関心を拡げて、ベルの『脱工業社会の到来』や『資本主義の文化的矛盾』なども参考にして、「充足」の点から「社会システムの価値」を整理した。

下位社会システムを社会構造、政治、文化に分けると、その中心価値は表1のように異なる。それは、社会システム成員の行為様式に影響する社会構造面の「能率・効率」価値も、政治面の「平等・参加」の価値も、文化面における「私的自由主義」とともに個人の側から見ると「自己実現」の達成を求め、その結果として「充足」感が得られるというモデル図である。

そして、成員の「充足」が維持されれば、社会システムは変動しない。すなわち、「社会変動」の裏側にある「社会秩序」への視点も得られた。

表1 社会システムの価値
(出典)金子、1984:42.

日本の高度成長期が素材

このような一般化をしたので、次は歴史的素材を通してこの「社会システムの価値」の変遷を実証したくなった。それが本書「Ⅱ 高度成長と社会変動」につながった。

日本の高度成長期は団塊世代の私たちの青春時代でもあり、数多くの体験や思い出がある以上に、それまでの太平洋戦争前から継承してきた「戦前・戦後社会」を払拭した、「もはや戦後ではない」時代でもあった。全国的に産業化・都市化が進み、人口増加を基調としながらも、地方と中央の人口構造が激変し始めていた。

歴史的素材による実証

社会学では社会的実験ができないので、マクロ的な実証には歴史的素材を使うしかないが、その事例としての高度成長期は、同時代を生きた団塊世代にとってはいわば内部的観察者でもあり、取り組みやすかった。

人口移動、耐久消費財の浸透、成長要因の解明、産業構造の変化、食料自給率の推移、高等教育進学率の上昇、離村向都、都市化の進行、生活水準の変化、都市的生活様式の様相など当時収集できるデータを博捜して、具体的に論じることに努めた。この試みは2009年の『社会分析』で再度復活する。

都市的生活様式の全国的浸透

とりわけ1970年代の後半までに、日本社会全体で「都市的生活様式」が浸透していたことが重要である。

それは、

  1. 社会的分業の普遍化を前提とした個人の欲求充足用の生活様式
  2. 専門処理機関への依存性の強化

を実質的内容とした(倉沢、1977)。

いわば村落的な「自給自足」的生活様式が壊れて、上水道からの水の供給やし尿処理でもごみ処理でも専門処理機関に任せる時代が到来したのである。それはまた、新しい職業としてのサービス産業を招来して、第一次産業従事者からの参入が進み始めるきっかけにもなった。

ベルの「先進産業社会の経済力は、高度のテクノロジー、資本の動員能力、および管理能力の大きさによる」(ベル、1976=1976:68)は管理社会化を重視していたが、時代はこの方向に進み、国民意識でも「充足志向」が強くなっていた。

社会意識の類型

たまたまこの少し前に作田啓一が『価値の社会学』(1972)を刊行していたので、私もそれをしっかり学んで、有名な図1を引用していた。これはパーソンズの価値パターン変数のうち「業績本位-属性本位」と「普遍主義-個別主義」を組み合わせて、4通りの価値類型を作成して、それぞれに命名したものである。

通常では、

業績価値・・・・・・職業生活への適応
貢献価値・・・・・・家族、企業、国家などにおける目標達成
和合価値・・・・・・コミュニティでの結合
充足価値・・・・・・私生活の最優先

という対応を示す。

図1 価値の類型
(出典) 作田、1972:89.

価値変動

そして1980年代では、すでに企業レベルでの「業績」と私生活における「充足」に大きく傾きかけていた(表2)。中心となるのは、「個人」であり、「私」であり、「現在」という価値である。これらは40年後の今日でも基本的には同じ状態にあると考えられる。

表2 社会意識の変質
筆者作成

少子化する高齢社会の価値

実際のところ、1970年に高齢化率が7.00%を超えた日本では、その2年後に終焉した「高度成長期」以降の高齢化率が30%に迫る今日まで、社会システムの主要価値は「個人」「個人的関心」「現在」「享受」に収斂してきた。

