アゴラでは日々多くの記事を配信しており、忙しい方にはすべてを追うのは難しいかもしれません。そこで、今週の特に話題となった記事や、注目された記事を厳選してご紹介します。
政治や社会保障を中心に、国際情勢やビジネス、文化に至るまで多岐にわたる内容を網羅。各記事のハイライトを通じて、最新のトピックを一緒に深掘りしましょう!

政治・経済・社会保障
政府が物価高対策として推奨する「おこめ券」配布に対し、事務負担や費用対効果の低さを理由に多くの自治体が反発・拒否している現状を報じています。実質的な減価や特定商品への誘導、さらに農政の迷走による米価高騰への懸念から、政策効果への疑問とJAへの利益誘導ではないかという批判が高まっています。自治体の拒否は非効率なバラマキに対する現場からの健全な抵抗であると評しています。
鈴木農水相の目玉政策「おこめ券」が自治体に拒否されJAへの利益誘導は失敗か(アゴラ編集部)

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高市政権の積極財政政策に対し、海外メディアや市場が警戒感を強めていると著者は指摘します。大規模な財政支出はインフレと円の信認低下を招き、個人投資家によるキャピタルフライト(資本逃避)を引き起こしていると分析。金利の正常化と不採算企業の淘汰が必要だと論じています。
「偽サッチャー」のバラマキ財政がキャピタルフライトを招く(池田 信夫)

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長期金利が1.97%と18年ぶりの水準まで急上昇する中、高市首相の楽観的な姿勢や国民民主党の「新・3本の矢」政策(成長による財政再建)を筆者は批判しています。金利上昇にもかかわらず円安が進むのは「日本売り」の兆候であり、実質金利の上昇で政府債務が発散するリスク(ドーマー条件の不成立)を懸念。緊縮財政による金利抑制が必要であり、このままではインフレ税による事実上のデフォルトやトリプル安を招きかねないと警告しています。

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介護殺人や虐待事件が相次ぐ背景には、家族介護の限界や介護職の低賃金・人手不足といった構造的な問題があると著者は指摘します。家族介護を前提とした制度の崩壊、盲目的な延命治療による現場の負担増などにより、介護サービスを受けられない「介護崩壊社会」が迫っており、要介護予防などの対策が急務であると論じています。

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政府が進める公的職業訓練(リスキリング)が企業の採用ニーズと乖離し、年間1200億円もの公費を投じながら受講者の約3割が就職できていない実態を批判しています。労働市場の硬直性や官僚主導の講座選定がミスマッチの主因であり、真の改善には金銭解雇を含む抜本的な労働市場改革が必要だと論じています。
現場を知らない行政が「就職できないリスキリング」に公費1200億円投入の現実(アゴラ編集部)

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高市首相の「台湾有事」に関する勇ましい発言について、著者は「弱い犬ほどよく吠える」状態だと批判しています。日本は半導体素材や精密部品など、米中双方の産業の「関節」となる重要な技術とシェアを握っており、これらを外交カードとして静かに行使することこそが真の国益につながると主張。縦割り行政を打破し、「静かなる覇権国」として振る舞うべきだと提言しています。
日本は吠える必要のない強い犬:日本を知らない高市発言(北村 隆司)

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なぜ日本では、人手不足でも賃金が上がらないのか。その答えは「残業」でも「景気」でもない。日本の賃金停滞を生んだ構造的要因とは何なのか。
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日本の長引くインフレと円安は、欧米に比べてコロナ規制解除が遅れたことが主因であると著者は主張します。他国が早期の経済再開で賃金上昇とインフレを経験し、それを抑制するための利上げで通貨高になった一方、日本は鎖国政策を続けたため賃金上昇の波に乗り遅れ、円安による輸入インフレだけを被る結果になったと分析。厳しいコロナ対策を支持した人々は現在の経済的苦境を甘受すべきだと批判しています。
経済より命と言ってた人たちは「インフレがきつい」とか言うべきではない(永江 一石)

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政府・与党がOTC類似薬(市販薬と成分・効能が似た薬)の公的医療保険からの除外を見送り、追加負担を求める案に後退したことを批判的に報じています。日本維新の会が掲げていた「原則保険適用外」が断念されたことで、同党の与党内での影響力不足が露呈し、社会保障費削減の機会を逃したと指摘。医師会や公明党の反発などにより、医療改革が骨抜きにされている現状を伝えています。
OTC類似薬の「保険適用除外」見送りで維新の医療改革がトーンダウン(アゴラ編集部)