少子化も含めた「少子化する高齢社会」に適応する社会システムを、いつまでにどのように創造するかというような「社会的関心」は芽生えてこなかった。「将来」を見据えないから、そのために何を優先して、何を我慢するかという処方箋につながる議論も無きに等しかった。その結果が21世紀の「縮減社会」(shrinking society)の誕生につながった。

『高齢化の社会設計』は私なりの高齢社会処方箋

ただ本書の題名とした「高齢化の社会設計」はSocial Design for Aging Societyのイメージであったから、可能な限りそれにふさわしい内容になるように努力した。その道具箱が「社会指標」や「生活の質」(QOL)研究であり、これらの成果を本書で初めて応用した。

その後も40年近くこの研究テーマにはこだわってきたが、「どうしたらいいか」という問題意識に照らして現状の把握を「社会指標」で行ない、そこから目標達成のための優先項目を具体化するためであった。

『現代社会学』での「社会指標」の特集

当時、国連やOECDなどの国際機関もこの開発に熱心であったことで、日本の社会学界でも数名の若手研究者が取り上げ始めていた。そして、学会誌『社会学評論』に不満を持たれていた数名の先生方が、1974年に新しく創刊されたのが現代社会学会議編『現代社会学』であり、年2回の刊行が始まっていた。

時代の要請でもあろうが、1978年にこの雑誌は「社会指標」を特集したのである。その特集号の責任者である富永健一(東大助教授)は、「現在望みうるかぎり最も高い水準において、それが実現されるはこびになった」と書いた。

しかも社会指標という主題の魅力が、「社会学における『思想』(デンケンすること)と『道具箱』(調査したり計算したりすること)との結合、また『理論』(観念の成果)と『実践』(社会生活の改善のための努力)との結合の実現に向いている事実のうちにある」とものべている。

目次と執筆者

目次と執筆者は次の通りである。

  1. 「社会指標構築の現状と課題」(東大院 三重野卓)
  2. 「福祉指標と福祉問題」(千葉大助手 安藤文四郎)
  3. 「社会指標論の基礎視角」(松山商大助教授 山口弘光 久留米大学講師 金子勇)
  4. 「社会指標論の方法論的基礎」(政治学者 小室直樹)

三重野氏と安藤氏は東大富永門下であり、小室氏もここでは富永の関係者であり、山口氏と私のみが九大鈴木門下であった。

内容は省略するが、小室氏を除けば、全員が団塊世代で当時30歳前後であった。この特集以来、三重野氏とは縁ができて学問的交流が始まり、福祉社会学や高齢化の研究などで今日まで長い付き合いをさせてもらっている。

この時の経験を活かして、本書「Ⅵ コミュニティシステムと生活の質」をまとめたという思い出がある。

社会システム論との接合

大きな問題意識としては、個別領域の量的・質的な社会指標による社会状態の測定に止まらず、社会システムの活動領域に結びつけて、その制度を通しての資源分配結果を示そうとした。

表3はそのモデルとなるランドの論文からの引用であるが、表における活動タイプが「Ⅰ.再生産」、「Ⅱ.維持」、「Ⅲ.秩序と安全」、「Ⅳ.学習・科学・芸術」がパーソンズのAGIL図式を基にしていたので、この方向でさらに専門的にはたとえば家族や雇用それに消費の問題などをテーマにするパラダイムを想定していた。この研究は『社会資本主義』(2023)まで継続することになる。

表3 システム論的生活の質指標
(出典)金子、1984:228

高齢化の捉え方

さて、高齢化についてはそれまでの主流であった「老人問題」史観を避けて、社会システム論の役割論の観点から、「高齢者は役割縮小過程にある存在」(金子、1984:142)と定義した。

社会福祉関連の文献だけではなく、社会学でも「老人問題」として高齢化を捉える人々が多かった時代であり、家族、地域、職場、参加集団などでの役割が徐々に剥奪されるのが高齢期の特徴だと明記したのも、「老人」が「問題」とは何事かという気持ちが強かったからである。

この根拠は図2の高齢者図式から得られる。社会システム論では個人を役割の束(role-sets)として理解するので、その役割が一方では血縁の家族、住縁(もしくは地縁)になると地域、職縁を通して職場に個人を結びつける。

図2 高齢者生活の分析図式
(出典)金子、1984:141

ただし加齢によって、健康面でも経済面でもそして生きがいを支える役割の剥奪が始まり、それらの維持にも影響が生じるようになる。それを支えるサービスが公助と自助と互助であるという図式であった。この三助に共助と商助が加わるのは14年先の『地域福祉社会学』(1998)からであった。

役割縮小と回復

このような役割縮小としての高齢者の位置づけにより、日本の高齢社会元年前後の生活、福祉、地域福祉などを論じた。

なかでも家族役割は子どもの他出や配偶者の死亡により無くなるし、職場での役割は定年退職によって強制的に奪われてしまう。したがって人間の社会的関わりは地域社会とそれまでの友人・知人との関係しか残らない。その関係の維持と回復こそが地域福祉につながると結論した。これは前著『コミュニティの社会理論』の応用でもあった。

そこで人間の活動を、かりに家族関連、居住関係、学習、奉仕、遊興、労働などに分ければ、地域社会での役割回復には、居住関係、社会教育と生涯学習、ボランティアなどの社会奉仕が効果的であるとして図3を用意した。

現在の水準で考えれば、家族・親族の世話や短期・短時間の労働でもかまわないし、ゲートボールなどのスポーツやカラオケなどの趣味の会の活動もまた、役割回復の機会を与えてくれるから、図3のすべて活動領域が役割回復の機会につながるといってよい。

図3 役割回復のための活動領域
(出典)金子、1984:187.

 

富永健一『社会構造と社会変動』で紹介

発表当時の社会福祉業界や家族社会学関連では「老人問題史観」の全盛期であったから、図3に基づく「役割縮小からの回復」こそが高齢社会対応の基本だという主張は黙殺されただけであった。

ところが、3年後に富永健一『社会構造と社会変動』(1987)で、「高齢化を家族役割および組織役割(職業役割)における役割縮小としてとらえる考え方」(富永、1987:315)として本書の特徴を紹介いただいた。しかも「役割縮小」に代わって、「地域社会役割といったものが創造されれば、それは高齢者の心の支えになり得る」(同上:318)というまとめが添えられていた。

『近代化の理論』でも言及

さらにこの改訂版ともいえる1996年に刊行された『近代化の理論』でも、「高齢者問題にとって、高齢者と地域社会との結びつきということが、不可欠のテーマになる」(富永、1996:486)や「社会システムのなかで自分の占める場所がなくなる・・・・・・ことに、高齢者の最大の悲劇があるのです。地域社会役割という発想は、この問題への解決として考え出されたものです」(同上:490)と評価していただいた。これらによって、「老人問題史観」はかなり払拭されたように感じた。

『社会学原理』への「書評論文」が縁

かねてより私淑していた富永教授にこのように取り上げられたことで研究の方向性は正しかったと実感できて、その後の研究への意欲がかきたてられ、10年後の博士論文『都市高齢社会と地域福祉』(1993)の刊行に結びつく。

この時までお会いしたことはなかったが、先生のいくつかの著書を学び、その代表作である『社会学原理』(岩波書店、1986)について、『現代社会学』(1987)に8頁の「書評論文」を発表したという縁はあった。その「書評論文」は、富永「理論社会学」を活かしながら、自分のテーマである高齢化という「社会変動」への応用を目指そうとする内容であった。

謹呈した『高齢化の社会設計』を通したこのような運と縁により、富永先生とはその後さまざまな大きな縁が生まれた。それは2003年の『高田保馬リカバリー』と高田古典三部作の復刻につながってくる。まことに縁とは不思議なものである。

【参照文献】

 