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日経平均株価が5万円台を維持する中、市場を取り巻くマネーフローの変化について教授とワタナベ君が対談しています。中国(香港経由)からの資金流入が減少する一方で、欧州やアジアの富裕層からの資金は円安を背景に継続すると予測。しかし、株価上昇はAI関連など一部大企業に支えられており、コスト転嫁のできない中小企業や実質賃金が下落する家計との乖離(格差)が広がっている点に懸念を示しています。
日経平均5万円の景色②:変わり始めたマネーフローと“5万円”の持続可能性(濱田 康行)

国際・エネルギー
高市首相の「台湾有事は存立危機事態」発言以降、日中関係の緊張が高まっていますが、著者は「今日のウクライナは明日の東アジア」と主張してきた「ウクライナ応援団」の言説に疑問を呈しています。ロシアの優勢が伝えられる中、もしウクライナが勝利できなければ、その論理に従えば中国の台湾侵攻も不可避となるはずであり、彼らはその帰結について説明責任を負うべきだと論じています。また、ウクライナと同様の軍拡を日本が行うことの現実性についても問いかけています。
「今日のウクライナは明日の東アジア」:ウクライナ応援団が負う説明責任(篠田 英朗)

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中国の過激な日本叩きや対外行動は、高市首相を退陣させるまでの「習近平氏の個人的バトル」と側近たちの忖度によるものだと著者は分析します。習氏はトランプ氏をも翻弄し、日米安保の脆さを突くことで、台湾問題への介入を牽制していると指摘。中国の行動は歴史的怨念よりも、習氏の「上から目線」による影響力行使が本質だと論じています。
中国はどこまで暴れる気なのか?:習近平国家主席の「個人的対日バトル」(岡本 裕明)

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トランプ大統領が中国への先端半導体(NVIDIAのH200など)の輸出を容認する意向を示したことについて、米中関係における大きな転換点となる可能性を報じています。トランプ政権の実利優先の姿勢が「親中派」とすら見なされる一方で、専門家からはAI技術覇権の喪失や中国の技術的台頭を懸念する声が上がっており、米国の技術安全保障が重大な岐路に立たされていると指摘しています。
米国、中国へ先端半導体の輸出解禁か:最大の親中派はトランプ?(アゴラ編集部)

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トランプ政権が発表した国家安全保障戦略において、化石燃料を中心とするエネルギー支配(エネルギー・ドミナンス)の回復が最重要課題とされている点に著者は注目しています。安価で豊富なエネルギー供給が経済成長やAI技術の優位性維持に不可欠であり、気候変動やネットゼロといった「破滅的なイデオロギー」を拒絶すると明記されていると紹介。日本もエネルギーを国家安全保障の中核に位置づけ直し、原子力や火力の活用による安定的供給を目指すべきだと主張しています。
米国は化石燃料を国家安全保障戦略の中核に据える(杉山 大志)

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ドイツの「緑の党」が夏季に全世帯へ600時間分の無料電力を提供する「ソーラーボーナス」構想を掲げているが、著者はこれを批判的に検証しています。市場価格がマイナスになる日中の余剰電力を税金で買い取る仕組みであり、実質的には発電事業者への補助金に過ぎず、日中に家にいない多くの労働者には恩恵がないと指摘。税金の無駄遣いであり、電気料金の上昇を招くだけの政策であると結論づけています。
ソーラーボーナスという幻想:ドイツの“タダ電気”政策を検証する(尾瀬原 清冽)

ビジネス・IT・メディア
りそなHDが本部人員の25%にあたる2000人を現場に異動させるという報道を受け、著者は日本企業にホワイトカラーが過剰であると指摘します。AI導入や生産性向上を目指すこの動きは英断であり、ホワイトカラーが余剰となりエッセンシャルワーカーへの転換が求められる時代の流れを象徴していると論じています。
白いワイシャツを着なくなる日:りそなHDが社員25%を現場に異動させる意味(岡本 裕明)

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大企業での「ゆるい働き方」は、社内スキルしか育たず市場価値が低いまま年収が上がる「時限爆弾」だと警告。買収やリストラで詰まぬよう、会社ではなく自分のために市場価値を高めるべきだと説いています。
「大企業でゆるく働く」はコスパよりむしろリスク(黒坂 岳央)

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三菱ケミカルが実施した希望退職に1273人が応募したと報じています。黒字リストラは石油化学業界の不振や中国勢の過剰生産による構造不況を背景としており、事業構造の転換と人員構成の是正が目的とされています。一方で、優秀な人材の流出や、日本型雇用に安住してきたゼネラリスト層の再就職難などの課題も浮き彫りになっています。
三菱ケミカルも黒字リストラで1300人が応募:進むホワイトカラー削減(アゴラ編集部)

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日本人の職を奪う脅威はAIよりも優秀な外国人材にあると警告します。サービス業や高度専門職において、ハングリー精神旺盛で優秀な外国人が台頭する一方、日本人は定着率やメンタル面で敬遠されつつあると指摘。事務職がAIに代替され、現場職も外国人に奪われる「挟み撃ち」の未来に警鐘を鳴らしています。