  • Bell,D.,1973,The coming of Post Industrial Society,Basic Books.(=1975 内田忠夫他訳『脱工業社会の到来』上下 ダイヤモンド社).
  • Bell.D.,1976,The Cultural Contradictions of Capitalism,Basic Books(=1976-1977 林雄二郎訳 『資本主義の文化的矛盾』上中下 講談社).
  • 現代社会学会議編,1978,『現代社会学 特集社会指標論』Vol.5 No.2 講談社.
  • 金子勇,1983,「社会変動」横飛信昭編『現代社会学の視点』法律文化社:184-206.
  • 金子勇,1984,『高齢化の社会設計』アカデミア出版会.
  • 金子勇,1987,「社会変動の『原理』と『理論』」現代社会学編集委員会編『現代社会学』Vol.13 No.1:120-127.
  • 金子勇,2023,『社会資本主義』ミネルヴァ書房.
  • 倉沢進,1977,「都市的生活様式論序説」磯村英一編『現代都市の社会学』鹿島出版会:19-20.
  • 村上泰亮,1975、『産業社会の病理』中央公論社.
  • 作田啓一,1972,『価値の社会学』岩波書店.
  • 富永健一,1986,『社会学原理』岩波書店.
  • 富永健一,1987,『社会構造と社会変動』放送大学教育振興会.
  • 富永健一,1996,『近代化の理論』講談社.
  • 横飛信昭編,1983,『現代社会学の視点』法律文化社.

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Sat, 19 Apr 2025 21:30:37 +0000 Sat, 19 Apr 2025 21:30:37 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422033305.html https://agora-web.jp/archives/250420215112.html https://agora-web.jp/archives/250419095041.html https://agora-web.jp/archives/250417232638.html https://agora-web.jp/archives/250418093232.html
https://agora-web.jp/archives/250418071400.html 中国の迂回輸出でトランプ関税の標的となったタイ https://agora-web.jp/archives/250418071400.html

da-kuk/iStock

迂回輸出に利用されたタイ

近年、中国はタイ最大の貿易相手国として台頭しており、公式データによると、タイの対中貿易赤字は2018年の約96億ドルから2024年には450億ドルに膨れ上がる見込みだ。一方、タイの対米貿易黒字も2018年の約70億ドルから460億ドルに拡大した。

タイ外商局長のアラダ・フアントン氏は声明で、タイを米国への(迂回輸出のための)再輸出拠点として利用する(中国)企業によって、原産地を偽られるリスクが高いとみられる製品群をさらに9つ特定したと述べた。対象製品には、鉄鋼、銅線、アルミニウムなどが含まれるという。

バンコクポスト

過去7年で中国からの輸入が激増し、一方でタイからアメリカへの輸出もほぼ同額激増していることから、中国人たちがタイ経由でアメリカに迂回輸出する姿が見えてくる。

結局、タイは中国企業にいいように使われた結果、アメリカ政府から36%もの追加関税をかけられるという損な役を引き受けることになったわけであるが、これも今まで親中政策を取ってきたタイ政府が、中国に強く抗議できなかったことが原因であり、自業自得のようにも思えるのである。

  1. 米国から輸入されている飼料用コーン、大豆などの品目について関税を引き下げるとともに、米国へのエネルギー関連投資を拡大する。
  2. これまで米国から輸入していない品目の輸入を増加する。
  3. 米国からの輸入にかかる非関税障壁を減らす。

タイ政府

それに対し、大慌てのタイ政府は上のような対策を打ち出してトランプ政権と交渉を進めようとしているが、トランプ大統領が要求しているのはこんな小さなディールではなく、中国の迂回輸出を直ちに止めろ、ということだと筆者は思うのである。

プラユット軍事政権で始まった親中政策

2014年のクーデターの時、既に筆者はバンコクに住んでいたのでよく覚えているが、当初プラユット軍事政権は、この政権は一時的なもので社会が落ち着けばすぐに民主主義で選ばれた政府に政権を返還すると約束していた。

しかし、いつまで経っても政権から降りようとせず、結局8年もの間、首相の座に居座ることになったのだが、これに対しアメリカを始めとする世界の民主主義陣営が非難し始め、プラユット政権は孤立してしまったわけである。

そこで唯一中国だけが、こっちの水は甘いぞ、とばかりにすり寄ってきた結果、当時藁をもつかむ思いであったプラユット首相は、一気に親中に傾倒していったのである。

その結果、タイは中国人たちに迂回輸出で利用されることになってしまい、今のタイ政府はトランプ政権の相互関税に苦悩しているわけである。

なお、これについてはもう5年近く前になるが、本サイトでも「南シナ海防衛、ASEANが海軍力を増強する背景」と題して当時のタイの事情について触れたことがあるが、今頃になってその後遺症が出てきているのである。