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Z世代の35%が「週休3日」を希望し、安定志向が強いという調査結果に対し、著者はその背景を分析しています。Z世代が安定志向になったのは、親世代(団塊ジュニアやバブル世代など)が会社に滅私奉公しても、昇給抑制や役職定年、再雇用での賃金カットなどで報われていない姿を目の当たりにしてきたからだと指摘。「あのような働き方はしたくない」と考えるのは正常な判断であり、中高年世代も本音では「最初からほどほどに働けばよかった」と後悔している人が多いと述べています。
Z世代ってどうして週休三日で安定志向なの?と思った時に読む話(城 繁幸)

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「プライドが高すぎる人」は職場での扱いが難しく、その実態は脆弱な自己肯定感の裏返しであると著者は指摘します。彼らは決して謝らず責任転嫁し、常にマウンティングを取ろうとし、強い被害者意識を持つため、対話による解決は困難であり、物理的距離を取るのが最善の対処法だと助言しています。

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8日夜に発生した青森県東方沖地震の際、日本テレビが「大間原子力発電所は稼働停止などしていない」と報じましたが、実際には同原発は建設中で未稼働であったため、誤報として批判が集まっています。著者は、この誤報を単なる表現のミスではなく、報道機関としてのチェック体制の欠如や信頼性を損なう「自滅行為」であると厳しく指摘し、徹底した検証と体制の再構築を求めています。
日テレの大間原発「誤報道」はオールドメディアの自滅行為(アゴラ編集部)

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AI特需による半導体不足と円安の進行により、来年以降PCや周辺機器の価格高騰が避けられないと著者は予測しています。現在の在庫は旧価格の部材で作られた最後の安価な製品であり、必要な購入は年内に済ませるのが経済的に合理的であるとアドバイスしています。

科学・文化・社会・一般
著者は、中国の「華夷秩序」を理解し尊重すべきだとする内田樹氏の意見に対し、現在の中国共産党政権下でそれを認めることはチベットやウイグル、香港のような人権弾圧を容認することにつながると批判します。中国の覇権的な振る舞いに対しては、国際社会による関与と緊張関係の維持が不可欠であり、単に中国の言い分を丸呑みするようなリベラルな言説には未来がないと論じています。
米国嫌いだからといって『中国の言い分を丸呑みにするリベラル』に未来はあるのか?(倉本 圭造)

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「令和人文主義」と呼ばれる潮流は、実際には陰湿な「キャンセルカルチャー(排斥文化)」と一体であると著者は厳しく批判しています。研究不正を犯した人物の訳書に対し、刊行前から出版社に圧力をかけたり、過去の学者の人格を現代の基準で断罪して業績を否定したりする振る舞いが、この潮流の中で見られると指摘。これらは学問的な対話ではなく、安易なレッテル貼りや排斥行為であり、反知性主義に通じるものであると論じています。
やはり、令和人文主義の正体は “キャンセルカルチャー2.0” だった。(與那覇 潤)

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著者は11月末に京都の上賀茂神社を訪れ、見頃を迎えた紅葉や境内の様子を伝えています。世界文化遺産であり歴史ある同神社では、「立砂」や「ならの小川」などの見どころに加え、神馬にちなんだおみくじなども紹介し、秋の京都観光の魅力を綴っています。

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京都の錦市場ではインバウンド客向けの割高な飲食店が急増しましたが、中国からの旅行自粛の影響などで外国人が減少し、閑古鳥が鳴いている店が目立つと著者は報告しています。高額な牛串など観光客をターゲットにしたビジネスが目立ち、地元客や日本人観光客が離れてしまっている現状を憂慮し、市場の衰退を懸念しています。

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最近注目されている「令和人文主義」という潮流について、著者は自らが主催する「敵とも話せるSNS」での議論をきっかけに考察しています。「令和人文主義」は、難解さを避け、党派性を薄め、ビジネスパーソンなどを対象に平易に人文知を広めようとする動きとされます。著者は、かつての「啓蒙主義的ビジネス書」や「教養マウンティング」への反動としてこの動きを位置づけつつ、それに対する批判的な視点(「批評」の価値など)についても論じる姿勢を示しています。
「令和人文主義」ブームへの期待と批判について ≒『批評』は死んだのか?問題(倉本 圭造)

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著者は11月下旬に東京の六義園を訪れ、見頃を迎えた紅葉の美しさを伝えています。元禄時代に柳澤吉保によって造られた回遊式庭園である六義園は、大泉水という大きな池を中心に、モミジや滝、雪吊りなどの風景が楽しめ、都会の真ん中であることを忘れさせるような紅葉スポットであると紹介しています。