EEC(東部経済回廊)の現状

中国からのEEC投資は期待外れ
中国投資家は自国の建設資材、労働力、そして請負業者を持ち込んでいる。

中国からの産業投資によるタイの不動産への恩恵は、東部経済回廊(EEC)内の工業団地やその他の地域での土地売却に限られる可能性がある。

「中国人たちは(EECで)工場を建設しているが、自国の請負業者、労働力、そして建設資材を持ち込んでおり、現地サプライヤーを介さない。また、工業団地外にある中国工場も、タイ人労働者をほとんど雇用していない」。

バンコクポスト

日本を含め、大きな注目を集めていたタイのEEC(東部経済回廊)であるが、タイ政府はここに中国BYDなどの工場を誘致して、タイがEV生産でアジアのハブになることを目指す、という大きな花火を打ち上げたわけである。

しかし実態は、中国人たちは工場だけでなく工場周辺で従業員たちが住むアパートの不動産開発までやり始め、さらにはその工場や工事現場ではたくさんの中国人労働者が働き、しかも工場での生産に使うパーツや建設資材などもほとんどが中国から直接輸入されているのである。

その結果、これまでの日系自動車産業の現地生産などで折角育ってきたタイのサプライチェーンにもほとんど仕事が回ってこないことになり、さらにその挙句、アメリカから36%という重い関税をかけられるという、まさに泣きっ面に蜂という状況なのである。

一方、前回「タイにも入り込む”中国禍”」と題してタイでの中国人の様々な悪行について書いたが、最近の調査によると、あちこちで違法行為ばかりする中国人たちに対し、タイ人の実に80%が警戒心や懐疑心を持つようになってきている。つまり、中国人嫌いが増えているのは日本だけではないのである。

従って、この辺でタイ政府もプラユット政権以来の親中政策を打ち切って、ベトナムのように中国にもの申す強い政府になることが、トランプ政権の圧力を軽減する一番の近道だと思うのだが。

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Sat, 19 Apr 2025 21:25:00 +0000 Sat, 19 Apr 2025 21:25:00 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421100011.html https://agora-web.jp/archives/250421064742.html https://agora-web.jp/archives/250419222050.html https://agora-web.jp/archives/250419222027.html
https://agora-web.jp/archives/250419010130.html 経済活動別の投資の効率 https://agora-web.jp/archives/250419010130.html

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1. 経済活動別の総固定資本形成

前回は経済活動別の国内総生産、固定資本減耗、国内純生産についてご紹介しました。

特に製造業と不動産業は国内総生産が多く、固定資本減耗も多い産業です。

その分、正味の国内純生産は大きく目減りし、2022年には製造業は卸売・小売業を下回ります。

今回は、経済活動別の総固定資本形成や固定資本減耗を、それぞれの経済活動の国内総生産との比率で比較してみたいと思います。

生み出された付加価値のうち、どれだけを投資や減耗分が占めているのかを可視化してみます。

まずは、総固定資本形成の対国内総生産比から眺めてみましょう。

図1 経済活動別 総固定資本形成 対国内総生産比 日本
OECD Data Explorerより

図1が日本の経済活動別に見た、総固定資本形成 対国内総生産比です。

それぞれの経済活動における、総固定資本形成を国内総生産で割った指標となります。

不動産業、電気・ガス・空調供給業、公務が非常に特徴的な推移をしています。

これらの産業は1990年代に70%を超えていましたが、徐々に低下して停滞傾向となっています。

かつては稼ぎ出す付加価値に対して、7割以上もの投資があったことになります。

当然この中には、公共投資も多く含まれるため、必ずしも営利目的の投資ばかりではない事に注意が必要です。

よく見ると、情報通信業、農林水産業、保健衛生・社会事業も同様にかつての水準よりも目減りしていて、全産業の平均値(黒線)も1990年代の30%以上から見るとやや目減りしています。

製造業は逆に、1990年代の水準からするとやや上昇して推移していて、2022年には34.5%となっています。

2. 経済活動別の固定資本減耗

続いて、固定資本減耗の対国内総生産比についても見てみましょう。

図2 経済活動別 固定資本減耗 対国内総生産比 日本
OECD Data Explorerより

図2が経済活動別の固定資本減耗 対国内総生産比です。

総固定資本形成に比べると、不動産業、公務、電気・ガス・空調供給業の水準が低下していて、特に1990年代も均されている事がわかります。

固定資本減耗は固定資産の残高に対する減価分となりますので、耐用年数の長い固定資産程長期にわたって少しずつ均されていくような傾向なのかもしれません。

総固定資本形成では同じような推移となっている不動産業と公務ですが、固定資本減耗では不動産業は低下傾向で、公務が上昇傾向なのが印象的です。

国内総生産で見ると不動産業が増加傾向、公務が横ばい傾向なのでその影響もありそうです。

これらの産業は、稼ぎ出す付加価値のうち40~50%程度は固定資産の維持費に回っているという事になります。

製造業も近年は30%以上で推移していて、比較的固定資産の維持コストの高い産業である事が確認できます。

3. 経済産業別の投資の特徴

今回は、経済産業別に国内総生産に対する総固定資本形成と固定資本減耗の比率を計算してみました。

インフラへの投資が必要な産業となる、不動産業、公務、電気・ガス・空調供給業は非常に興味深い傾向と言えます。

製造業や情報通信業も産業の中では固定資本減耗の占める割合が高く、その分企業や家計への分配が目減りしがちな産業と言えそうです。

特に日本はバブル期に投資が増え、バブル崩壊後も1990年代中は高い投資水準が継続しました。

企業の投資はその後も高止まりしています。

必然的にその減耗分が現在も高い水準で続いている事になります。

これが日本独特の傾向なのか、次回以降で国際比較もしていきたいと思います。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2025年4月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

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Sat, 19 Apr 2025 21:20:30 +0000 Sat, 19 Apr 2025 21:20:30 +0000 https://agora-web.jp/archives/250421204126.html https://agora-web.jp/archives/250422052157.html https://agora-web.jp/archives/250422084421.html https://agora-web.jp/archives/250421095946.html https://agora-web.jp/archives/250421095918.html
https://agora-web.jp/archives/250419080213.html 日本政治のトリレンマ③:強い野党の不在 https://agora-web.jp/archives/250419080213.html

Seiya Tabuchi/iStock

戦後日本の政治は、今の自民党が作り上げたと言っても過言ではない。1955年体制以来、日本の政界は一貫して自民党を中心に回り続けてきた。

一方で、野党勢力はどうだったかと言えば、まるで迷走する日本経済の縮図のように、離合集散を繰り返してきた。

たとえば2012年に自民党が政権復帰して以降の動きを見るだけでも、旧民主党から民進党へ、さらに立憲民主党と国民民主党への分裂・再編が続いた。

2017年には希望の党という存在も現れたが、野党再編の決定打にはなり得なかった。

結果として現在、議席数だけを見れば立憲民主党が野党第一党に位置しており、自民党政権に一定の対抗勢力を持っているように映る。

しかし、立憲民主党自体の支持率は大きく後退しており、2024年衆院選を経ても、その勢力が政権交代を実現するに至るほどには拡大していないことが明らかになった。

むしろ、ここ数年で議席数と支持率を着実に伸ばしたのは、玉木雄一郎代表率いる国民民主党の方だった。

では、立憲民主党と国民民主党――

この両党には、いったいどのような違いがあるのだろうか。

基本スタンス・政治理念の違い

まず、立憲民主党と国民民主党は、政治理念と基本スタンスの面で大きく異なっている。

立憲民主党はリベラル志向が強く、中道左派からリベラル寄りのスタンスをとっている。

対して国民民主党は、より中道に位置し、ときに中道右派寄りの現実主義的スタンスを示している。

以後、

・主要政策の違い
・実際の国会対応の違い
・結論:なぜ日本に「現実的な野党」が必要なのか

続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。

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Sat, 19 Apr 2025 21:15:13 +0000 Sat, 19 Apr 2025 21:15:13 +0000 https://agora-web.jp/archives/250422211501.html https://agora-web.jp/archives/250422093331.html https://agora-web.jp/archives/250421085525.html https://agora-web.jp/archives/250420211953.html https://agora-web.jp/archives/250420173410.html